ドラマ『双子探偵』から知った!
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ヒーローは、助けを求める声に導かれてやって来る。
大きく声を張り上げて、子供たちは大きく叫ぶのだ。ヒーローが駆けつけると信じているからだ。
『助けてーーー! 仮面ヤイバーーー!!』
『トォーー!』
『来たな仮面ヤイバー!』
『貴様! 町中の電気を奪い、何をする気だ!?』
『フフフ……こうするためだ!!』
『ぐわーー!』
と、先日放送された『仮面ヤイバー』は、電気を取り込んで自らの肉体を発光しながら光エネルギーで攻撃して来るプラズマ怪人との戦いだった。ハチャメチャにシンプルなタイツの怪人がめっちゃ光るのだ。
毎週『仮面ヤイバー』を視聴する子供たちにとっては、まだ記憶に新しい強敵だが、『仮面ヤイバー』を視聴していないコナンにとっては聞き覚えのない名前である。
なので、興奮した様子の元太と歩美にその怪人の名前を出されても、疑問符が乱舞するような返答しかできなかったのだ。
「プラズマ怪人?」
「コナン君、知らないの? 『仮面ヤイバー』の敵怪人だよ!」
「お前観てなかったのかよ! ヤイバーの水中戦がスゲーカッコ良かったんだぜ!」
「で、そのプラズマ怪人がどうしたんだよ?」
「出るんだよ! 杯戸町にプラズマ怪人が!」
「はぁ?」
帝丹小学校1年B組の中休み。子供たちが思い思いに過ごす賑やかで騒がしい空間で、スマホのネットニュースを読もうとしていたコナンの机に歩美と元太がやって来た。
が、話の筋がよく理解できない。『仮面ヤイバー』に登場した怪人が現実に出現するとは、一体どういうことだ?
「杯戸町に、プラズマ怪人が出たんだって!」
「出たって……ますます意味が分かんねぇよ」
「別のクラスの子が言っていたんだ。杯戸町に、プラズマ怪人みたいに身体が光る人間が現れたんだって!」
「身体が光るって……何かの見間違いじゃないのか?」
「ちげーよ! ホントにプラズマ怪人が出たんだって! きっと、この間みてーに町中の電気を奪って大停電を起こすつもりだぜ」
「えぇー! そんなことになったら、大事件になっちゃうよ!」
いや、そんな訳あるか。あれは特撮番組の話だ、実際にプラズマ怪人などがいるはずない。
しかし、元太も歩美も、プラズマ怪人が番組内で起こした所業にゾっと背筋を凍らせた。どうやら色々大変な内容だったようである。しかもヤイバーが苦戦していたようだ。
「元太君も歩美ちゃんも、何馬鹿なことを言っているんですか。あれはテレビの中のお話ですよ。現実にプラズマ怪人がいるはずないじゃないですか!」
ここで光彦が話に割って入ってきた。フィクションと現実をしっかり区別している彼の言葉にコナンは頷き、このままプラズマ怪人の話を流してくれと願ったがそうもいかなかった。
「なので、この事件はプラズマ怪人を騙った誰かが起こした事件なんですよ! このままだと、プラズマ怪人を真似て事件を起こすかもしれません」
「それなら……」
「はい。事件を未然に防がなくては!」
「オレたち、少年探偵団の出番だーーー!」
『……やっぱりそうなるのね』
コナンがガクっと机に突っ伏した。放課後にプラズマ怪人捜索ツアーへの参加が決定してしまった瞬間である。
せめて、誰か保護者をもう1人をと哀へ視線を送るが、彼女には次の授業の教科書を机に並べながら顔を反らされてしまった。
「私はパス」
「えぇー!」
「今日の放課後は用事があるの。もしかしたら、そのプラズマ怪人が大事件を起こすかもしれないわよ。名探偵さん」
彼女の言う“用事”が何なのか、コナンは知っている。
今日はBS放送のサッカー番組で、ビッグ大阪の特集をするのだ。その中で、比護選手の学生時代の試合やインタビュー映像が放送される……それをリアルタイムで観るための“用事”である。
どうせ子供の見間違いか、悪戯か何かだろう。さっさと解決してとっとと帰ろう。
気を取り直してスマートフォンでネットを開くと、新着ニュースが飛び込んで来た。
「ん、女子大生失踪……そうか、今日で3年か」
3年前、都内に住む女子大生の
当時は連日騒がれていたが、現在は人々の記憶から薄れてしまっている。志信の家族は、今も街頭でのビラ配りや情報提供への懸賞金をかけているが、証拠は何一つ出て来ることなく事件は一向に進展していない。
コナンが開いたネットニュースには、失踪する前の志信の写真と駅前でビラを配る家族の写真が掲載されていた。何か情報を持っている者はこの番号に連絡してくれと、最寄りの警察署の電話番号も載っている。
濃田志信はどこに消えたのか?
