それでは本編をどうぞ
私はマリーちゃんの手を強く握り返す。
「・・・うん」
このまま集中するんだこのフロアにいるテロリストの人数は九人。
場所は・・・
「・・・!!団長さん!!」
見つけた!!“目が奪える場所”!!
「左から三番目の42インチのテレビです!まずはあれにします!」
いや、最初はあそこしかない!!
「わかった。おいマリー行くぞ」
「う、うん・・・!」
あとはタイミング・・・。人の目が集まる瞬間・・・ダメッ!!
全然切っ掛けがない・・・どうしよう・・・。
「さっきの威勢はどうしたよ!?ああ!?」
お兄ちゃん・・・ごめんまだ待ってて・・・!!
「ずいぶん貧弱そうだしよぉ・・・普段外にも出てねぇんじゃ
ねぇのか!?」
なにお母さんみたいなこと言ってるのあの人!?
「ひぃ・・・」
待って・・・
「てめぇみたいな引きこもりのクズだったら死んでも誰も困んねぇ
なぁ!?」
まだ待って・・・まだ・・・!家族の悪口言われてるけど我慢し
なくちゃ・・・!!
「そうだろオイ!!」
「・・・ろよ・・・」
「あ!?何か言ったかよ」
まだ・・・!
「お前みたいなクソ野郎こそ一生牢屋に引きこもってろよ!!!」
お兄ちゃん普段頼りないくせに随分かっこいいとこもってくな。
きた!視線が集中するこの瞬間・・・
「今です!」
その目を・・・。
「お願いします!!」
ひとつ残らず“奪う”!!
ガァァアアンッ!!!!!!テレビが豪快な音を立てながら倒れ
ていき人質の全員がテレビのほうに視線が移る。
「次!下のスピーカー!!」
ガラッ!!ガラッ!!ガラッ!!!スピーカーが倒れていき人質
の視線がさらに定着していく。
「一体何だ・・・!?物が倒れていくぞ!?」
「おい!次はどこだ!?」
「次は・・・あれです!あの棚!!」
「・・・それは注目云々より恨みこもってるだろ。あの男に直撃
するぞ」
「あはは・・・。ちょっとばかり!」
「おい!そこに誰か――!?」
「「「せぇー・・・のっ!!!」」」
ガアアアンッ!!!!
問答無用に棚を倒し首謀者の人物を棚の下敷きにした。
「う・・・うおおおお!?」
あとは・・・!お兄ちゃん
「――後はよろしくねエネちゃん」
大丈夫。全てうまくいく――あとは・・・
パァアン!!
「・・・ッ!?」
銃声・・・!?誰が・・・!!
「・・・え・・・」
お、お兄ちゃん・・・!?
え!?お兄ちゃんが撃たれた!?
「クソッ・・・!アイツらやりやがった・・・!」
ガラ、ガラ、ガラ・・・
あ・・・。シャッターがでもお兄ちゃんが・・・。
「シャッターが開いたぞ!!」
「お兄ちゃん!!」
どうしよう。本当に撃たれたんだとしたら・・・でも、まだ作戦
が・・・!!
「キサラギ!シャッターが開いちゃうよ!!」
「早く次を!!」
「キサラギ!」
「キサラギ・・・!!」
このままシャッターが開ききったら銃撃戦が始まってしまうかも
しれない。
「わかってます・・・」
ごめん。お兄ちゃん・・・!!
もう少し待ってて・・・!!今はやりきるしかない!!
「マリーちゃん!準備いい!?」
「うん!」
「いくぞ!」
団長さんが私への目隠し能力を解除する
そうすれば――
「――キサラギ・・・。如月桃です。歳は十六歳――アイドルをやって
います!」
そして・・・。
「あとはお願いマリーちゃん!」
すべての『目を奪い』マリーちゃんがすべての人間と・・・。
『目を合わせる』
「――ごめんね」
その時、シャッターが完全に開ききり特殊班が突入してきた。
「突入――!・・・ッ!?」
そして、特殊班の人達はポカ~ンと口を開いている。それもそう
だろうなんてたって人が動かないんだから。
「え・・・何・・・何で誰も動いてないんだ・・・?」
「フー・・・。メカクシ完了・・・だな」
恐らく作戦完了の意味かな。そんなことより・・・。
「お兄ちゃん・・・ッ!」
無事なのだろうか・・・。
とても心配だ・・・。
「カノさん!!お兄ちゃんは!?」
カノさんがとても深刻な顔をしている・・・。
もしかして・・・!?間に合わなかった!?う、嘘でしょ・・・?
嘘と言ってください・・・。
「残念だけど・・・」
え・・・?やめてもう言わないでそれ以上聞きたくない!!
ごめんねお兄ちゃん・・・。
「この人ちょっと弾が掠っただけで気絶しちゃってるみたいだよ?」
「・・・」
私の悲しみの涙を返して!!
