元トレーナーの育て屋さん。   作:ノイズシーザー(旧ノイズスピリッツ)

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育て屋クレハ、プロローグ

──シンオウ地方のチャンピオンロード。四天王を突破した挑戦者が繰り出したバンギラスとシンオウ地方の誇るチャンピオン、シロナのガブリアスが激戦を繰り広げていた。しかしやはりというか、ガブリアスの方がやや優勢だ。

 

「くそっ!バンギラス、はかいこうせんだ!」

 

その状況に項を焦ったトレーナーがバンギラスに指示を出す。その指示に従い、バンギラスははかいこうせんをガブリアスに向けて放つ。しかし──

 

「ガブリアス、避けてドラゴンクローよ」

 

マッハで移動出来るガブリアスにはまるで無意味だ。シロナの指示を受けたガブリアスにバンギラスのはかいこうせんはあっさり避けられた上に接近を許してしまい、そのまま顎下にドラゴンクローを受けてしまいそのまま、バンギラスはふらつきながら、その巨大が地に倒れ伏す。

 

「ああ、バンギラス!」

 

「……決まりね」

 

「おおーっと!チャンピオンシロナのガブリアスのドラゴンクローが挑戦者のバンギラスにクリーンヒットォ!地に沈んだバンギラス起き上がらない!」

倒れたバンギラスを見て悲鳴にも似た声をあげる、挑戦者。これで終わりだと確信しながらも警戒を解かず、ガブリアスにもそうアイコンタクトで指示をするシロナ。

そして生中継をしているこの試合の為に呼ばれた実況者の無常とも言える声が響く。

……しばらく経ってもバンギラスは起き上がらない。シロナの勝利が確定した瞬間だった。

 

「決まった〜〜っ!今回の激闘を制したのはシンオウチャンピオン、シロナっ!今回も見事にチャンピオンの座を守りきった〜〜っ!!!」

 

────────

 

「……」

 

ぴっ、と無言でTVのリモコンを操作してTVの電源を落とす。

別に嫌いな訳では無い。丁度よく休憩時間が終わるところだったから、TVの電源を消したのだ。

 

「…行くか」

 

TVの液晶画面に彼女の顔が鏡のように映る。腰まで届く赤い髪に、同じく赤い目。

全体的に攻撃的な印象を持つ彼女はそう呟くと、椅子から立ち上がってハンガーに掛けてあるエプロンを取って身に付け、下の階にある職場に行く為にドアを開けて階段を降りていく。

 

────────

 

階段を降り、1階に向かった瞬間にガーディにニャース等のポケモン達が彼女に擦り寄ってくる。皆トレーナー達から預けられたポケモン達だ。

誰が誰のポケモンか分かるようにトレーナーの名前が入ったネームタグをぶら下げながら、ポケモン達は擦り寄る。

 

「…お疲れ様、ゴウカザル。あとは私に任せて上でゆっくりお休み」

 

擦り寄ってくるポケモン1匹、1匹を撫で付けながら休憩していた自分の代わりに仕事をしてくれていたゴウカザルに労いの言葉を掛けながら交代するように言うと、ゴウカザルはこころよく頷きながらも無理はしない様にと、働き者な主人に釘を刺すように一鳴きしてから、上の部屋へと階段を上って向かっていった。

 

「…さてと、今日もお仕事頑張りますか」

 

この地方、カントーでは珍しい、新人トレーナーだった頃から共にいる相棒から注意されて若干へこみながらも、気を取り直し、今日も彼女…クレハは育て屋の仕事に励むのだった。

 




クレハ
カントー地方で小さな育て屋を開いている少女。 16歳。
ポケモン達の懐きようから、それなりに繁盛しているようだ。
ゴウカザルを相棒と称していることからおそらくシンオウ地方の出身。

ゴウカザル
休憩していた相棒に代わり、ポケモン達の世話をしていた。
主人想いのイケポケ。
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