元トレーナーの育て屋さん。 作:ノイズシーザー(旧ノイズスピリッツ)
「…勝者、先生! お疲れ様でしたわ!」
「よっしゃオラァ! 勝ったぞサラメ!」
「ボマボーマッ!」
何もかもを利用して得た勝利を喜び合うリョウとサラメ。だけど笑顔で鳴いた後にグレイブの元に飛んでいき、ごめんねと謝るように鳴いた。
「サラメだっけ? いいよお前はちゃんと戦ってくれたし……でも今度は負かす!」
サラメに優しさを感じたグレイブは頭を撫でながら、リョウに対して恨みを込めながら呟く。それとこれとは話が別なのだろう。
(なんていうか、こういうところはまだまだ子供なんだなぁ)
そんなグレイブを子供なんだなと微笑ましく笑うと、ゴウカザルがちょっと〜、と言いそうな顔でこちらの手を引っ張っているのに気付く。そう、作戦会議中なのだ。ごめんごめんと謝りながら再び輪に入り作戦会議を再開した。
「ボーマ…」
「ふははは、これが俺のやり方だ。まあ…正直すまんかった」
「相手の心理を利用するのもまた、ポケモンバトル…また一つ、学べましたわ!」
一方リョウはグレイブに悪いと言いつつも笑みを浮かべたままだ。勝ったことは嬉しいものなのだ、サラメがリョウに対して仕方ない人だなぁ。と鳴いているが。
リリィに関しては勉強になったと微笑んでいる。素直な娘である。
「ちくしょう…次はクレハさんだっけ? あなたと勝負ですからね!」
「……うん。…でもその前にポケモン達をしっかり休ませようね?」
「ですわね」
「そうだな、皆頑張ったからな」
「わかってるって」
インテレオン達を回復させながらやる気満々かつ闘志を宿した目でバトルを申し込んだが、まずポケモンを休ませるようにと突っ込まれる。いくら回復させようがポケモンは生き物だ、どうしたって疲労は蓄積されるのである。それは当然グレイブもそれをわかっているので、ついでに自身も木陰に向かい、座ると休み始める。
「モーア、頑張ったな。フェイもいいこだ」
「ぬおー♪」
「るふ~♪ えぅ~♪」
リョウも傷を回復させた2匹を労うとモーアは素直に喜び、フェイはもっと褒めてとリョウに抱きついて甘え出す。タイプは全くの対極な2匹だが、甘えん坊というところはクレハのバンギラスによく似ている。
「……さて、と…私達も気合い入れなきゃね…」
「ウキ!」
「トラッ!」
「ギラッ!」
そんなフェイとリョウのやり取りににバンギラスがまだヨーギラスだった頃を思い出したのかくすりと笑うもゴウカザル等3匹にそう言う。ゴウカザルは拳と拳をぶつけながら、レントラーは元々厳ついと評される顔をより険しくしながら、バンギラスは他の2匹よりも力強い声を出しながら返事を返す。
(ああ…バンギラスは特に頑張りたいんだな…)
「えうー!」
「ああ、ごめんごめん。よしよし」
「えるぅ♪」
バンギラスが力強い返事をしている理由を察しているとフェイが撫でてーと鳴いたので謝った後にそのもふもふとした頭を撫でればフェイはきゃっきゃっと笑顔になって再び甘え出した。
「さてと……次は負けねぇ絶対に」
「インテ!」
「───!」
「サナナ!」
休憩は充分だとばかりに立ち上がり、悔しさを滲ませた声色でグレイブが言えば、インテレオンは撃ち抜く様な構えで、ギルガルドはリッター同様に金属音にも似た声で、サーナイトはくるくると踊るように回ってから力強く頷く。全員負けたのが余程悔しかったのだろう。
「……生憎、私も負けられないよ」
「ゴウキャッ!」
「トラァァ!」
「ギルァァァッ!!」
グレイブの声が聞こえていたのだろう。対抗するようにそう言い、ゴウカザル達…特にバンギラスがクレハに同調するように力強く叫ぶ。
それはまるで、勝つのは自分達だと叫んでいるようだ。
「それじゃこっちも存分にやろうじゃねえか」
歩き、クレハの前まで歩く。まるでを修羅を思わせるような好戦的な笑みを浮かべて。その後に続くように歩くインテレオン達3匹も気合いに満ちた目をクレハ達に向ける。
「頑張れー」
「先生、終わったからってだらけすぎですわ。見てください、リッターなんてあんなに真剣に見てますわ!」
「─」
そんな2人とは対称的に…リョウはのんびりとしていてそれをリリィに注意されていた。
リョウのギルガルド…リッターはこれから始まる2人の試合を己の糧に出来ればとしている。
「こほん…では、お二方、ポケモンをボールに戻して、トレーナーの定位置へお願いしますわ」
そろそろ試合を始めないと…そう思ったリリィは咳払いをしてからそう伝える。彼女は今日審判役を担っているのだ。
「わかった。──よしっ」
グレイブ「おっけー。戻れ!」
当然バチバチに闘志をぶつけ合っていた2人もそれに従い、互いのポケモン達をボールに戻し、自らの定位置まで歩いていき、その位置に立つ。
「さて…準備はよろしいようですね。では…これより、ポケモントレーナークレハさんとグレイブさんのポケモンバトルを開始しますわ! 使用ポケモンは三体、道具は使用可能。技の変更は無し。──試合、開始!」
「行くよ、レントラー!」
「トラァァ!」
「行ってこい、サーナイト!」
「サナナ!」
