三日月が空を明るく照らす夜、私は森の中にいた。
刀に手をかけ、居合いの構えを取る私の前には誰もいない。
私の瞳に映るものは風に飛ばされた葉と底知れぬ夜の闇だけだ。
深呼吸をして体を落ち着かせ、目を閉じ、神経を研ぎ澄ます。
風に髪が靡くのを感じながら、来る「それ」の瞬間を待つ。
鼓動の音が、風の音が、ざわめく森の音が私の集中を乱そうとする。
それから逃げるように、私は深く深く意識の底へ潜っていく。
意識の底。
そこは、何も聞こえず、何も見えず、何もない空間。
少し恐怖を感じる。が、続ける。
怖くても続けなければならないのだ。
剣術を極めて、それを以て幽々子様を守るために。
これを越えた先に究極はある。
だから続けなければならないのだ。
更に神経を研ぎ澄ませる。自然と闇は深くなる。
今にも襲い掛かってきそうな闇に私は怯える。体が冷たく感じる。
意識の中なのに、これが闇か。
恐怖に支配されそうになる。
怖い恐い怖い恐い怖い恐い怖い恐い怖い恐い怖い恐い怖い恐い怖い恐い怖い恐い
怖い恐い怖い恐い怖い恐い怖い恐い怖い恐い怖い恐い怖い恐い怖い恐い怖い恐い
私の心が潰れそうになった瞬間、「それ」は来た。
闇の中を一筋の閃光が照らし、駆けていく。
私はそれを見逃さずに、恐怖に支配されかけていた体を動かし、
-斬る
闇も、閃光も、空間が斬れたように裂けていく。
裂けていった先には、さっきまでの月に照らされた森が見える。
視界が開けていき、周りがしっかりと見える。
究極に辿り着けたことに、剣術を極めたことに歓喜する。
精神的に落ち着き、白玉楼へ戻ろうと思い、歩きながらふと空を見上げる。
そこで私は異常に気付く。
「なっ!さっきまで三日月だったのに···········満月だと········!?」
唐突な変化に呆然とする。
すると、どこから声が聞こえる。
「············あ·········いい····ね·····かも···」
「あ·······わい··········ほん·······が·········きまっ··········」
迫る気配に気付き、我に帰る。
どこだ?························-上か!
直ぐ様草むらに駆け込み、話し声の正体を見る。
空高くから見下ろす満月が二つの人物を照らす。
「霊夢と魔理沙だと········!?」
話し声の正体は博麗霊夢と霧雨魔理沙だった。
無論、それだけなら驚きはしない。
私が驚いた理由、それは-
「十年前の姿···········!?」
両者ともに、約十年前の姿だったのだ。
どういうことだ?十年前の姿の二人がいるとは。
異変か?いや、それなら霊夢が気付いているだろう。
ならなんだ?タイムスリップか?
············タイムスリップの可能性が高そうだな。
なら、何故タイムスリップした?刹那を斬ったからか。
唐突な出来事に頭のなかがぐちゃぐちゃになる。
数分後、私は落ち着き、取り敢えず今はいつなのか。
それを確認するために動くことに決めた。
周囲を確認しながら空を飛ぶ。
二振りの刀を携えて、疾風の如く速さで、飛ぶ。
私、魂魄妖夢26歳は、過去の幻想郷の空を駆ける。
思いつき。
タイトルは苦し紛れにつけました。
戦闘物は苦手なんですけど頑張りたいです。
マキシマム ザ ホルモンの『F』にハマってます。