私が神霊廟の勢力下に入ってから9日後。
少佐が扇動してから2日後。
私は、逆さ城にいた。
あの日、神霊廟の門を叩き、神子に会った。
当然のごとく勢力下に入ることを許可され、神霊廟最大の戦力として幻想郷中に名が知れ渡っている。
だが、いや、やはりか。
他の奴等も来ていた。
博麗霊夢:博麗神社にて自らと異変が起これば解決するという体制を取る。
霧雨魔理沙:誰も入っていない命蓮寺の勢力下に入る。
十六夜咲夜:当然、紅魔館に所属。
東風谷早苗:こちらも当然、守矢神社に所属
私、魂魄妖夢:神霊廟に所属。
幻想郷、全ての好戦的な大きな勢力にそれぞれ未来の人間が入った。
ほとんど均等になったと言ってもいい。
いつでも戦争はできる。
-私にも会った。
私は、私に会うなり驚愕の表情を浮かべた。
当然だ。
未来のとはいえ自らに会ったのだから。
まだ未熟な私に私は剣術を教え、それなりに上達させた。
ある程度の戦力にはなるだろう。
因みに過去の私が神霊廟に所属しているのは、幽々子様の意向だ。
なんの思惑があったのかは、今の私にはわからない。
ただ、私は幽々子様に従っていたのだから。
あと、一つ言っておこう。私はキリスト教カトリックの信仰者だ。
道教なぞどうでもいい。
話を戻そう。
私は今、逆さ城にいる。
神子とレミリア·スカーレットの対談があるからだ。
紅魔館は他の勢力に敵対する理由があるなか、敵対する理由がない。
一つだけ浮いている勢力だ。
やりようによれば、同盟を結ぶこともできる。
神子はいち早く連絡を送り、対談場所にここ、逆さ城を指定した。
私はその護衛というわけだ。
「レミリア·スカーレットがいる場所に十六夜咲夜あり」と言われた程だ。
来ないわけがない。
屠自古と神子が二人並んで歩くかなり後ろで、私は歩く。警戒させないためらしい。
「いやぁ、ここはすごいな。全てが逆さまだ。徹底している」
「そうですね」
逆さの廊下を歩き続けていると、人影が見えた。
「あ」
神子が呟く。
レミリア·スカーレットは今の十六夜咲夜と、逆さの絵画を眺めている。
その表情を苛立ちを含んでいた。
「···········いかん、遅れちゃったかなぁ?」
「そのようですね」
肩を竦め、苦笑いしながら聞く神子の言葉に屠自古が答える。
「いやぁ、すまないな。待たせてしまったようで」
遅れたことを詫び、そして神子が彼女に歩み寄ろうとすると、
「それ以上近寄るな!」
怒号が飛んできた。言葉は続く。
「神霊廟が何の用だ?それも人々の希望となるような聖人のお前が」
此方を向くこともせず、明らかな警戒を示し、問い掛けるレミリアに、神子は笑いながら言う。
「あぁ、これはいけない。随分と嫌われたものだ。
先ずはご挨拶を。
神霊廟の長をやっております。豊聡耳神子と申します。以後よろしく」
「自己紹介なぞ無意味だ。用件を言え」
「まぁまぁ、そう目くじらを立てずに。今日は別に君達と争いに来た訳じゃないんだ」
レミリアがようやく此方を見て、言い放つ。
私は見えない位置で隠れているからバレていない。
「信じれるか!貴様が人々を導くだと?貴様は人々を操り、傀儡にする偽善者だ!
それも私のように下僕にするわけじゃなく、まともなまま操る!
