小説の林堂 二次創作 小説「ソードアート・オンライン この現実世界にて」   作:イバ・ヨシアキ

10 / 20

 まず最初に……月一更新を公約していたのに遅くなって申し訳ありません。
 イバ・ヨシアキです。
 キリアス小説をやっと掲載できました。
 今回はアスナさんサイドのキリトさんで悶々するアスナさんで書いてみました。

 お気に入り登録200越えになりました。

 登録された皆様。
 本当にありがとうございます。
 
 では、どうぞ。


 お昼寝中のキミに

 

 今、キリト君もとい恋人である和人君は、私の膝枕でぐっすりと眠っている。

 無垢な穏やかな寝顔ですやすやと寝息を立てて、何の警戒心もなく深く、ぐっすりと眠り込んでいる彼を独占し、彼の温もりや吐息、鼓動の全てを独占している。

時刻は、お昼過ぎ。

午後の秋半ばなのに気候も良く、陽気な陽射しも暖かく、和人君が大好きな絶好の昼寝日和。

お互いの授業も今日何事もなくに無事に終わり、あとは待ち合わせをして帰るだけだったのに、今こうして大胆にも私は、今自分の膝で和人君を寝かしている。

正直……動けないでいる。

タイツを履いた太ももに感じる彼の寝息が伝わり、その温もりがとても心地よく、スカート越しからでもわかる和人君の黒髪の感触も柔らかく、それがすごく嬉しくもあり、それでいて恥ずかしくもあるも、私は彼を全身で感じている事に、安らぎを覚えていた。

そもそも、なんでこんな事になってしまったのか。

今日はお天気も良かったので屋上でお昼ご飯をと思い、待ち合わせ場所を屋上に決めてしまったのが、そもそもの事の始まり。 

授業が終わった後、私は課題の事で先生と少し話し込んでしまい、遅れながら屋上に到着すると、早めに到着していた和人君は壁際近くのベンチですやすやと眠り込んでいた。背中を壁に預け、すうすうと緩やかな寝息を立てて眠り込んでいた和人君。

最初不覚にもそんな無謀に寝ている彼の寝顔に見惚れてしまい、起こすのを躊躇うほど私ははその寝顔を魅入ってしまう。

自分でも、こんな風に見惚れてしまう事に危ないなぁとは思う時も多々あるけど……だって仕方ないじゃない。

あんな可愛い顔で、和人君がすやすやと眠っているんだよ。

女の子なら誰でも絶対に見惚れてしまうくらいに、彼の寝顔はすごく可愛いのが駄目なんだから。

しかも、私はキリト君がカッコイイのも知っているから、時折見せるこのキリト君の無邪気な寝顔を見てしまうと、私はすっかりと骨抜きになってしまう。

思わず携帯端末で記録を残したい画像を撮りたい衝動に駆られてしまうも、ここは我慢しなきゃと必死にこらえても、やはり我慢などはできず、でも学校で欲望に身を任せるのもどうかなと一応の理性はあるけれど、ここはと、理性と欲望の葛藤の果てに私が妥協するのはキリト君が起きるまでこの寝顔を独占することにある。

私は我慢できずに隣に寄り添う形で彼の傍に寄りかかりたく、私は和人君の隣にそっと座り、もっと傍で和人君の寝顔をじっくりと観察もとい見ようと思った時、ふらっと急に彼が寄りかかってきてしまい、避ける事も出来ずにぽすんと、私の膝に和人君は頭を預けてしまった。

一瞬起きてしまうんじゃないかと不安があったけど、和人君は変わらずすやすやと寝息を立てて眠っている。

本当にのんびり屋さんなんだからと少し呆れてしまうも、私は和人君のその可愛らしい寝顔に免じて許してしまう。

本当に君は、お寝坊さんなんだから。

こんなかわいい顔して寝てたら誰かに襲われちゃうぞ。

実際、和人君はその危険性をまるで理解していない。

自分の事をゲームが取り柄のただの子どもと、あまりにも自虐的にいうけど、彼は自己評価を軽視し過ぎているけど、私から言わせればそんなことないと言っていいほど、和人君は沢山の魅力を持っているんだよ。

