さて、遂にこの章も終盤に入りました。今回からは『タイトル(Ⅰ)』ではなく『タイトル』のみでの投稿です。
それでは本編をどうぞ・・・――
ある雪が降る程の寒い日の物語――・・・
「貴音!萌奈!雪が降ってきたよ!」
「あ、ほんとだ!」
「積もるかなー」
「積もるかもね!楽しみ!」
「えー・・・。やだよ寒いしさぁ・・・」
「貴音~、あんた最悪だよ・・・」
「はっ!?」
でも・・・遥の嬉しそうな顔を見てるとこっちも・・・。
(ごめんね・・・。二人とも・・・)
そして、私は二人の前から消え去った・・・――
学園祭から数ヶ月、もうすぐクリスマス。
今年は、遥は自らクリスマスパーティーを企画してくれた。
ガラッ、私は自分の机の引き出しを開け一つの箱を取り出した。
「こっそり用意したんだし、遥きっと喜ぶだろうな」
そう・・・。その日は遥の誕生日でもあった。
(この私がおこづかいいっぱい貯めて必死に選んだもん、反応
薄かったらぶん殴っちゃうもんね。ふふふ)
私はそう理不尽なことを心の中で言った。
けれど、当日遥は発作を起こし倒れた。
「先生!!遥は・・・」
「俺も今来たとこだ」
発作が起きるなんて・・・。そうだ!萌奈は大丈夫なの?今日
見てないけどもしかして、萌奈も・・・。
「詳しくはわからないが大事にはいたらなかったらしい病室は
こっちだ」
そうだ!!遥だ!!
「遥っ!!!」
そして、私は病室でありえない出来事を目撃した。
「んむ?」
それは遥が病室で大量のご飯を食べていたからだった。
私と先生はその状況を見てただ口を開けていることしかできな
かった。
「・・・九ノ瀬さん。もう五人前ほど召しあがってます」
(遥・・・)
「ごめんね。二人とも」
その日から遥は一週間ほど入院することになって、冬休み明けから
は元気に学校に通っていたけど一カ月後発作でまた入院。
その時の入院は長く一カ月病室から出られなかった。そして、
この教室で変わったことがもう一つそれは・・・――。
遥の最初の入院から萌奈が全く学校に来ていない。
「はぁ~~~~」
「・・・なに、でっかいため息ついてんのさ」
「だって~、しばらくゲームできてないんだよ?」
今の遥に萌奈のことを言っていいのか・・・。でも、言ったら
今明るい遥の表情が暗くなってしまう・・・。
「退院したらすぐに練習しなきゃ!」
学園祭のあと遥は『DEAD BULLT -1989-』にハマってい
た。
学園祭の片付けを終えた夜・・・――
「全くもう!なーにが「ヒーローは遅れてやってくるもんだから
な・・・」ですか!!」
「そう怒るなって!いーじゃねーか。こうやってお詫びにメシ
奢ってんだし」
「三人だけで大変だったんですよー。ねぇ遥!」
「もふん!」
「そうだ!萌奈は誘ったんですか?」
「あぁ、誘ったがあいつが来ないって言ったぞ」
「そうなんだ」
「・・・まぁ、なんだかんだで学園祭結構楽しかっただろ?」
「まぁ、正直トラウマになりそうな事件も多かったですけどね
・・・。あ!この小龍包おいしい~」
「ひぇもははねふごいはもひほうあっはお」
「ちょっ、遥汚い!ちゃんと飲み込んでから喋ってよ!」
「すいませ~ん」
「って先生、どさくさにまぎれてお酒飲み過ぎです!!何杯目
ですか!?」
萌奈・・・なんで来なかった・・・。一人で大変なんだよな。
「いやぁ~、それにしてもすごかったなぁ『夢幻円舞ーホーリ
ィナイトメアー』だっけ?エネがこうバンバン敵をなぎ倒して
いく感じが・・・!」
「だから、その名前は二度と言うなって言ってるでしょうが!!」
「はっはっは!なんだお前結局バレちまったのか!!」
なっ!?この先生は・・・――ッ!!