「もう勘弁してくださいぃ・・・。出来心だったんですぅ・・・。
ひいいすみません・・・」
(せっかく、かっこいいと思ったのに前言撤回・・・)
やっぱりバカ兄はバカ兄だ。
「おい!大丈夫か!おい!おい!」
「と、とにかく犯行グループは拘束しろ!おい棚の下にも一人い
るぞ!確保しろ!!」
「下のフロアにも気絶した犯行グループと人質たちがいる!誰か
行ってこい!!」
作戦完了。私、カノさん、団長さんの三人で拳を合わせた。
「お~。ここもすごい騒ぎだな」
後ろから唐突に聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「よっ三人とも」
「カズさん!!」
ガバッ!!私は迷わずカズさんに飛びついた。
「おおっ!高校生にもなってこれはないだろう」
「だって、だって・・・!!ずっと会いたかったんですもん!!」
「・・・フッ。いつまでも子供だな」
カズさんの手が私の頭を撫でる。
「あ、キドキド!!写真見た?写真」
「消した」
「えー!」
「まぁ一件落着だな」
「でも、カズお前よく誰にも見つからずに俺たちのところまで来れ
たな」
「まぁな・・・誰かに教えてもらった気がしたんだよ・・・」
「そうなのか・・・」
「あぁ・・・で今マリーはどこにいる?」
「あれ?そういえばマリーちゃn・・・」
「「「!!」」」
次の状況みて私、団長さん、カズさんにゾッとしたなにかが通る。
「「「あああ!!!」」」
それは警察の人にマリーちゃんが質問攻めをくらっていたからだ。
「あの馬鹿・・・!電気アンマを返しに行って・・・」
「すっごい質問攻めされてる・・・。うわわ・・・、ど、どうしま
す!?これ相当まずいですよね!?」
「ぷっくく・・・ああ・・・!!あれが例の無精髭をぶっ叩いた
電気アンマ!でも、なんであんなもの・・・なんかのギャグ!?
ひぃ・・・お腹痛痛い!」
「お前は少し黙ってろ!!」
「うぐぅ!!」
「おお!!ナイスパンチ」
「くそっ・・・どうする・・・」
「早く連れ帰らないと・・・」
「よし、俺が行こう桃剥がれろ」
「おい待て!!」
ガシッ!!団長さんがカズさんの腕を力強く掴む。
「お前能力は使わないよな?」
「ナンノコトデショウカ、オレニハサッパリワカリマセン」
「キサラギ!!こいつから剥がれるな!!」
「大丈夫です!!最初から剥がれる気はありません!!」
「よし!!おいおいどんどん増えてないか・・・」
ああ、マリーちゃんがどんどん涙目に・・・ちょっと待って・・・。
「だ、団長さん・・・。マリーちゃんこっち指さしてません・・・?」
「お、おい。ばか・・・よせ・・・」
「ハハ、流石マリーだな」
「う、うわぁ!こっちにきます!!」
「ちょ!カノさん邪魔!!早く立って!!」
「キドにみぞおち・・・殴られた・・・」
「おま・・・。早く立て!ってあああぁぁ・・・」
ガッ・・・。警察の人の足が倒れているカノさんにふれちゃった。
「うわあああああ!?何だ急に人が・・・!?」
まずい・・・キドの目隠しの能力が解除された・・・。
「逃げるぞ!!」
「逃げましょう!!ほらカズさんマリーちゃんのとこに行って」
「いい加減剥がれろ」
「マリーちゃん!」
私はカズさんの体にくっ付きながらマリーちゃんに声をかける。
「団長さん・・・。マリーちゃんを・・・!」
「どこに行くんだ!?待ちなさい!!」
「くっ・・・あいつらの視線が一瞬でも外れれば・・・」
その時・・・。ざわっ周りが騒ぎ始めた。
「「!?」」
どうやら石化が解けた!!今なら団長さんの能力が発動できます。
「なっ!?」
(今だ!!)
団長さんの能力が発動した。
「あれ・・・。き・・・消えた」
「おい!カノ!キサラギの兄貴さんを担いでいけ!」
「えぇ?何それめんどくさ・・・」
団長さんがカノさんの前で拳を力強く握ると・・・。
「・・・くもないですね。すごい担ぎたい体してる。うん」
「カノさんそれはキモいです・・・」
「ひい・・・もう勘弁してくださいぃ・・・」
「あ!そうだ!カズさんお兄ちゃんの携帯取ってください」
「あ~・・・。はいはい」
そう言うとお兄ちゃんのポッケから携帯を抜き取り私に渡してく
れた。
「エネちゃん!いる?」
『おお!その声は妹さん!!』
「ん?エネか」
『おお。カズさんも』
「ついでか」
『はい!でも、あれ?お買い物ですか!?ご主人はどうなりまし
た!?』
「え、ええと・・・。とりあえず後で!一緒にきてくれる?」
『遊園地ですか?』
「い、いや・・・。違うけど・・・?」
「おい!もう出る!!」
「は、はい!!」
あぁ・・・。本当に今日はここに何をしに来たんだろう・・・。
機種変更もカップの購入も何一つ達成できてないじゃないか。
しかし、まぁ・・・一つ達成できたとしたら・・・。
「ねぇ、マリーちゃん」
「な、なぁにキサ・・・――モモちゃん!」
「!」
「ほう・・・」
「今日・・・私ね。すっごく楽しい!」
こんな私にも素敵な友達が出来たことかもしれない。
「私も!」
『カズさん!妹さん!』
「「ん?」」
『あれですか?これが噂の「百合」ってやつですか・・・?ねぇ
カズさん。妹さッ・・・――』
プツン・・・。お兄ちゃんの携帯の電源を落としエネちゃんの会
話を途中で切った。
「エネ、お前は少し黙ってろ」
カズさんの笑顔が怖い・・・。
「百合の花がなぁに?」
「マリーちゃんは気にしなくていいから・・・」
これで私の今まで以上に突飛な出来事はここで幕を閉じていった。
つづく
カゲロウプロジェクト 団員No.5モモ(Ⅷ) ~完~
これにてモモサイドは終わりです^^
次回は遊園地編です^^
それでは次の咄しでお会いしましょう