小説の林堂 二次創作 小説「ソードアート・オンライン この現実世界にて」 作:イバ・ヨシアキ
え、皆様こんばんわ、御無沙汰しております。
イバ・ヨシアキです。
また遅れてしまった……本当に申し訳ありません。
4月1日だよ。
嘘の日だよ……
3月は更新できなかった……4月は絶対に更新したい、しまくりたいです。
なんとかシノン編の続きも完成させなくては!
でも、なにわともあれ今日はキリアスです。
明日奈さん妊娠話その2
今回はキリアスモードです。
砂糖を吐けてくださったら、作者冥利に尽きます。
では、どうぞ。
気を利かしてくれたのか、京子さんが優衣と共に売店に行くのを見送り、俺は明日奈の元へ向かうと、
「会いに来てくれて……うれしい」
「おっと!」
ベットから飛び起きそうな勢いで抱きしめてくる明日奈の強烈な抱擁に思わず驚いてしまう。二人っきりに気を利かしてくれた優衣と一緒に売店へと向かってくれた京子さんの気づかいに感謝しながら、せっかくだしと、久しぶりに明日奈を抱きしめさせてもらう。
「ふふ……和人君♪……和人君♪」
子猫のように甘える仕草な彼女の身体の温もりと甘い香りが伝わってくる抱擁から零れる、彼女の満面の笑みが、いつもよりまぶしく見える。
そんな甘えたがりな、俺の奥さんに、
「すっかり甘えん坊さんだな、そんなに寂しかったかい」
「うん……それに、やっと仕事終わったんでしょ? こうして和人君を抱きしめるの、本当に久しぶりだもん♪」
「久しぶりって……まあ、そうだよな……」
だったらせっかくだしと、俺も明日奈を抱きしめる。
「ふふ♪ 和人君にギュッとされると、すごく幸せ♪」
「抱きしめるだけで満足?」
その問いかけに明日奈は、
「……キスもしてくれたらうれしいかも……」
と、照れながらおねだりをしてくる、そんな可愛らしい奥さんのご要望に、
「じゃあ、遠慮なくに」
「……ん!」
甘えた声を漏らした妻の唇を塞ぎ、久しぶりのキスを互いに堪能する。最近は寝ている明日奈に口付けをするだけで、こうしてゆっくりとするのは久しぶりだった。
明日奈も嬉しいのか、いつもよりも積極的に長く口付けてくれる。
「……んん……ん……」
くすぐったいのか声をくぐもらせながらもキスをしてくれる明日奈の内には、俺の子どもがいる。
この大きくなった彼女のお腹の内には、二人分の命が息づいているんだと──いや、彼女に創られたんだと、俺は、手を震わせて宿してくれた命を、そして俺の命を分けて宿してくれた二人を愛おしく、その温もりを身近に感じたく、掌でそっと撫でた。
トクンっと暖かく、時折ゆっくりと胎内で動く子の胎動が温もりと共に感じてくる。
今、二人は生きているんだと、その命の存在が明日奈の内にいるんだと、その温もりをもっと感じたく、俺はキスを続けたまま彼女のお腹をそっと撫で続けた。
すると、
「く、くすぐったいよ……か、和人君……あ、あんまりさわちゃ、だ、ダメだよ……」
と、どこか切なそうに唇を離して、それでいて可愛らしく漏れそうな笑みを堪える明日奈からの声を聴き、俺は心地よい感触を伝えてくれた彼女のお腹から手を離し、彼女を見つめる。
キスをして満足したのか、顔がどこか眩かった。
あの世界、アインクラッドで細剣を持ち戦う彼女を美しく、流星のような瞬きの彼女だと、その華麗さに見入っていた時から、俺は明日奈の美しさの全てを知ったような気がしていた。
でも、今の妊娠している彼女が、本当に一番美しいと思えるのは何でだろう。
子を宿しているからこそ、こんなにも美しくなれるのかと、やはり母親になる女性は綺麗なんだと、今の明日奈の美しさに、俺はすっかりと魅了されていた。
お腹を大きくし、愛おしそうにその内に抱く子どもを優しく愛してくれる明日奈の笑顔は、さらに美しさが増したようにも思える。
恋人から妻になり、そして母親になる彼女が、本当に愛おしかった。
俺の事を恋人として受け止めてくれて、そして結婚して、今君は母親になるんだと、そして俺は父親になるんだと、どこか不思議な気がしていた。
父親……か、この子達に俺は何を教えてやれるんだろう。
勉強とか、世の中の事とか、そんな事以外の事をちゃんと教えてやれるのかな。いや、それよりも俺はちゃんと父親として、二人の事を見てやれることが出来るんだろうか。
成長していく中で、かつての俺みたいに両親と隔たりを作ってしまう時期が来るかもしれない。
その時、ちゃんと向き合ってやれるんだろうか。
