小説の林堂 二次創作 小説「ソードアート・オンライン この現実世界にて」 作:イバ・ヨシアキ
みなさんこんばんわ。
イバ・ヨシアキです。
1月が終わってしまいました……ああ、また締め切りを守れなかった……
申し訳ありません。
出来も、まだまだ書き足したい部分がありますが、また改稿に修正をしていきたいと思います。
では、どうぞ。
妻の特権は、旦那様の寝顔を独り占めにできる事だと思う。
桐ケ谷明日奈の一日は、まず私の一番大切な、そして大好きな旦那様である桐ケ谷和人君の寝顔をじっと眺めて、起こさないように頬や髪を撫でながら、小さく漏らす寝息を聴きながら、彼が目覚めるのを待つことが私の一日の始まりでもある。
この特権は、あのソードアート・オンラインに囚われてから、君と過ごす時間の中で君への想いを知り、ようやくに想いを遂げることが出来て、一夜を過ごして、身体を重ねて彼から告白されて結婚して、22層のマイホームで過ごしていた時から、私はずっとこうして彼の寝顔を眺めるのが大好きで、例えそれが現実に戻った学生時代や大学生時代でも変わらずにずっと彼の寝顔を吟味することが、恋人そして妻の特権だと思っている。
無論、この神聖な特権を誰かに譲渡する気もなく、これからもそして終生私だけのもの。大人になっても全然変わらない君の寝顔。
そして変わらない君への気持ちを再確認できる。
「……キリト君……大好きだよ」
と、私はそっと耳傍で呟き、頬をキスしながら、彼を抱きしめる。
キリト君。
和人君。
あの世界のキリト君。
この世界の和人君。
二人を独占し、私だけのものにしているんだと想うと、よち幸せな気持ちに浸れてしまう私は、そのつど思ってしまう。
「どんなに歳を重ねても……私は君の事が好きなんだ……」
結婚して、夫婦になって、家庭を持って、優衣ちゃん、優治緒ちゃん、木綿季ちゃんの三人の子どもを持って、その子たちにお母さんと慕われている私は、なんて幸せなんだろうと、幸福を感じてしまう。
この幸せは君が持ってきてくれたものだと思うと、さらに私の気持ちは君への異存を高めていく。
もし、あのゲームが存在しなくて、2年も囚われる事もなく、君に出会わないまま、あの無機質な人生を過ごしていれば、私は、今のこの幸せを手にできていなかったかもしれない。
ううん、そんなことはない。
あのゲームに囚われる事なく別の人生を過ごしていても、私は必ず君と出会って、こうして結婚して、同じような人生を過ごせると思う。
……だって君とは運命がつながっているから……
私は和人君の胸に手を置き、鼓動を確かめる。
この鼓動も私だけのものだと確かめながら、その音をもっと聞きたくて、私は和人君の胸に耳を当てる。
優しい鼓動の音。
今日も心地良いよね。
また眠っちゃいそうだよ。本当に君の心音は子守唄身みたいに心地良いよね。それにこうして君の匂いを嗅ぎながら、この音を聞くと、すごく幸せな気持ちになってしまう。
あ、でも寝ちゃったらご飯を作れなくなっちゃうし、それにせっかくのお休みでも、みんなと過ごしたいし、あの子たちも起こさないといけないし、今日も沢山やることがあるよね。
でも、あと少しだけ。
聴いて良い。
ほんの少しだけ、こうしても良いよね。
鼓動の音を耳の中に落とし、澄ましていく中でウトウトと瞼が重くなり、和人君の暖かさが羽毛のようにふっくらとして、このまま意識の全てを預けても良いかなと思えるように、私が君に甘えていると──
「……んん……」
声を漏らす和人君の声。少しドキッとしてしまう私は、まだこの彼の寝息を漏らす仕草には弱いなと思う。
すると、
「ひゃん!」
