死刑囚が勇者のクローンに転生したようです。   作:あささああ

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第二話 記憶喪失の助祭

今より200年前、地上に生きる全ての種族を統べようとした種族がいた。その名は闇魔族。流血を好み、世界を闇で覆うことを安らぎとする者達だ。そして闇魔族の王、魔王は一族の繁栄のために、数多の一族を隷属させて世界征服を目論んだ。

 

だが、魔王は世界の九割を支配したところで封印されることになった。人間族の勇者とエルフ、獣人、ドワーフ、竜人、4人の賢者、そして魔王の破滅を願う数多の種族の反撃によって闇魔族は敗北したのである。

 

そして、魔王亡きあと、勇者と4人の賢者達は闇魔族の勢力拡大の原因は、古来から続く種族間の不和にあったと考え、遍く種族が分け隔てなく暮らすことを理想に掲げた王国を樹立したのである。その名はハルミヤ。伝説の勇者の名を冠する国家は、今や世界の中心として君臨していた。

 

「まるでサファリパークに来たみたいだな」

 

俺は目的の街並みを眺めながら呟いた。前世では外国には行ったことはなかったが、そこは外国と呼ぶには相応しい日本とは異なる空気を匂わせていた。母国にはない開放感に満ち溢れており、人々の距離が自然に近い気がする。だか、その人と人は必ずしも人間同士とは限らなかった。

 

耳が異様に長い者がいれば、短い手足の生えた達磨のような頭身の者もいる。他にも人間のような見た目であるが動物の耳や尻尾を生やした者もいる。それらが分け隔てなく一つの街に溶け込んでいる様はなんともまぁ奇妙であった。

 

だが、あまりにキョロキョロと眺めているのは不自然だ。そう思い平然と装い過ぎる事も不自然なことであると自覚しつつ、自然体で目的の場所へと向かった。

 

どうやら俺は造られた人間であるらしい。

 

俺は死んだはずの人間だった。だけど、どういうわけか俺は、もといた世界とは異なる世界にて他人の肉体を与えられて蘇った。

 

と言っても、それが喜ぶべきことなのかは分からなかった。なんせ、俺という人間はとうの昔に死んでいたのだ。憎悪に駆られて教団幹部や信者達をとにかく殺し続けたのちは、長い時を独房で過ごしていた。

 

そんな俺を蘇らせて、どう生きろとは思ったが、前世同じく他人の目的のために、レールの敷かれた人生を生きるのはまっぴらごめんだった。だから創造主は早々に殺した。ひと目見たときに分かった。コイツは教団幹部と同じ匂いがする。俺が最も嫌悪する部類の人間であると。なら、それだけで殺す理由にはなる。

 

そうして獲得した自由ではあったが、正直なところ俺は自由を持て余していた。一先ず、魔法みたいなやり方で人を創造できてしまうあたり、元の世界とは根本的に異なる世界なのは理解した。

 

だが、それ以外のことはさっぱりだ。幸いこの世界の言語については言語知識が肉体に付随していたので何とかなったが、砦に残された本や資料を見たところで役立ちそうなものは何一つなく、得られた情報も何もなかった。だから、一先ず、金貨とか銀貨とか銅貨とか金になりそうな物だけを盗んだところで、砦そのものを燃やして移動したのだ。

 

目指した場所は万民国家ハルミヤにあるハルミヤ国立学園。何故、その場所を選んだと聞かれたら、そこしか地名を知らないから。そして、ちょっとした好奇心だ。

 

「かなり大きいな」

 

人に聞きながら目指すこと数十分、ハルミヤ国立学園の前に到着したが、そこは広大な敷地を持つ学園だった。俺は学園という名前から高校くらいの規模の施設を想像していたので、思わず面を喰らった。もし、あのまま、あの男の言いなりになっていたら、俺はここに通わされることになっていたのか。もしもの世界線の俺を想像してみたが、あまり実感はなかった。

 

