マスターのヒーローアカデミア   作:へたくそ

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実在した人物、空想の人物に関わらず伝承されている物語の英雄を呼び寄せる事ができる聖杯とマスター。呼び出すには触媒となる聖遺物、または縁が必要となるが、今ここでそれは必要ないものとされる。

 

 

 

個性:マスター

 

 

 

これはとある世界の英霊と、とある世界が交差するもう一つの世界。そこで繰り広げられる前代未聞の物語、多くの英雄、多くのヒーローが多くの人を救うために数多の敵、数多の災厄に抗う物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壊れ、乱れ、混ざり、溶け合い、そして一つになった。頭が壊れそうになる程、自分が誰なのか忘れそうになる程多くの時間を費やした。この力を自覚した時、俺は幼いながらも理解してしまった。これが俺の運命、これが俺が辿ってしまう結末への道筋なのだと。もう変えられない、逃げることなど出来はしない。

 

ならば従おう、己が運命に。

 

ならば歩み続けよう、己が破滅へ。

 

ならば従え、我が願望の果てに辿り着く理想のために

 

 

 

 

 

 

 

 

()に銀と鉄 ()に石と契約の大公 降り立つ風には壁を

 

司法の門は閉じ 王冠より出で 王国に至る三叉路(さんさろ)は循環せよ》

 

 

 

暗い暗い石造りの地下室、血は壁に染みつき拭き取れない。血の臭いは充満し奥臭が漂う

 

 

 

閉じよ閉じよ閉じよ閉じよ閉じよ(みたせみたせみたせみたせみたせ)

 

繰り返すつど五度 ただ満たされる(とき)を破却する》

 

 

 

一人の少年のソレは、まさに奇跡と呼ばれるモノを起こすために必要な儀式。

 

 

 

《ーーーーーー告げる

 

汝の身は我が下に 我が運命は汝の剣に

 

聖杯の寄るべに従い この意 この理に従うならば応えろ》

 

 

 

描かれた魔法陣。その中心にあるはずの聖遺物はなく、少年が立っていた。

 

 

 

《誓いをここに  

 

我は常世総ての善を成る者 

 

我は常世総ての悪を敷く者》

 

 

 

ソレはすなわち、聖遺物に変わりに自らの身を召還に捧げるということ。これがいったい何を意味するのか。召還者の犠牲か、分不相応な願望からくる狂気の沙汰か。

 

 

 

《汝三大の言霊を纏う七天

 

抑止の輪より来れ 天秤の守り手よ!》

 

 

 

 

どちらも否、これは物語の始まりの儀式だ。その為に英雄達がここに集い、今よりここから歯車が動き出す。今から世界で最も新しい伝説が、神話が誕生する。

 

 

 

 

少年の中に召喚された者達と共に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほらマスター、起きてください。朝ですよ?」

 

 

 

カーテンの隙間から差し込む朝日の光。そんな部屋のベッドには誰かが寝ており、少女の手でカーテンが開かれ、差し込んでいただけの光が一気に部屋中に差し込む。その光で少女の美しい黄金色に輝く長い髪が、いっそう輝いて見えた。

 

 

 

「んん……」

 

「もうほら、今日は雄英に行くのでしょう?遅刻してしまいますよ?」

 

「ジャンヌ?あぁ、もう朝か」

 

 

 

少女の名はジャンヌ・ダルク。かつて聖女と謳われ、魔女としてその身を焼かれた聖人。その彼女が今、この現世に蘇った。いや、召喚されたのは12年前。ジャンヌのマスター白神(しらがみ) 九十九(つくも)に召喚されたサーヴァントだ。

 

 

 

「そうですよ?今日が初登校なんですから、早く起きてください」

 

 

 

雄英高校、九十九が入ったのはそこのヒーロー科に入学した。個性というものが発現してから既に1世紀が経とうとしている今、その力を人のために使う職業が世の中では満ち溢れていた。その一つがヒーロー、弱きを助け強気を砕く。ヴィランと呼ばれる人々を脅かす存在から守るのがヒーローの仕事だ。

