小説の林堂 二次創作 小説「ソードアート・オンライン この現実世界にて」 作:イバ・ヨシアキ
皆様お元気ですか?
イバ・ヨシアキです。
キリアス小説を掲載いたします。
アニメも順調な出だし、アスナさんの嫁っぷり。
最高です。
特に携帯電話で話し合うシーン最高でした。
できればキリトちゃん(GGOアバター)での、キリアスを見てみたい気が。
では、本編です。
21時。
今日もあとわずかで一日が終わろうとしています。
夜が更け、通りの車も少なくなり、静かな鈴虫の音がゆったりと響いています。子どもたちも残りの少ない夏休みを謳歌し、日々たくさんの思い出を作っています。
そして明日も、あの子たちは思い出を作る事でしょう。
思い出。
電子のプログラムとしてしか存在できなかった私が、今こうして人として生きて、お父さんと、お母さんの居る、この現実の世界に訪れる事が出来てから、私の思い出もたくさん増えました。
この世界に訪れる事が出来た日。
初めてお父さんとお母さんに触れることが出来た日。
お父さんとお母さんが結婚した日。
あの子達、二人が生まれた日。
お父さんとお母さんが嬉しそうに産まれた二人を抱きしめて、私があの二人のお姉さんとして迎えられた事が嬉しくて、涙を流せたあの日は最高の思い出です。
これからもたくさんの思い出を作りたいと、こうして現実の世界の中で願える事は本当に幸せな事で、かけがえのない事だと思います。
それにその思い出のおかげで、あの子達のおねむのおとぎ話を聴かせてあげられる時間を手にする事が出来たのですから。
二人ともこのお話が好きで、何時も寝る時は必ず聞かせてと言ってくれるのがとても嬉しくて、私は
「木綿季ちゃん、優治緒ちゃん。おまたせしました」
「あ、ゆいちゃん」
「こら、ゆうき! 優衣おねえちゃんだろ!」
「えーだってゆいちゃんは、ゆいちゃんだもん!」
「だーから、ちゃんとおねえちゃんって言わなきゃダメだろ! お前も来年から小学生なんだから、ちゃんとことばづかいおぼえなきゃだめなんだぞ」
「むう、ゆうじおそればっか、わたしまだようちえんでいいもん」
「そんなことできるわけないだろ」
「ほらケンカはだめですよ。木綿季ちゃん、優治緒ちゃん」
「うん、わたしけんかしない♪ ゆうじおもけんかしちゃだめだよ」
「だれもけんかしてないだろ。もう、優衣おねえちゃん、ゆうきにあまいんだから」
「ふふ、そんなことありませんよ。優治緒ちゃんも木綿季ちゃんもどちらも大好きですよ」
「えへへ、ゆいちゃんだいすき」
「ちゃっかりしているなゆうきは」
「さ、もうおねむの時間ですよ。いまからお話をしてあげますね」
「うん、きかせてきかせて」
「はやくききたい」
「二人とも本当にこのお話が好きなんですね」
「うん、だいすき♪」
「だって黒の剣士のキリトと白の剣士のアスナってかっこいいんもん」
「わたし、くろのけんしのきりととしろいけんしのあすな、すきだよ♪ だってきりとはつよくて、あたまいいし、やさしいし、あすなもやさしくてりょうりがうまくて、きれいだもん。まるでママみたい♪ それにくろのけんしのきりとのことだいすきなんでしょ♪ わたしもしろのけんしみたいになりたい♪ そしてきりとみたいなおよめさんがほしいな♪」
「ゆうき、キリトは男だからお嫁さんじゃなくて、お婿さんだろ。それにキリトみたいな人と結婚したかったら、もっとお母さんのおてつだいしなきゃだめだぞ。おまえ女の子なのに男みたいに元気なんだから」
「えー、わたしおてつだいしているもん! おりょうりはまだだけど、おかあさんみたくうまくなれるもん。それに私は女子だもん!」
「今日だってお前サッカーしてただろ。ゴール二回も決めてるし。運動も大切だけど、ちゃんと勉強しなきゃだめだぞ。おかあさんだって、おとうさんだって、ちゃんと勉強していたから、あんなにすごいんだぞ」
「わたしべんきょうもしているもん! たしざんとひきざんとかけざんとわりざんだってだいじょうぶだもんね!」
「それくらいふつうだろ。でもまだちゃんと自分の名前を漢字で書けないだろ」
「それはゆうじおにいちゃんもいっしょじゃん」
「ふふん、ぼくはもう書けるもんね。ゆうきの名前だって漢字でかけるもん」
「うー、わたしだっていつかかんじでかけるもん! むずかしいくてもかけるもん!」
「ほらほら喧嘩しちゃ駄目ですよ。木綿季ちゃんも、お勉強頑張っていますから、いつか漢字で自分の名前も書けます」
「えへへ、でしょ♪」
「それに優治緒ちゃんも立派なお兄ちゃんです。これからもがんばってくださいね」
「うん、優衣ねえちゃん♪」
「じゃあ、二人とも今からベットに入ってください。それからお話してあげます」
「うん、わたしいちばん♪」
「あ、まてよゆうきずるいぞ」
「おにいちゃんおそーい」
「そんなことないぞ」
「ほら、走っちゃ駄目ですよ」
「ねえきかせてきかせて」
「こらゆうき、おねえちゃんせかしちゃだめだぞ」