さて、これで俺の目的は終わった。俺の目的はどういうレールを敷かれていたのかを確認することだった。それだけの好奇心。今さら学校に興味はなかった。在学中に殺人を始めたから高校は中退となったけど、あの狭いコンクリートの密室で、先生達のつまらない蘊蓄に耳を傾ける気にはなれなかった。

 

それに結局、二年間に渡る、逃亡&殺人生活において学校で学んだことは何一つ役には立たなかった。皮肉なことに役に立ったのは教団によって習得したピアノの技能。だが、飯の種になるまでの実力になったのは間違いなく彼女のおかげだった。持論だが、人は何か突出した特技があれば食っていける。そして、その持論は異世界だろうと通用すると思う。

 

俺は学園から離れると教会を目指した。教会の場所はここまで来る道中にあったので知っていた。何故、あれだけ宗教に人生を翻弄された俺が教会を目指すのか。もちろん神は嫌いだし信じていない。だが、食うために神が利用できるなら俺は喜んで利用する。

 

侮辱に大切なことは相手に対して誠実でないことだと思う。俺は神を侮辱したいと思っている。だから、神に対して嫌悪しているという誠実さすら貫かない。必要な時は媚びるし、不必要な時は踏みつけながら唾を吐き存在を否定する。それこそが俺の神に対する基本的なスタンスだ。

 

そして俺は教会に立ち入った。辺りを見回すと、すぐにアレは見つかった。さきほど通りすがった時に聞こえたのだ。あのパイプオルガンから奏でられる宗教音楽の音色が。

 

異世界でもあっても、音楽を追求していると鍵盤楽器に到達するというのは、なんとも感慨深い事だと思った。演奏者は定刻ではないためか不在だった。俺は小走りにパイプオルガンに向かうと、その椅子に座った。さて、久しぶりの鍵盤だ。刑務所では暇だから机に鍵盤を刻んで、幻聴の演奏をしていたが、やはり、この手触りは何とも馴染み深いことか。

 

これまで演奏した時間でいえばピアノの方が遥かに長い。だが、パイプオルガンは初めてという訳ではなく、教団の儀式にて弾いた経験はあった。さっそく俺はこの喜びを奏でることにした。選曲はパイプオルガンであるわけだし、大バッハの曲を演奏することにした。

 

それから一時間くらいの演奏を終えたのちのこと。教会の長椅子は聴衆達で満席だった。俺が席を離れて会釈をすると、聴衆達は盛大なる拍手をした。そして、帰ろうとしたとき、一人の老人が席を立ち上り、話しかけて来た。老人は格好からして、この教会の神父だった。

 

「素晴らしい演奏だった。今まで聞いたことのない音楽の数々に胸が高鳴ったよ。ただ一つ問いたい。君は誰なんだね?」

 

俺はその問いに対して、音楽に酔いしれて恍惚した顔を作り答えた。

 

「分かりません。自分が何者であるのか。分からないのです。ただ、アレを見たとき不思議と懐かしい気持ちになり、気が付いた音を奏でていました」

 

「なるほど。つまり君は何かの事情で記憶を失っているというわけか」

 

「そういうことなのでしょうか?思い出せないので分かりません。だけど、この楽器を演奏できて楽しかった。おじいさん、もし宜しければ僕を雇ってくれませんか。この楽器に触れていると、もしかしたら何か思い出せるような気がするんです」

 

神父は少しの間、思案してから言った。

 

「ふむ…。ここは教会だ。戒律によって人を雇うことはできない。だが、君が良いというのなら記憶が戻るまで助祭として受け入れることはできるが、どうかな?」

 

「構いません。あの楽器に触れられるのなら喜んでお務めします」

 

