元トレーナーの育て屋さん。 作:ノイズシーザー(旧ノイズスピリッツ)
SVはあと1ヶ月くらいかぁ……
追記
ば、馬鹿な?評価!?評価に色がついているぅぅぅ?!
ありがとうございます!本当にありがとうございます!!
「ウキャ……」
「ごめんね、本当にごめんっ」
「うきき」
リッターにロックオンされ、項垂れるゴウカザルを他所にフェイを愛でるクレハは見かねたレントラーが呼ぶまで全く気づかなかった事にたいしてゴウカザルに謝罪をしていた。
謝られたゴウカザルは仕方ないよ、とクレハの肩に手を置いて気にしないでと伝えるように鳴いてから苦笑い。
ちなみにこのやり取りの間にグレイブとリョウは戻って来たようで、リリィと会話中だ。
「あ、先生。やりましたわね! リーグ戦でも披露した外道戦術、効果覿面でしたわ!」
「もっと言い方あると思うなぁ!」
「すごくえげつないバトルスタイル!」
(なんであんな戦術使っていたのにリーグ負けたんだ?)
ゴウカザルに励まされてすっかり調子を取り戻したクレハが思わずそう言う。
しかし悪意がある訳では無く、素直な感想である。
グレイブも口には出さないが疑問を浮かべている。
まぁ、小手指が通じない程にチャンピオンという壁がそれほど高いという事なのである。
「サラメ、俺ってえげつない?」
「ボマッ!」
「あ、うん…そう…」
「それでもアデクさんに敵わないのはやはり流石でしたわね。…ワタルさんやシロナさんもでしょうか?」
「あー…うん。シロナさんは勿論だし、ワタルさんも間違いないよ」
若干歯切れが悪そうではあるが、リリィの疑問に当然の様に答える。
なんせクレハはこの2人の事をこの中の誰よりもよく知っているのだ、当然と言えば当然である。
「ワタルさんは……人にも破壊光線ブッパするようなパワーバトルだからなぁ」
「破壊光線はあれだよ。ロケット団が抵抗したからだよ」
「やめたげてよぉ!?」
2人の言葉を必死に弁明をしようとするが内心はああ、たしかにと納得しちゃってるクレハだが…ギンガ団の本部で暴れ散らかした経験があるから人の事は絶対に言えない。
「…なら、ガラルチャンピオンのダンデさんも同じく強いのでしょうね」
「だろうね。チャンピオンだもん」
リリィは続けるようにそう言う。
これから行く旅の目的で、リリィが超えたいと願う壁だ。
成し遂げるようとするのは大変だろう、苦難だろう、挫折をしてしまうかもしれないだろう。
でもそれ以上に彼女の成長に繋がる事を信じたいとクレハは願う。
「ダンデ? 確かにあの人の手持ちは……あれだったからなぁ」
「え、何? あれって何??」
そのリリィの目標を超えたグレイブはそう伝える。
そう、彼は別世界の〝ガラル地方〟のチャンピオンなのだ。
当然ダンデの事は知っており、彼の手持ちをあれだと称した。
それにはえ、あれとは? と気になったクレハが訊く。
まさかリョウみたいにえげつない系だろうか…と思いながら。
「リザードンが相棒なんだよ、ダンデさん。ガラル地方のリーグはちょっと他のとは違うのもあるし、迫力はすごいぞ。ネット配信もされてるから見てみると良い」
「ほへぇ……リザードンが…相棒…レッドさんみたい……」
リザードンが相棒。これで真っ先に思い浮かんだ、いまや生ける伝説とも言うべきトレーナーの事を思い出し、感嘆したようにクレハは呟く。
「あの人の手持ちなら覚えているから教えよか?」
「いや、いいよ。リリィの為にならないし。それはガラル入国してから知るよ」
「ですわね。その為に今学んでいる最中ですもの!」
「いい心がけだね」
グレイブの提案を断る2人に同意するようにクレハも頷く。
こういったものは自分で調べた方が知識として身につくものなのだというのを理解しているからだ。
「OK。ならここでは言わない。
……レッドさんなら一回カントーでバトルしたなぁ」
「は? ねえ、グレイブくん。
……その話、詳しく聞かせてくれないかなぁ??」
