元トレーナーの育て屋さん。   作:ノイズシーザー(旧ノイズスピリッツ)

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カッコよすぎだろシンジィ……!(感想的挨拶)


コラボ回! 先生VS育て屋VS異世界チャンピオン part9

 

「ふぃ〜何とか1体目か…気を引き締めないと」

 

 ……ようやく。そう、ようやくモーアを降し、2対2のイーブンに戻したグレイブ。しかし気が緩むことはせず、むしろ引き締めると言った様子で額の汗を腕で拭ってみせる。それだけ目の前の相手は油断ならないからだ。

 

(本当に良く頑張ったよ…モーア。……多分2番手はリョウ君の手持ちからして…)

 

 そしてクレハもモーアを称えながら、リョウの手を読もうとする。…まぁ次は誰が来るかは大体の察しがついてはいるが。

 

「…お疲れ、後は任せろ。あのチャンピオン、倒してやるから」

「るふ! るふー! えるっ…!」

(やっぱりフェイちゃんか……)

「エルフーンか…サーナイトあいつは手強いからな」

「サナナ!」

 

 ボールの中のモーアにリョウはそう伝えると、2つ目のボールを取りだし、投げる。出てきたのは周りの予想通り、エルフーンのフェイだ。

 フェイはモーアの頑張りをボール越しに見ていたのだろう、それに応えようと奮起するように鳴いて、ふわふわと浮く。

 そんな姿も愛らしく見えるが、その能力は厄介極まりないのをクレハとグレイブは知っている。

 ……特に前者は先手でレントラーがちょうはつされたのがきつかったのを思い出したのか、ちょっと顔が引きつっている。後者の方もサーナイトに気を引き締めるように伝え、サーナイトも先の試合をボール越しに見ていたからか、気を引き締めながら頷いた。

 

「いくぞフェイ、〝ちょうはつ〟」

「えるっふ! えるふふ~!」

「サナナー!」

「サーナイト! くっ…〝マジカルシャイン〟!」

(ですよねー!?)

 

 フェイは自身のいたずらごころのままに、くいくいと手を動かしてサーナイトをちょうはつし、生意気な笑みを浮かべる。そんなフェイに苛立ったサーナイトはまんまとちょうはつに乗ってしまい、変化技を…この場合はまもるを封じられてしまう。

 グレイブは必然で起きた状況とはいえ、少し苛立ちを覚えながらもサーナイトに指示を出し、サーナイトもそれに従うようにモーアの時と同じように全身から眩い光を発し、打たれ弱いであろうフェイを削りにかかる。

 ちなみに先発からそれをやられていたクレハは完全に顔をひきつらせてフェイを見ている。

 

「〝まもる〟!」

「るっふ! るふふふ…!」

「フェイ、次。〝おいかぜ〟」

 

 しかしリョウも簡単には通さない。例えすかさずマジカルシャインをフェイの目の前で展開されたバリアで防ぎ、そこから更においかぜを発生させる。

 フェイ自身も意地の悪い笑みを浮かべ、その姿はさながら遊んでいる子供のようだ。

 

「(エナボは使い切った、もう少し経たないと守るも使えないまいったな)サーナイト、警戒だ」

「サナ…」

 

 一方グレイブもエナジーボールを使い切ってしまった為、サーナイトの打点がマジカルシャインしかないという状況の上、ちょうはつにより、まもるをしばらく使うことも出来ない。……かなり厳しい状況で、サーナイトもどうしようと言わんばかりだ。それでもグレイブの指示通り警戒はするが。

 

「フェイ、戻れ」

「るふ!」

 

 しかしリョウは畳み掛けるようにおいかぜ後にフェイを戻し、3つ目のボールを取り出し、全力でボールを投げた。

 

「いけ、サラメ!! 〝あまごい〟!」

「ボーマァァァ!!」

 

 ここでサーナイトを仕留める。そんなリョウの意思に呼応するように現れたサラメは天高く飛び、吼えて辺りに雨を降らせて自身のフィールドに塗り替えるとドラゴンタイプらしい気高さと力強さを併せ持った眼光でサーナイトを睨みつける。

 

(ここでサラメが来た…!)

「……ここでボーマンダか。それに雨乞いとはな」

「さ…サナ…!」

 

 サラメの威容には先の試合でバンギラスを一撃で仕留められたクレハは息を飲み込み、今試合をしているグレイブも冷や汗を垂らしている。対峙しているサーナイトもサラメのいかくにより、萎縮するも警戒を解くことはせず、いつでも攻撃ができるよう準備をしている。…ちょうはつによる変化技封じはあと少しで解ける事だろう。

 

「サラメ、敵討ちの時間だ! 