屑だ!今日という日に生きていてはいけないやつだ!」
「それがどうした?」
捲し立てるレミリアの言葉を遮りように、神子が剣を床に突き刺す。
「なんだと········!?」
「此方が下手に出たら調子に乗って。
貴様ら化け物の一人や二人が喚こうが知ったことじゃない。
この先起こる戦争が無ければ貴様らと直々に話したりはしない。
グダグダ言わずに話を聞け、人の血を吸わないと吸血鬼でいられない雌豚が」
「雌豚?」
少しキレ気味で言う神子の言葉に対し、何処からか声が聞こえた。
来たか。
次の瞬間、未来の十六夜咲夜が姿を現す。
「流石は人々を導く聖人。言うことが違いますね」
今のが怒りを抑えている前で私と同じ咲夜は、怒りを感じられないほど落ち着いていた。
「10年後と同じね、何も変わっていない」
「未来の十六夜咲夜。紅魔館の現最高戦力、そちらのジョーカー。
お会いするのは初めてだ。初めまして十六夜咲夜」
右手を左に向けるようにして礼をする神子に対し、
咲夜は体を動かさずそのまま言う。
「初めまして豊聡耳神子、そしてさようなら。貴方は私の主を雌豚と呼んだ。
生きて帰れるとは思わないことね。殺すわよ?聖人」
咲夜がナイフを構える。
「あぁ、恐ろしい恐ろしい。
あんな恐ろしいメイドにナイフを構えられては話もできないなぁ。
そして、そちらがそうするなら此方もこうしよう。拮抗状態を作るとしようか。·····魂魄妖夢!」
お呼びがかかったので、陰から姿を現す。
鏡で見ていた咲夜の姿を直視した瞬間、敵対していたのを改めて思いだし、怒りを覚える。
刀を抜き、正義だと信じるために聖句を唱えながら咲夜の方に歩いていく。
「我に求めよ。さらば汝に諸々の国を嗣業として与え地の果てを汝の物として与えん。
汝、黒鉄の杖をもて彼らを打ち破り、陶工の器物の如く打ち破らん。さらば汝ら諸々の王よさとかれ」
「ん?」
何かを感じたのか、神子が私の方を見る。
「地の審判人よ教えを受けよ。恐れをもて主につかえ、おののきをもて喜べ。
子に接吻せよ。恐らくは彼は怒りを放ち、汝ら途に滅びん。その怒りは速やかに」
「いかん!やめろ魂魄妖夢!」
私がこのまま戦う気だと気づいた神子が腕を広げ止めようとする。
腕を押し退け、そのまま突き進む。
「燃ゆべければ。全て彼による頼む者幸いなり」
彼女等の前で止まり、
「一撃で何もかも決着する。眼前の敵を放置して何が最強か。何が剣士か」
言い放つ。
すると、咲夜も彼女等の間から前に出てくる。
二人が対峙し、双方武器を構える。
「そうでないと。さぁ、やりましょう。最速の剣士」
「この前のように止めはしないぞ時のメイド長」
睨み合う私達の後ろで、主たちが言う。
「やめろ!咲夜」
「よせ!魂魄妖夢!」
二人、共にやめる気などないのは明らかだ。
「「は~~~~い!!!」」
気の抜けるような声が響く。
すると十字路になっていた道の、
双方がいない方から美鈴と布都が大量の妖怪を連れて歩いてくる。
その顔は両方ひきつっていて、かなり恐怖していた。
妖怪は恐らく天邪鬼の噂を聞いて来た連中だろう。
「こっちですよ~·········」
「こちらですよ~·········」
自然と気が抜けていく。
「·······闘争の空気じゃないわね」
「あぁ、そのようだな」
私も咲夜も闘争する気は失せ、後ろを向く。
「お嬢様、帰って夕飯の準備を致します。ここに来ていて出来ていないので」
「太子様、神霊廟に帰ります。
ここはとても面白い空間ですね。今度は今の私や幽々子様も連れてきましょう」
にっこりとした笑顔で神子に言う。
「りょ、了解した············」
そして前を向き、
「次は殺す。必ず殺す」
怒りの表情を浮かべる。
そうして、私は逆さ城を去った。
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「フフフフ········お互い大変な部下を持って苦労するわねぇ。えぇ?雌豚」
「さ、さっきのお返しかな·····?ま、まぁ、いい。我慢しましょう」
無理矢理作った顔で神子が言う。
「話は人里のカフェで如何かな?」
「了解した」
この後、対談は行われ、神霊廟と紅魔館の間には同盟が結ばれた。
これがしたくてこの小説書いたのもあります。っていうくらいこれがしたかった。
3000文字(2998文字)という文字数。頑張りました。
一日で5000文字以上は初めてです。
妖夢キリストカトリックはこのためだけの設定。
しかし、応用はしていくつもりです。