「だってはやくききたいもん」
「じゃあ、お話しますね。今日は黒の剣士のキリトが白の剣士のアスナと、一緒にお昼寝をする話を聞かせてあげますね」
「えー、おひるねするのふたりとも?」
「ええ、仲の良い二人ですから、お昼寝もしますよ」
「まるでお父さんとお母さんみたい」
「ふふ、そう黒の剣士と白の剣士はお父さんみたく強くて、お母さん見たく優しい人ですから」
「ねえねえゆいちゃんはやくはやく」
「はい、じゃあ、お話しますね」
──そして私が物語り、黒の剣士と白の剣士の白熱した決闘で二人は興奮し、けんかの後に仲直りして、お昼寝をする黒の剣士に白の剣士が傍でゆっくりと眠れた事など話していくと、二人ともすごく聞き入っていました。
二人とも、このお話がとても好きで、いつも楽しく聞いてくれます。
話が二人でお食事を食べるところに差し掛かると、木綿季ちゃんは眠たそうに瞼を重くして、それでも頑張って聞こうとしています。
優治緒ちゃんも眠たそうにしていますが、頑張って起きようとしています。
私は──
「じゃあ、今日はここまでです」
「……もう、おわりなのぉ……」
「大丈夫、まだまだ二人のお話はたくさんありますから、いっぱい聞かせてあげますね」
「うん、あしたも、きかせてね」
「はい、おやすみなさい木綿季ちゃん」
おでこに優しくキスをし布団を被せると、木綿季ちゃんはすっと眠りに落ちていきます。
「……お姉ちゃん……今日もお話してくれてありがとう……すごくおもしろかった」
「ふふ、そう言ってもらえるとうれしいです」
「ねえお姉ちゃん」
「どうしました?」
「ぼくもキリトのような強い人間になれるのかな? お父さんみたいなすごい学者さんになれるかな?」
「なれます。あなたはお父さん似て絶対にあきらめない強い心を持っていますし、お母さんと同じように強い意思を持っています。だから、絶対になれますよ」
「うん……ぼく、頑張るね……おやすみ優衣おねえちゃん」
「はい、おやすみなさい」
私はそっと頭を撫で優治緒ちゃんのおでこにキスをすると、彼はすっと眠りにつきました。二人の穏やかな寝息を見ながら部屋の明かりを薄暗く、気温も平常値に調整し、穏やかに眠れるようにして、部屋を後にします。
おやすみなさい二人とも。
明日も楽しい日が二人に訪れますように。
静かにそっと扉を閉め、私はお父さんとお母さんの待つ部屋へと向かいます。
「お父さん、お母さん、二人とも眠りましたよ」
「ありがとう優衣」
「いつもありがとう優衣ちゃん、あ、いまから一緒に紅茶でも飲まない?」
「せっかくですけど、私も、もう寝ますね。お父さんとお母さんは、ゆっくり過ごしてください。夜は長いですから♪」
「ゆ、優衣ちゃん」
「じゃあ、おやすみなさい、パパ、ママ」
二人の頬にキスをし、私は自分の部屋に向かいます。
今日もゆったりとした時間が過ぎ、明日を迎えれる幸せを胸に、私は情報処理ではなく、人間として夢見る眠りに落ちていきます。
今日も良い夢が見れるといいです。
パパとママと、木綿季ちゃんと優治緒ちゃんが一緒にいる夢を。
……では、おやすみなさい。
優衣が部屋に戻り、和人と明日奈はせっかくの娘の気づかいに甘えることにした。
「今日もお疲れ様、和人くん」
「ありがとう明日奈」
「優衣ちゃん、もうしっかりとしたお姉ちゃんだよね。ほんとうに、これも和人くんのおかげだよね」
「そんなことないさ。俺が今日まで頑張れたのは明日奈や優衣のおかげで今の幸せを手にすることができたんだから……ほんとうにありがとう明日奈」
「……そう言ってもらえると、すごくうれしいな……」
「それに木綿季に優治緒にも幸せになってほしいし、これからもがんばらなきゃな。お父さんとして」
「でも、無理はしちゃだめだよ。和人君があっての幸せなんだから」
「じゃあ無理はしないように……甘えていい?」
「いいよ……和人くん。たくさんあまえて」
「……ん」
互いの手を絡ませ婚約指輪をかちりと鳴らし合いながら、二人は深く口付けし、そのままソファーへと沈んでいった。
二人の夜はこうして静かに深まっていく。
END
ええ、今回につきまして。
とりあえずこの小説は原作のソードアート・オンラインを主体に現実世界を舞台にした作品となっていますので、SAOやALOは出さないようにしておりますが、やはりキリアスにはユイちゃんの存在が必要不可欠なので、今回の未来版を思いつきました。
和人さんと明日奈さんの兄妹はユウキとユージオをそのまま名前にしました。二人にとってはかけがいのない人の名前ですからね。
うまく幸せな家族をかけたかと不安はありますが、楽しんでいただけたなら幸いです。
お気に入り56件に増えていました。
登録された方々、本当にありがとうございます。また小説を書かれている方々もたくさんおられるので、是非に感想を書かせていただきます。
遅くなりそうですが、必ずに。
では、また。