 〝ハイドロポンプ〟!!」

「ボマッ…ギュォォォォ!!」

「サーナイト! 回避だ」

「サナ!」

 

 しかしあと少し、なのである。フェイが事前にしたおいかぜの効果により、サラメは驚異的な速さを獲得している。

 その為確実にサーナイトを先手を取ることが出き、それを証明するように上空からサーナイト目掛けてハイドロポンプを放つ。しかしサーナイトはまだまもるが使えない。しかしだからといって受けに回る訳にも行かない。雨天候下のボーマンダのハイドロポンプはそれほど強力なのだ。

 故にサーナイトはグレイブの指示通りギリギリの所でハイドロポンプを回避する。

 

「──凪払え!!」

「─ギュアァァァッ!」

 

 しかし、そう簡単に逃がすつもりは無いとばかりにリョウの指示とほぼ同時にサラメはハイドロポンプを放ったまま首を動かし、サーナイトへと振り切らんとする。

 

「サナ!?」

「!? サーナイト〝サイコキネシス〟でハイドロポンプのコースを変えろ!!!」

「サナ! …サ…ナァ…!」

(……このままじゃジリ貧になる。どうする? グレイブ君)

 

 予想外だったのか、グレイブとサーナイトは驚愕するもサイコキネシスでハイドロポンプのコースを無理やり変え、ハイドロポンプを一旦は回避。しかしあれ程のハイドロポンプをサイコパワーで逸らすのはきつかったのか、サーナイトの表情には疲弊していた。このままではクレハの考え通りジリ貧になってしまうのは明白である。

 

「まだまだ…! サラメ、今度こそ、仕留めろ!」

「マンダァァッ!!」

 

 そうどちらにしてもジリ貧だ。しかしそれはサラメがこのままハイドロポンプを維持した場合である。サイコキネシスでハイドロポンプを止め、おいかぜによって獲得した速さでサーナイトに接近。しかもただ接近した訳ではなく、口に水を貯めた状態でだそしてそのままサーナイトの目の前でハイドロポンプを発射した。

 

「サナナー!?!?」

「なっ!? まじかよ!!! サーナイト!!! 〝マジカルシャイン〟だ!」

「さ、サナァァァ!!」

 

 これには流石のグレイブも面食らったようで、驚愕しながらもサラメを少しでも削ろうとドラゴンタイプに抜群をつけるマジカルシャインを指示。サーナイトは眩い光を発し、サラメにダメージを与えるが……

 

「サラメ、中断して〝まもる〟!!」

「ボマッ!」

 

 サラメの体力を考慮してか、流石に抜群は痛いと判断したリョウの指示とほぼ同時に動いたサラメは咄嗟にハイドロポンプを中断し、放った分の補填の為か再び口に水を溜めながらまもるで発生させたバリアでマジカルシャインを防ぐと、今度こそとばかりに補填した分も合わせ、溜めに溜めたハイドロポンプを発射する。その勢いは最早はかいこうせんのようで、当然威力もそれと同等以上のものである。

 

「まだまだ!!! サーナイト! ゼロ距離の〝マジカルシャイン〟だ!」

「サ、ナァァァ!!」

「──ボマァァァッ!!」

 

 しかしグレイブとサーナイトも諦めずに抜群のマジカルシャインで削りにかかる。しかしサラメはマジカルシャインを受けても怯まず、ハイドロポンプを維持し続ける。その鋭い眼光には逃がさない。必ずここで仕留める。そんな意思がはっきりと伝わってくる。

 

「さ、サナ…!」

「サーナイト!!! 持ち堪えてくれ!!!」

「…いいや、絶対に押し切る」

「ギャォォォ!!」

「サナァァァ!?」

 

 もうちょうはつの影響はとうに切れている。しかしこれではまもるを張る暇さえない。そもそもまもるが間に合ったとしてもサラメはサーナイトを確実に倒すまでハイドロポンプを止めないだろう。

 最早グレイブに出来ることはサーナイトに必死に声をかけながら耐えきる事を祈る事である。しかし現実は非常だ。グレイブの祈りは届くことなく、ハイドロポンプの水流に飲まれたサーナイトはその華奢なからだを壁に叩きつけられ、そのまま目を回してうつ伏せで倒れ伏した。

 

「くっ!!! サーナイト……」

 

 倒れたサーナイトに駆け寄り、悔しさと申し訳なさを合わせたような顔をしながらもグレイブはサーナイトをボールに戻す。これでグレイブの残る手持ちは1匹のみ。もう後がない。

 

「サラメ、いけるか?」

「ボーマ」

 

 それに対し、リョウの残る手持ちは2匹。どちらもあまり消耗しておらずかなり有利な状況だ。その証拠にサラメはリョウの問いかけに問題ないと小さく鳴き、再び上空へと飛んでいる。

 

「残すはお前だけだ。相棒、行ってこい!!! インテレオン!!!」

「インテ」

 

 そう言うとグレイブは力強くボールを投げ、そこから出てきたのは水色の身体にスーツを着たような外見のポケモン。

 ガラル地方の御三家である、インテレオン。出てきて早々、グレイブの言葉に任せろと静かに頷いてから鳴くと上空のサラメを指さす。まるで倒す。と宣言するように。

 