いや、ちゃんと向き合って、例え喧嘩しても、真正面から父親としてそのこの想いを受け止めてやろう。
そして、何かに迷った時は、見守ろう。
もし一人で答えが出せないときには、力になろう。
そんな父親になるんだ。
「どうしたの、和人君? そんなにお腹ばかり見つめちゃいやだよ……恥ずかしいから……」
ふと、彼女から名を呼ばれて視線がずっと彼女のお腹に注がれていたんだと、少しばかり気恥ずかしくなってしまい、
「いや……なんか不思議でさ」
と、気をはぐらかすことしかできなかった。
「……俺が父親になるなんて、なんか……さ……すごく、うれしくて」
「私も不思議な気がするよ……今、この内にキミの子どもがいるんだって、そしてもうすぐしたら、私はお母さんになれるんだって思うと、なんかすごくうれしいな……」
「明日奈も同じなんだ」
「うん……親になるってこんな気持ちなのかな?」
お腹をさすりながらに尋ねてくる明日奈の横顔を見つめながら、
「俺も、そう思うよ」
自分のお腹を愛おしくさする明日奈の手の甲にそっと手を乗せて、
「すごく、幸せだな……ほんとに……」
「うん」
手の甲に触れていた俺の手に、明日奈はもう片手を乗せて、ぎゅっと握りしめながら、そのままおのれ胸元に顔を埋めてくる。
「大好きだよ……キリト君」
アバターネームで、そっと呟く彼女の声に、
「……い、いきなり反則だぞ……そ、それに、キリト君って、なんか改めて言われると、すごく恥ずかしいな……」
「ふふ、この子達は和人君の子どもでもあるけど、キリト君の子どもでもあるんだよね」
キリトの子どもか。
あの世界で剣を振るい戦い抜けた黒い剣士。そしていつも傍にいて戦ってくれた、閃光の剣士の両方の、その血も引いているんだと、どこか不思議な気がした。
「この子達にも、いつかALOを一緒にやらせてやりたいな」
明日奈と俺がいた世界、そして出会えた世界を見せて上げたいと、何気に思う。
「あ、そうしたら新しいアミュスフィア買っておかなきゃ二人分」
「まだ気が早いよ……たぶん、小学生の中学年ぐらいからがいいんじゃないのかな?」
「その時はアミュスフィアも新しいのが出ているのかもしれないよね」
「もっと、別なものになっていたりして」
まだ先のわからない、未知な未来の話をすると、何故か心が弾んでしまう。明日奈もその内奥が楽しいのか、声に弾みがある。
そう、この子達には沢山の未来が待っている。
その中で俺や明日奈は傍にいてやることが出来る。仕事で帰ってきたとき、あの家に明日奈がいて、子ども達がいる事を想像すると、楽しくて仕方がない。
娘にお父さんと言われると、何か気恥ずかしいな。
それとも優衣みたく、パパと呼んでくれるのかな。男の子の方は、俺みたいに親父とか言う日が来るのかな。
親父か。
そう呼ばれるときに、俺は親父らしい威厳があるのかな? この際、髭でも伸ばしてみようかな。
でも、明日奈がどうおもうか……
「和人君、髭を伸ばしちゃ駄目だよ」
「え、い、いきなりなにを」
「和人君が考えていることは解りますよ。顎をコシコシしたらね」
「うーん」
相変わらずな我、良妻の察し具合に驚きを隠せない。
「なんでもお見通しなんだな」
「そりゃあ、なんたって私は貴方の妻なんですからね。それに和人君が前に自分には威厳がないなって、鏡を見ながら悩んでいたのを知っているんですからね」
「うう、御見それいたしました」
「よろしい。それに和人君って、お髭はあんまり生えないでしょ。伸ばそうとしたら、この子達が大人になる頃じゃないかな」
「さすがにそれは、もう伸ばしても意味がないかな」
「じゃあ、伸ばさないように。約束だよ♪」
「ああ」
確かに、明日奈が言うように、俺はあんまり髭が伸びない。
体質的なせいだと思うが、こればかりはどうしようもできない事だ。付け髭を付けるわけにもいかないし、もっと別な方法で父親らしさを出すしかない。
まあ、髭が生えないせいで、いまだに職場では時折学生と勘違いされてしまうが、これもしかたがないなと、とりあえず父親らしさはもっと別な方法で考えてみよう。
「それに和人君は今のままで十分、お父さんらしいよ」
「え、そ、そうかな」
「うん♪」
明日奈にそう言われると少しばかり自信が出てくる。
「だって……今日まで頑張ってくれていたんだよね?」
「?」
「お母さんに聴いたの……和人君が最近大学で頑張ってくれていたって」
「ああ……」
京子さんから聴いていたのか……そう言えば、部屋であった時に、なにか会話をしていたよな。