「まぁ悪いことしてるわけでもねぇんだから気にすんなって
エネ、ボグッ!!いでぇ!!」
「そうそう、隠す必要ないのにさぁ!『エネ』って名前あれって
『えのもとたかね』の最初と最後の文字を使ったんだよね?」
「そ、そうだけど・・・。だから、なんなのさ」
「え?いや面白いなぁって。なんかそういうホントの名前じゃ
ない名前ってかっこいいよね~」
「じゃあ、あれか?『閃光の舞姫』ってのもなんかお前に関係
が――いやまて!!悪かった!拳を下ろせ!!」
「もう・・・。ハンドルネームなんて突っ込まないでよ恥ずか
しい・・・」
「んー・・・。僕もなんかつけてみようかな」
遥ってホントに何考えてるかわかんないなぁ~・・・。
「そうだ!!『ここのせはるか』だから・・・。『コノハ』と
か!」
「はいはい。別にいいんじゃない?よろしく、コノハ君」
「おおお!やっぱ、なんかいいねこれ・・・!今後名乗ってい
くことにするよ!」
そんなことがあって今にいたる。
「そしたら貴音も一緒にやろうよ」
前もあれほど遥にゲームのことを隠していたのに私は・・・。
なんだか嬉しかった・・・でも、なんでだろなんかモヤモヤが
取れない・・・。
(遥、早く良くなるといいな・・・)
その後、二人とも無事進級はしたが、遥はかなり体調を崩しや
すくなり、萌奈はどうなったのか不明のままだった。
そして、高二の夏休み――
「あ~~~~~~~~~~、ダメだ・・・全然理解できない」
「あれ、貴音また手が止まってるもう一回教えようか?」
「う、うっさい!」
そして、遥は紙を持ち上げた。
「よし」
「え!?終わんの早っ!!」
それは課題が終わったとゆう証だった。
「え、うそ。もう帰っちゃうの!?」
はっ!!まるで私が寂しいみたいな言い方に・・・。
「あ・・・や・・・寂しいとかじゃなくて・・・。そ、そりゃ
帰るよね」
遥は・・・。なんだかんだで頭いいもんな・・・。私と違って
補講だって出席日数が足りないから出てるわけだし・・・。
「まぁ、家に帰って好きなだけご飯でも食べてればいいよ。私、
一人でも十分解けるし?」
「え?帰らないよ?」
そう言うと遥は自分の机の上にpcを出した。
「なっ・・・」
遥はまだ横で課題をしている私を無視しpcの電源を入れた。
「なああ!!?あんたなに考えてんの!?今ここで始める気!?
私の横で!!?」
「うん。だって大会も近いしこれなら貴音もやりたくなって課
題早く終わるでしょ?」
「う・・・。私もやりたい!!ちょっと貸して!」
「うわぁ!だ、ダメだよ!!ちゃんと課題終わらせないと!」
「だ、だってあんたばっかりずるいじゃん!一人だけそうやって
腕上げようとして・・・。私だってやりたいのに!」
「それは貴音が悪いんだよ~、僕はちゃんと課題終わらせてる
し、じゃあ終わったら一緒にやってあげるから課題頑張るんだ
よ?」
ものすごくいい笑顔で言われた・・・。
(ゲームの大会が近いから本当なら夏休みは部屋で練習しまく
る予定だったのにな・・・でも、それは遥も・・・夏休みを満
喫したいはずなのに・・・)
遥は文句を言うこともなく「貴音と一緒に受けられるならむし
ろ楽しい」っていうけど、実際のところはどう思っているのだ
ろう・・・――。
「・・・」
――私には・・・よくわからなかった。
「あ、新しい武器が出てる!大会前だからかな?買っちゃおう
かな~・・・」
(少なくとも落ち込んではいないな・・・)
こいつが落ち込んでる姿なんて見たことない。
クラスメイトが私と萌奈二人だった時も楽しみにしていた体育祭
が私たちのクラスだけ見学だった時も、入院して学校に来られ
なかった時も笑顔だった。そして・・・――
萌奈がいないことに気づいても・・・。
私はいつもいつも、そんな遥の笑顔に怒り、呆れ・・・。
そして惹かれていったんだ。
「・・・ねぇ、遥」
「なに?ちょ、ちょっと待ってね。今、戦闘始まっちゃったか
ら!」
(ほんっと能天気なやつなんだから!)
