相変わらずクオリティは低い。
それから、サモアオランウータン氏作の”異世界の航路に祝福を”から”第4文明圏”の単語をお借りしました。
中央暦1635年1月6日 クワ・トイネ公国 首都クワ・トイネ
一台の馬車が、首都クワ・トイネの大通りを走っている。
中に居るのは、つい先日接触してきたフェリペ王国含む数カ国の外交官たちとクワトイネ側外交官だった。
「つまり、日本側は食料の輸出。フェリペ王国は安全保障に関する多国間条約を我が国と結びたいと言う事ですか。」
クワトイネ側外交官は、手元にある資料を見ながら言った。
「はい、ちなみにですが、貴国に対し供与予定の武器ももう既に決まっています。諸元表をご覧に成りますか。」
そう言ったのはフェリペ側外交官である。
その手元には、分厚い紙の束が有った。
それを渡そうとした直前、馬車の御者が目的地に着いた事を知らせた。
「これ以降の話し合いは、この中で。」
クワ・トイネ側外交官が、開け放たれた扉の奥に見える官邸を見据えていった。
♢
同年3月3日
「変わったな、この国も。」
そう言っているのは首相のカナタだった。
彼の目に映る街並みは、非常に現代的な物に変わっている。
あの後、日本などは食料の見返りとしてインフラ整備を、フェリペ王国などは武器輸出をする事が決定された。
現在、この国の歩兵装備は大幅に強化され、歩兵は全員がボルトアクションライフルを持ち、航空部隊には単葉機が配備され始めている。とは言っても、それらは全てフェリペ王国国内で生産された物だ。原因としては、この国に近代的な工場が一切なかったためである。
この国に元々配備されていたワイバーンは、順次退役予定だった。
だが、単葉機の運用コストが高く、国家財政が安定するまではワイバーン7割、複葉機3割で運用する事が決まっている。
更に、海軍の艦艇も更新が進んでいる。
この国では、排水量1万トン以下の艦を小型汎用艦、排水量5万トン以下を中型汎用艦。排水量10万tクラスの戦闘艦を大型戦闘艦として区分している。
これはつい先日決まったばかりだが、この区分により、現在整備すべき艦が明確に成った。
まず、小型汎用艦3隻と中型汎用艦1隻で1個小隊とし、これを年内に5個用意する。
打って出る能力は無いが、始めの内は無理をせずに錬度を高める事が重要だ。
更に10年単位で大型戦闘艦を1隻、中型汎用艦4隻、小型汎用艦8隻を1個艦隊とし、これを4個用意する計画を立てた。
陸軍側も装備品が大幅に更新されていた。
まず、歩兵輸送車等が導入され、現代的な機動戦が実践可能と成った。
更に戦車なども輸入されており、現在はフェリペ王国より派遣された軍人たちが教練を行っている。
歩兵銃に関しては、猟銃を改造した物を使用しているが、それでも十分だった。
航空機は全金属製の複葉機である零式水上観測機を陸上機に改造した物を使用している。これはフェリペ王国側に有った機体をリバースエンジニアリングし、細かな改良を施した代物だった。複葉機特有の高い機動性と、高い揚力のお陰で兵器搭載量も大きい。この為、クワ・トイネではこの機体をF/A1として採用した。愛称は現在募集中だが、”ゼロ”が有力候補である。
コンコン、と扉が叩かれた。
カナタはノックした主に入る様に促すと、一人の外務省職員が入ってきた。
「執務中失礼します。カナタ首相、日本国より書簡が届いています。内容は多国間の条約締結についてです。」
そう言って手渡れた書簡は、外務大臣が一度目に通したであろう痕跡が有った。
数分間それをじっくりと読むと、カナタはこう言った。
「すぐにでも、日本国に連絡を。我々はこの交渉に乗ると言ってくれ。これが締結されれば、我が国は安泰だ。」そう言うと、彼は直ぐに軍務大臣と外務大臣を呼び出した。
「首相、急用とは何でしょうか。」
そう言ったのは、軍務大臣に就任したハンキだった。
「日本が、いやフェリペ王国が複数の国家の相互安全保障条約を結ぶと書簡で知らせてきた。場所は日本の首都東京だ。外務大臣も交渉に参加して貰う。」
そう言うと、慌てたのは外務大臣に就任していたリンスイだった。
「ちょ、ちょっと待ってください。余りに性急では有りませんか。それに、複数の国家とは…。」
「それに着いてだが、第三文明圏外の全ての国家に通達が行われているらしい。つまり、そう言う事だろう。」
♢
同年4月10日 日本国 東京 国技館
その日、国技館で歴史が動いた。
「えー、本日より、第3文明圏外を第4文明圏、転移国家群を第5文明圏と改名します。また、第4、第5文明圏相互安全保障条約機構(Mutual Security Treaty Organization for Fourth and Fifth Civilizations。略称M S T O F F C)の設立をここに宣言いたします。」
初期加盟国は合計して30カ国以上あった。またその他諸機関の併設も同時に宣言された。
また、この時に条約機構の条文も公開された。
・この条約に批准する国家は、他の同条約批准国が第三国からの侵攻を受けた際に、相互にこれを撃滅する。
・この条約は基本的に第4文明圏、第5文明圏の全ての国家が批准できる条約である。その他文明圏の国家が批准する場合には、その国の思想、及び外交状況等を鑑みて決定する。
・この条約に批准した国家は、協力し平和の維持に努める。
・また、この条約機構下には完全中立の常備軍を置く。これは批准国より捻出される。
・常備軍は、陸軍、海軍、空軍、水陸機動軍、空陸機動軍、情報軍、宇宙軍の7軍を置き、それぞれに最適な教練を施す。
・常備軍は、イギリスに駐在していた国連軍を用いる。また、陸軍装備などはフェリペ王国陸軍などからの無償授与とする。
等以下50項目。
結果、加盟国は僅か数週間で50カ国を数えたのである。
その上で、フェリペ王国の工作員たちにより、パーパルディア皇国、及びグラ・バルカス帝国のスパイらの捕縛が行われた。
だが、この事が後の世界大戦に繋がるとは、誰も予測できなかったのだった。