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お転婆娘のドタバタに巻き込まれた。娘って歳じゃない?行動が子供なら何歳でも子供なんだよ。大きな子供多いよ?社会人なら解る。
小娘Vtuber継続祝い後、当初の予定通りに”天まで続く道”に来ていた。
雨が降り、そこまで景色は良くない。何故か高崎は今日ここに来たがった。
「なんで今日ここに来たがったの?晴れた時でよくないか?」
「午後には止むからいいの」
午後にはって・・・
「あの~、まだ9時だけど・・・」
「今日はここで車の中から楽しむの」
涼しげな顔で待機を命じる高崎。珍しい気がする。あまり留まるのが好きじゃない偏見だったが。
「そのために~じゃん!」
たっぷりと中身の入ったコンビニ袋を見せつけてくる。
「籠城戦の準備万端なのだーっ!」
ウハウハである。姫のご機嫌麗しく、とても喜ばしいです。
「だからさ、雨止むまでゆっくりはなそ?」
少し真面目な雰囲気で雑談を誘ってくる高崎。
そんな湿っぽい空気で、何を話すんだよ。
「いつも、喋ってるじゃん。」
「・・・言いにくいこと聞くよ?先生最近ナニに、焦ってるの?」
「ぁ・・何も?」
突然の事に言葉が詰まる。そんなに行動に出ていたか?
「アハハ。今回のウソはへただったね。
ちゃんと焦ってるよ先生。ちゃんと見てるもん。車の運転とか分かりやすかったよ?箱根の時より段違いで速いし。響ちゃんに怒ってるとこ見て、一回話さなきゃだめな気がしたの。」
かなり出ていたらしい。高崎にはお見通しか~。
「先生が今焦る理由なんてあたし関連だよね?入院した後だから・・・
あたしもしかして半年持たない?」
質問しながら確信している。そんな矛盾をはらんだ表情。
なんで気づいちゃうのかなー。なんで気付けるだけの頭もった奴がこんな運命なのかなー。元々神なんて信じてなかったけど、ホントにいないんだな。ありがとう現実。これからも無宗教だよクソッタレ。
「元々、半年持つ根拠なんて無いらしい。キミの精神に余裕がないから真実を言わなかった、お医者さまからそう言ってた。」
これまでのことをそのまま伝える。
「そっか・・・。やっぱりかぁ~。」
意外とすんなりと受け入れる高崎。納得の表情ですらある。
「・・・なんでそんなに受け入れられる?」
「ん~、お母さんのおかげ?・・かな、同じ病気だったから。
一か月くらいで急に倒れて死んじゃったから・・・、正直半年は長いと思ってた。」
なんて言葉を返せばいいのだろう。何も浮かばない。浮かぶ奴なんているのかな?いるなら変わってくれよ、頼むから。
ふと唇に何か当たる。目を向けると高崎がタバコを押しつけていた。
「なに?急に」
加えながら質問する。
「ごめんね?反応しづらいよね?だから誤魔化しように」
気遣いしてくれたらしい。なんでそんな状態で他人に優しく在れるのだろうか、ボクが逆の立場なら出来るだろうか?・・・この考えは辞めよう。もし誰かになれたらなんて最も無駄な妄想だ、結果の変わらない行動に価値なんて無い。
有り難く、高崎の優しさを受け取ろう。
「ハイッ火をつけますよー」
ニコニコでライターを近づける高崎。本当に良い女性だ。
「後、何日くらい残ってる?あたし。」
「お医者さま曰く、平均76日。詳しくは解らない」
「本当にお母さんといっしょだ。変なところ似たなー。いっぱいしゃべろ?先生
あたしがどんな人間か知ってほしいんだ。」
「いいよたくさん話そう。」
雨音をBGMにたくさん話した。これまでの生い立ちとか趣味とか好きなもの嫌いなもの、大体喋った。無言の時間もあったけど悪い時間じゃなかった。
「先生っ!みてみて!!」
急に高崎が騒ぎ出す。言われた通りに前を見る。そこには何処まで繋がる道があった。道の途中から霧がかかり本当に天まで続いているかの様。
「待ってた甲斐があったな高崎。」
「別に待ってないよ?先生といっしょなら、なんでも楽しいもん。」
素直な言葉を素面で言う高崎。だからだろうか、少し素直に返す。
「照れるからやめてくれ・・・」
「・・・かわいい。先生っ!あざといよー!!」
だらしない顔で肩パンしてくる。イタイイタイカワイイイタイ
「写真撮ったらいくよ。シートベルトして」
「はぁ~い」
その後は五日掛けて北海道制覇。長い北海道が終わった。
残り日数約71日。
高崎家に戻り、荷物の整理をしていると高崎の部屋からドサッと鈍い音が聞こえる。荷物でも落としたのかと様子を伺いにく。
「おーい高崎さーん、大丈・・・」
部屋を開けると高崎が倒れていた。
倒れている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「おいっ!!大丈夫か!!?」
苦しそうに呼吸しながら倒れている高崎。
どうする・・・どうするどうするどうするどうするどうするっ!落ち着けボク!
