元トレーナーの育て屋さん。 作:ノイズシーザー(旧ノイズスピリッツ)
ロザミアさん、愛月花屋敷さん、申し訳ございません…
これは今育て屋をしているクレハの過去の話…もはやかけがえのない家族の1匹となった、彼との出会いの話…
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「ここ?」
「えぇ、間違いありませんわ」
「はー…ハイウェイロードの真下にこないな洞窟あるとはなぁ…」
「私達、かんっぜんに見逃してたね…」
「せやな、ウチら完全に間抜けやな…」
「まぁ良いではありませんか。早く行きましょう? 図鑑収集の為にも」
『はーい、リリカお母さん』
「誰がお母さんですか、だれがっ!」
洞窟前でさながら漫才の様なやりとりをする、赤、黒、金の髪の少女達3人…クレハ、フウマ、リリカはそのまま件の洞窟…もどりのどうくつと呼ばれる場所に入ろうとしたが…
「邪魔だ! どけっ!」
「きゃっ!?」
洞窟から男が自転車で飛び出し、驚いて尻餅をついたクレハに気にせず、それどころか暴言を吐いて走り去っていった…
「大丈夫ですか、クレハ!?」
「なんやあいつっ! 危ないやんけ…!」
「いたた…大丈夫大丈夫。ほら早く行こう? あんなの気にするより、図鑑収集だよ!」
「はぁ…仕方ないですわね。尻餅ついた本人がそういうなら私達はとやかく言いませんわ。ねぇ、フウマ?」
「はぁ…まぁしゃーないわ。ほないくで〜」
こうして3人は改めて洞窟の中へと入っていく。まぁ洞窟だから当たり前だが、かなり暗く視界の確保が厳しい。
「暗いなぁ …」
「そう思うならコリンクを出しなさいな。私のピカチュウでも構いませんけれど」
「なんならウチのえれやんに任しとき。ってかもうやっとくれとるし」
「エレッキ!」
「…あそこだけ砂煙…? ……!?」
「クレハ!? ……!」
「なんや…? どないしたんや! …砂煙? ……なっ」
しかしそれも一瞬の事。自発的にフウマのリュックに入っていたエレキッド…えれやんがフラッシュ…バトルではな目くらましにもなる閃光を走らせ、道を照らし…クレハは真っ先に見えた。謎の砂煙が…その中で大量のフカマルが、1匹のフカマルを囲んで、痛めつけてるのを。突然自転車も使わず走り去ったクレハに困惑していた2人も状況に気づいて、慌てて後をついていく。……3人とも、最悪の想像が頭によぎったが、今はそれよりも…と思いながら。
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『ふかかぁ!!』
「……まる…」
フカマル達は大きな口をあけて噛みついたり、爪で引っかいたり等をして同族のはずである1匹のフカマルを傷つける。いや、正確には彼は同族ではない…先程来た人間がいらないと言いながら無造作に捨ててきたのだ。
しかし元々在住していたフカマル達にそんなことは関係ない。彼ら彼女らにとって重要なのは今来たフカマルが余所者であるということであり…それは彼ら彼女らにとっては…縄張りを荒らす侵入者、ということだ。
(まる…)
そんな経過で、そのフカマルは傷ついていたのだ。
だが、どれだけ傷つこうとフカマルは一切の抵抗をせず…ただただ虚ろな目でされるがままで…トレーナーに捨てられたのが余程ショックだったのがわかる。…もういいや。そう何もかもを諦めて、赤い髪が最後に自分に駆け寄ってくるのを見て…彼は意識を閉ざした。
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「しっかりして! ねぇっ!!」
「なによっとんねん!? フカマルとはいえポケモンの群れに飛び出すか普通! アホやろ自分っ」
「そんなことよりその子を連れて逃げた方が懸命ですわね…」
『ふかかぁ!!!』
「…せやな! みんな目ぇつぶっときぃ!」
「うん!」
「わかりましたわ!」
フカマルを抱き抱えるクレハに、無茶したことを説教するフウマ、フカマル達に囲まれた状況を見つつ、冷静に逃げることを提案するリリカ。正しく三者三様の反応をしつつ、フウマはえれやんにアイコンタクト。えれやんはフウマの合図と同時にフラッシュ。文字通りの目くらましをする。
「ふか!? ふか、ふかかぁ!?!?」
「ふかふか!?」
(よし、今のうちや。逃げるで!)
(ナイスです、フウマ!)
(大丈夫だからね…いたた…すぐにいたた…ポケモンセンターに連れていくからね…)
不意を打たれた上、住処とする場所が場所な上に、光に弱いフカマル達は案の定混乱し…クレハ達はその隙に全速力で洞窟を走り…外に出た。
「つっかれたわ! マジで災難やわ…」
「全くですわね…」
「いたた…それよりこの子をポケモンセンターに連れていこう? 大分弱ってるよ…」
「そうですわね。そこで手の治療もしてもらいましょう。クレハのね」
「……その手どないした? 傷だらけやん」
「この子どうやらさめはだみたいで…」
「なるほどな…。ま、それならポケモンセンターに……」
「ふ、ふかか…?」
「あ! 起きた。大丈夫? 今すぐポケモンセンターに…「マルァッ!!」いっ…!」
早速ポケモンセンターに向かおう。そう決めた矢先にフカマルが目覚め…クレハの顔を見ると錯乱し…悲鳴のような怯えきった鳴き声で自身を抱きかかえた彼女の腕に噛み付いてしまう。さめはだで傷付いた手以上の痛みにクレハは顔を歪ませ、予想だにしない事態にリリカ達2人も硬直してしまう。
「く、クレハ…!」
「はっ…何しとんねん…!」
「大丈夫。…大丈夫だから…私達はあなたの敵じゃないから…! 大丈夫、大丈夫…!」
「──…」
クレハは痛みを堪えながら、フカマルにそう語りかける。大丈夫、安心してと。手がフカマルの肌で傷つくのも厭わず…抱く力も強めていくと…気持ちがフカマルに届いたのか、それとも疲労困憊だったからか、クレハの腕から口を離して…涙を流して眠りについた。
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「あ、ガブリアス。またバンギラスの面倒見てくれたんだ?」
「ガブ」
「…そっか。いつもありがとうね」
「ガブブ」
「当たり前だ。か…そっかぁ」
そんな割と…というかかなり最悪の出会いから数年後…ガブリアスは今とても幸せだ。なんせ最高の主人と巡り会えたのだから
砂煙が起きる場所でゲットした(野生とは言ってない)