生きているのか、それとも……。
コナンが女子大生失踪のニュース記事を読み終えると、中休み終了を告げるチャイムと同時に小林先生が教室に帰って来た。3時間目は国語の時間である。画数の少ない漢字をひたすら書き順通りにノートへ写さなければならない。
放課後は真っ直ぐ寄り道をしないで帰りましょう。という先生の言葉を無視して、杯戸町でプラズマ怪人探しである。遅くなった時のためのアリバイ作りのため阿笠博士に協力してもらおうと、下校と同時に蘭へメッセージを送ったのだった。
「あ、コナン君から……「今日、学校帰りに阿笠博士の家に寄ってゲームしてくるから、遅くなるね」って、またゲーム!」
「ガキんちょは暇でいいわね。と言うわたしも、今日の放課後は特に用事はなし! オルタちゃん、どこか寄って行かない?」
「ごめんなさい。今日は早く帰らないと」
小学生よりは遅い高校生の放課後がやって来た。
蘭は部活、世良は探偵の仕事。放課後に用事のない園子がジャンヌを誘ってどこか寄り道でもしようかと思ったが、どうやらジャンヌも用事があるようだ。スマートフォンを片手にどこか苛ついている。
「どうかしたの?」
「今日、うちの事務所の留守番をさせている奴らがいるんだけど……メッセージが既読にならないのよ」
「奴らって、誰か別の人が留守番しているの?」
「ええ、まあ」
痺れを切らしたジャンヌは『カルデア探偵局』へと架電した。何回かのコールで電話に出た……と思ったら、繋がったのは機械的な留守番電話メッセージだった。
『ただいま留守にしております。御用のある方は、弊社ホームページのメールフォームより御相談ください。こちらは、安心安全迅速丁寧。みなさんの100年先までの未来を保障するためにスリッとまるっと謎を解決します、『捜査解明機関カルデア探偵局』でございます』
「あいつらーーー!!」
『カルデア探偵局』で何があったのか、誰が留守番をしていたのか?
時間は、ジャンヌが高校のホームルームを終えて架電する約1時間前まで遡る。
「
「お留守番は退屈よ。時間が止まったお茶会のように、時計の針がまったく動かないの。マスターたちが帰って来る時間まで、もっと針がぐるぐる回らないと」
「折角、遊びに来たのにぃ!」
「あと1時間もすれば、大人の私と米花のライダーさんが学校から帰って来るはずです。お留守番を交代したら、
依頼人を出迎えるソファーにうつ伏せになったジャック・ザ・リッパーは、ホットパンツから覗く脚をバタバタと動かした。隣では本を手にしたナーサリー・ライムが壁掛け時計と睨めっこしている。
本日、お子様サーヴァントたちが遊びに……もとい、手伝いのためにやって来ていた。しかし、探偵の仕事が重複して多忙なため、立香は彼女たちには事務所のお留守番をお願いしていたのだ。
だが、子供たちに留守番は酷である。ジャックを見て分かるように、すっかり飽きてしまっていた。
そんな退屈の坩堝の中で、来客を告げるインターフォンが鳴った。ソファーから飛び降りたジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ(以下、サンタ・リリィ)がモニター越しに来客の姿を確認すると、画面には意外な人物が映っていたのだ。
「はい、こちら『捜査解明機関カルデア探偵局』です! あれ?」
『あ、あの……ここ、探偵さんがいるんですよね?』
探偵に助けを求めて来たのは、ランドセルを背負った幼い少年だったのだ。
今回はキッズたちメイン!