「ありがとう和人君。でも、無茶はしちゃ駄目だよ。キミに何かがあると、私……」
表情を暗くする明日奈の顔に、
「ごめんな、隠すつもりはなかったんだけど……」
「謝らなくていいよ……私が、その……不安なせいで、本当にごめんね」
今にも泣きだしそうな彼女の顔に、俺は思わずそっと手を振れてしまう。
「か、和人君」
「悲しい顔したら、お腹の子どもが心配しちゃうぞ」
「あ、そ、そうだよね……」
明日奈が触れるお腹を見て、
「なあ、明日奈」
「なあに和人君?」
「その、触って良いかな……その直に」
「え?……それって……お腹を……出すの?」
「うん……」
我ながらどうかと思うが、直に肌を通じて彼女の内にいる子どもの胎動を感じてみたかった本心から、そう訊ねてみると、
「……いいよ」
と、恥ずかしそうにしながら上半身のマタニティパジャマを捲り、お腹を見せてくれる明日奈。絹糸のゆりかごのように思える、彼女の柔らかく膨れたお腹に、俺は恐る恐ると、そっとしながら、手を置いた。
「……ん」
先程よりもくぐもった声を漏らす明日奈に鼓動を逸らせてしまいそうになるが、こつんと胎動する振動を感じると、そんな逸りも落ち着いてしまい、じわりと来る温もりを感じながら、明日奈のお腹の温もりを瞼を閉じながら自分の感覚の中に記憶していく。
この温もりが、この子達の命なんだと改めて理解しながら、
「明日奈……本当に、ありがとうな……俺の子どもを身籠ってくれて……絶対に、良い父親になるよ」
「和人君……」
「その、耳当ててもいいかな?」
「え、あ、あの、耳を当てるの? このまま……」
「だめ?」
「……いいよ、でも、本当に耳を当てるだけだからね」
「うん、耳を当てるだけ……」
そう言いながら俺は明日奈のお腹に耳を近づけ、そっと頬をすり寄せた。
「んん……ん……」
こつん、こつん。
確かな胎動が聞こえる。
二つの命の音。
確かに、明日奈のお腹の中にいるんだと、改めて思うと、自然と胸の奥が熱く高揚してしまう。
何だろう、この気持ちは。
たぶん、これが愛おしさなんだろうな。
「か、かずとくん……その……」
照れている明日奈の声が聞こえるけど、もう少しこのまま聞かせてほしい。顔を埋めるようにして、俺は自然と明日奈のお腹にキスをしてしまう。
「ひゃん……ちょ、ちょっと……おなか……いま、び、敏感で……」
彼女の手が顔を押さえ引き離そうとしてくるが、もう少しだけと、少し強めに彼女のお腹にキスを続ける。
つんっと張ったお腹の表面を吸うような口付けをすると、
「……やぁん……か、かずとくん……」
頬を赤らめながら、乱した呼吸を抑え込むように、俺からのキスを受け入れてくれる。張ったお腹の肌の感覚から命の宿りを感じる。口付けした部分から胎動の振動が唇へと伝わり、その振動を俺は心の内に沈めていき、そして唇を離した。
蜜に濡れたような瞳が潤みながら、俺に拗ねたような視線を向けてくる。
「むぅ……かずとくん……」
うう、そんな目で睨まないでほしい。
つい、したくなってしまった自分の押さえられない衝動に、我ながら恥ずかしいとは思うが、今のこんな愛おしい奥さんの姿を見たら、誰だってな。
とりあえず、だ。
「明日奈……パジャマ直した方が良いぞ」
「……うん」
いそいそと捲ったパジャマを戻す明日奈の仕草がどこか可愛く、見ていて癒されるような、そんな仕草を見ていると、パジャマを戻した途端、頬をグイッと抓られてしまう。
さすが閃光と、妊娠していてもその動きには衰えはなかった。
「いひゃい」
痛いと言うも、明日奈は抓るのを止めずに、
「いきなりキスはないと思います。驚かせるなんてダメだからね」
「ひゃい、ひゃい」
はいと連呼するもうまく発音できず、間の抜けた返事のように聞こえるが、一応に誠意は伝わったのか、明日奈の指が緩み、抓りの拘束から抜け出せ、ちくりと痛む頬を撫で、痛みをほぐしていると、
「どうして……その……お腹に……キスをしてくれたの……」
恥ずかしそうに訊ねてくる彼女の問いに、
「その……つい……」
言葉にして言う事を少しためらいそうになってしまうも、本心は逆らえずに俺は、
「そのお腹を見ていると……キスをしたいって思ったんだ……大切な子どもがこの中に宿っていると思うと……その、したくてたまらなかった……です」
「そ、そんなこと……真顔で言っちゃ……やだ……」
「そうですよね」
互いに顔を真っ赤にする俺と明日奈。
