再就職先は百合百合ですか?   作:政影

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お二人お迎えできました記念。


和をもって尊死となす

「お姉さんちょっといいですか?」

 

「あ、二水師匠」

 

 それはワンオペディナータイムのラストオーダーの時刻が過ぎホッと一息ついたタイミング。

 二川二水ちゃんが一人の女子生徒を伴って厨房の入り口までやってきました。

 確か──

 

「江川樟美ちゃん?」

 

「は、はい!」

 

「直接話すのは初めてだったかな。よろしくね♪」

 

「よろしくお願いします……」

 

 彼女はLGアールヴヘイム、通称壱盤隊に所属するファンタズム系美少女でしたね。

 雪の妖精を思わせるような純白の髪と華奢な体、直接お話しできて嬉しいです。

 

「実は彼女厨房に出入りする許可を貰っていて」

 

「あ、同僚ちゃんからちゃんと聞いてるから安心して。今まで通り職員の誰かがいれば好きに使って良いから」

 

「……ありがとうございます」

 

 樟美ちゃんのあだ名は『料理長』、リリィとしても一流なのに料理も上手で美少女なんてやばいですね。

 同僚ちゃんの話によるとたまに愛しのお姉様である天野天葉ちゃんやレギオンメンバーに料理の腕を振るうみたいです。

 ……じゅるり。

 

「エプロン使う?」

 

「だ、大丈夫です……持ってきましたから」

 

 そう言って身に付けたのは白猫のエプロン、可愛い+可愛いでとても可愛いです。

 

「ふふっ♪」

 

「……子供っぽいですか?」

 

「全然。色白で白猫っぽい樟美ちゃんに良く似合ってて可愛いなって」

 

 私の言葉に急に顔を背けた樟美ちゃん、何か変なこと言ったかな?

 鶴紗ちゃんにも発言に気を付けろと言われてるから気を付けてるつもりなんだけどコミュニケーションって難しいです。

 1/3どころか1/9も伝わらない気がします。

 

「ちょっと、あたしの樟美にちょっかいを出す気?」

 

「天葉姉様!?」

 

 私と樟美ちゃんの間に割って入ったのは件のお姉様な天葉ちゃん、というか何時の間に厨房に?

 軽く驚きましたが、まあ、少し不機嫌な顔も可愛いから問題なしです。

 

「ちょっかい……もし猫好きだったら猫柳隊に勧誘しようかなって下心はあるかも」

 

「猫柳隊!? 樟美をアールヴヘイムから引き抜く気?」

 

「あー、レギオンじゃないよ。野良猫を可愛がったり世話をしたりするサークルみたいな集まり」

 

 本当はたづニャン子クラブにしたかったけど、鶴紗ちゃんに転校するとまで言われたので断念。

 代案の猫柳隊も可愛らしいから良いですけどね。

 

「……もしかして梨璃さんや鶴紗さんも?」

 

「うん、二人とも隊長と副隊長で現在会員募集中。樟美ちゃんも良かったら見学しに来ない? この前保護した子猫が凄く可愛くて」

 

「子猫! ……はい、是非」

 

「あたしも付き添うから!」

 

「お、二人も来てくれるなんて猫たちも喜ぶよ♪」

 

 猫好きの仲間が増えるなんて嬉しいな。

 実は犬も同じくらい好きなんだけどそれは黙っておくのがズルい大人の処世術です。

 

 

 

 

「おー」

 

「流石樟美さんですね」

 

「あたしの樟美なんだからこれくらい当然だよ」

 

 まるで妖精が舞うように調理が進んでいきます。

 これには本職である私も脱帽、まあ私の場合普通の味しか出せませんけど。

 軍の速成教育じゃなくてちゃんと調理師学校にでも通えればもう少し美味しく作れるかも知れませんね。

 

「♪~♪~」

 

 妖精の鼻歌と共に行われる左手右手へとハンバーグをパスする空気抜き、私も最近は失敗しませんが最初は力を入れ過ぎて木っ端みじんでしたからね。

 余計な力が入っていない樟美ちゃんの所作は見ていて勉強になります。

 ノールックでメモ帳にメモメモです。

 私以上に厨房を使いこなしている気がするのはちょっと悔しいですけど。

 

「……随分真剣に見てるね?」

 

