クリームヒルトも来ちゃったね!ジククリください!!
カドック君死ぬなよ!死ぬなよ!フリじゃねーからな!!
事件があったのは、杯戸町三丁目の閑静な住宅地に位置する広い庭のある西洋風の屋敷だった。
この屋敷の住人である
事件の現場となったのは被害者の自室。部屋は荒らされ、飾り棚の上にあった小物が散乱し、被害者の財布の中から現金が抜き取られていた。現場の窓ガラスが割られていたため、犯人はそこから侵入したと思われる。
「警視庁の高木です」
「同じく、千葉です」
「早速ですが、お話を聞かせてください」
「は、はい」
金城邸には、普段は万吉子の他に3人の人間が住んでいる。
万吉子の長男である
彼ら3人の他に、もう2人の人間が金城邸の居間に集っていた。
万吉子の長女、
「えっぐ、ぐす……おばあちゃんが……!」
「大丈夫だ。お医者さんがおばあちゃんを助けてくれるから」
「被害者の容態は?」
「予断を許さない状況だそうです」
万吉子の孫である夏芽が泣きじゃくっている。祖母が大怪我をしたのが余程ショックだったようだ。
父である新造に慰められても、両目からは大粒の涙がボロボロと零れている。事件の聴取は彼女が落ち着いてからにしようと思ったら、高木と千葉の背後から声が聞こえたのだ。
「ニャー」
「え、プルートー?!」
「どうやって車から出て来たの?!」
そこには、片目の黒猫がちょこんと座り込んでいた。
大人しくしていてね。と、車の中に残していたはずのプルートーがいつの間にか金城邸に入り込んでいたのである。
「あら、猫ちゃん。刑事さんの猫?」
「えーと、あの……知人の迷い猫を、途中で保護しまして」
「ニャア」
焦る高木を尻目に、プルートーは千葉の足元をすり抜けて夏芽が座るソファーの前までやって来た。彼女の膝の上に身軽に飛び乗ると、ザラザラとした鑢のような舌で夏芽の涙をペロペロと拭い始めたのである。
「んっ、くすぐったい」
「ミャー」
「猫ちゃんザラザラしてるね」
「ニャン!」
夏芽の涙を拭い終わると、革張りのソファーの上で優雅に毛繕いを始める。そんなプルートーを撫でる夏芽は自然と泣き止んでいた。
「綺麗な毛並みの猫ちゃん。あら、胸元は白いのね。可愛い」
「ミャア」
「抱っこしても良いですか?」
「ええと、その子が良いなら」
どうやら、樋呂子は猫好きのようだ。夏芽の膝の上にいるプルートーをそっと抱き上げると、慣れた手つきでプルートーの背を撫でる。撫でられるプルートーは気持ちよさそうに左目を細めた。人懐っこい猫である。
「猫と刑事ですか。確か、そんな小説がなかったっけ?」
「『三毛猫ホームズ』でしょ。でもこの子は黒猫だから、ポーの小説に登場する子ね」
「へえ。俺にも撫でさせてくれよ」
「ニャーーーン」
樋呂子の腕の中にいるプルートーが、横から左手を出して来た英作に向かって甲高く鳴いた。ただ一言鳴いただけで、彼から逃げるようにぷいっと顔を反らしてしまう。
どうやら、英作はお気に召さないようである。
さて、プルートーのお陰で夏芽が落ち着いたので捜査を始めよう。
「事件当時、家には万吉子さんだけがいらっしゃったんですよね」
「はい。私は、個人的な用事で郵便局へ行っていました」
「私は仕事に出て、午後からは半休を取って夏芽と出かけていました」
「犯人は、留守だと思って空き巣のために侵入したところ、金城さんと鉢合わせをして衝動的に犯行に及んだと思われます」
通報を受けて駆け付けた、近くの交番に勤務する巡査はそう判断したようだ。
だが、怪しい人物の目撃情報などは出ていない。この近辺は、平日の昼下がりはあまりにも人通りが少なく、目撃者を発見するには困難だった。
鑑識が入る前に、高木と千葉も現場となった被害者の自室に向かった。
被害者の自室の窓からは広い庭がよく見える。格子状になっている観音開きの、部屋から見て右側の窓ガラスが割れて絨毯の上にはガラスの破片が散乱していた。
そこから手を入れて内側の鍵を開けたのだろう。
「凶器は、このボトルシップか。このキャビネットに飾られていたようですね。他に飾られていた美術品も片っ端から落ちてしまっている」
