小説の林堂 二次創作 小説「ソードアート・オンライン この現実世界にて」 作:イバ・ヨシアキ
現在小生のインターネット環境がXP問題のため、別の場所からインターネットを繋がなければ繋がなければいけないという不備のため、いろいろと苦慮しております。
今後、作品の投稿が滞らないようにがんばる所存で。
では、今回もよろしくお願いいたします。
彼──桐ヶ谷和人君ことキリト君はいつも唐突に私を驚かしてくる。
彼の無邪気なイタズラ心は可愛らしく、また愛おしく、まるで産まれたての黒い子猫のような、小さな前足でぽんぽんと叩いて、おなかを向けてごろごろと転がる甘えたしぐさ見たく、身を寄せ私に甘えてくる。
その不意で唐突なイタズラは嫌いではない。
むしろ私はそんな甘え方が大好きで、時々指でくすぐってくるじゃれ合いや、不意に頬にしてくれるキスや、耳元の甘いささやきなど、彼の気まぐれないたずらが大好きだったりする。
彼のイタズラは、私に対する彼なりの甘え方であり、恥ずかしがりやなキリト君なりの精一杯な愛情表現。
不意なイタズラをして私に甘えてきてくれている合図で、私も甘えて大丈夫だと、お互いに甘え、逢瀬を楽しむのが日課になっていたりもする。
彼を精一杯に抱きしめ、頬をキスし、彼の愛らしい耳元で、
「キリト君……大好きだよ」
と、キリト君にささやき、
「俺も……明日奈が大好きだよ」
と、お互いにささやき、互いの好きを確認し合い、許された限りの時間をすごしていく。
でも、キリト君が甘えてくるのは誰もいない二人っきりのときだけで、最初の頃は、手を繋いで歩くのもすごく照れていた。
誰かに見られたらと、気恥ずかしさに真っ赤にしていた彼。
私も恥ずかしかったけど、それでも頑張って君が手を繋いでくれる愛しさで、そんな外聞も羞恥もまるで気にはならない。
私も、キリト君以外の人、お兄さんやお父さん以外の人と手を繋いだことがない。
そもそも特別な人──恋人として男性と手を繋ぐ日が来るなんて夢にも思えなかった。
過去、私は恋愛に懐疑的だった。
男性とお付き合い。
そんなのは浮ついた気持ちと、恋人同士が手を繋ぐ行為を汚らわしいと見てしまっていた。
昔の私が今の私を知ったらどう思うのかなと、今の自分のあり方を不思議に思う。
でももし昔の私が〝なんで男性とお付き合いしているの?〟と、驚きながら訊ねてきたら、私はありのままに、自分の気持ちを説明する。
キリト君は特別で、愛しているから手を繋いでいたいから……と。
お兄さんやお父さんみたいな手の硬さではなく、とてもやわらかく、暖かくて、やさしい肌のぬくもりがあるから、手を繋ぎたい。
恋人のぬくもり。
愛情の暖かさ。
鳥駕籠から救われ、この世界に戻り、雪降る病室の中で初めて手を握り、口づけた時、私は三つの温もりを君から貰った。
はじめて聴くキリト君の言葉。
キリト君の手のひらと指先の温もり。
そしてキスで感じたキリト君の確かな存在。
戻れた安堵よりも君が現実に居てくれた事の喜びが、私には一番うれしかった。長いリハビリを終えて、君と同じ学校に通うようになり、私達は恋人になった。
君は最初、女性と手を繋ぐのは私が始めてらしく、照れながらも私と手を繋いでくれた。
指を絡ませて手を繋ぐ。
いわゆる恋人繋ぎはこの現実世界に戻ってから、恥ずかしがり屋な彼が、一生懸命にがんばって得た、最初の甘え方。
私も男性と手を繋ぐ恋人繋ぎは初めてだけど、少し恥ずかしいだけで、できればもっと腕を組んで、恋人らしく歩いてみたいと思っているんだよ。
キリト君の恋人。
この世界で彼と恋人なんだと、手を繋ぐたびに、それを実感できる。
そんな身近で、彼の傍にいられる幸せを感じながら、いつもの放課後の下校を楽しみ、季節の花が艶やかに彩る公園へと寄り道兼デートをしながら歩いている。
こうやって放課後に君を独占できると、すごく幸せな気持ちになれる。
「……きれいだね……」
アインクラッドにあったフラワーガーデンとは違い、たくさんの色とりどりの花々の咲き乱れる場所ではないけれど、手入れされた花々が綺麗で、歩道を囲むように咲き誇っている。
花のやさしい香りが心地よく、胸を熱くする安らぎに、私はそっと繋いでくれている彼の手に力をこめた。
指の絡み合いと、彼の熱と温もりがポカポカと増していく。
「キリト君の手って暖かいよね」
「そうかな……アスナの手も暖かいよ」
「そんなことないよ……それに」
手を絡めながら腕も一緒に絡め、甘えるように腕に身を擦り寄せる。キリト君はドキッとしながらジワジワと顔を真っ赤にして、