「な、なんだよ…急に…」
「大勢のトレーナーの憧れだからなぁ、レッドさんは。…戦ったのかぁ、いいなぁ…」
グレイブがまさかのカミングアウトをしてしまい、クレハの様子は一変。
かわいいが圧のある笑みを浮かべながらグレイブの肩に手をかけ、話の詳細を聞こうとし、それを聞いたリョウはあのレッドとバトルできた事を素直に羨ましいと伝える。
「偶然カントーのリーグ戦に出場しててさバトルしたけど最後の最後で負けたんだ」
クレハの圧に負けたのか、グレイブは当時の詳細を話す。
どうやら偶然の出来事だったらしい。
しかし、そんな事はクレハには関係なかった。
「……羨ましい! 私なんかシロガネ山を必死で往復しまくったのにバトル出来なかったんだよっ!?」
羨ましいと感情をむき出しにし、グレイブをぶんぶんと揺すりながらクレハは叫ぶ。
噂を聞きつけ、もしかしたらと望みをかけて、獰猛な野生ポケモンが数多く滞在するシロガネ山に乗り込んだというのに、いざ頂上に着いても誰もいなかった事に嘆き、挙句の果てには遭難しかけて家族や友達(主にグリーンから)きつい説教を受けたのだ。
本人も若気の至りだと自省しているが…それでも羨ましいもんは羨ましいのである。
「……ノーコメントでもいい?」
「そもそも旅をしている可能性もあるんだから…あの人ならどこにでも行くだろうし、運ですよこればっかりは」
これにはグレイブも困惑し、リョウも苦笑いしながらクレハにそう言うと俺も戦いたいなぁと溢す。
トレーナーならば1度でもいいからレッドと戦いたいのだ。
「こればっかりはどうしようもないからな」
「……うぅ、私だって戦いたかったよぉ……」
リョウとグレイブの言い分もわかる。
しかしだからといって仕方ないのだと割り切るのは簡単ではないのだ。
それを雄弁に語るかのようにクレハはグレイブから手を離し、その場に膝から崩れ落ちた…
「える? えるる~」
「気に入ったのか、フェイ?」
「えう!」
「まあ、可愛い」
「ありがと、フェイ〜!」
フェイがどうしたのー? 大丈夫? と頭を撫でて抱きついて頬擦りをする。
どうやらクレハの事がすっかり気に入ったらしい。
そんなフェイにありがとうと言いつつ、クレハはそのふわふわもふもふとした毛並みをぽむぽむと撫で付けて礼を伝える。
「える~♪ るふぅ…」
「はぁ……どうすっかな〜これから」
「さて…皆様にはとても良い戦いを見せていただきましたので、リベール家の最上級のもてなしでお返しさせていただきますわ。
本日はお泊まりになられますか?
グレイブさんも、しばらくこちらに滞在して待つという手もありますわ。焦らずともよいかと」
抱かれて嬉しいのか、すっかり甘えん坊なフェイは笑顔でクレハの肩に顔を乗せる。
そんなフェイにほっこりしつつもグレイブはこれからどうするかと不安になるも、リリィから鶴の一声がかかる。
「そうだな。お言葉に甘えて少しの間ご厄介になりますか」
「かなぁ……元々観光目的で来たし、これから宿を取るつもりだったから今夜はお世話になります」
「それじゃあ、今日1日は賑やか…か?」
「ええ。先生もご存じでしょうがお父様もお母様も海外へ行ってますので。暴れたりしない程度の賑やかさは関係です」
「ありがとうなリリィお嬢様」
「ゴウカザル達の事も含めてありがとうね、リリィちゃん!」
せっかくの厚意には遠慮するのは失礼。
それを心得ている2人は泊まることに乗り気な様子だ。
「いいえ、この程度。リベール家はトレーナーとの交流は歓迎的です。
寧ろ、このまま雇いたいくらいですわ。…さて、それでは皆様それぞれの部屋に案内いたしますわ」
「お嬢様、私めが…」
「お下がりなさい。私がすると言ったのです、その程度の責任果たし位自分で致します」
「…はっ」
(こうして見るとお嬢様だなぁ…)
リリィの毅然とした態度に普段疑問ラッシュで振り回されているリョウはしみじみとした様子で、そう思うのだった。