「·······ん」
目覚まし時計が鳴ったわけでも、鳥が鳴いたわけでもない。
別に回りは眩しくもない。
何のきっかけもなく、目覚める。
瞼を開け、見慣れない天井や部屋を見て、昨日のことが夢でないことを実感する。
昨日は人里の宿に泊まった。
すれ違った人の中に、「ん?」といった顔をしえいた人がいたが、
長い髪とかなり伸びた身長のおかげか、気付かれなかったようで、
気のせいかといった様子で注意は私から離れていった。
私は幽々子様が異変を起こすときまで、フードを被って、人里に来ていたので、
少なくとも、それより後だと言うことがわかる。
因みにフードを被っていたのは、半人半霊という特徴や半霊による無駄な騒ぎを抑えるためだ。
ダルい体を起こし、目を擦りながら窓から外を覗く。
空はまだ暗く、太陽は上っていない。
「早すぎたか···············」
枕元に置いておいた懐中時計を手に取り、時間を見る。
4時37分。
これまた微妙な時間だ。
ちゃんと寝れるほど時間があるわけでもなく、朝までに何かが出来るほど時間があるわけでもない。
一番嫌な時間帯だ。
自分でも自覚できるほど嫌な顔をする。
·········でも、今は仕事はないわけだからもう動けるのか。
普段の忙しい生活のせいで、少し遅めに気付く。
くぁと欠伸をして、いそいそと着替える。
着替え終わって、また気付く。
あ、慧音さん絶対寝てる。
着替え終わってから気付き、げっそりする。
私が人里に来た理由は、上白沢慧音に会うためだ。
目的は今がいつかを知ること。
私は今がいつか知らない。
月の異変の時か、地上に船が現れた時か、神霊の時か、私にはわからない。
もしかすると、もっと先かもしれない。
だが、少なくとも私は知らないのだ。
知る必要がある。これからの行動のために。
で、慧音さんに会いに来たのだが、
5時前は訪ねる時間じゃあないよなぁ·············。
どうしようかと頭を悩ます。
~10分後~
何も思い付かない。
こうなれば、もう適当に動いて時間を潰そう。
投げやりな考えになりながら、刀を携え、宿を出る。
宿を出ると、陽が上りかけていた。
地平線からちょっとだけ出た太陽が私の体を照らす。
少し眩しくて、手で光を遮りながら歩く。
まだ人が少ない。当然だが。
目が光に慣れてきたので、遮っていた手を下ろす。
すると、
「あ」
「ん?」
「慧音さん···············」
慧音さんがいた。
________________________________________________
恐らくは教室だろう部屋で、お茶を出される。
「こんな早くにすみません··········」
「ん、いいさ。私も少し暇だったからな」
「そうですか·············」
「あぁ、うん。で、妖夢、お前は誰だ?」
一見矛盾して聞こえるこの質問、今は間違っていない。
この人の知っている魂魄妖夢は十年前の私で、私ではないのだから。
少し考え、答える。
「えっと········まとめて言うと、私は魂魄妖夢です。26歳の」
「えーあーうん。·········訳がわからん」
眉間の辺りを指で押さえながら困った様子で慧音さんが言う。
やっぱりわからないものか。
伝わるように、詳しく説明する。
「私は剣術を極めました。剣術の最後、もっとも早い光速の斬撃を習得しました」
「うんうん」
「その際に、タイムスリップしたんです」
「お、おう··········」
「以上です」
言い終わると同時に慧音さんの体が崩れ落ちる。
漫画やアニメでよく見る感じのあれだ。
こう見ると、どう見てもわざとやってるように見えるな。
慧音さんだからわざとじゃないんだろうが。
「ど、どうしたんですか?」
「それだけでわかるわけがないだろう············」
「いや、でもこれで全部です」
またもや崩れ落ちる。
マジでわざとじゃないんだろうか。
「あぁ!もう、いい。嘘じゃないんだろうからもうこの話は終わりだ!」
「アハハ···········」
「······それで?私に何の用があるんだ?」
「あぁ、はい。今はいつなのでしょうか?」
「いつって?」
「幽々子様の異変が終わったあととか、そんな感じで」
成る程といった感じで慧音さんが手を叩く。
「そういうことか。それなら今は神霊の異変が終わった後だ」
「なるほど、ありがとうございます」
深々と礼をする。
なるほど、神霊の異変が終わった後か。
大体わかったぞ。
「今からどうするんだ?」
「わかりません。どうにか変える方法を探します」
「そうか········頑張れよ」
「ありがとうございます、ではもし会う機会があれば。さようなら」
「あぁ、さよなら」
慧音に別れを告げ、外に出てから、空を宙に浮かす。
そのまま飛び、目的の場所を目指す。
目的地は冥界、幽々子様の下だ。
長い分グダりましたすみません。