「被害者の財布は……お札が全部抜き取られているけど、カード類には手を付けられていない。財布は、この鞄の中に入っていたのかな」
凶器となったボトルシップも、床に落ちていた落ち着いた色合いの財布も、財布の側に落ちていた鞄もどれも高価な物だ。それらには目もくれず、ただ現金だけを盗んで行った。もしくは、被害者を殴ってしまいそれどころではなかったのかもしれない。
計画的ではない、突発的な犯行の気配がする。足跡や指紋の一つでも取れればいいが、高価そうな絨毯の上には汚れは一つもなく、窓の横に散乱する窓ガラスの破片を踏んだ痕跡すらなかったのだ。
「ニャー」
「っ、プルートー?」
「あ、あんなところに!」
「ミャア」
「え、えっ!?」
プルートーの鳴き声が聞こえた。千葉が天井を指差すと、窓のカーテンレールの上に黒猫がいた。
器用に細いカーテンレールを歩いてぴょんと飛び降りると、高木の背中にドスン!と着地したのだ。
「ちょ、ちょっと痛い……」
「ミャーン」
「……あれ」
プルートーが着地したせいで前かがみになってしまった高木だが、絨毯敷きの床を見下ろしていると……何か、違和感が過ったのだ。
「ガラスの破片の位置、おかしくないか?」
「破片の位置?」
「窓の鍵を開けるために外からガラスを割ったのなら、破片は窓の
「あ!」
「ニャア」
高木と千葉、高木の背中に乗るプルートーが見下ろすガラスの破片は、窓の
何個かが蹴り飛ばされた訳ではない、全部の破片が本来あるべき場所とは違う位置に落ちていたのだ。
「これって、一体?」
「ミャー」
「あ、こらちょっと!」
プルートーが高木の背中から飛び降りて現場を自由に闊歩する。黒い毛を落とされたら大変だと回収に向かうと、プルートーはクローゼットの扉をカリカリと引っ掻いていたのだ。
「駄目だよ! 現場で爪研ぎしちゃ!」
「ニャー」
「傷は……ついていない。良かった」
千葉がほっと胸を撫で下ろす。一応と、クローゼットの扉を開けて中を調べれば、中にはブランド物の鞄や靴がズラーっと収納されていた。鞄たちは綺麗に並べられていたが、鞄一つ分の隙間がある。
「ミャー」
「もしかして、現場に落ちていた鞄はあの隙間の場所にあったのかな。だったら……あれ?」
「ニャー」
「何で犯人は、財布の入っていた鞄だけをクローゼットから持ち出せたんだ?」
高木がプルートーを抱えたまま考え込んだ。
たくさんある鞄の中から、財布の入っているそれを選んで他は動かした気配すらない……もし本当に、現場に落ちていた財布入りの鞄がクローゼットに収納されていたのなら。犯人は財布の入っていた鞄を、被害者が普段使いしている鞄を知っていたのでは?
「不自然な破片の位置……! そうか! この窓ガラスは、部屋の外からじゃなくて、中から割られたんだ!」
「中から?」
「部屋の中から鍵と窓を開けて、ガラスの破片が部屋の中に落ちるように割れば、外から泥棒が侵入したように見えるんだ」
「そうか。だから、ガラスの破片が窓の正面じゃなくて、横に落ちていたのか……っ! ということは!」
「ああ」
「ニャ」
窓を開いた状態で外側からガラスを割れば、現状のように部屋の中から見て窓の右横に破片が散乱する。
どうして、こんなことになっているのか?
犯人は窓を割って鍵を開け、部屋に侵入した。このシナリオに見せかけるためだ。
「金城さんを殴ったのは、外部犯の犯行じゃない」
「犯人は、金城さんの財布の場所を知っていて、玄関からこの部屋に入れる人物……内部の人物だ」
「ニャー!」
刑事たちの推理に同意するように、黒猫が高木の腕の中で甲高く鳴いた。
積極的に三毛猫ムーブする黒猫
クリームヒルトがバーサーカーなのは、劇中で復讐を完遂しちゃったからなのかな。
戦争起こしてハーゲン殺して、復讐を遂げて死んで逝った。復讐に"狂った"王女として召喚されているからバーサーカーなのか……。
私が書いたオリ鯖では、復讐対象=ラインの黄金(逃れられない呪い)だったからアヴェンジャーで召喚されたんや。
喪服嬉しいね。