「こうしたらもっと暖かくなるし、ドキドキするでしょ?」
いきなりの行為に驚いたのか、どきまぎしながら、
「そりゃあ……ドキドキするけど……」
すっかりと顔を真っ赤にしながら返事を返すキリト君の反応が楽しい。
イタズラ成功と私は先制を手にした。
でも私も今ドキドキしてしまっているのは内緒である。
「……恥ずかしいよ……明日奈」
私も恥ずかしいけど、
「いま誰もいないんだし、別に良いじゃない」
そう、誰もいない公園なんだから、こうやって歩く事が出来るの。こう言う時は強気で、押していくのが一番に良い。
キリト君は、とにもかくにも奥手で、それと和にかけた朴念仁でもある。
少し強引に、少し強気でいかないと、彼も大胆になってはくれない。時折、彼は聖人君子なのかと思ってしまうぐらいに、彼は奥手だったりする。
別にもっと大胆に来てくれても良いのにと思うけど、彼は私を傷つけたくないと、大切にしたいと、常にその優しさが先行し、私に対する欲望を押さえようとする。
だからもっと意地悪してやろうと、もっとイタズラしてやろうと、キリト君の欲望の枷を緩めていく。
「それとも、私と手を繋ぐのがそんなに恥ずかしいの?」
拗ねた声で訊ねてみると、
「……まあ、その……」
「へえぇ、キリト君は私にこうされるのが恥ずかしいんだ」
「そ、そんなことないって、すごくうれしいです」
「ほんとうかなぁ?」
「ほんとうだって」
「じゃあ、証明して」
あくまで意地悪な気持ちで彼を困らしてやろうと、私は彼にさらに意地悪をしてしまう。
名残惜しいけど絡め繋いだキリト君の手をすっと離し、彼の前にひょいっと近づいて顔をのぞく。
「は・や・く・証明してキリトくん」
どう言葉を返すんだろうと、私は彼をじっと見つめる。
少し背が高くなった彼の顔を下から覗くと、彼はとても恥ずかしそうに、どうしようと、悩んでいるキリト君の反応が可愛くて、どこか愛おしくなってしまう。
こういうキリト君を見てしまうと、もっと意地悪してしまいそうになる。
昔の私なら考えられない行為をしていると思う。
こんな風に恋人とじゃれ合い、愛おしく思えるなんてと。
こんなイタズラも、恋人どうしだからこそ出来る行為なんだと。
私は、そんな彼とのこういう触れ合いが大好きで、こうやってじゃれあいながら時間を過ごせる事に幸せを感じている。
2年も、あの明日も知れない世界で、誰も容易に信用できない殺伐とした世界にいたのに、私と君はこうやって笑いあえるんだよね。
もっとこの平和な時間を楽しもう。
「ほらほら、ちゃんと言ってくれないとわからないよぉ」
「……むぅ……」
「ほら証明して、──はむゅ!」
もう一回急かしてやろうと、〝ほら早く〟と、言おうとした瞬間。
不意に。
あまりにも不意に。
──キリト君にキスされてしまう。
誰もいない公園の中でこんな大胆な事をするなんてと、驚く間もなく、唐突な彼からのキスに、私は動けなくなってしまう。
硬直し固まっていた私をキリト君はおもいっきり抱きしめ、深いキスを交わしてくる。
「……は……むぅ……ふぁ……」
とろりと、彼の暖かく柔らかい舌が私の口内に入り込み、私の口内と舌に優しく振れ始める。
とろんと頭の中がとろけてしまいそうになるとても濃い熱いキスの途中、キリト君が瞼を閉じることなくしっかりと見開いて、いたずらっぽく微笑んでくる。
にやりと意地悪そうに微笑んで、また強めにキスを強めてくる。
ふにゅっとキリト君の舌が、私の舌をからめ、無理やりにキリト君の口内に連れ込まれてしまう。舌を戻そうとすると、舌を強めにからめ、私が舌を戻せないように縛り、すっと酸素まで吸い取られていく。
呼吸が荒く、私は手で彼の背中をぽんぽんと叩くが、余計にキスを強めてくる。
──もう、だめぇ……
──これいじょうはだめだよぉ……
と、今頃、いやらしく潤んでいるだろう視線で抗議するも、彼はやめてくれない。
むしろ余計に意地悪に、キスを強めてくる。
じっと見つめてくる黒曜石の瞳の色を見つめ返すことも恥ずかしく、私は瞼を閉じてしまう。視界が閉じられたせいか、キスの感触がより鮮明に感じてしまう。
キリト君の舌が私の舌の上を優しくなぞり、こちょこちょとくすぐってくる。舌の裏も同じようにくすぐり、私の口の中の唾液がトロトロとたくさん分泌されていく。
このままじゃ口から唾液がこぼれてしまうんじゃないかと不安を抱いた、私の心を読んだのか、今度は──
「……ふむぅ……」
私の中の唾液を吸いだすように、唇全てを追うようなキスを強めてくる。
舌をすっと一呼吸で吸われ、それと一緒に、私の口内でトロトロに溜まった唾液がキリト君に飲まれていく。
