安眠グッズが馬鹿売れして、GDPがガタ落ちになった。幸福度はめちゃくちゃ上がった。なんていうか、ゲームが盛況すぎてもうもう一つの日本みたいになっちゃってる。
いろんな団体が、いろんな思惑で生き残らせる魔物を考えて作戦をねっている。
総数が多すぎるから、殆どの策は水泡に帰すと思うけどね。
何もなかった平原から、ビルが立って、サラリーマンが働いて、なんてやってるのを視ると、つい笑ってしまう。
9月。
案外、コロシアイは起きなかった。
10月。
宝玉をばらまいてから、一気に事態が動いた。
宝玉の位置の探り合うもの、手当たりしだいの殺戮に走るもの、駆け引きするもの等々。
しかしまー、総数が多いからなぁ。
参加人数は絞ったほうが面白かったかもしれない。
バトルロワイヤルと言うより、コレ宝くじだ。
本当は、自我を与えてしまえば楽しめたとわかっている。
でも、大勢の自我あるものを死なせてしまうのはね。勇者的ではない。
さてさて、一番はやはりあいつだ。
厄介な能力を持った魔物を複数生き残らせている。
有益な魔物を現世に出して協力を得ようというプロジェクトもあるが……さて、どうなるかな。
そうして、ハロウィン。
政府が立入禁止にしたにもかかわらず、秋葉原は人で溢れていた。
秋葉原に、100体の魔物が現れ、自我を得て……人々は、固唾を飲んで魔物たちを見守った。魔物は、一歩前に出て……私に攻撃を仕掛けてきた。100体全てが、だ。
「神を殺して、俺達は人になる!!」
羂索は高笑いしてそれを見ていた。どうやら、一体残らず、私に歯向かうのは予定外だったようだ。とはいえ、私を殺すために準備は念入りにしてきたみたい。
私も予想外。サラリーマンの魔物達が研究してたのは私の攻略方法か。うーん。やっぱりフェムト様のようには行かない。
どうしよっかな。ころされちゃおっかな。
適当に相手をしていると、そこに羂索率いるゾンビーズが加わる。
私相手にレイド戦? 人々が、必死に魔物に声援を送る。
私VS全世界。
心を一つに戦っているさまを見て、私はクスリと笑った。
まあ……これも……一つの、答えかな?
魔物を排斥しようなんて、欠片も考えてなさそうだ。
いいわ。いいわ。
せいぜい、派手に散ってあげる!!
それから、どれほど時間が過ぎただろうか。
私はボロボロになっていた。魔物が止めを刺そうとする瞬間……私の前に立つものがいた。
「はい、そこまで!」
「は?」
五条、悟。
「君達の勝ち。生を謳歌すればいいさ。ただし、械音を殺すのはなーし」
「このものは、我らの命を弄んだ!!」
「それでも。君達魔物は、人を殺してはいけない」
「何故!!」
「君達は証明しつづけないといけないからさ。人間とともに歩める存在だとね」
私は、ポカンとして五条 悟を見る。
「なんて顔してんの。勇者は犠牲を許しちゃいけないなんて、御高説を垂れてたのは君でしょ?」
全世界VS私。いつもそうだった。いつも、いつも、いつも、いつも、いつも。
味方面して邪神の前に押し出す仲間たち。
無責任な民衆。
殺さねばならない魔物たち。
邪神。
私、は。
そうだ。
私は。自分と同じ場所に堕ちてほしかった。
でも、それ以前に。
すくい上げてほしかったんだ。
「ちょ、ま。そんな泣くこと?」
私は、気がつけば大号泣していた。
私の体が、崩れ落ちていく。体が、真っ白な羽に分解されていく。
「は!? ちょ、械音!??」
【嬉しいの……庇ってもらえて嬉しいの……掬い上げてもらって嬉しいの……】
「……成仏してくれるってことかな?」
私は何度もコクコクと頷く。
邪神の力は、殺されれば殺した相手に移り変わって行く。終わりのない連鎖を断ち切る、唯一の方法は、救うこと。
そんな事を、ようやくわかった。