「行きなさい、美々子、菜々子。私はもう死んでいるのだから」
「やだやだ! 夏油様はここにいるじゃない!
「一緒に行こう、夏油様!」
「私はもう死んでるんだってば。それに、『何か』が私に指示を出せば、逆らえない」
「それでも!」
「はい、時間切れ。一緒に来てもらうよ」
「五条 悟!」
夏油は困った顔をした。
「悟。美々子と菜々子だけれど、私を乗っ取っていた呪詛師の情報で見逃してもらえないかな」
「それは傑の協力姿勢によるかな」
そうして、夏油は確保され、渋谷事変は終わった。
当然のことながら、ピコちゃんは指名手配された。
彼女が非術師なのは確定的に明らかなので、どこの担当部署になるかはそれはもう揉めた。
とにかく一年で捕まえないと、ハロウィンリトライが起きてしまう。
死者達も死者達で問題だった。
彼らは例外なく呪霊が視えた。人によっては呪霊を攻撃すらできる。
1000人超の人が、である。しかも、彼らは五条以外にはぱっと見、人間と区別がつかない。その五条も、魔眼レベル1(定着した)なので、なんとなく違和感を感じる程度である。しかも死者は生者に混じってとっとと帰宅してしまった。
彼らが各々呪霊について発信したのだからたまらない。呪術規定の「秘密」要項が死んでしまいます。
他にも、ピコちゃんから気に入られたのか、力が消えなかった人々がいる。彼らは呪霊を見て、祓える。
そう、ピコちゃんは非術師だが、ピコちゃんの被害者たちは術師となってしまうのだ。
これもまた、担当部署が揉める要素である。
その上、傑がぺろっとメロンパンの今までの悪事について証言した。
1000年間かけて企まれた悪事の後始末で呪術界はくっそ忙しかった。
なにせ、証言が一ヶ月立ってもまだ終わらない。
あと、加茂家の最悪の呪術師は冤罪で被害者だったことが判明した。
夏油は証言が終わった後に死刑にすることが決まったのだが、彼らゾンビは殺しても復活し、殺し方がわからないのがまた頭の痛い所だった。
幸いだったのは、ゾンビは人間を攻撃できないということ。
生きてる人に手を出してはならない、というルールがあるらしい。
それ以外では、今の所命令はないようだ。
五条などは、じゃあ無害じゃん、などと言っているがそれで済むなら呪術規定はいらない
死者達は自分が死したことを理解し受け入れ、のほほんとしているのが救いか。諦めているとも言う。
生命保険ください。成仏した後にな。
ゾンビーズの言い分によると、ピコちゃんの力の供給がなくなったら死ぬらしい。
いつ供給が途絶えるのかは気になる所。
ピコちゃんの意識は若干流れてくるらしく、ただ単に忘れているだけなのはわかっている。なのでいつ途絶えるかは本気でわからない。あと、定期的に勉強の意識が流れてくるので学生なのは確定的に明らか。
全てピコちゃんのせいにして、呪霊については秘匿を続行するという決定が一度はくだされたのだが、流れてくる意識からピコちゃんが、サッパリわからないのでゾンビーズの中から誰か部下として引き抜こうか考え始めたと報告があった時点で、呪霊や術式について電撃的に発表したのでピコちゃんはまたゾンビーズについて忘れた。
夏油が引き抜かれる悲劇は、今回は防がれた。
もはや、一年の猶予などない。
ピコちゃんは捉えねばならないというのは、関係各所で一致している。
大体、鉄仮面をつけただけの変装。
声はそのまま。髪もそのまま。
思考の一部はゾンビーズに筒抜け。
それらの情報で、警察組織はなんとか頑張り、ピコちゃん候補を見つけた。
問題はどう接触するかである。