メカトロニクスを専攻しているキリト君はユイちゃんの為に色々と頑張ってくれているし、私には絶対に作れない機械だって作ってくれる。

そんな、たくさんの努力をしている和人君。

それなのに彼自身その魅力と才能と容姿にまるで気づかずに、こんな風に無防備で眠っている。

本当にいつか襲われないか心配でたまらない。

GGOのキリト君があんなに可愛くなってしまってから、いつか同性に襲われるかもと、里香から冗談で言っていたことが、冗談とは思えず、本当に心配してるんだよ。

それなのに和人くんったら、本当に寝坊助なんだから。

でも、私は、和人君のこの寝顔が大好き。

SAOで22層に一緒に住んでいた時、私は和人君のこの寝顔をずっと独占していた。

ALOの中でも一緒に眠るときはあるけど、朝になってしまえば目覚めてしまうのは自分の部屋で、隣には和人君はいない。

今はお互いが学生の身だから一緒には住めず、いつも一緒にいる事も出来ない。

そのせいで和人君の寝顔を独り占めしていた、あの宝物を失ってしまったかのように、私の中には少しだけさみしさがある。

学生。

この身分が今の私たちの大きな隔たりなんだと、時折その隔たりが疎ましく思える。一瞬、家の事なんてかなぐり捨てて和人君と一緒に住もうかなと悩んでしまった事もあるけど、でも、和人君は仕方がないとしっかりと割り切り、いつかきっとと、前向きに私の為に頑張ってくれている現実が見えない程、私の想いは暴走していない。

ああ、もう。年上の私がこんな風だと駄目だよね。

君はこんなにもしっかり者なのに、私は全然何も変われていないような気がする。

でも、和人君のこの寝顔を見ると、すごく安心するな。

本当に可愛い。

この寝顔は本当に

無防備すぎるよ。

 もう、誰かに襲われたらどうするのよ。

 和人君、本当に人気があるんだから。

 まるで気づいてないようだけど、本当に気を付けてほしいなぁ。

正直な話、クラスの女子がキミの噂をしている時、私の心持は穏やかじゃないんだから。

彼の好意的なうわさ話を聞くと、すごく胸の内が痛い。

 私の和人君がと、すごく醜い心で嫉妬してしまうんだよ。

 それなのに本当に和人君はのんびり屋さんで、それでいて時々すごく近寄りがたいほどに真面目になるし、それでいて何かに取り組むときはすごく真剣で、またそこがすごく魅力的だから、時に子供のように無邪気でいたずら好きでと、数え上げたらきりがないほど、彼は私の心を奪うほどに魅力に満ち溢れているのに、なんでこんなにも和人君は無防備なのかな。

 時々、こうして無防備な彼がとても危うく思えてしまう。

 最近徹夜続きで課題に取り掛かり、眠いのは解るけど、こんな可愛らしい顔で寝ていたら誰かに襲われそうな気がするのに、和人君はそれをあまり気にせずに、ぐっすりと寝入ってしまっている。

 本当に危ないんだからね。

 ぎゅっと鼻先をつまみ、くすぐったそうに顔をこする仕草が子猫みたく可愛らしく、思わず笑みがこぼれてしまいそうになってしまう。

一瞬起きるのかなと、身構えるも和人君は起きずに、すっとまた眠り込んでしまう。

よほど眠いのか、和人君はなかなか起きない。

この所、ずっと課題とか一生懸命だったもんね。

駄目だよ。

ちゃんと眠らなきゃ。

君は何かに夢中になると、ううん、思い込んでしまったら本当に周りが見えなくなってしまうんだから、まだ勉強や課題の事で一生懸命になるのはいいけど、身体を壊したら元も子もなくなるんだから。

そっと視線を下して私の膝で寝息を立てる和人君に視線をやる。

 

……本当に幸せだなぁ。

 

そう言っても言いくらいに、私は和人君の笑顔が大好きで、あの無防備なそれでいて、私の心を癒してくれる彼の存在を独占したがっている。

 

……私は独占欲が強いのかな……

 