「っフー」
一旦呼吸を挟む。酸素を回した頭で救急車を呼ぶ。
「頼む!生きてくれ!」
程なくして救急車が到着し、一緒に乗り込む。乗り込んだ先にお医者さまがいた。
「柳さん!高崎が!」
「大丈夫。まだ死なない死なせない。」
強い口調で落ち着かせる様に声を掛けてくる。
「素早い判断ありがとう。ここからは私に任せなさい。」
その後治療室に運ばれる高崎を見届け、外で待つ。
何か出来るわけでもないのに、何かしようと体が疼く。立っては座りを繰り返す。そんなみっともない真似を続けていると治療室の扉が開く。
「佐藤さん。大丈夫、まだちゃんと生きてるよ。」
「っありがとうございます!」
頭が上がらない。本当に上がらない。感謝の言葉が見つからないって本当にあるんだな。お医者さま、ありがとうございます!これしか出ない!。
「・・・高崎さん。少し心臓が弱まって来てます。」
「えっ」
「可能な限り遠出は避けて頂きたい。迅速な対応を・・・高崎さんを長生きさせる為にも協力してくれませんか?佐藤さん。」
下げる必要の無い頭を下げられる。そんなことされたら何も言えない。
「・・・はい、わかりました」
うどんと蕎麦・・食いそびれたな高崎。
そのまま高崎は入院。何もすることが無くなり。病院を出ようとしたところで何者かに声を掛けられる。
「あれっ?先生?」
誰だこいつ。肩位まである黒髪にメッシュ?かなんか入ったそこそこ遊んでそうな女性に声を掛けられる。
「誰ですか?」
「先日お世話になりました。坂口響です。一応初めましてかな?」
「どうも。それでは。」
小娘かよ。今話す気分じゃないんだ。逃げるよ。
挨拶だけして立ち去る。
「ちょっと!え?待ってよ!」
病院の外で捕まる。袖を捕まれがっつりと。
なんだよ。初対面だぞボク、離せよ。
「なに?」
「なに?じゃないですよ!」
ない?で済むだろ。お互い用事なんてないでしょ。
「なんかあったっけ?ボクら」
「なにもなくてもそんな顔してたら声かけますよ!顔色悪すぎです。死にそうですよ?大丈夫ですか?」
そうかい。そんな顔してるんのか。まぁ別にいいか。
「別に死なないよ。死にそうなのは・・・なんでもない。」
「夢ちゃん・・・何かあったんですよね?」
「倒れただけ、まだ死なないよ安心して。何日後ならお見舞い行けるだろうから行ってあげて。」
必要最低限の情報を告げて歩き出す。目指すはコンビニ、工場長と再会した病院から一番近いとこ。
「ちょっ!?先生!?」
何か聞こえたが無視して早歩きする。しっかりと逃げる。
コンビニにたどり着きアルコール類を手に抱えてレジに行き購入。店を出る。
「お昼からお酒ですか、好きなんですね」
まだいたのかこいつ。誰だっけ?まぁいいか小娘で。
無視してれば消えるだろうと高を括り、人気の無い公園に向かう。また嫌な思い出が増えそうだ。いや、増えるなこりゃ。
「スミマセン」
しつけぇな。いい加減空気読めよ。人が何時でも誰かと居たいと思ったら大間違いなんだよ。イラつきながら振り向くと知らない人がいた。
「は?」
50代位の薄汚れた、外国人のおばさまがいた。え?玉手箱開けた?
「スミマセン」
「はい、なんですか?」
カタコトの日本語で話し掛けられる。道にでも迷ったか?
「ココマデ、ナニモタベナイデアルイテキマシタ。オカネメグンデクレマセンカ?オネガイシマス・・・。」
なんだ、物乞いか。高崎と会う前なら少し考えたが。
「よく聞こえません。失礼します。」
ガン無視で立ち去る。追っては来ないようだ。助かる、走る気分じゃなかったんだ。ようやく公園にたどり着く。酔えない酒を飲みながら心の整理が出来る。
「なんで!おばあちゃんのこと無視したの!!!」
うるせぇな、まだいたのかよ。
怒り心頭な小娘がいた。まだ言い足りないのかこちらによってくる。
「なんで助けなかったの!?そのお酒買うお金、少しくらい別けてもいいじゃない!!そんな姿、夢ちゃんが見たら悲しむよ!!」
服を掴み、怒鳴る小娘。解らない、何が気に食わないのだろう?