「勿論、最高のお手本を前に瞬きすら勿体ないからね」

 

「へぇー、まあ当然だけどね。そこに気付くなんて良いセンスしてるよ」

 

 天葉ちゃんの得意げな声、アツアツな姉妹仲ですね。

 あなたの愛しの妹さんを丸裸にしちゃいますから……変な意味じゃないですけど。

 

 

 

 

「ありがとうね、私たちの分まで」

 

「感激です~」

 

「いいえ……使わせていただいたお礼です」

 

「しっかり味わってよ? こんなご馳走、滅多にないんだからね」

 

「……もう天葉姉様ったら」

 

 私と二水師匠もご相伴に預かることになり、すっかり人の減った食堂の四人掛け席に座りました。

 美味しそうなハンバーグのセットに天葉ちゃんは更にハンバーガーを追加……やはりアールヴヘイムは凄いですね。

 

「じー」

 

「なっ、何!?」

 

「いえ、この時間にそれだけの量を食べる割に良いスタイルだなーって」

 

「はい、天葉姉様は脱いでも凄いんですよ!」

 

「ちょ、樟美!?」

 

 樟美ちゃんが身を乗り出して今日一番の大きな声、意外な行動とお顔の近さにちょっとドキドキ。

 最初の弱々しい彼女とも料理中の楽しそうな彼女とも違う力強い眼差しの彼女。

 ますます好きになっちゃいそうです。

 

「あのー、折角のハンバーグが冷めてしまうので話の続きは食後で良いですか?」

 

「あっ……ごめんなさい」

 

「いいえ。……これでリリィ新聞の次の特集が決まりましたから」

 

 二水師匠の満面の笑み、樟美ちゃんはこの後大変そうですね。

 

 まあ、それはそれとして早速ハンバーグを一口──

 

 

「……………………」

 

「お、お口に合いませんでした!?」

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

「ハンカチ使ってください!」

 

「あれ……私泣いてた?」

 

 

 頬に押し当てられた二水師匠のハンカチで自分が涙を流していたことに気付きました。

 ……涙もろいお年頃でしょうか?

 

「その……」

 

「あっ、樟美ちゃんごめんね。あまりに美味しくてちょっと昔のことを思い出しちゃって」

 

「……それってあたしたちが聞いてもいい内容?」

 

「天葉姉様!?」

 

 真剣な表情で聞いてくる天葉ちゃん、そのお顔も素敵ですね。

 まあ作った料理でいきなり泣き出されたら樟美ちゃんも後味悪いですから。

 味は抜群ですけど。

 

「……陥落前の静岡で上司の奢りで食べたハンバーグがこれ位美味しかったってだけだよ」

 

 その場にいて生き残っているのは私だけ……言わなくても察せられてそうですね。

 私って考えてることが顔に出やすいそうなので。

 

「教えてくれてありがとう。でもちょっと聞き捨てならないな」

 

「えっ?」

 

 天葉ちゃんの予想外の言葉に目を丸くする私。

 そんな私に意味深な笑みを浮かべた天葉ちゃんは──

 

「樟美のハンバーグが世界一なんだから食べ比べてみないとね。いつか静岡を取り返したらおねーさんの奢りで」

 

「天葉姉様ったら……でも、格好良いです」

 

「スクープ発言いただきました!」

 

 頬を染める樟美ちゃんと盛り上がる二水師匠。

 

 やっぱり……リリィって素敵です。

 

「望むところだよ。アールヴヘイムまとめて静岡ハンバーグの虜にしてあげるから♪」

 

 

 

 

「ところで……何で二水『師匠』なんですか?」

 

 食後のチーズケーキを切り分けていると樟美ちゃんからもっともな質問が投げかけられました。

 確かに年下の少女を師匠呼びって普通は無いですしね。

 

「ああ、私がみんなの食べ物の好き嫌いが知りたいって言ったら全生徒分教えてくれたからね」

 

「皆さんの為ならお安い御用ですよ~」

 

 業務上必要な食物アレルギーの情報は学院から提供されたましたけど流石に好き嫌いの情報は無いそうで。

 二水師匠謹製の『リリィ名鑑』には百合ヶ丘のリリィの全てが詰まっている……流石です!