そうして、記憶喪失の少年を騙ることで俺は暫くの住処を確保した。もちろん記憶なんてこれっぽちも失っていない。だが、この世界の成り立ちや常識をよく知らない俺にとっては記憶喪失という設定はかなり都合が良かった。知らず知らずのうちに失言をしてしまっても、無知を盾にに言い訳ができるし、教えを乞うことができるからだ。そして、ある程度の知識が学べたところで、何か目的ができれば記憶が戻ったと言って、去ることだってできよう。その時までは、ひたすら好青年を演じることにした。

 

それから三週間が経った頃だった。

 

「神父さん、あの見慣れない青年はどうしたのですか?」

 

「ああ、彼はちょっとした理由で預かることになった助祭です。聞いての通り、とても演奏が上手いのですよ」

 

「ええ。聞いていて安らかな気持ちになるわ。とても優しい音を奏でるのね。きっと綺麗な心の持ち主なのでしょう」

 

「そうですね。私もそう思います。彼はとても誠実で、私の身体を労り、お勤めから家事掃除までなんでも手伝ってくれるんですよ。おかげで、こうして信者の皆さんとじっくりと向き合ってお話しする時間ができました」

 

俺は好青年を演じていたが何だか居心地が良かったので、このまま住み続けても良い気がしてきた。神には興味ないが神父は良い人だし、王都にある一等地の教会なので職を失う心配もなかった。そんな時、一人の女性が教会にやってきた。

 

その女性は人間でいえば28くらいの容姿であり、その顔は前世ではモデルや女優として引っ張り凧になるような美しさだった。だが、彼女は人間ではない。あの高い鼻に先端が尖った特徴的な耳から見て、彼女はエルフ族であると思った。

 

エルフ族は長生きらしい。だから、あの年齢でも人間にとっては果てしなく長い年月を生きているのだろう。そう思いながらも視線を戻してピアノの演奏を続けていた。

 

ただ、定刻の演奏が終わり、一休みをするため自室に戻ろうとした時だった。彼女は駆け足で俺に近づき、立ち塞がると言ったのだ。

 

「貴方は何者なのですか?」

 

「ここで助祭としてお勤めをしている者です。名はありません。ただの音楽好きな青年だと思ってください」

 

だが、彼女は釈然としない顔をしていた。それどころか警察官のような疑わしい者を見定める目をして俺の顔をじっと見つめてきた。

 

「どうかされましたか?」

 

これは少し面倒なことになるかもしれない。内心で苦った。

 

俺の体は勇者の紛い物、クローンみたいなものだ。そして密かに調べたところ、オリジナルの勇者は100年前に寿命で死んでおり、当時の勇者の姿に関する記録は存在しておらず、顔で正体がバレる可能性は小さいと思っていた。だが、エルフ族のように長生きする種族の中に勇者の顔を知るものがいれば話は変わってくる。

 

「私は貴方と同じ顔をした者を知っています。その者の名は勇者ハルミヤ。世界を救済し、この国を建国した偉大なるお方です。貴方の顔はその勇者と顔から黒子の位置に至るまで全て同じなのです」

 

「それはまた光栄なことですね、ですが、お勤めがありますので、僕はこれにて…」

 

俺はそう言いなが立ち去ろうとした。だが、女は横を通り過ぎることを許さなかった。

 

「話はまだ終わりではありません。一ヶ月ほど前、これはまだ公になっていないことですが、勇者の墓に何者かが侵入したことが判明しました。侵入痕が限りなくゼロに近かったため、いつから侵入されていたのか不明ですが、勇者の亡骸が、別人の死体と置き換わっていたことが判明したのです。貴方はその事件に何か心当たりはありませんか?」

 

「すみません。記憶が曖昧なもので自分が何者であるのか、よくわからないのですよ」

 

僕は平然と嘘を吐いた。心を殺す事は慣れている。だから、俺は相手を騙しているという自覚をなしに虚言を吐く事ができた。ただ、女はよほど持論に自信があるのか納得しておらず、他の切り口を探しているようだった。その時、たまたまやってきた神父が会話に入り込んできた。

 