でもどこの誰よりも、私は和人君を独占したい。

こうして膝の上で、和人君を寝かせる役を誰かに奪われたくない。

この寝顔も、彼にご飯を作ってあげる恋人としての立場も、キミの全てを私だけのモノにしたいこの独占欲は、どうしようもできない程、私の内で大きくなってしまっている。

彼がいなくなってしまったら、どうしよう。

ずっと傍にいたい。

でも、これから先、どうなるのかなと、私の心の内には不安がある。

この学校を卒業して、大学に進学して、和人君と結婚して、家庭を持って、幸せに暮らしていきたい。

でも、もしかして、途中で何かあったらと、不安もある。

いつもが平穏無事な毎日はないのは知っている、でも、そんな未知なる不安に負けて和人君の傍に離れたくはない。

もし、和人君が危ない目に合えば、

そんな不安があって、独りよがりな想いが私の内にはある。

昔の私は、そんな事を考えもしなかったのに。

すっかり、変わちゃったな。

キミに恋をして、大好きになって、想いを遂げて、毎日を過ごしていく事で、私もキミもどこかが変わっていく。

キミは成長している。

でも私はと、不安になってしまうことがある。

現実に戻っても、私は何も変われていない。

お母さんとも、和人君の事でちゃんと話し合うこともできない。ううん、自分から話し合う勇気がなく、その気持ちを和人君に知られたくないと、隠してばっかり。

 

……こんなんじゃ、嫌われちゃうかな……

 

和人君に嫌われたくないな。

こうして昼寝をしている時のキミを見て、今、こうして時間が止まっている今が、止まってほしいと思ってしまう自分が、どうしようもない意気地なしだと思えてしまう。

でも、この時間が過ぎてほしくはないと、私は和人君の頬を撫で、すべすべの柔らかい肌の感触を感じながら、サラサラの黒髪の感触を指で確かめ、和人君の存在を確かめていく。

今、和人君はここにいる。

私の傍にいてくれている。

私の大好きな彼は今ここにいるんだ。

ずっと、傍にいてほしい。

 

……このまま持って帰っちゃおうかな……って、違う! 

 

……も、持って帰りたいだなんて……また、そんな事……

 

でも和人の寝顔を見ると、胸の中が熱くなってしまって、今みたいな危ないことを考えてしまう。

私、少し危ないのかな。

正直な気持ちで言えば、和人君を独占したいけど、持って帰りたいだなんて……うう、和人君に知られたら、絶対にからかわれそう……

 

だって、しょうがないじゃない。

和人君の寝顔は本当に魅惑に満ちているし、こんな寝顔を見ちゃえば誰だって、私みたいになってしまうよ。

すごく熱くて……興奮してしまう。

どうしてだろう。

この寝顔は、すごい魅惑──誘惑に満ちている。

 

……柔らかそうな唇。

 

……本当に、柔らかいよね。

 

自然と、私は和人君の唇に指を触れさせ、ふにっと柔らかい彼の唇の感触を感じながら、胸を高鳴らせていく。

和人君の唇の柔らかさを確認し、唇の上をなぞり、感触を楽しみ、和人君の温もりに染まった指を、私の唇に触れさすと、すごく身体が熱くなる。

そして、

 

……キスしてもいいかな……

 

眠っている和人君にキスをしたいと衝動が沸いてしまう。

うう、なんかすごく危ない気がするけど……今の和人君が愛おしくて仕方がないし、どうしてもしたい気持ちが強くなってしまう。

本当に和人君は、私を誘惑しちゃうんだから。

 

どうしよう。

 

我慢できないなぁ。

 

ねえ、和人君……キスしてもいい。

 

答えてくれないのは解っているけど……一応断わっておくね。

 

キスしちゃうよ……

 

いいの……

 

いいよね……

 

欲望に負けるように私は、和人君の唇に顔を近づけてしまう。

解ってる。

こんな事、卑怯だってわかっているけど、でも、眠っている和人君とキスをしたい、この衝動はどうしても抑えられない。

いつからかな。

和人君の事で、抑制が利かなくなってしまうほど、欲望に身を任せるようになってしまったのは……たぶん、この現実世界に戻ってこれたからだと思う。

ALOに囚われて、和人君に助けられて、あの病室で目を覚まし、キミと現実でキスをした時から、私は君の虜になってしまった。

和人君は現実にいる。

あの世界だけの存在ではなく、ここにちゃんといる。

でももし、キミが現実にいなかったらと、不安があった。あの病室で一人で目覚めたとき、身体の痛みよりも、失われた2年間を考える気の重さよりも、和人君は来てくれるの……ううん、本当にいるのと、不安が一番強かった。

