病み気味ウマ娘とトレーナー   作:さば缶

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セイウンスカイの場合 トレーナーSide

トレーナー(先日担当うま娘の子が有馬記念を制した。そのほかにも様々なGⅠレースに出走し、勝利してきた。

二人三脚で挑戦してきた彼女との軌跡のおかげで仲もだいぶ良いものであると思う。)

 

 

私立トレセン学園ではトレーナーは専属トレーナーとチームトレーナー、またはサブトレーナーなど大きく3つの区分に分けられる。

 

この中で僕が属するのは一つ目の専属トレーナーである。

 

ある程度、経験を積んだベテラントレーナーになると複数のうま娘の担当となりチームを率いることなることもあるが

まずは専属担当の一人を勝利に導くことで周りからの評価を集め次第にベテラントレーナーへの道を歩むのが鉄板である

 

そして現在縁あって担当しているうま娘の名前はセイウンスカイ

始めはつかみどころのない彼女の性格に振り回されていたが、今では良きパートナーであると僕は思っている。

 

ただ最近、スカイから僕に対する反応が以前と違ったようなものな気がする。

 

トレーナー(僕としては彼女からの信頼を損なわなないように日々過ごしていたつもりだったのだが…

ただ少し前から、専属担当であるセイウンスカイの様子がおかしい、)

 

今後のレースに影響がある程には思えないのでそこまで深く考えてはいないが、

体感としては以前よりもスカイの方から僕に話しかけてくる機会が多くなったように感じる。

 

 

ーーとある日曜日トレーナー室にてーー

 

休日も僕は割とトレーナー室にいることが多い。

今日もいつもと変わらず今後のトレーニングについて考えていた。

いままでと違う点は、偶然部屋に居合わせる機会の多くなったスカイからの視線をたびたび感じることだろうか。

 

「な..なぁスカイ、ちなみになんだが僕の顔に何かついていたりするのかい?」

 

「い、いやぁ~とくにはなにもついてないよ~」

そう答えたスカイは特に変わった様子もなく、、、

しいて言うなら若干顔が赤いくらいだろうか

あまりこちらからスカイの方を長く見るのも気が引けるので

 

 

「そ、そうか...ならいいんだけど」

こちらを見ていたのもスカイのきまぐれだろうか。

そう考えるとなぜこちらを見ていたのかと詳しく聞く勇気は僕にはなかった。

 

僕の方を見てスカイは退屈ではないのだろうか。

そもそも休日にこんな何もないトレーナー室にきて何かスカイ的に楽しいことでもあるのだろうか。

そんな疑問を抱きつつ気がつけば時計が昼の時間を告げていた

 

「そうだな、そろそろ昼時だしご飯でも行って休憩でもしようか」

 

最近ではスカイと二人で昼食をとる機会も多くなったと思う。

今日もいつも通り普段の店に行こうかと考えていると

 

 

「!!それだったらセイちゃんね、今日トレーナーのためにお弁当を作ってきたんですよ~」

 

ふとスカイの口から思わぬ一言が発せられた。

そしておもむろにバックの中から二人分はあろう大きさの弁当箱を取り出そうとしているではないか

 

????!!!!!

今まで、スカイがお弁当を作ってきたことはなかった。

ましてやそのお弁当が僕のために作られただと、、、

と、慌てかけたがこれもスカイの気まぐれなのだろうか

 

「え?あぁ...えっと」

脳の処理に言語が追い付かなかった

 

「あ~無理にとはいわないよ?トレーナーさん的には私の作ったものよりもお店のものの方が魅力的だろうし」

 

そう答えたスカイは一見普段通りの反応だが、耳やしっぽの反応を見れば明らかに落ち込んでいることがわかる。

 

取り出しかけたお弁当もバックの中にしまおうとするスカイの行動をみてやっと状況に言葉が追いついた

 

「ぜ、ぜひ食べたいです。ほんとにぜひ」

 

「お~!でもほんとにいいの?」

そう答えたスカイの声色は少し自信なさげに思えた

 

「スカイのつくってくれたお弁当が食べたいんだ」

 

すぐさまこうして伝えられなかったことを申し訳なく思いつつも

 

スカイがその言葉を聞いたとたん嬉しそうに耳やしっぽを動かしているのを見て僕としても安心した。

 

「そっか。よかったよ~」

 

そうしてトレーナー室で担当うま娘の手作り弁当を食べる状況が出来上がった。

 

 

 

 

ーーお弁当実食後ーー

 

 

お弁当の味そのものはもちろん美味しかったのだが、それ以上になんだか体が火照ったように感じる。

 

これもこの状況に僕自身少々興奮しているからなのだろうか

可愛い女の子の手料理をその子の目の前でたべることもだが

時折味の感想を伝えたりしていたのだがその時のスカイの一喜一憂する様子が

もう、何かヤバイ

スカイってこんなに可愛かったっけ?