 情報を制する者は戦いを制す、もしかしたら一柳隊で一番強い存在かも知れませんね。

 

「ぜ、全生徒……!? でも好き嫌いって何に使います?」

 

「メニューの検討会で毎日誰かの好きなものが出せるように提案したりとか。嫌いなものは……まあ加工して分かりにくいように、ね」

 

 人差し指を唇に当てて内緒アピール、樟美ちゃんは笑ってくれました。

 最初のおどおどとした様子とはまるで違うその笑顔、まさにフェアリースマイルですね♪

 

「誕生日に特別な一品を増やしたりとか……」

 

「お、流石樟美ちゃん良いアイデア♪」

 

「私も……お手伝いしたいです」

 

「くっ、樟美!? 樟美が手伝うんならあたしも!」

 

 さっきの凛々しさが嘘のように大慌ての天葉ちゃん。

 思わず樟美ちゃんと目を見合わせちゃいます。

 

「樟美ちゃん、天葉ちゃんって可愛いね」

 

「はい! 天葉姉様は世界で一番可愛いです!」

 

 

 

 

 

 

「おーい、おるか?」

 

「あ、ミーちゃん」

 

 百合ヶ丘女学院内にある宿舎で二水師匠とそのソウルフレンドから提供された資料に目を通していたら、ミリアム・ヒルデガルド・v・グロピウスちゃんが訪ねてきました。

 お人形さんのような見た目に老女のような口調……アリです。

 来る途中で雨に濡れたようなので背徳感マシマシです。

 

「今失礼なことを思わんかったか?」

 

「ショーケースに入れて飾っておきたいとか?」

 

「物騒なことを考えるな! ほれ、明日の稼働テストのマニュアルが出来上がったから目を通しておけと百由様からじゃ」

 

「ありがとう♪ ついでに何か甘いもの食べてく?」

 

「まことか!? ……いや最近百由様にお腹の肉を摘ままれて悔しいので遠慮しておくのじゃ」

 

「え、私も摘まみたい。よし、もっと肥らせるね!」

 

「肥らせんでいいわ!!」

 

 足早に部屋を出ていくミーちゃん。

 体温高そうだしきっと良い摘み心地だと思うので残念です。

 あれで楓ちゃんと同学年とか人体の不思議ですね。

 

 さて、データじゃなくわざわざ紙に印刷してくれたマニュアル、『聖学工房の魔術師』真島百由ちゃんの信頼を裏切らない為にもしっかり読み込みますか。

 

 

 

 

 

 

 目の前にあるのは高さ三メートル程度のテンタクル種オルビオ、またはルンペルシュティルツヒェンを模したヒュージにしか見えない乗り物。

 傷一つ無い純白の機体、ここで会ったが百年目といったところでしょうか?

 まあ、このサイズまでだったら私でも装備と状況次第で倒せますけどね。

 でも耐Gパイロットスーツを着ると否が応でも昔の記憶が……。

 

「テストパイロット引き受けてくれてありがとねー。どこも人手不足で」

 

 ばつの悪そうな顔をして話し掛けてきた百由ちゃん。

 でもミニバイクから列車砲まで防衛軍の車両なら一通りの搭乗経験を持つ私を選ぶなんてお目が高いですね。

 履歴書のアピールポイントは大事です。

 

「百由ちゃんの役に立てるならお安い御用かな。でも……暴走しないよね、この子?」

 

「だ、大丈夫だって!」

 

「百由様は前科があるからのう」

 

 百由ちゃんに疑いの眼差しを向ける私とミーちゃん。

 まあ今日の稼働試験はミーちゃんも同乗するからチェックは念入り、ですよね?

 

 

 

 

「それにしてもおぬしも働き者というか物好きじゃのー」

 

「んー、リリィの役にも立てるし特別手当も出るからね」

 

 後部座席のミーちゃんの呆れたような言葉に機器のチェックをしながら答えます。

 マニュアル通り防衛軍の戦闘車両とおおよそ操作系は同じですね。

 ……タイヤ走行も可能とは言え通常形態が三つ足歩行である点を除けば。

 

 よし格納庫から出しますか。

 

 アクセルを踏み込むとAI制御により三つ足で前進。

 予想よりは滑らかな動きなんだけど──

 

「最初からタイヤ出しっぱなしじゃ駄目なのかな?」

 

「……わしに聞くな」

 

『ヒュージに擬態するのにタイヤだとバレバレでしょ?』

 

