犯罪多重奇頁 米花【特別編】   作:ゴマ助@中村 繚

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EXTRA BATTLEの『脅威のアイドルフェス』で槍ニキが真っ先に撃破されていて、不謹慎ながら笑ってしまった。
ちなみにロビンで出撃した。


02頁

「……急に「マネージャー!」って呼び止められて、強制的に連行されてマネージャーをやらざるを得なくなったこの現状。労わってくれます?」

「心中お察しします」

「そりゃ、マネージャーとしてなら結構使えるからねアンタ」

「本職はマネージャーじゃねぇですから」

 

 アイドルの卵たちの保護者その他の関係者が待つ控室にて、皇帝(ネロ)に振り回されたロビンがぐったりと脱力していた。

 カルデアで無許可のレイシフトが慣行された形跡が確認された。レイシフトしたサーヴァントは3騎。立香の目撃証言を元に被疑者の私室に突入・捜索を行ったところ、うち2騎が『綺羅星観測』へ選考書類を提出していたことが判明する。

 これにより、無許可レイシフトの犯人が明らかになった。ネロ・クラウディウスと、彼女に巻き込まれたロビンフッド。そして……。

 

「何してんのよ子イヌ!」

「いやそれこっちの台詞だから。何やってんのエリちゃん!?」

「何って、アイドル番組なのよ! アイドル乱舞、スター特盛番組! (アタシ)出演()なくて誰が出演()るのよ! 招待状を出し忘れたみたいだから、こっちから来てあげたんだから!」

 

 と、ヘシアンが放り投げた投網に捕獲されたエリちゃんこと、エリザベート=バートリー(ランサー)は悪びれずにそう言い放ったのである。

 

「招待状って。マイルームにありました通知メールを拝見させていただきましたが、エリザベートさん……そもそも貴女、提出書類不備で一次審査もとい書類選考落選しているじゃないですか。写真やエントリーシートの他に添付する、一曲披露した自己PR動画が提出されていなかったとか」

「出そうとしたわよ。でも、いくら録音してもきちんと録音されなかったから」

「それって機材がぶっ壊れたんじゃ……」

(アタシ)ほどのオーラを持つアイドルなら、写真だけで余裕通過のはずでしょ。なのに! 落選なんて何かの間違いよ! だからこうして、わざわざ生歌を披露しに……」

「マスター、さっさととっとと連れて帰りましょう。ほら、コスプレ扱いされて助かった角と尻尾、誤魔化しますから大人しくしてくださいまし」

 

 ここがテレビ局で、乱入した審査テーマがコスプレで助かった。

 今回、ネロとエリザベートを回収するために派遣されたのは玉藻の前だった。彼女が自身の狐耳と尻尾を隠しているのと同じ術でエリザベートの角と尻尾を不可視にしようとするが、当のエリザベートは大人しくしない。

 それどころか、投網から脱出して逃亡を図ったのである。

 

「脱走だーー!」

「ああ、もう! 余った時間で、将来の愛しいご主人様との幸せマイホーム♡のためにショールーム見学に行こうと思っていたのに! (わたくし)の最新システムキッチンが!」

「……待て。書類選考、歌唱動画。あの薔薇の皇帝は」

「一次選考受かったんスよ」

「何で受かったのよ」

「あの歌唱に矯正の希望を見出した者がいたのか……いや、サリエリなら」

「天変地異の前触れですかねー」

 

 ネロが合格してしまった謎はさて置き、エリザベートを再び回収しなければ。

 スタジオでは、二次選考の収録が始まっていた。

 

「エントリー№1番。千葉県から来ました、八橋(やつはし)紫蒲(しほ)です。17歳、高校2年生です。コスプレは、スタンダードにメイドさんにしました」

 

 ミニ丈の黒いメイド服に、白いヒラヒラフリルのエプロン。同系色のニーハイソックスとヘッドドレスで登場したのは、THE正統派な美少女だった。スカートを摘まんで頭を下げる仕草が様になっている。ミニスカートでもいやらしさを感じさせないのは、彼女の雰囲気故だろう。

 

「おお、可愛い!」

「学校ではバドミントン部に所属していますが、実はスポーツはあまり得意じゃないんです。食べることが大好きです! 特にスイーツが好きです」

「甘い物が好き、ですか。アイドルは健康・体型維持のために食事制限を課すことがありますが」

「実は私、いくら食べても太らない体質なんです」

「そりゃ羨ましい。何も食べない子よりも、美味しそうにたくさん食べる子の方が好感度は高いですから」

 

 愛らしい振る舞いに鹿山は素直に感嘆の声を上げ、小五郎も好印象を抱いた。小野は、プロデューサーである以上、厳しく見るようである。

 

「食べるだけじゃなくて、作るのも好きです。お料理と、お菓子作りが趣味・特技です」

(アタシ)の特技は勿論、歌よ! 趣味は拷問かしら」

「え、拷問?」

「誰か! 摘まみ出して! 誰かーー!」

 

 紅林の要請により回収。

 