満を持してリリィが試合の開始を宣言し、2人はほぼ同タイミングでボールを投げる。クレハの先発はリョウの時と変わらずレントラー、グレイブの方は変更してサーナイトを繰り出す。
出てきたレントラーは全身から電気を迸らせて雄叫びを上げながらサーナイトを見つめる。サーナイトもそれに対抗するように鋭い眼差しでクレハと自身の相手であるレントラーを見る。
(レントラー…まだ技が一つ残っていたはずですわ。そこをどう活用するかがサーナイト攻略の鍵になりそうですわね、クレハさんは…)
そう、クレハのレントラーが見せているのは交代技のボルトチェンジ、電気技の定番10まんボルト、レントラーの物理攻撃力を活かしたサブウェポン、こおりのキバの3つだ。
まだ1つ、見せてない技があるのだ。
「サーナイト…! …なら、レントラー! 〝 ひかりのかべ〟! 更に〝 ボルトチェンジ〟!」
「レン! ──トラァァァッ!!!」
サーナイトを見て早速前試合では出来なかった戦術を取る。まずレントラーは特殊攻撃技の威力を半減させることの出来るひかりのかべを展開してから吼え、全身に雷撃を纏ってサーナイトに突撃する。
そうクレハが取ろうとしたのはバンギラスの強みを最大まで活かしたものだったのだ。前試合はちょうはつされた為に使えずじまいだったが。
「〝サイコキネシス〟で攻撃を逸らしてから〝エナジーボール〟を連続発射だ」
「サナ!」
しかしボルトチェンジはサーナイトのサイコキネシスによる念力で捌かれてしまい、追い打ちをかけるかのようにひかりのかべがあっても関係ないと言わんばかりな量のエナジーボールを発射する。
「トラ……!」
攻撃を逸らされたレントラーは持ち物であるかえんだまの効果でやけどを負うもそれにより状態異常の際に物理攻撃力が高まる特性こんじょうが発動。
物理攻撃力が高まった事で上がった攻撃力で迫り来るエナジーボールを爪で切り裂き、避け、電撃を放って撃ち落とす等していく。
ちなみにこんじょう発動状態だとやけどの副次効果である物理攻撃力の半減は無効化される。
「……もう一度〝 ボルトチェンジ〟!」
「トラ!」
エナジーボールを全て捌き終えると再びボルトチェンジを結構。再度雷撃を纏って、サーナイトに突撃する。
「もう一度"サイコキネシス"で上空にはね飛ばしてから"エナジーボール"を連続発射」
「サナ!」
サーナイトは頷き、サイコキネシスでレントラーを上空に放り投げて先程のようにエナジーボールを乱射する。
「トラァァァ!?」
「レントラー! 今の貴方なら力ずくでサイコキネシスを振り解けるはずだよ!」
「ッ! ……トラァァァ!!!」
「〝10まんボルト〟!」
やばいやばい当たると慌てながらじたばたするレントラーだったが、クレハの言葉にあ! 確かに! となり体から電気を迸らせながら力ずくでサイコキネシスによる拘束を強引に振りほどく。振りほどけばあとは問題なしとばかりに落下しながら、迫り来るエナジーボールを10まんボルトで撃ち落としていき……地面に着地。すかさずサーナイトに向かって全速力で走り出した。
「ふーむ…パワーが上がっているからやっぱり特性はこんじょうか。サーナイト、〝マジカルシャイン〟」
「サナナ!」
先の試合からも疑っていたが、サイコキネシスを振りほどくレントラーのパワーからグレイブは確信し、サーナイトに技を指示。サーナイトが高らかに手をあげればその手から眩い光が放たれた。
その際審判役のリリィが「フラッシュとどう違うんでしょうか…」という疑問があったのはこの際、スルー…
「だから〝フラッシュ〟とどう違うのっ! レントラー、〝10まんボルト〟で相殺! そのまま〝ボルトチェンジ〟!」
「トラァァァ!!!」
…出来なかった。シンオウにはフェアリータイプが余りいないから仕方ないかもしれない。
放たれた眩い光は10まんボルトがかき消すように相殺し、3度目のボルトチェンジを行う。文字通り根性焼きで身を削って高めた攻撃による電撃の余波がサーナイトを襲いにかかる。
「(なんか同じ事言ってる)仕方ねぇ。サーナイト、〝エナジーボール〟でなるべく威力削れ」
「サナナ!」
「トラッ!? ……トラァァァ!!」
どういうわけか、グレイブはあえて攻撃を受けさせる選択を取る。しかし当然そのまま食らうわけなく、エナジーボールをぶつけることでレントラーの勢いを落としていく。しかしひかりのかべにより、レントラーにダメージはあまりない。しかし今回はあくまでも威力を削ぐのが目的なのでグレイブ的には問題ない。
「(……何を企んでるの?)お疲れ様、レントラー。出番だよ、バンギラス!」
バンギラス「ギルァァァッ!!!」
前回のバトルを見ていたからてっきりまもるを使うと思っていただけに何か企んでいるのか? と判断する。しかしそれでも自分のバトルをするだけだ。戻ってきたレントラーのボールをしまい、次の手持ちを繰り出した。
出てきたのは、バンギラス。威圧感たっぷりの巨体と強面でサーナイトを睨みつけながら吼えて砂嵐を巻き起こし、バトルコートを自身のフィールドに変えていく…これによりひかりのかべと合わせてバンギラスの特殊防御力は鉄壁というべきものになった───そう易々と落ちないことだろう。