愛おしさが余計に増していくせいか、言葉が詰まってしまう。
ただ言ってしまう本音が自分で言うのもなんだが、気恥ずかしいとは知っていても、全て混じりけのない事実なのでどうしようもない。
妊娠している彼女の神々しさに完全に魅了されているせいなのかもしれないなと、我ながらに自重の利かない暴走だとは思うが、今のこの彼女を見るだけでも、正直全てをかけて愛したいと行動の全てが暴走してしまいそうだった。
それだけ明日奈の事が好きなんだなと、改めて思うし、幸せ過ぎるとどこか怖いと思うと言うけれど、その意味がようやく分かったような気がする。
この幸せをずっとそばに置いていたと、俺は浮かれているんだなと思う中で、
「……だったら……ちゃんとしてくれなきゃ……嫌かも……」
「はい?」
真っ赤な顔を隠した明日奈は手を下に下ろしながら、
「だから……お腹にキスをしてくれるなら……その、ちゃんと言ってほしいかも……」
ちょっとまて。
明日奈。それはちょっと。
「……その、言ったら、してもいいのか?」
「……うん」
再確認するかのように尋ねると、彼女は小動物の仕草みたく──こくんと、頭を下げ、こちらの答えを待ってくれていた。
だったらと、
「……その、お腹にキスを……してもいいかな」
「……うん……」
その静かな返事の後、明日奈はマタニティパジャマを捲り、お腹を見せてくれた。先程キスをした部分に痕が残り、我ながらに背徳的な感覚が高揚してしまう。
「じゃあ、遠慮なく」
「だから、そういうセリフは──ひゃん!」
抗議を上げる前に、俺は今度こそ不意打ちではなく、ちゃんと思いを込めた祝福を伝えるように、二人の子の眠る明日奈の胎内にキスを送った。
……でも、そんな二人を見て、困っている人影が二つ。部屋の扉の隙間から覗いていたことに、流石の二人も今は気づけなかった。
「おばあちゃん、入らないんですか」
売店で購入した飲み物四つを入れたビニール袋を手から下げた孫娘の優衣から尋ねられ、
「うーん、もう少しだけママとパパだけにしてあげましょうか。優衣ちゃん、おばあちゃんと一緒に喫茶店に行こうか」
今この場で入ると、流石に気まずくなりそうだったので、とりあえずはもう少しだけ孫と一緒に過ごさせてもらおうと、京子は優衣にそう言い、
「? はい、解りました」
不思議そうに首をかしげも、おばあちゃんと一緒に過ごせるのがうれしいのか笑顔で応える、そんな孫の可愛らしい仕草に満足しながらも、
「ママとパパは本当に仲良しよね。あの子、本当に幸せそう」
「はい、ママとパパは仲良しですよ♪」
笑顔で応える優衣。
「そうよね、あの子なら良い母親になれるわ」
と、夫婦水入らずにわざわざ水を差すことは止めておきましょうと、京子は優衣と手を繋ぎながら、優衣と共にまた下へと降りていく。
そんな気遣いもつゆ知らずに、明日奈と和人の二人は今の時間をゆっくりと過ごしていた。
自分のお腹に口付けしてくれる温もりを受けながら、心穏やかにさせる明日奈のと和人の時間は、育まれる命を祝福する為に流れていった。
この小さな命に祝福を END
えー、最後までお読みいただいてありがとうございます。
明日奈さんご懐妊話のキリアスサイドをやはり書かなければ、いや書きたいと思い書かせていただきました。
どうでしょう?
砂糖を吐いていただけましたか?
ラブラブはやはり難しいものですね……
実は妊娠話編はもう一つ考えているのですが、優衣ちゃんに優治緒、木綿季の妹の話なのですが……
四人姉弟にしてしまおうかなと、最近考えてしまっている自分がいる。
ああ、他にも書きたい作品があるのに……仕事がぁ、シフトがぁ、アニメがぁ……とりあえず頑張ります。
4月は投稿しまくりたいです。
では、次の作品でまた。
追伸・本郷刃様。
小生のオリジナルキャラクター・コウシをふんだんに使っていただき、
感謝の極み。
本当なありがとうございます。
この場を借りてお礼を。
アズマオウ様ご卒業おめでとうございます。
ここで祝辞を載せさせていただきます。
近況報告を見た時不安でしたが、無事にご卒業できた事、嬉しく思います。
剣の舞姫様。
上京おめでとうございます。
新しい生活を穏やかに迎えられること、遠い地より祈らせていただきます。
そして、265までにお気に入り登録してくださった読者の皆々さま、
本当にありがとうございます。
これからも小生、日々精進させていただきますので、何卒にまたお付き合いのほどを。
では、また。