「私を助けてくれた先生は何処に行ったの!!」
「うるせぇな、声下げろよ。ちゃんと聞こえてるよ。」
「うるさいですって・・・?」
ボクの返答が余程気に食わないらしい。確かに気は滅入ってるそれは認める。けどな、ボクは多分同じ行動を取るよ。自信がある。
「何が気に食わないのさ?」
「何って・・・おばあちゃんを助けてなかったことよ!」
「それが解らないんだ。あの場だけ助けて何になるんだよ。」
「今日を生きれるわ!」
睨みながら反論してくる。問題はそこじゃないんだよ小娘。
「今日は助かるな、じゃあ明日は?」
「え?」
戸惑いの声を上げる小娘。
ほら、なんも考えてないじゃん。
「明日は誰が、ばぁさんを助けるんだよ。キミが毎日面倒見るのか?」
「それは・・・」
「無理だろうなそりゃ。
いいか、小娘。助けることと救うことは全然意味が違うんだよ。」
気付いたのは最近だがな。
「その場を助けていい気分になろうが最終的に救われなきゃ、意味ないんだよ。ボクはそこまで手出し出来ない。結果が変わらない行為になんの価値があるんだよ。お互い迷惑だろ。」
「それでも・・・助けようとするのは間違ってない」
いい文字だね。漫画なら名言さ、現実だと響かないけどね。
「キミ人を助けきろうとしたことある?」
「・・・無いです。」
「ボクも高崎と会うまでなかった。やると解るよ、救うってどれだけ難しいか。
何人も手出し出来ないよ、一人が限界だよ。ボクの頑張りが足りないのか?これでも?って不安になる。押し潰されそうだよ、ずっと。
それが解る人なら多分怒らないと思う。」
悔しそうな表情する小娘。素直に気が合いませんで終わればいいのに。
「お気持ちは解り「それだけは辞めろ」」
「本当に辞めてくれ、キレる。同じ境遇じゃないのに、どーやって解るんだよ。それは知ってるだけだよ、履き違えるな。」
情報を知ってると理解している、これは全然違う言葉なんだよ
全く関係ない人にそれを言われたら多分ボクはキレる。
戦ってない奴がガヤ出すな、関わる気がないなら傍観者でいろ。中間地点の奴らが一番邪魔なんだよ。
「っグス・・なんで私のこと助けてくれたんですか?」
泣きそうな小娘。ボクが悪いのか?これ
「前にも言っただろ、助けてないよ。勝手に助かっただけだよ、言葉だけで助かれる人はもう助かる準備が整った人だけなんだよ。整えたのはキミだよ。
言葉だけで助からない救えないからボクは今、このザマなんだよ。」
「・・・・」
考え込む小娘。言い過ぎなのだろうか?
目尻に溜まった涙を拭いこちらに手を伸ばす小娘。
「500円ください。おばあちゃんに1000円渡したんで半分で」
「は?」
どんな答えを弾き出したこいつ。
「先生が助かる準備です。」
「ボクが・・・?別に求めちゃないけど・・・」
「外から見たら本当に死にそうです。最初の顔出しと別人ですよ?」
心配そうにこちらを見る小娘。
そんなに酷いのかボクの顔。高崎にも心配されているのだろうか。
「私、まだ救うって解りません。だから理解しようと思います。
おばあちゃんのことは、まだ知ってるだけの私には許せません。だから500円預かります。理解出来たら返します。
だから先生を助けてさせてください。」
真っ直ぐな目でこちらを見る坂口。何処かの誰かによく似ている。流石親友だよ。心残りがあるとするなら。
「ボクはキミを助けてないのに、助けてくれるの?なんで?」
「先生にとってはそこまでのことなんでしょうけど・・・
言われた私は、救われましたよ。ちゃんと・・・
助けて無いなんて認めません!あの言葉と考え方は先生にしか出来ない方法で人を救ってます!!。だからただの恩返しですよ。」
そうかい。ボクは誰かの助けになれてたんだな。
少し高崎の気持ちが解った。誰かが助けにくるのは確かに嬉しい。最期まで救うってくれるかは知らないけど。
「ハイ」
500円玉を坂口に投げ渡す。
「人助け、承りました!」
嬉しそうに受け取り、口約束を交わす。
今日は乗せられよう。助かりに行かないのは性に合わない。
「まずは先生の体に悪いお酒を一緒に処理しましょう!一人で飲んだら早死にします。絶対。」
そんなに多いんだこの量。酔えなくなってわからなくなってしまった。
「先生?乾杯しましょ?」
今日は酔えそうな気がした。
残り日数???