「これこれは、エリア教頭先生ではありませんか。お久しぶりです」

 

「お久しぶりです。エルマー神父。あの不躾ながらお尋ねしたい事がありまして、この青年は記憶がないと言っていますが本当なのですか?」

 

女が尋ねるとと、神父は当たり前のように言った。

 

「ええ。彼の記憶喪失は本当です。なんせ彼は自分の出生だけではなく、常識的な知識でさえ何も覚えていなかったのです」

 

教頭先生はその言葉を聞くと、少し考え事をしてから言った。

 

「……なるほど。ただ神父、こういう考え方もできませんか。何も覚えていなかったのではなく、はなから何も知らなかったと。まるで、つい最近生まれてきた赤子のように」

 

「どういうことですか?」

 

「かつて魔王は勇者一行を討伐するために、偽物の勇者を用意するように配下に命じました。その配下の名はメビウス。人間でありながら魔王の力に心酔し、世界に仇名した人間族の裏切者です。そして彼の得意な魔法は禁忌魔法の一つ生命創造。かつて彼は勇者の血と僅かな頭髪を使って偽物の勇者を作り出したことがありました。そして、そのメビウスという男は魔王亡き後も生きています」

 

「つまり、彼が作られた人間だと?」

 

「ええ、彼はメビウスによって盗難された勇者の遺体から作られた存在だと私は考えています。貴方の姿は毛色は異なれど勇者と瓜二つなどです」

 

鋭い人だ。ここが前世で彼女が警官ならば俺は躊躇わずに殺していただろう。俺の殺害に関する引き金は15人殺した辺りから、かなり緩くなっていた。だが、まだ殺害を選択するほど追い詰められてないし、そもそも彼女はまだ一線を超えていない。俺は鼻笑をすると真面目な顔をして言った。

 

「二人は両親がセックスを見たことがありますか」

 

顔は目を点にして俺を見つめた。気持ち悪いかは個人の捉え方次第だが、されて嬉しくない質問であろう。

 

「ご存知の通り、僕には記憶がありません。ですが、全く気にならなかったというわけでありません。自分が何者であるのか、どうやって産まれたのか何度も思い出そうとしました。ただ、僕みたいな両親がいない子供はきっと望まれて誕生したわけではないのでしょう。それどころか不幸な事件によって生まれたのではないかと考えてしまいます。二人はどう思いますか。もし、自分が強姦といった悪意や恐怖のもとに産まれた存在だとしたら」

 

俺は涙ぐみ声を震わせて問いかけた。二人は顔を落として黙った。

 

ちなみに俺にとっては産まれなど、どうでも良いことだった。両親を選べない事に不幸を感じた事はあるが、人生とは誰に出会えて何を感じたかだ。幸せは後からでも手にする事はできる。しかし、俺は自己保全のためだったら容易く嘘を吐く。俺は他者や己でさえも尊重する資格はないし、するつもりはない。

 

俺は罪悪感に駆られ始めた彼女に畳み掛けるように言葉を続けた。

 

「貴方は真実を追求する事に正義を感じているようですが、その正義は誰を幸せにするのでしょうか。過去を暴いて蒸し返した先にあるのが真実の愛と幸福であるのなら、僕は喜んで協力します。だけど、独りよがりの横暴で人の尊厳を踏み躙ろうとしているのなら僕は貴方のことを心の底から軽蔑します」

 

 

エリア教頭は教頭室に戻ると、そこで大きく溜息を吐いた。

あの横顔は百年経とうと忘れはしない。今日、エリア教頭が目にした助祭は、まさしく勇者の生写しであった。

 

『この大きな大きな麦畑はね。エリアの宝物なんだよ。秋になったら綺麗な実が沢山できて美味しいパンになって皆んなを幸せにするの』

 

『そうなんだ。じゃあ是非とも食べてみたいな。パンは大好物なんだ』

 

『それならエリアがたっくさんパンを作ってあげるから食べにきてね。約束だよ』

 