今までスカイの顔をよくよく見たことはなかったが、

改めてみてみるとよく整った綺麗な顔をしていることを実感する。

 

「トレーナーさん…そんなに見つめられるといくらセイちゃんといえども照れてしますといいますか

そのですね・・・」

 

明らかに照れた様子のスカイの様子を見るとますますいとおしく思う。

いつもだと考えたこともなかった感情が今日は妙に湧き上がってくる。

 

こんないい子の彼氏さんとかって幸せなんだろうなぁ

 

「こんな美味しいスカイの手料理を毎日食べれる人はしあわせだろうなあ」

とふと思ったことが口に出てしまったのは失言だった。

訂正しようといい言い訳を考えていると、

 

「それならセイちゃんなんて彼女としてどうです?」

 

トレーナー「えっ?」

 

セイウンスカイ「えっ?」

 

思わぬスカイの一言に思考がまとまらない。またなぜだか普段に比べてさらに思考が散漫になってるように感じる。

ただいくら目の前の自分の担当ウマ娘が、女の子が魅力的に見えていてもさすがに手を出すほど理性は耄碌していない。

それにこれは彼女なりのジョークであると遅れて察しがついた。

となると…

 

「スカイとだったらそれもいいかもな。見知った仲だし僕としても是非お願いしたいよ」

と彼女の眼を見つめてにやりと返事をした。

今は目の前の女の子に対していくらこちらもジョークだとしてもこんな恥ずかしい言葉がすんなりといえるのはなぜなのか

 

「え!?」

「まだ…心の準備が」

 

しどろもどろになっているスカイを見てこちらとしても大変満足だ。

そろそろこちらの言葉もジョークだったことを伝えようと考えていると

 

「その!セイちゃんは急用を思い出したので行きますね!!!」

 

そう言い残してスカイが部屋を飛び出していったのは一瞬だった。

まるでレースかのような見事な逃げのように見えた。

 

あれ?

もしや自分はとんでもない失言をしてしまったことに気づくのに時間はかからなかった。

 

すぐさまスカイの後を追うため、トレーナー室を飛び出したが遅かった。

 

仕方なくスカイのスマホに先ほどの発言はジョークであったことを送ろうと思案していると

ほどなくしてスカイの方から

 

さっきのセイちゃんの言ったことは全部冗談だからまにうけないでね~

と連絡がきたので

 

これ幸いと既読だけつけて安心し、その日はいつも通り過ごしたと思う。

 

 

 

 

 

 

ーー翌日ーー

 

いつも通り放課後トレーナー室でスカイを待っていた。

思えば昨日はなぜあのような数々の失言をしてしまったのか。

場合によってはセクハラだと訴えられても文句の言いようもない

 

スカイに昨日のことを謝らないとなぁ

などと昨日の失言数々を後悔していると、

トレーナー室の扉をノックする音が聞こえた。

 

スカイが来たのかなと思い、謝る覚悟を決め入室を許可した。

 

扉をノックしていたのは確かにスカイであったが様子がおかしい。

 

いつもの明るさというか、余裕のようなものが一切感じられない。

それどころかまるで何かにおびえているようにすら感じる。

 

 

自身がスカイに対して謝罪の言葉を言う前にスカイの方が早々に口を開いた

 

「ごめんなさい」

 

スカイは小さくも確かにそのように言った。

 

???

なぜ彼女から謝られているのか。

 

「ごめんなさい…」

消え入りそうな小さな声でそう聞いてきたスカイはとても自信なさげで今にも泣きだしてしましそうな雰囲気だった。

 

ごめんなさい?

何に対してだ?

スカイの口ぶり的におそらく彼女は僕が自分に対して怒っているのではないかと考えているようだった。

 

彼女がなぜこのように考えているのかはともかくひとまずは彼女を安心させる必要がある。

 

 

優しく、彼女を抱きしめた。

この際セクハラがどうだなど言っている場合ではないように思えた。

 

「見捨てないで」

スカイが小さくつぶやいた。

 

見捨てる?誰が?

少なくとも僕の方からスカイを見捨てるなんてことは絶対にしない。

 

「見捨てるわけない」

 

これは紛れもない僕の本心であった。

 

「僕はずっと君と一緒にいる」

彼女を抱きしめながらやさしく伝えた。

 

「うん」

 

彼女は静かに僕の胸の中で涙を流し始めた。

 

まるで緊張の糸が切れたかのように次第にその声は大きくなっていった。

 

しばらくしてようやくスカイも落ち着いてきたのか、おもむろに胸の内を語ってくれた。

 

それはどうやら昨日のトレーナー室での出来事からの話にさかのぼる。

 

スカイが言うにはどうやらお弁当に

いわゆる「本音薬」呼ばれる、対象の本音を聞くことのできる薬を入れていたらしい。

 

なるほどと。

あの時、スカイに対して様々な失言をしてしまったのはあれは僕自身の本音であったと。

そう思うと急に恥ずかしくなってきた。

 

ただ部屋を飛び出した後に、薬を使ってしまったことへの罪悪感と恥ずかしさで先ほどの自身の告白は嘘であったと伝えてしまった。

と彼女は少しずつ語ってくれた。

 