力が抜けていく。
力が抜けてしまう。
いきなりのキスと、予想しできなかったあまりにも激しいキス。
キリト君にしっかりと抱きしめられていなかったら、私は腰が抜けてしまっていた。うまく立つことも出来ず、ふわふわと身体が軽くなりそうな感覚に気を失いそうになってしまう。
でも、気を失えない。
だってキリト君にキスをされているんだよ。
もし気を失ってしまったら、すごく興奮して、私のどこかでキス以上の事をしてほしいって、キス以上の事をしたいって、欲情が湧いてしまう。
意識が飛ぶ事を許してくれない。
もし飛んでしまえば、彼とのキスが終わってしまう。
このキスを終えたくない。
まだしたい。
もっとしたい。
もっとして。
と、激しい欲情が湧き始めている。
これ以上の事は駄目だよ。
もう、止めなきゃ。
でも、止められない。
止めたくない。
止めないで。
ううう、どうしよう。
もしこのまま茂みか、その……ホテルだったら、とてもじゃないけど拒めないよ。でも、キリト君のキス……止めてほしくない。
「……んん……んんん……」
いつの間にか私はキリト君のキスを味わい感じていた。
羞恥なんてもうなかった。
瞼を閉じ、視界を封じ、彼の舌の感触だけに感覚を集中し、キスをありのまま感じることにした。
ここが公園だとか、人目が無いからと、一般的な倫理なんて吹き飛んでしまった。
もう、このまま身をゆだねてしまおうと、思った瞬間。
──唐突にキスは終わってしまう。
ふわっと彼の柔らかい唇が離れてしまう。自由になった私の舌がぷるんと彼の舌と離れ、口内に戻ってきた。
彼の熱のこもった唾液と一緒に。
ごくんとキリト君の唾液を呑み込み、じわっとくる熱に身を震わせてしまう。
全身が熱く、身体の力が失われそうなほどの、甘い熱が湧いてしまう。
全力疾走したかのような激しい息切れをしながら、ぽうっと意識を泳がしていた私。
口にはまだ彼の感触がねっとりと残っており、ごくりとまた口内の唾液を飲んでしまう。
私の口の中にたまった唾液が、まるで媚薬のように、じわりと熱くなってしまう。
あまりにも甘美で、意識を全てキリト君に捧げても良いと思える、キリト君の媚薬。
彼も顔を真っ赤にして、息を乱している。お互いにぎゅっと腰に手を廻し、抱き合いながら彼も私と同じように口を閉じ、ごくりと吸い取ったであろう私の唾液を呑み込んでいく。
その行為に私はドキリと胸を熱くし、それと同時に意識を取り戻し、
「……これでいいですか副団長──ふが!」
「い、いきなりキスは反則です!」
それとおしおきです。
彼の鼻をむぎゅっと摘み、私は怒った。
とりあえず今のこの気持ちを落ちつけなきゃ。
「もう、キリトくんのばかぁ! こんなところで……こんな……すごいキス……するなんて」
ぷいっと離された鼻をさすりながら、
「でも、証明しろって言ったの明日奈だろ?」
キリト君はにかっと、子どもらしく笑い、
「でもこんな証明のしかたは……」
キスで返事を返してくるなんて。
うう、予想外だった。
イタズラの意外性は君の方が上だよぉ。
ほんとうにきみは、いつも、いつも、私を驚かせていく。
「予想外だった? アスナさん?」
私の今の心中を読んだかのような、いたずらに成功した子どものような笑顔を向け、
「ええ、よ・そ・う・が・いです!」
ほっぺをぎゅっとつねってお仕置きする。
「あひゅな! あひゅな! いひゃいひょ!」
「言い訳は聴きません! 君はすこし反省しなさい!」
いたずらっ子はお仕置きしなきゃ。
でも、ちゃんと……熱くなった責任はとってよ。
……ちゃんと……なんだから……
……責任とってくれなきゃ……ゆるしてあげないんだからね……
end
いかがでしたか?
今回の一番の執筆部分はキスの詳細な描写でした。
原作、アニメ、漫画、他の2次作品など、二人のキスの描写はけっこうなほどにお甘いもので・・・・・・
それがうまくかけたならと、今回の作品でがんばらせていただいた部分でございます。
いかがでしたでしょうか?
また小生が思うに・・・・・・
ソードアート・オンラインの現実世界の高校生生活を舞台にした、少女マンガはいつ連載するのでしょうか?
十分に連載できる内容と思うのですが?
私はキリトとアスナの学園版の少女マンガ版を是非に読みたい。
図書館戦争だって少女マンガになったのなら。
ソードアート・オンラインだって。
でも、実写版ソードアート・オンラインや実写映画版はノウなので・・・・・・だって、ねえ?
では、最後まで読んでくださりありがとうございます。
ではまた。