元トレーナーの育て屋さん。 作:ノイズシーザー(旧ノイズスピリッツ)
「……達者にね」
今日もそれなりに忙しい日、預けたポケモンのトレーナーが達が店に来てポケモン達を多少の寂しさを感じながら何体か主人の元へ返していく。 育て屋始めて半年経つが、いくらやっても慣れないな。そんな事を考えながら、自分に手を振りながらドアを開けて去っていくトレーナーを見送る。
そんな主人を見かねたゴウカザルは慰めてあげるようにクレハの背中を優しくさする。
「ありがとう、ゴウカザル。後でポフィン作ってあげる。あ、勿論他のみんなにも作ってあげるね」
新人の頃から共に居る相棒に元気付けられ、クレハは持ち直す。お礼に特製のポフィンを作ってあげると伝えると、ゴウカザル以外の手持ちとまだこちらが預けているポケモン達がじっとクレハを見つめてくる。
そのポケモン達の反応をクレハはわかっていたとばかりに、勿論他の皆の分も作ると付け加えるのだった。
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そうしてしばらくポケモン達の世話をしつつ、時間が過ぎていく。寝かしつけたポケモン達の面倒をゴウカザルとレントラーに任せて、店の外回りを掃き掃除に行こうと藁箒とちりとり、そしてポリ袋二つを持って外に出ようとドアを開けようとした時だった。
「いいからよこせっ」
「やめて、やめてよっ」
「店の前でなにしているのっ!やめてっ!!」
怒声が聞こえ、悲鳴が響く。何事かと思い、掃除用具を置いて慌ててドアを開けるとそこには興奮しているの、顔を真っ赤にした男が女の子の手から無理矢理モンスターボールを取り上げようとしている光景だった。
それを見たクレハは掃除用具を放り、慌てて走り出して男と女の子の間に割って入ろうとするがそれよりも早くムクホークが男の横っ腹に体当たり(技ではない)をお見舞いしていた。
「ぐぇええ!?」
「ふえ…?」
「ナイスだよ、ムクホーク!」
男は横っ腹に体当たりを食らった事で悲鳴を上げながら横に吹っ飛び、女の子はポカンと間の抜けた顔をして、クレハはよくやったとムクホークにサムズアップする。
それに答えるようにムクホーク高らかに鳴きながらは翼を大きく拡げる。カオスな光景である。
「な、なにしやがる!?」
「やかましい。女の子からモンスターボール取ろうとしていた強奪犯め」
「……」
クレハは早速女の子に駆け寄り、怪我がないか確認しつつ、委しい事情を聞こうとしたがムクホークの体当たりから回復した男が額に青筋を立ててクレハに詰め寄る。
対するクレハは女の子を守るように男の前に立ち塞がる。
女の子は男に怯えているのか、震えながらクレハの後ろに隠れついて、ムクホークはいつでも体当たりできるように態勢を整いている。
「それはこいつが、ゾロアっつー、珍しいポケモンを持っていたからだ!俺がいくら言っても交換に応じてくれなかったから…」
「だから取ろうとしたと?」
「そうだ!悪いか!?」
話にならない。こんな奴さっさと警察呼んで引き取って貰おう。クレハはそう結論付けて、後はムクホーク…いや、騒ぎを聞きつけたのか、庭組も駆けつけて来たようだ。故にクレハは…一言だけ指示を出す。
「警察呼んで来るからそれまでこらしめといて」
「…へ、カイリューにバンギラス…?それにこの鳥、よく見たらシンオウのムクホークに…が、ガブリアス…!?」
指示された庭組とムクホークは了解とばかりに男を囲いながら迫っていく。男は困惑していたが囲まれた事でどんどん怯えて、真っ赤だった顔が青くなっている。
そんな男を冷たい目で睨みながら、クレハは女の子を連れて家の中に戻り、ドアを閉める。…助けを求める声には、無視を決め込んだ。
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後日、あるポケモンコレクターが逮捕されたとニュースで放映された。何かとてつもない恐怖体験をしたのか、髪が老人のように真っ白になっていたと話題になっていた。
クレハさん。
皆さん、やってしまいなさい。をしたはいいが、男を連行した警察にやりすぎは駄目だと説教された。
ムクホーク
お仕置きの体当たりだべぇ〜!
庭組
あんちゃんよぉ…ちょいとケジメつけて貰おうか。
女の子
展開が早すぎてよくわからなかった。けどご馳走になったポフィンは美味しかったらしい。
男
毎晩牢屋の中で悪夢にうなされている。