「エントリー№8番。東京都出身、萩井(はぎい)典歌(のりか)、17歳の高校3年生です。コスプレは、週刊少年サンデーで連載中の『YAIBA』に登場するかぐやです。よろしくお願いします」

 

 流れる黒髪はまさにかぐや姫。だが、バニーガールを彷彿させるハイレグのレオタードにウサギの耳。特撮番組の女性悪役のような肩パットにマントと、彼女が選んできたコスプレは悪女と言っていいボスだった。

 だが、見事に着こなしている。瑞々しく張りがありながら、高校生とは思えない豊満で美しいボディラインを際立たせ、本人の色香と混ざり合い非常に蠱惑的なのだ。

 

「さっきの、7番の子にも負けないプロポーションですね」

「凄く大人っぽい。高校生には見えないですな」

「声もハスキーでいいわ。歌唱力も悪くなかったし」

「君、グラビアをやれと言われたら、やれますか?」

「ものによります。セクシー路線で売るにしても、あまり過激なのはちょっと……」

「はい。分かりました」

(アタシ)だって、今のこの霊基(身体)じゃ、ちょっと足りないけど! あと少し成長したら立派になるんだから!」

「また出た!」

「誰か、使用責任者呼んで!」

 

 ディレクターの要請により回収。

 

「エ、エントリー№14番です。秋田県から来ました、蝶崎(ちょうさき)水那(みな)! 16歳の高校2年です。今日は、オンラインゲーム『ダンジョン・ホームズ』のヒロイン、シャーロット・アドラーのコスプレをしてきました。よ、よろしくお願いしましゅ!」

 

 緊張しているのか、噛んでしまった。

 両側にスリットが入ったロングワンピースに、ホームズを象徴するマントと鹿撃ち帽を被った彼女はどこかぎこちない。場慣れしていないと言うか、初々しいと言うか。

 それがまた新鮮にも映るし、庇護欲をかき立てられるところもある。

 

「落ち着いて、は、無理よね。緊張している?」

「はい」

「蝶崎さんの志望動機には、ヨーコちゃんのファンとありますが」

「はい! アニメ主題歌からヨーコちゃんを知って、ファンになりました! ヨーコちゃんのシングル全部歌えますし、アルバムのタイトルも全部暗唱できます!」

「どうもありがとう」

「そ、それで、今はネットで歌い手活動も、ちょっとだけやっていまして……」

「君、運動が苦手って書いてありますね」

「はい。昔から病気がちで、体力があまりなくて」

「アイドルは体力勝負です。民衆が眠っている時に努力して、誰よりも鍛えて偶像になるんです。一回のステージで消費するカロリーはいくらか知っていますか? 下手なアスリートよりもハードですよ。君、できますか?」

「そ、それは……」

「ステージは戦場よ。(アタシ)の邪魔をする奴は、ひねり潰してやるんだから。魅せてあげる! ロックでキュートでキッシュな、エリザベート・オン・ステージを!」

「何度も出てきて恥ずかしくないんか!?」

 

 回収。

 

『無限ループはやめにしませんか』

 

 遂に、回収役をしてくれていたヘシアンからも苦情が出た。

 

「あのー。うちのディレクター、結構気が短いンで、そろそろ本当に引っ込まないと警備員さん、呼ばれますよ」

「すいません。まことに申し訳ございません」

「こちら、美味しい物です。甘い物がお嫌いでなかったなら」

「ニャー」

 

 とても嫌そうな顔で忠告してくれた若いADに家茂が謝罪の菓子折を渡した。たくさん用意したが、これで最後である。

 

「立香さん……何だか、大変そうだね」

「うん。大変だよ」

「ミャア」

 

 スタジオから出てきたコナンと蘭に非常に心配された。どうやら20人全員のアピールタイムが終わり、休憩と審査時間を挟んで結果発表になるようだ。

 2人にはエリザベートの身の上を「アイドルになりたくて家出同然に来日した知人の娘さん」と紹介した。彼女を連れ戻すのが、此度の依頼である。

 

「アンタたちが噂の。はっきり答えなさい。あの中で、(アタシ)が一番よね!」

「ええと、その……」

「エリちゃん、蘭さんたちを困らせないの!」

「いい加減にしなさいよ。ほら、警備員がこっちに走ってくるじゃない!」

 

 ジャンヌが指差した先には、こちらに向かって爆走してくる初老の警備員さんがいた。

 遂にディレクターによって出禁にされたか。摘まみ出されるのかと思ったが、警備員さんがそっと丁寧に持ち上げたのはエリザベート……ではなく、ベンチ椅子の上にいたプルートーだった。

 

「駄目ですよ。日売テレビ局内は、動物タレント以外動物禁止」

「ニャアァァァ!」

「……回収してきます」

「お願い」

 

 黒猫が警備員さんによって摘まみ出されたのだった。




玉藻ちゃんはショールーム見学を目当てに米花へ。
本当は滅茶苦茶来たがっていた人がいたけど、納期がどうとかで抜け出せずに(血の涙を流しそうな勢いで)見送られた。
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