ドガガッ!!バンッバンッ!!ガガガガガガガガッ!!!!!
(ていうか、せっかく残ってるんならもう少し私に構ってくれ
たっていいじゃんか、なにが「課題も早く終わるよ」だ気が散
って全然逆効果だし)
私はそこでなにかを思いついた。
(そうだ・・・)
私は横にある自分のカバンの中からヘッドフォンを取り出した。
(これを着けて私が素っ気ない態度を取っていれば、こいつも
焦ってゲームを止めるかも・・・)
私はラジオに電源をつけヘッドフォンのコードを差し込む。
(人間、自分一人の世界に入ってしまった時に他の人がなにか
をし始めると無性に寂しい気持ちになるもんだよね・・・)
私はもう一度、遥を見るが特にゲームを止める素振りはない。
(でも、萌奈は一体どうしたんだろう・・・。進級はできてる
のかな・・・)
そう心の中で心配すると私はそっと目を閉じた。
(こうしていれば、遥もそのうち気になって話しかけてくるで
しょ、そしたら「ラジオ聴いてて忙しいから後にして」とか言
ってやればいいんだ)
~20分後~
(~~~っまだかな・・・)
いくら時間が経っても遥が私に声をかけてこない。
「あ・・・。あ~あ、つまんないな~、もう帰っちゃおうかな
ぁ~」
くそ・・・。なんでこいつのためにこんな思いしなきゃなんな
いのさ!こいつもこいつだ!これだけ経っても無視だなんて酷
すぎる!
(それとも・・・。私ってそんなに魅力がないのかな・・・)
おかしい・・・。いくら私に魅力がないからってこれはおかしい。
「ねぇってば!!・・・は・・・」
私はとんでもない状態を見てしまうそれは、起きてはいけない
ことだった。
「遥・・・?」
遥は椅子に座ったまま、動いていないのだ。
「え・・・なにふざけちゃって・・・。どうしたのー?もー」
返事がない、一体どうしたのだろう・・・――。私は考えられ
ることを全て考えたが結論は一つにしかいかない。
そう、その結論とは・・・――
遥の発作・・・――
「え・・・?は、遥ッ!!?ちょっと」
そして、遥を起こそうと肩に触れ体を揺らそうとするが・・・。
「うそ・・・」
いくら揺らしても遥の返答がない。
「遥っ!?起きて!!!」
耳元で呼びかけても返答がない。
「ねぇ遥ってば!!」
いくら呼びかけても返答がない。
「だっ、誰かっ!!誰かいませんか!!」
夏休み中に学校にいる人なんて少ない・・・。いや下手をすれ
ば私たち二人しかいないとゆうことも十分に考えられる。
「どうしよう、どうしよう・・・」
私は遥の体に触れある異変に気づく。
(遥の体・・・冷たい・・・)
その異変が表すことはそれすなわち“死”を意味している。
私のせいだ・・・。
そうこれは私が起こしてしまったこと・・・。
私がつまらない意地を張ってる間に遥は苦しんで・・・――。
「遥・・・」
萌奈も遥もいなくなるなんて私には耐えられない・・・。
「遥ぁ・・・」
お願い・・・。誰か・・・。誰か助けて・・・――。
つづく
カゲロウプロジェクト 消えた一人の少女 ~完~
最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた次回にお会いしましょう。