 

 

 

「今日の朝ごはんは?」

 

「マスターの好きなクロワッサンですよ。出来立てなんですから、早く下に来てくださいね」

 

 

 

思えば2階にあるこの部屋にも、ジャンヌが作ったであろうクロワッサンのいい匂いが届いていた。両親は海外出張が多く、家に帰ってくることは滅多にない為、家事などはジャンヌに任せっきりにしてしまっている。

 

 

 

「早く支度を済ませないとな」

 

 

 

俺は1番のお気に入りでもあるジャンヌのクロワッサンが冷めないうちに、と起きて早々に雄英の制服に袖を通す。今日からはまた新しい日々が始まると思うと不思議と眠気も覚めた。

 

 

 

 

九十九は急いで階段を降り、リビングへと向かう。するとテーブルの上にはたくさんの出来立てクロワッサンと牛乳、それとサラダをキッチンで盛り付けるエプロン姿のジャンヌがいた。

 

 

 

「相変わらずいい匂いだな。というか毎朝作ってくれるのは嬉しいんだけど、あまり無理しなくていいんだぞ?」

 

「無理なんてまさか。私がマスターに食べて欲しくて作っているんです。それとも、私が作るクロワッサンはお嫌いですか?」

 

「それこそまさかだよ。ジャンヌが作ってくれるものはなんでも美味しいからな、好きに決まってるだろ」

 

「そ、そうですか」

 

 

 

その言葉を聞くとジャンヌは下を俯いてしまい、話さなくなってしまった。無言のままサラダの盛り付けを始めたジャンヌの横で、九十九は不思議そうにジャンヌを見つめながら牛乳を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この扉、でかいな」

 

「えぇ、巨大化の個性を持つ生徒の対策でしょうか?」

 

 

 

雄英高校ヒーロー科、九十九達のクラスは1年A組。その扉は高さ5メートル程はあるだろう。その大きさゆえに、九十九とジャンヌは扉の前で立ち尽くしていた。が、そのまま突っ立ているわけにもいかず扉を開けると、メガネの生徒と柄の悪い生徒が何やら口論をしていた。

 

 

 

「入学早々賑やかだな」

 

「賑やか、と言っていいのでしょうか」

 

「そりゃまぁ、モノは言いようってやつだよ」

 

 

 

俺とジャンヌは指定された席に座る。俺たちの席は隣同士、まぁそれは当たり前なんだがこの教室に入ってから周りの視線が気になる。特にブドウみたいな頭したチビの死線が特に。

 

 

そんなこんなを思っているうちに今度は地味な男子と、可愛らしい女子が入ってきた。あとその後ろに変な男が一人、なんか目が死んでるけど…あと小汚い。

 

 

 

「マスター。あの後ろの人は教師でしょうか?」

 

「…多分、そんな(なり)には見えないけど」

 

 

 

あんな人が教師なんて思いたくはないけど、それじゃなきゃここには来ないだろうしなぁ。ああいうだるそうにしている人ほど蓋を開けてみれば厳しかったりするんだよなぁ。

 

 

 

その九十九の考えは見事に的中する。

 

 

 

「友達ごっこがしたならよそでやれ」

 

(ほぉらきた…)

 

 

 

その声に先ほどまで賑やかだった教室が静かになる。他の生徒からしたらいきなり男が現れたと言ってもいい。それでは驚くのも無理もない。

 

 

 

「はい、君たちが静かになるのに10秒かかりました。君たちは合理性に欠けるね」

 

 

 

教師である男はダルそうに言うが、その言葉にはどこか重みがあった。ただの教師ではないのは間違いないだろう。

 

 

 

「やはり教師でしたね。少し不安ではありますが」

 

「ジャンヌでもそう言うこと思うんだ。ちょっと意外だな」

 

「それは、私だって人間ですから」

 

 

 

珍しくジャンヌが他人に対して不安を零したのに驚いたが、それよりも気になるのはこっち。あの教師のあの目だ。

 

 

 

 

「まさかこうも早くに器が見つかるなんて。さすがは雄英だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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