ゲッターロボ・王魔‹O-MA› ―獣の咆哮― 作:ヒモトラマンロープ・ダーク
竜馬が一番、撃墜数がブッチギリ。ゲッターはやはり最強である。
…ところで、まだマジンカイザー手に入らない(泣)
…車 弁慶
強面だが優しい力持ちの大男で、流竜馬ら真ゲッターチームの唯一の生き残りである…といっても、有事の際の補欠メンバーなのだが。
しかし、それ故に彼は怪獣大戦役の際に真ゲッターと共に消えずに生き残ったのである。技量は先輩でありゲッター3のパイロットだった巴 武蔵と比べても引けをとらず、現行のゲッターロボのパイロットとしては最強格だろう。そして、生き残った者の使命として彼は早乙女研究所に残り続けた…
いつか、光の先に消えた仲間が戻ってくるのではと淡い期待を懐きながら…
しかし、今日
「何故、今になって怪獣が…」
いつ以来かぶりの試験飛行以外の出撃。ゲットマシン3機を積乱雲に紛れさせて飛ばす…目的は怪獣エビルバーンの迎撃である。
(…そこは、俺が考えたってわからないところか。しかし…独りの出撃がこんなにも寂しさを感じるものだとは。)
今回、自分の乗るゲットマシン以外はオートパイロット…即ち、人は乗っていない。かつては、自分が巴武蔵の代わりに出撃した際はふたりのパイロットがよく『ハジをかくなよ?』とよく叱咤された…。当たり前だが、誰も声をかけてくる人間なんていやしない。
(ふん、随分と女々しくなったじゃないか。こんなんじゃ、先輩たちに笑われちまう。)
いくら空間が密閉されても、心の隙間風だけはどうにも出来ない…。時間が癒やしてくれるとドラマのお約束の台詞は、生憎なこと穴の空いた胸の内はろくに塞がる気配すらない。我ながら面倒なものだ。今尚、あの3人の存在に足りうるものは3年経った今でも自分にはないということか。
されど、泣いても止まってもいられない…!
【弁慶…!】
「応さッ!」
達人からの通信を合図にゲットマシンの隊列を空へ向け、一気に加速。雲を抜け、迷いを振り切るような勢いで、ゲットマシンは一列へ…前から紅・青・黄の順番に並ぶと青空の中で合体シークエンスへと入る。
「チェェンジ、ドラゴン!! スイッチオン!」
3機は連結するや、明らかに物理法則を無視した変形をして人型のロボットの形態へ。紅い甲冑のような姿にドラゴンを模した兜が如き頭部のゲッターロボ、はじめて正式に戦闘用に開発された通称・ゲッターロボGである。この形態はドラゴンと呼ばれ、空中戦に特化しているが…実は弁慶の得意とする形態ではない。
「全く、こういうのは竜馬の役割だろっての! ゲッタートマホーク!!」
肩のホルダーから取り出し、振り上げるはゲッタートマホーク。正義の味方の武器には間違っても見えない戦斧をエビルバーンの背中に勢いよく飛びつくや首の付け根目掛け一撃。直後、『ゲェェェ!?』とおぞましい悲鳴と共にドラゴンの顔にビチャァ!とドス黒い返り血がついた。ゲッタートマホークはかなり深く食い込んだらしく、鮮血の噴水は止まらずエビルバーンは暴れまわる。
「今だ、退け!」
【【は、はい!】】
その隙にと、追われていた戦闘機2機は離脱。まあ、良い…奴らの武装では豆鉄砲くらいにしかならない。
そして、この技を使うなら近くにいないほうが安心できる。
「焼き鳥にしてやるよ! ゲッタービームッ!!」
『!!? !?』
ドラゴンの額から放つ赤紫の光線、ゲッタービーム。高熱とエネルギーがエビルバーンの皮膚を焼き、つんざくような悍ましい悲鳴が空に響く。生きながら灼かれるのは凄まじい苦しみだが、その分だけエビルバーンも暴れまわりドラゴンを振り落とそうと暴れまわり、終いには暴風雨の雲の下へと転がり落ちた拍子に振り払われてしまう。
しぶとい奴め。――そう毒づきながらゲッタートマホークを構え直したと同時にビビビッと甲高い何者かの接近を告げるアラートが鳴る。雷雲の先…迫るは2機の赤い機影。
「S.R.I.U.のステルバー…援軍か!? 」
ステルス戦闘機のような形態を持つ可変スーパーロボット・ステルバーが変形しこちらへ人型の姿を見せるなり、問答無用でミサイルの群を放つ。『なっ!?』と慌てエビルバーンを離して飛び退けば、数秒経たずして怪獣の姿は凄まじい爆発に呑まれて、残るは『グギャァァ!?』と悍ましい断末魔の残響とドラゴンに付着する不潔な肉片のみだった。