 スピーカー越しに私の意見に不満そうな百由ちゃんの声。

 ヒュージに擬態して敵中枢に進攻しての強行偵察、まあ可能であれば面白いけど──

 

「結構振動がくるよ?」

 

『大分軽減してる筈なんだけどね。もしかしてぐろっぴ肥った?』

 

「肥っとらんわ!」

 

『でも昨日の抱き心地も──』

 

「余計なことを言わんでくれ!」

 

「テストAからIまで問題なし、継続」

 

 二人の痴話喧嘩の声をBGMにテストを進めていきます。

 ここまでは順調、でもここからが本番です。

 昨夜の雷雨が嘘のような快晴、絶好のテスト日和です。

 

『それじゃあ屋外で走行試験行ってみようか』

 

「了解」

 

「……不安じゃ」

 

 

 

 

「次の角を右じゃ」

 

「了解」

 

 ミーちゃんの言葉通りハンドルを切り右折、外側に余り膨らむことも無く奇麗に曲がりました。

 放棄された旧市街地での走行テスト、ボロボロな路面の割にタイヤでの走行は安定していますね。

 振動制御もAIが学習したお陰か大分マシになってきました。

 

「うーむ、百由様製にしては普通過ぎるのじゃ……」

 

「おっとミーちゃん、その発言はフラグかな?」

 

「し、しまった余計なことを!」

 

 全力で慌てるミーちゃん。

 まあ流石にそうそう問題は──

 

「……さっきから百由ちゃんから連絡入ってこなくない?」

 

「なんじゃと!? おい百由様、おーい!」

 

 ミーちゃんが何度も呼びかけるも反応は無し、ですか。

 ここは一旦試験中止して状況確認をした方がよさそうですね。

 

 

「っ!」

 

「何じゃ!?」

 

 

 嫌な予感を感じて咄嗟にハンドルを切り左に……先程までの予想進路に着弾、避けれましたね。

 その代わり勢い余って太い鉄柱を機体で吹っ飛ばしました。

 ……少しフレームが歪んだかも。

 今の攻撃は明らかにCHARM、もしかすると──

 

「アールヴヘイム?」

 

「わしじゃ! ミリアムじゃ! ……外部スピーカーも故障しておるのか!?」

 

 参りましたね。

 アールヴヘイムの九人……当然昨日食事を共にした樟美ちゃんや天葉ちゃんもいます。

 この状況で下手に停止したらその瞬間集中砲火を浴びるかもしれないですし、この世界屈指の連携から逃げられる筈もありません。

 機密保持の関係で携帯は持ち込んでいませんし……。

 

「ええい撃つな! くっ、やっぱり聞こえておらん!」

 

「まあ見た目はヒュージだからね。伝達ミスでこっちのこと伝わってないのかな?」

 

「ええい百由様!」

 

「ちょっとミーちゃんハッチ開けて白旗振って」

 

「分かった、待っておれ!」

 

 ミーちゃんがシートベルトを外して上部ハッチを開けようとしますが──

 

「開かんぞ!?」

 

「お約束だね」

 

 こうなったら一か八かですが……三本足の一つのタイヤを引っ込めそこそこ鋭利な先端を出しました。

 上手くいけばいいのですが。

 

「ミーちゃん、これから時間稼ぎに入るよ」

 

「攻撃予測なら任せろ!」

 

「頼りにしてるよ」

 

 二人と一体による時間稼ぎ、『最高峰』に対してどこまで通用しますかね?

 

 

 

 

 

 

「すまんの……百由様がこんなことに付き合わせたばかりに」

 

「謝るのは早いよミーちゃん。それに実は私今まで死んだことがないので不死身だよ」

 

「それを言ったらわしもそうじゃ!」

 

「それは重畳だね♪」

 

「はぁ……おぬしは肝が据わっておるの」

 

「まあこの程度は慣れっこなので」

 

 アールヴヘイムの激しい攻撃にさらされた機体は最後に廃墟の壁にめり込み既に活動を停止しています。

 全ての電源が落ち真っ暗な内部では流石のミーちゃんも元気がありませんね。

 シートベルトを外して後部座席に身を乗り出して震える手を握りしめたら弱々しくですが握り返してくれました。

 今のところミーちゃんは無傷、私は脱落した部品で軽く額を切ったくらいです。

 上々ですね。

 