でも、あの病室でキミとキスをして、本当にうれしかった。

和人君がここにいる。

 

 それを……確かめさせてね。

 

 彼を起こさないように、そっと顔を近づけると、吐息が強く感じられる。生きている鼓動の強さ、私の内にある和人君の想いが限界に来ていた事を証明してくる。

 もう我慢できない。

 早く和人君にキスをしたい。

 あと少しで唇に触れようとしているけど、近づくことがすごく怖い。

 昔童話で見た、眠り姫にくちづけをしようとした王子様も、こんな気持ちなのかな。

眠り姫か……和人君がお姫様か、あながち間違いでもないけど、やっぱり和人君は王子様だよね。

 

 お寝坊な王子様にキスをしてもいいですか。

 

 和人君。

 

 彼の頬にそっと手を乗せ、顔を近づけていく。

自分でも大胆に思える行為だけど、自然と何の躊躇いも、恥じらいも沸かない。彼にキスをする行為は誇らしく思えるから……

 

「……んん、ん? あ、明日奈?」

 

 え?

 

「……えーと……これは?……」

 

 な、な、なんで。

 

「あの、明日奈さん? その……顔が近いですよ」

 

 もう、なんで! 

 

「おきちゃうのよぉ!」

「ご、ごめんなさい! すぐに起きます」

「だめ、起きちゃダメ!」

「むぎぃ」

 添えていた手で強く和人君を抑え、そのまま力任せに拘束してしまう。

「もう、なんで起きちゃうの! 信じられないよ! もう!」

「……なんかごめんなさい……」

 謝る和人君の声に、私はむくれてしまう。

 だけど。

「……あのー、明日奈さん」

「なに、お寝坊さん」

「いつまでこうしていればよろしいのでしょうか?」

「知りません!」

 

 あーん! 自分でも踏ん切りつかないよ! 

 

もう、全部和人君のせいなんだから! 

 

「ねえ、明日奈……さっき何をしようとしていたの?」

「!」

 

うう! 聞かれちゃった! 和人君に聞かれちゃったよぉ!

 

「もしかして……」

「……知らない」

「……キスを──」

「だから知らないってば!」

 もう、聞かないでよぉ。

「……ちゃんとしてほしいなぁ」

 え?

「するんだったら、最後までしてほしいな」

 か、和人くん。

 え、あの。その。

「しないの?」

「し、しないわけ……ないよ」

「じゃあ、お願いします」

 うう、そんな笑顔で見ないでよぉ。

 

……でも……せっかくだし……

 

「じゃあ……和人君……目を瞑って……」

 

「……はい……お姫様」

 

「……もう、ふざけちゃ駄目……王子様……」

 

 目を瞑る和人君に私はそっと唇を下ろし、和人君に深く口付けをする。

 

 秋の初めの午後。

 共に過ごせる穏やかな陽だまりの中、キスはお日様の味がしたような気がする。

 

                                 END

 

 





 いかがでしたか?

 この話を思い付きくきっかけになったのは……ソードアート・オンライン第2話のキリトさんとアスナさんのALOでのイチャラブです。

 リズさんの「学校でもALOでもイチャコラしまっくててからに」

 たぶんこんな感じなのかと思い書いてしまったのがこの作品です。
 またCMのアスナさんのキリトさんの寝顔を見ているなど……萌えます。
 少女漫画で彼女が彼の寝顔を見ている色と思うシーンを書いてみましたが、いかがでしょうか?
 感想お待ちしております。

 あと、アニメ18話。
 複雑でした……最初はキリアス風味なのに、結城家のあれは……とくにあの三馬鹿を見た時は下種郷を思い出してしまいました。
 まあ最後までキリアス風味で最高でしたが!
 明日奈さんの実家事情など色々とありますが、最後は必ず結ばれてほしいです。
 
 では、ありがとうございました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。