もし、ドラゴンが逃げ残っていれば最悪、大破に至っていた可能性もある。基本、心優しい弁慶とはいえ、これには声を荒げる。
「危ねえだろうが!どこ見て撃って… …!?」
しかし、その言葉が最後まで届くことはない。
不意にビュッ!!と頭上からビームが襲いかかり、ステルバーたちは大破・墜落。見上げれば、新しいエビルバーンの姿があり、こちらはドラゴンに構うことなく海の先へ見える街へと向かって飛んでいく…。
「まずい!」
すぐさま、ドラゴンで阻止にかかる弁慶…されど、思いに機体は応えない。ステルバーのミサイルで何処か異常をきたしたか、はたまたパイロットの椅子が空席である故か……
…確かなのは、このままでは追いつくまでにエビルバーンは市街地に辿りついてしまうということだろう。
★ ★ ★ ★ ★
「! …怪獣警報!?」
ビル街にけたたましい警報が鳴り響き、辺り一帯の人々が叫び惑いパニックになる中、覚馬は反射的に空を見上げていた…。何層にも重なった絨毯のような曇天の中で不自然な稲光が数回…そして、ひゅるるる〜…!と大気を切り裂きながら巨体が街中へ真っ逆さまに落ちてくる…!
「ぐわあああああ!?」
ガシャァァン!とビルを下敷きに落ちてきたのは紅いロボット…覚馬がそれが何かを知っていた。
「ゲッターロボG!? 馬鹿な、早乙女平和条約で動かせるゲッターなんぞあるはずが!?」
正規採用型戦闘用ゲッターロボ・グレード…りゃくすればゲッターロボG。怪獣大戦役の際には少数ながらも量産されて、戦線を維持した機体だ。同時に、今の日本に存在するはずの無い存在…
そして、コイツがいるということは即ち…
『グルァァァ!!!』
「怪獣!? エビルバーン級か!」
倒すべき存在がいるということ。
ドラゴンを目指し、曇天の空から現れたエビルバーンは急降下すると口から光線と吐瀉物の弾幕を飛ばして追撃。態勢を立て直しきれない敵を容赦なく叩きのめし、爆発が起こるとついに紅き守護龍は動きを止めた…。
『グルルル…』
凶鳥は満足げに唸ると、邪魔者は居なくなったと都市部の空を大きく急旋回し円を描く…まるで、猛禽が獲物を探すように。もはや、守護者無きこの都市は凶鳥の餌場…運悪く走るモノレールを見つけると涎を撒き散らしながら『シャァ!!』と襲いかかる!
「! …やめろ!!」
覚馬は叫ぶ…!
されど、無情に鉤爪が列車を捉えると空へと連れ去っていく…。そのまま、手頃なビルの上に着地すると大口を開け、ズラリと牙が鉄の箱に食らいつき中の人間共々引き裂いて喉奥へとほうばり流し込んでいった…。そう、モノレール諸共人間を喰っているのだ。
口からは死血と生き血がグチャグチャになったものが滴り、尚も飢えた獣は理不尽な暴食と執拗な咀嚼をやめない…その有様にブルルッと全身の身の毛がよだつのを感じる覚馬…。
「やめろぉぉぉぉ!!!」
「!」
その時、よろめきながらもドラゴンが立ち上がり、ゲッタートマホークを握る…フラフラとする姿勢を心なしかエビルバーンは嘲笑っているように見える。表情はともかく、所業は悪魔…許していけない。守護龍はボロボロになりながらも立ち向かう…!
「うおおおお!!!」
(動きが鈍い…まさか、3人乗ってないのか?)
この時、覚馬は気がつく…このゲッターロボGには本来、3人いるべきパイロットが揃っていないのだと。本来の性能を発揮していれば、エビルバーン級など大した敵ではないはず…
その予想が正解だと言うように、再び飛び立ったエビルバーンにドラゴンは啄まれ翻弄されていた。
しかし、どうする? 戦闘中のゲッターロボGに乗り込むのは流石に無理…されど、このままいけば街に甚大な被害が出るだろう。癪だが逃げることしか出来ないのか?
(大人しく避難するしかないのかよ……いや、待てよ?)
ふと、覚馬の脳裏に『アレ』が過る。
そう、『アレ』があれば戦える…!思い至った覚馬は人々を掻き分け、その流れに逆らいある場所へと急ぐ…。
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