元トレーナーの育て屋さん。 作:ノイズシーザー(旧ノイズスピリッツ)
「ギィルァァァァァ!!!」
「……」
「ははははは!さぁ次のポケモンを出すといい!」
耳をつんざくようなバンギラスの雄叫びが響く中、サターンは高笑いしながら、ムクホークをボールに戻してから無言になってしまったクレハにそう言う
一方のクレハは参ったなぁ…と胸の内で呟く。今のバンギラスは自分の手持ちよりも速いからだ。しかし対抗手段はある。意を決したクレハはボールを投げ、ポケモンを繰り出す
自身が最も信頼するポケモン───
「ウキャァァァァ!!!」
ゴウカザルを───!繰り出されたゴウカザルは闘志を高めるように自身の胸を両腕で叩きつけながらサターンのバンギラスを睨みつける
「ゴウカザル、任せた!」
「ウキャ!」
バンギラスを睨みつける相棒にクレハはそんな言葉をかける。ゴウカザルもおう!とばかりにクレハの方に顔を向けて頷き、改めてバンギラスの方へと向き直る
「(なるほど、あのゴウカザルが彼女のエースか)…バンギラス、〝ストーンエッジ〟だ!」
「ギルァァァァ!!」
クレハとゴウカザルのやり取りからそう思い至ったサターンはバンギラスに指示を下す。
バンギラスは地面に両腕を突き刺し、タイプ一致かつ高威力のストーンエッジをゴウカザルの足元から生やす。からぶりほけんにより素早さが上がっている為、技が先制で放てるのだ
「ゴウカザル、連続〝グロウパンチ〟!」
「ウキャキャキャキャキャァァァ!!!」
しかしゴウカザルは足元から生えてきた岩を高く跳び上がる事で避け、攻撃力を高める効果があるグロウパンチを岩に叩きつけて破壊する
「なるほど、グロウパンチか。バンギラス、〝ストーンエッジ〟だ」
「ギラッ!…ギルァ!?」
攻撃力を高める事でバンギラスは勿論、今後の展開を優位に進めようという魂胆だと察したサターンはバンギラスに再びストーンエッジを指示するが技を繰り出そうとしたバンギラスは何故か思いっきり転んでしまう
「何!?どういう事だ…!?」
突然の事態にサターンも思わず声を荒らげ、バンギラスの方を見る。その足には輪になった草が絡みついていたのだ
「くさむすびだと!?そうかグロウパンチの時にやっていたのか…!」
派手に岩を破壊したのは注意を逸らすためだった事にサターンは気づき、クレハを睨みつける
「余所見してていいの?ゴウカザルはもうバンギラスの懐だよ!」
自分を睨みつけるサターンを煽るようにクレハはにんまりと笑いながらそう言う。そう、バンギラスが転んだ隙にゴウカザルはその懐に全速力で飛び込んでいたのだ
「なぁ…!?バンギラス、〝ストーンエ…〟」
しまったとばかりにバンギラスに指示を出そうとするサターン。しかしもう既に遅い、何故ならその隙を逃すほどクレハ達は甘くないからだ
「〝インファイト〟ォォォ!!!」
「ウキャキャキャキャッ!…ウキャァァァ!!!」
「ギルァァァァ!!?」
ゴウカザルはなんとか起き上がったバンギラスの土手っ腹に、全力のラッシュを叩きこむ。グロウパンチで高めた攻撃力で放たれるかくとうタイプの強力な技をバンギラスはまともに浴びてしまい、絶叫してその場で倒れふして目を回す
「……なんて奴だ…!…こうなれば…!」
倒れたバンギラスを見ながらサターンは戦慄。目の前にいる人物の強さに息を飲んでからバンギラスをボールに戻し、自身の最後の戦闘用の手持ちを繰り出そうとした瞬間だった。自身のボスであるアカギから帰還命令が入ったのだ。それを裏づけるようにバトル中に例のポケモンを入れた箱を持たせたケーシイが戻って来ていた。サターンはそのケーシイの額に手を置いてクレハにこう伝える
「……この決着は必ずつけよう、クレハ」
「……?何言って…まさか逃げる気!?こんなことしておいて逃がすとでも…!」
勿論クレハは逃がすつもりなどなく、ゴウカザルと共にテレポートで逃亡しようとするサターンの方へと走り出す。しかしゴウカザルはともかくクレハの方は距離が離れていて、しかもサターンのケーシイには素早さをあげるこだわりスカーフが巻かれている。そのため間に合わずサターンを逃がしてしまった
「やられた…!……くっそぉぉぉ!!?」
悔しげに叫ぶクレハの声がほとり内に空しく響くのだった…
クレハ
まさかの逃亡に怒り心頭。この後来たトウガンと共にミオに帰還。バッジ集めをしつつ、ギンガ団を倒すことを誓う
ゴウカザル
何故かくさむすびまで覚えられる両刀の器用アタッカー。名実共にクレハのエース
トウガン
ほとり内で叫ぶ弟子を宥め、その翌日にジム戦を行った
サターン
本人としては実質的に敗北寸前まで追い込まれた為かなり悔しい。しかしボスの命令には逆らう訳には行かない。逃走用+確実に任務を遂行する為にこだわりケーシイを常に手持ちに入れている
バンギラス
くさむすびで転ばされた挙句、グロウパンチで火力高めたインファイトで沈めらた。カワイソス
四角い箱
実はバトル中にケーシイによってこっそり本部に送られていた模様。だから描写がなかった