『あぁ、約束するよ』

 

瞳を閉じれば蘇る朗らかな日差しのような優しい声。勇者と初めて出会ったのは故郷の麦畑にて魔物から助けられた時だった。彼は命の恩人であり初恋の人だった。だからこそ、あの助祭の姿を見た時は思わず動揺してしまった。

 

教会の奥の左壁にある厳荘なる彫刻が施されたパイプオルガン。それを奏でる青年の横顔はエリア教授の思い出の奥底にある光景を彷彿させた。だが、あれはもう誰も知らない勇者の微笑みだ。

 

若かりし頃勇者と出会い、別れて、魔王を封印し、数十年越しの再開を果たした時、エリア教授は時の残酷さを思い知った。

 

「ここは防衛、地脈、天候あらゆる面で優れている。この麦畑の平野を開拓して多民族国家を建国するぞ」

 

再開を果たした勇者は長い惨劇の旅路の中で変わってしまっていた。旅路の中で多くの価値観に触れて、残酷な選択肢を突きつけられてきた勇者にかつての優しさはなかった。魔王を封印した彼は世界最強の個人として寿命尽きるまで世界を導かねばならなかったのだ。彼は変わってしまったが、それは彼自身が望んだからではない。きっと変わらざるを得なかったのだ。

 

故にエリア教頭は迷っていた。あの勇者の生き写しを、あのまま放置しておくのか賢者達に報告するべきか。あれが勇者の模倣であるならば放置しておくのはあまりにも無責任だった。エリア教頭にはハルミヤ国立学園教頭としての立場と責任がある。この国の権力者の一人として、国に災いをもたらす不穏分子存在を許してはならない。

 

だけど、助祭の言葉が頭に過ぎる。

 

『僕は貴方のことを心の底から軽蔑します』

 

最悪だ。愛おしい勇者の顔と声であんなことを言われたのだ。しかも、あの姿の勇者こそエリア教授がもっとも愛していた年頃だった。だからこそ余計に頭に焼き付いてい忘れる事ができなくなっていた。もう二度とあの微笑みを失いたくはない。

 

「ミスリナです。例のものをお持ちしました」

 

そう悩んでいる時だった。ノックの音が教頭室の扉から鳴り響き、聞き慣れた生徒の声がした。エリア教師は急いで気持ちを取り繕うと、威厳を込めて言った。

 

「どうぞ」

 

「失礼致します。先生、件の資料をお持ちしました」

 

現れたのハルミア国立学園の生徒会長ミスリナだ。彼女は学園にて五本指に数えられる優秀な生徒であり、魔法や座学はもちろん、戦闘の腕に関しては歴戦の国軍将校でなければ相手にならなかった。

 

「ありがとう。ミスリナ。そこに置いてもらえる」

 

「ええ、分かりました」

 

エリア教頭はそう言うと、机の空いたスペースに目配せをした。ミスリナはそこに資料を置いたのだが、そのまま立ち去ることなく、教頭の顔を見つめた。

 

「どうか致しましか?」

 

教頭は平然を装って尋ねた。ミスリナは少し心配そうな顔を浮かべて言った。

 

「先生、随分とお疲れのようですが何かありましたか?」

 

「ええ、まぁ色々とありまして」

 

それは色々ですませるには少し大き過ぎる案件だった。今はどうにかして彼の事を探らなければならない。だが、直接関わっても警戒されているだろうし、この案件は内密に済ませたかった。だからこそ、どうすれば良いのか。そう考えながらミスリナの姿を見た時、一つのアイデアが浮かんだ。

 

「ミスリナ。貴方に折り入って頼みたい依頼がありまして、引き受けてくださいますか?」

 

この一件を彼女に任せよう。もし無害なら何も起こらず平穏に終わり、もし有害であっても彼女なら対処できるだろうし、その時は覚悟を決めて己の責務を果たす。エリア教頭はそう決意したのであった。

 

 

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