元トレーナーの育て屋さん。 作:ノイズシーザー(旧ノイズスピリッツ)
「……」
育て屋を営むクレハの朝は早い。
半年以上にも渡る月日で染み付いたその習慣は人の家でも変わらず、持ち物である大きめの鞄からブラシ等を取り出して髪の手入れをしている。
しかし一見落ち着いた様子とは裏腹にその内心は落ち着いていない。理由としてはただ一つ……
(お、落ち着かない……)
泊まらせてもらったこの部屋が庶民たる彼女には豪勢だからという他ない。
緊張する自身を鎮めようと一心不乱に髪をブラシで念入りにとかす姿は身だしなみを気にする年頃の女子らしくも見える。
───それから数分後、身だしなみを整えたクレハは手持ちポケモン達の入ったモンスターボールを持って、部屋を出ていく。
「……迷った。どうしよう」
そしてものの数分後に道に迷ってしまった。広く、大きな屋敷にもかかわらず無警戒過ぎである。
何やってんだ私。と思わず自身に心の中でツッコミを入れつつ、廊下で立ち往生。
ゴウカザル達を出せばいい? いや家主の許可もなく勝手にポケモンをボールから出すのはマナー違反に当たる故に、出せない。どうしようか…途方に暮れるが……
「──」
「あれ、ギルガルド? …えっとどっちのギルガルドかな…」
「おー、リッターどうした…ん、クレハさん? どうかしたんですか?」
見覚えのあるギルガルドがやってきて、リョウのリッターなのか、それともゴウカザルと引き分けに持ち込んだグレイブのギルガルドなのかとわからないクレハ。
そのすぐ後に、ギルガルドに続くようにリョウが来たことからどうやらリッターの方の様だ。
やってきたリョウはクレハにどうしたのかと訊き、それに対してクレハは…
「……いや、その…迷っちゃって…」
恥ずかしそうにしながら正直に答える。
───嗚呼、16になる癖に迷子とか恥ずかしいと。
しかも昨日自分を負かしたリョウに言ったからかより恥ずかしく感じる。
「まあ、仕方ないですよね。俺もまだ把握しきってる訳じゃないですし。洗面所で顔洗おうと思ってた所なんですよ。どこ行きたいってあります?」
「──」
「ありがとう。おふ…浴室はどこかな?」
せっかくだから甘えさせて貰おうと、気恥しいからかわざわざお風呂と言いかけたのを直して、リョウに浴室の場所を訊く。やはり女子たるもの、朝風呂もしくは朝シャンは欠かせないのだ。
「ん? おはよぉ〜2人とも、どしたのさ?」
しかしどういうタイミングか、グレイブが眠そうな顔でやってくる。
そんな彼の眠そうな顔を見たクレハはクスリと笑いそうになる。ああ、そういう所は年相応なんだなと。
「おはよう。浴室は…丁度近いかな。リッター、案内頼む」
「─」
「おはよう、グレイブくん。それと案内してくれてありがとうね、リッター」
挨拶を交わしつつ、案内をする為に先導をしているリッターに礼を言いながら、その後を着いていく。
「…今度俺のギルガルドにも仕込もうかな? 屋敷案内」
「…それわざわざ仕込む理由あるの?」
「いいじゃねぇか別に。
所でリョウ。リッターは強いのか? 雰囲気からして只者じゃないが…」
「あ、それ私も気になってた」
案内される道中、唐突にそんな事をを言い出したグレイブにクレハは思わずツッコミを入れる。
それに対して若干冷めた様に言いながら話を変えにいく。
クレハも気になる事だったからか、あまり気にしない様子でそう言う。
「リッターはバトルで出さなかったけどサラメと同じかそれ以上の実力だからなぁ…」
「まじか……やっぱりバイウールーじゃなくてあいつ加えていた方が良かったかもなー」
「(あー…ゴウカザルの怯えた様子からしてなんとなくそんな気はしていたけど…)強いなぁ…リョウくん達は…」
「──」
「はは…あ、着いたか。ここが浴室ですよ」
若干後悔したように言うグレイブに月並みだが素直とも言える感想を呟くクレハ。
似たような2人の反応に苦笑いしていたリョウはリッターの様子から浴室に着いたようだとクレハに伝える。
「あ、本当だ。じゃ、私はここで。リッターにリョウくん本当にありがとう! また後でー!」
浴室に着いたと伝えられたクレハは嬉しそうな様子を隠しもせず、笑顔を浮かべながらリョウとリッターに礼を言うと浴室はへと入っていく。
やはり女の子。お風呂は欠かせないのである。(2回目)
「ああ、また後で」
「またなー」
男2人はそれを理解しているからか、軽く手を振ってからそれを見送り、揃って顔を洗いに洗面所へと向かって行くのだった。
クレハ
おっふろ♪おっふろ♪⬅尚昨日の夜中もしっかり入ってる。
先生
うっきうっきやな…まぁ女の子だしな…的な目線で見てると思われる。
グレイブ
ガラル人ってなんとなくその辺のマナーはしっかりしてるイメージあるよね?え?我の偏見??
Exactly(その通りでございます)