裏返るような声を漏らしてしまい、和人君を起こしてしまったんじゃないかと慌ててしまいそうになるが、和人君は時折こうして私が身体を重ねると無意識に抱きしめてしまう癖がある。寝ているのに、私を抱きしめてくれるこの仕草も大好きで、こうされるのも私は大好きである。
こうされていると、本当に君に包まれているような気がする。
木綿季ちゃん、優治緒ちゃんの二人が生まれた時も、和人君が優しく抱き上げてくれるのをみて、この二人も私と同じ心地よさを感じていると思うと、すごく幸せな気持ちになれた。
和人君が私の子どもを抱いてくれる幸せ。
お母さんになるって、こんな気持ちになれるんだとその温かい気持ちを感じる中で、私は自分の母も、私を生んだ時にこんな気持ちを抱いてくれていたんだなと、母親になってから、感じるようになることがある。
私は、母と衝突したことがあった。
和人君の事や学校での事、そして君と私を繋いでくれた仮想世界の事で、私は生まれて初めて母に反抗してしまった。
あの時のお母さんの気持ちも今なら解る。
子どもを持つと、いつも気が気ではなくなってしまう。
長女の優衣ちゃん。
長男の優治緒ちゃん。
そして末妹の木綿季ちゃん。
三人の母親になって今を生きていく中で、いつかこの子達と考え方で衝突してしまう日が来るのかと、不安を抱く日がある。
あの時。
私に、母へと一歩踏み出す機会を与えてくれたのは、ユウキの想いだった。
紺野木綿季。
過酷な運命に堕ち、それでもなおも挫けずに、精一杯に生き抜いた私の一番の親友である少女の名前。
その名前を私の娘に木綿季と名付けたのも、彼女が私の娘として、そして、あの娘のようにどんな過酷な事にでも立ち向かえるようになってほしいから名付けた名前。
和人君も、一人の親友を失い、その名前を優治緒ちゃんに授けた。
私も、和人君も同じように親友に救われ、親友を失ってしまった。
だからユウキをそのまま木綿季として、私の娘に授けた。
あの娘のように成長してほしかったから。
日に日に成長し木綿季ちゃんはユウキとして生まれ変わったかのように思えてしまう。でも、私もいつか、あの時のように、優衣ちゃんか、優治緒ちゃんか、木綿季ちゃんと衝突してしまうのかな。
ううん、和人君と衝突してしまうかもしれない。
もしそうなってしまったら、あの時の私みたいに、この子達の前に親友と呼ぶことのできる人がいてくれたならと思う。
先に見えない未来。
でも、あの浮遊城に囚われてしまった時とは違い、どこか待ち遠しい未来でもある。
和人君となら、何の恐怖もないから。
私は、君の妻になった。
いつも君の傍にいる事のできる存在。
こうして君の鼓動を聴き、温もりを感じて、これからも一緒に生きていこうね。
「……和人君……大好きだよ」
「……俺もだよ」
「え?」
和人君の手が私の頭を撫で、
「おはよう、明日奈」
目を覚ました和人君の声に私は、
「おはよう、和人君」
挨拶を交わし、今日も一日が始まる。
でもその前に……
目覚めの口付けを交わして、今日も一緒に生きようねと、私は寝ぼけ眼の彼に口付けをする。
これも私だけの特権だから。
桐ケ谷明日奈の一日の始まり END
小生はアニメ版のキリトさんとアスナさんの新婚生活が気に入っております。
特にアスナさんがキリトさんの寝顔を見て幸せになりながら、
「大好きだよキリト君」
と、あのセリフは破壊兵器です。
現実に戻っても、間違いなくアスナさんはキリトさんの寝顔を独り占めしているのでしょうね。
携帯ゲームのCM「エンド・オブ・ワールド」を見るたび、そう思いました。
正直まだ描き足りない部分がありますので、改稿をしながら掲載していきたいと思います。
では、最後までお読みくださりありがとうございました。
またお会いしましょう。