ここまでは一部予想外の事実を暴露されたがおおむね自身の知っている情報と差異はなかった。

ただ問題はここからであった。

 

彼女がメッセージを送ってからそこに既読がつくまでにさほど時間はかからなかった。

 

僕自身そのメッセージにすぐ気が付いたのを覚えているし、既読もその分早くつけていたと思う。

 

当初彼女は僕の方から何かしらの返事が来るものだと思っていたらしい。

 

今まで通り自身の軽口にトレーナーからも軽い冗談で返ってくるものであると。

 

そのため始めは用事か何かで返信ができていないだけだと考えていたが、返事は夜になっても一向に来なかった。

 

だんだんと不安が募ってきたらしい。

 

思えばあそこでせっかくの告白をなかったことにしてしまったのはさすがにトレーナーに対して失礼だったのではないかと

トレーナーとしては本音薬を飲まされたうえで、挙句一方的に相手の方からないがしろにされたわけだ

 

そこで彼女はこう考えてしまった。

 

「本音薬」を飲んだトレーナーの発言は紛れもなく本音だった。

それにもかかわらず、自身はその場から逃げ出すだけでなくそれを茶化すような発言をしてトレーナーを傷つけた。

そしてそのことに対してトレーナーが腹を立てていると思い込んでしまったようだ。

 

トレーナーからしたら自分の告白に対して真摯に応えてくれたにも関わらず、

自分はなんて身勝手なことをしてしまったのだと彼女は自分を責めた。

 

それ以上にこの一件でトレーナーから嫌われてしまったのではないかと

もう、自分に対して愛想を尽かしてしまったのではないかと

 

そこからは自分のような身勝手なうま娘のことなど見捨ててトレーナーが新しく別の娘を担当することになるかもしれないことや

今度会ったときに契約解除を言い渡されるのではないかと

悪い妄想が止まらなかった。

 

と、彼女のいうことを要約するとそのような内容だった。

 

冷汗が止まらなかった。

 

あの時のラインの返事を怠ったことでここまで彼女を傷つけてしまった

 

逆にこんな自分のことを正直に伝えたら彼女の方から見切られるのではないかと恐ろしくも思った。

 

ただ目の前の女の子が自分のせいで悲しんでいるこの状況よりは絶対にましだと思った。

 

だから僕の方も包み隠さずすべてを話した。

 

お弁当が嬉しかったこと

お弁当が美味しかったこと

彼女の告白が冗談であると思い、自分も冗談で返していたこと

そしてそのことを伝えなかったこと

彼女のことを深く傷つけてしまったこと

 

「ごめん」

 

そう言い残してスカイを包容していた手を放し、彼女の反応を待った。

 

この後どのようなことになったとしても覚悟はしていた。

 

しばらくして彼女から反応があった

 

「じゃあ、トレーナーさんは私のこと嫌いになってないってこと?」

 

「はい」

 

「けど、トレーナーさんは私のこと恋人として好きだとは思ってないってこと?」

 

「違う、いや、その…好きか嫌いかで言ったら間違いなく好きではあるのがが…えっと」

 

ここまできてはっきりと断言できない自身の立場や正確に嫌気がさす。

 

けれどそのあとの彼女からの返答にそれ以上に驚かされた

 

彼女ははっきりとそして力強く告げてきた

 

「私は好きだよ。トレーナーのこと。今までトレーナーと一緒にいることがあたりまえだって思っていたけど、

トレーナーがいなくなるって思って初めて絶対に失いたくないって思った。」

 

「この好きって気持ちは今までは信頼の裏返しだと思っていたし、深く考えないようにしてた。」

 

「けどもう気づいちゃったんだ」

 

「私はトレーナーのこと絶対に離したくないって。ずっと一緒にいたいって」

 

「だからこれからもずっと一緒にいてください」

 

それは紛れもなく一世一代の彼女の告白だった。

 

曖昧な返答しかできない僕と違って彼女ははっきりと答えを示してくれた。

 

彼女の眼は僕の眼をじっと見据えていた。

 

そして僕も彼女の眼の見て答えた

 

ここで不義理を働くような真似は絶対にできない

 

僕も精一杯今言葉にできることを伝えた

 

「僕と君はあくまで生徒と教師の関係だ」

 

「その関係は恋人のようなものでなあってはいけない」

 

「だから君からのその好意には応えることができない」

 

「けれどこれからの君のウマ娘としての活躍は僕が必ず隣に立って支えると約束する。」

 

「この発言は無責任なものだと思うが、

もし君がこのトレセン学園を卒業してもまだその気持ちに変わりがなければ、

もう一度だけ同じ質問をしてほしい

今度は一人の男として返事をすることを約束するから」

 

そう答えると彼女は満足そうにうなずいた。

 

その表情はいつもの彼女そのものだった。

 

「それじゃあ、いっちょ練習でもしますか!見ててよトレーナー!」

 

そういって走りだした彼女の表情はとても嬉しそうなものであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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