「……それにしても止めを刺すのがいやに遅いのう」

 

「そろそろかな」

 

「何がじゃ?」

 

 不思議そうな声のミーちゃん、そして攻撃とは違う重機で機体が削られる音。

 暫くして上部ハッチが開かれ──

 

「ぐろっぴ!」

 

「百由様!? ぐふっ!」

 

 百由ちゃんが降ってきてミーちゃんを押しつぶしました。

 私はちゃんと回避しましたけど。

 

「ぐろっぴぐろっぴぐろっぴ!」

 

「く、苦しいのじゃ……」

 

 さて空気の読める私は外に出るとしますか。

 ミーちゃんの濃厚な匂いも捨てがたいのですが新鮮な空気も吸いたいですし。

 

 

 

 

「お姉さん!」

 

「樟美ちゃん」

 

 機体から出て地面降りると樟美ちゃんの抱擁、うーん汗くさいのがバレそうで気が気ではありません。

 まあウルトラ嬉しいですが。

 

「命の恩人はあたしなんだけどなー」

 

「当然天葉ちゃんも当てにしてたよ」

 

「ふん!」

 

 天葉ちゃんの後ろを見れば私が攻撃を避けたり受けたりしながら道路を抉った跡、何とか『くすみ』と読めます。

 樟美ちゃんのことが大々大好きな天葉ちゃんなら多分気付くと思い賭けに出ましたが辛うじて勝てたようです。

 愛の勝利ですね。

 

「天葉姉様に言われてファンタズムを使ったらお姉さんが……」

 

「お見苦しい光景を失礼、でもお陰で助かったよ」

 

 多分、私とミーちゃんが機体ごと爆散するような未来を見て攻撃中止を進言してくれたのでしょう。

 この後彼女が悪夢を見なければよいのですが。

 

「ちゃんとお礼してもらうからね」

 

「もう……」

 

 戦塵に塗れても輝きを失うどころかより一層光り輝くこのシュッツエンゲルとシルトの二人。

 この尊い光景を見れただけでも今日のテストに参加した甲斐がありましたね。

 

 

 

 

 

 

「本当にごめんね!」

 

「もういいよ。二人とも無事だったし」

 

 格納庫に運ばれた半壊した機体の前で百由ちゃんからの何度目かの謝罪、美少女の悲しい顔は苦手なのでいい加減にしてほしいのですが。

 それに百由ちゃんの設計じゃなかったらとっくに蜂の巣だったと思います。

 

 突然出現したヒュージに対処するため出撃したアールヴヘイム、高速で移動するそいつを仕留めたのがたまたま走行テストのコース近く。

 戦闘の余波か何かで通信障害が起きている状況で目の前にヒュージが居たら当然倒そうとしますよね。

 ……悪意のある第三者の介入ではないことを祈りますが。

 

「原因は分かりそう?」

 

「……昨日の落雷の影響が一番可能性が高いかな。徹底的に調べる予定だけど」

 

「そっか。直ったら次のテストも私に乗らせてよ?」

 

「えっ……また乗ってくれるの!?」

 

 ちょっと愛着の湧いた機体を優しく撫でながらの私の言葉にびっくり顔の百由ちゃん。

 ロールアウトまで付き合うのがテストパイロットの役目ですから当然です。

 折角リリィたちの役に立てそうな傑作をここで闇に葬らせるわけにはいけませんから。

 少なくとも私はそう思います。

 

「この子はもう私の相棒だからね。きっと百由ちゃんが誇りに思うくらいの傑作機に育つよ」

 

「……ありがとう。でもどんどん改良していくからしっかり操縦してよね?」

 

「イエス、マム!」

 

 

 どうやらまた忙しくなりそうでワクワクしてきますね。

 幸いなことに多忙なうちは余計なこと考えなくて済みますから。




感想、評価、誤字報告などありましたらよろしくお願いします。


<備考>

二川二水:情報大好き。

江川樟美:料理大好き。

天野天葉:樟美大好き。

ミリアム・ヒルデガルド・v・グロピウス:菓子大好き。

真島百由:研究大好き。

読みたい視点(LGヘルヴォル編)

  • 相澤一葉
  • 佐々木藍
  • 飯島恋花
  • 初鹿野瑤
  • 芹沢千香瑠
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