(ガラルのポケモン…見るからに水タイプ。雨は相手にとってもありがたいか…)

「ギャオォォォォッ!!」

(あれは多分ガラルのポケモンだ。そして絶対にみずタイプ)

 

 対戦相手であるリョウは勿論、観戦していたクレハもインテレオンはみずタイプだと見抜く。そうなると雨はグレイブにとっても有難いものになる。

 インテレオンに指さしをされたサラメは思いっきり睨みつけ、次はお前だとばかりに吼える。降り注ぐ雨の中の咆哮はかなりの迫力だ。

 

「インテレオン、相手は強敵だ。抜かるなよ?」

「……」

 

 グレイブの言葉にインテレオンは無言のまま頷き、手を下ろしてからサラメを睨み返す。インテレオンは一見するとクールな印象だが、その瞳の奥は仲間の敵討ちに燃えている。

 

「…さぁて、どうするか。

 …サラメ、お前は──」

「ボーマッ!!」

「…OK」

 

 リョウの問いかけに対してサラメは好きにするといいよと鳴き、長い付き合い故に意味を理解したリョウは好戦的な笑みを浮かべると、サラメが入っていたボールを取り出し…

 

「サラメ──戻れ!」

「えるっふ!」

 

 サラメを戻し、代わりにフェイを繰り出した。

 

(っ!? …フェイちゃんに交代した? もしかしてまたちょうはつとかかな…? 相手は見知らないポケモン。何をしてくるかわからないし、無難に変化技封じってとこ、かな…?)

 

「エルフーン…またもや妨害か。

 なら先手必勝! インテレオン!!! 〝れいとうビーム〟!」

「インテ」

 

 クレハだけでなくグレイブも妨害目的だと結論づけ、インテレオンに指示をだす。

 インテレオンは指示通りフェイを指差しすると先手必勝とばかりに指先かられいとうビームを放つ。交代した好きを狙った為、言葉通り先手必勝である。

 

「〝まもる〟」

「るっふ!」

「〝ちょうはつ〟!」

「えるっふ!」

 

 しかしその先手必勝のれいとうビームは先制技であるまもるで防がれた上、特性いたずらごころによる先制のちょうはつを許してしまう結果に終わる。これでインテレオンはサーナイトの時のように、しばらくは変化技が仕様出来なくなってしまった。

 

(やっぱりちょうはつしてきた。あとまもるもあるんだ…これはかなりグレイブくんには辛い展開だ…)

 

「チッ…インテレオンもう1回〝れいとうビーム〟」

「インテ!」

 

 まんまと妨害されたからか、グレイブは舌打ちしながらもインテレオンに指示を出す。指示を受けたインテレオンは再び構えを取り、先程と同じように指先から先程よりも威力と速度を上乗せしたれいとうビームをフェイめがけて放つ。

 

「まだくらうな! 〝まもる〟! 

 そこから〝ようせいのかぜ〟!」

「えるー! るふるっ!!」

 

 しかしいくら威力を上乗せしようがまもるの前では無力だ。指示通りにフェイはれいとうビームはあっさりと防ぐと、フェアリー技であるようせいのかぜを全体的に吹かしていく。

 

「インテレオン〝ねらいうち〟だ!!!」

 

 ようせいのかぜが吹き荒れる中、インテレオンは三度フェイの方へと指差しをする。しかし今度は凍てつくこおりタイプのビームではない。自身の代名詞とも言うべきみずタイプの技…ねらいうちをフェイに撃ち込む。

 

「っ! フェイ! 絶対に〝まもれ〟!」

「えるっ!? るっふぅ!!」

 

 ねらいうちをされたフェイは指示通りまもるを決行するもれいとうビームと違ってねらいうちはインテレオンのタイプに一致したみずタイプの技だ。つまり先のサラメのハイドロポンプと同じで持続力があるのだ。その為まもるの弱点である、連続使用に持ち込まれてしまい、失敗。ならばとフェイは独断で受ける直前でおいかぜを使い、ねらいうちを受け切って持ち物であるだっしゅつボタンを起動させて、サラメに交代させた。

 

「───ああ、流石だ」

「───ボーマッ」

(……まさか、ここまで? なんて人なの…? なんていう勝ちへの執着…あ、そっか)

 

 これがリョウの狙い。フェイなら防ぎきれないと判断したら必ずおいかぜを使ってサラメに繋いでくれる。そう信じたのだ。これでサラメは再びおいかぜの恩恵を受け、インテレオンの先手を取る事が出来るようになる上、反撃も躱しやすくなる。それを理解したクレハは戦慄した。手持ちの力だけでない。性格、気質までもフルに活かしたその戦術に。何が彼をここまで突き動かすんだとも感じ…ふと審判を勤めている、彼の教え子であるリリィの姿が目に入り…察した。

 

(先生、だもんね。そりゃ教え子の前で負けたくないかっ)

 

 つまり、そういうことだと。

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