元トレーナーの育て屋さん。 作:ノイズシーザー(旧ノイズスピリッツ)
「ここか…!」
パシャんと水溜まりを踏みつけながら、クレハは洞窟内をまっすぐ走る。ポケモントレーナー特有の身体能力をフルに出しているからか相当速く、あっという間に辿り着く。
──青い特徴的な髪型をした中性的な外見をしたおそらく青年の元に。
「…ミッションは順調。ボスも満足なさるだろう。…おや?何故子供がこんなところに?どきたまえ」
「嫌。どかない…!」
クレハに気づいていないのか、青年は1人でぶつぶつと呟きながら片腕と脇に四角い箱を挟むように抱えた状態で後ろを向き、クレハに気付く。本人的には紳士的な対応のつもりなのだろう、クレハにそこをどくようにと言い放つが当然クレハは拒否。その言葉に困ったように笑みを浮かべながらクレハを見下ろす。対するクレハもキッと青年を睨みつける。
「……ああ、そうか君か。ミオのジムリーダーと一緒に襲撃をしてきた子供というのは」
「だったら何っ!?」
「ふん、生意気な子供だな。……お仕置きが必要だ」
「……!」
しばし睨み合っていた二人だったが、青年がクレハの正体を察し、お仕置きと称してボールを構える。当然クレハも距離を取りボールを構えた。
「──ギンガ団の邪魔をする者はどんな可能性だろうと潰す。行け、ドータクン!」
「────!」
そう伝えると同時にボールを投げ、先発を繰り出す。
現れたのは名前の通り銅鐸を連想させるポケモン、ドータクン。
ドータクンは不気味な赤い目を光らせながらクレハをじっと見つめている……
「(ドータクン…!あいつは確かはがねとエスパーの複合タイプ…!だったら…)行って、ムクホーク!」
「ホォォークッ!!」
対するクレハはムクホークを繰り出す。ゴウカザルでない理由は簡単だ、ドータクンがエスパー持ちだからだと言うのもあるが、ドータクンの特性がたいねつだった場合、かなり不利になってしまうのが大きいからだった。
「ふん、ムクホークか。タイプ的にはそちらが不利だぞ?ドータクン、〝サイコキネシス〟」
「──!!」
「タイプ相性がバトルの全てじゃない!〝おいかぜ〟で加速して避けて!更に〝とんぼがえり〟!」
「ムクッ!ホォォークッ!!」
出てきたムクホークを鼻で笑う青年に反抗するクレハ。
それに青年は本当に生意気な子供だなと内心思いながら、ムクホークのスピードを封じようとドータクンにサイコキネシスを指示するが、すかさずクレハもおいかぜを指示し、ムクホークのスピードを上げさせてサイコキネシスを振り切らせ、そのままとんぼがえりで攻撃を加えようとする。
「〝トリックルーム〟続けて〝リフレクター〟だ」
「──!────!!」
「っ!トリックルーム…!それにリフレクターまで…!」
自慢の耐久力でムクホークのとんぼがえりを受け止めて四角い巨大な箱のようなバリアに自身とムクホークを閉じ込め、更に5枚の壁のようなバリアを展開していく。
それを見たクレハはとんぼがえりの追加効果でムクホークをボールに戻しながら、苦虫を潰した顔をする。理由はどちらの効果も知っているからだ。
「その顔からしてどうやら効果は知っているようだね。さぁ、早く次の手持ちも出したまえ」
「っ、ガブリアス!」
「ガブッ!」
青年の言葉に、仕方ないとばかりにガブリアスを繰り出す。特性がふゆうの可能性もあるが、じしん以外の技を出せばいいと判断したからだ。
「ほう。ガブリアスか、いいポケモンがいるじゃないか。しかし、その自慢のスピードも今は無意味だ。ドータクン、〝サイコキネシス〟」
「────!!」
「ガブリアス、〝すなあらし〟!更に〝だいもんじ〟!」
「ガブッ!ガブリァァ!!」
そう、トリックルームの効果によりすばやさが逆転状態となっている上にリフレクターで物理攻撃は半減してしまっていて、先手を取られる上にまともなダメージが期待出来ない状況なのだ。しかしクレハは諦めずにすなあらしを巻き上げドータクンの目を眩ませる事で1つの対象しか操れないサイコキネシスを躱し、更にすかさずだいもんじを放ち効果抜群のダメージを与えに行く。
「──!!?」
「ちっ、〝ヘビーボンバー〟」
物理攻撃でないため、リフレクターでは半減できないだいもんじをドータクンは浴びてしまうも流石の耐久力で受けきり、耐える。
すなあらしによって隠された視界に舌打ちしながら青年はガブリアスの姿が見えた途端にヘビーボンバーを指示。ガブリアスを推し潰そうとする。
「受け止めて〝だいもんじ〟!」
「何!?っ、〝サイコキネシス〟でだいもんじをそら…ダメだ!あれでは…!」
「ガ、ブゥ…!ガブリァァァ!!」
「────!!?──……」
しかし青年はミスを犯してしまう。自身のドータクンの特性であるヘヴィメタルで大ダメージを与えようとしたのだろうが、ガブリアスの耐久力を侮っていた。更にすなあらしで特性がすながくれだと思っていたのもミスだ。クレハのガブリアスの特性はさめはだ。今彼が指示したヘビーボンバーのような直接攻撃をしてきた相手にダメージを与える特性を持つ、珍しい個体なのだ。これと効果抜群のだいもんじをゼロ距離から浴びてしまい、ドータクンは目を回して地面に倒れ伏した。
「……やってくれるな…!」
「…完全にこっちをなめてかかったからでしょ?だからこうなるんだよ」
「本当に生意気なガキだ…!」
ドータクンをボールに戻し、苛立ちを隠せない様子でクレハを睨みつける。しかしすかさずクレハに言い返され、青年はより顔付きが険しくなり、遂にはガキ呼ばわりする。そしてもう油断はしないと宣言して、次の手持ちが入ったボールを投げた──
クレハ
相手の油断もあって先制を取った。ガブリアスにすなあらし搭載していたのは完全なる目くらましの為。
普通に考えてすなあらし巻かれたら視界が定まらないよね。
ガブリアス
レートの守護神は伊達じゃない。ちなみにタスキ持ちだったりする。
何故野生の癖して特性がさめはだなのかは、土煙から出てきたフカマルと言えば大体のファンは察しがつくだろう。
青年
言うまでもなく例のあいつ。ガキだと思って油断したのと特性の読み違いで先制を取られた
ドータクン
本来の役目は青年の手持ちの起点役。あと当然、ねんど持ち。
四角い箱
何か入ってる。バトルに入った時には青年が自分の真後ろに置いてたりする。