出オチ丸奇烈伝 作:チャクラコントロールに全振りでござる
演習場を吹き抜ける草原の風が気持ちいいでござるなぁ……。
今日は暗部の仲間達に顔見せをする日でござる。
上忍就任と同時に暗部入りを指名される……素晴らしいでござるな、拙者の実力を高く評価して貰っているみたいで嬉しいでござるよ。
「拙者の名は出オチ丸でござる、特技はチャクラコントロール、好きな食べ物はおむすびでござる」
自己紹介を済ませたのに、何故か隊長が黙ったままでござる。隊長も名を名乗って欲しいでござるよ。
「あ、あぁ……そ、その名前は親から付けられたのか?」
「拙者は孤児であるが故、自分で付けた名でござる。名は体を表す通り、敵を出オチさせるのが得意でござるよ」
何故か隊長は仮面越しでもわかる程、沈痛な表情をして拙者を見ているでござる。
体調が悪いのでござるかな? 拙者、医療忍術も多少齧っている故、頼って欲しいでござるよ。
「いや、いい……俺の名ははたけカカシだ。医療忍術が使えると聞いているがどの程度だ?」
「綺麗に切断された手足をぴったんこさせるのが得意でござる、後は簡単な止血と薬剤調合ぐらいでござるな」
カカシ隊長はしばらく考え込んでしまったでござる、拙者の運用方法でも考えているのでござるかな?
カカシ隊長は見るからに頭が良さそうで羨ましいでござる、拙者は頭よわよわでござるからなぁ……。
「よし、次はお前の戦闘能力を見せて貰う」
「カカシ隊長と模擬戦でござるか?」
拙者がそう尋ねると、カカシ隊長は視線で後ろの方を見た。
そこには暗部の仮面を身に付けた幼い少年が立っている。
「見るからに強そうでござるな、拙者震えてきたでござるよ……名を名乗って欲しいでござる」
「……うちはイタチ」
うちは一族でござるか、幻術や火遁が得意な名門忍者でござるな。
うちはの幻術は指を見ただけでアウトと聞くでござる、感知は鼻さえあれば十分故、目は閉じておくでござる。
「俺が投げたクナイが木に刺されば開始だ」
クナイが木を穿つ音が響き、続いて生ものが草原に落ちた時に聞こえる、ボトリという音が響く。
「……っ!?」
「勝負アリでござるな、さすがのうちは一族も両手首が落ちれば終わりでござる」
まぁ、拙者が既に幻術の術中に落ちてなければの話でござるが……。
カカシ隊長が決着の宣言を出すまでは目は絶対に開けないでござる。
なんて思っていると、すぐにカカシ隊長が審判を出したでござる。
流石に目を開けるでござるが、これが幻聴だったら拙者敗北でござるな?
「直ぐに止血をっ! おい出オチ丸! お前の出番だ!」
焦ってるカカシ隊長が、手首の断面から血を噴水のように噴き出して茫然と立ち尽くすイタチ殿の手首の血管を押さえながら拙者に叫んでいるでござる。
「う~ん、これは現実でござるよね?」
「当たり前だ! さっさとしろ!」
カカシ隊長にどやされた拙者は、イタチ殿の手首を縛り、地面に落ちているイタチ殿の手首を拾って断面を口寄せした滅菌水で軽く洗う。
「すぐにぴったんこするでござるよ、もう暫く辛抱するでござる」
断面をくっつけ、慎重にチャクラを流せば直ぐに元通りでござる。
何万回もやった作業故、楽勝でござるな。
続けてもう片方の手首も同じように処置をして、イタチ殿に造血薬を飲ませる。
「だいぶ失血したでござるし、帰って輸血を受けると良いでござるよ」
「あ、あぁ、すまない……」
カカシ隊長から許可を貰ったイタチ殿が病院の方向へ帰って行くでござる。
これは幻術ではないでござるよな? 完全勝利でござるよな?
「……お前の戦闘スタイルは良く分かった、出オチ、出オチね……」
その通りでござる、最速の瞬身で敵に接敵して、チャクラメスで首を落として敵を出オチにする。
拙者が出来るのは、ただこれだけでござる。あとは細々としたアフターフォローだけでござるな。
ちなみに殴られれば拙者が出オチするでござる。
「お前の能力は分かった、必要時に呼び出すから備えをしておけ」
「了解でござる」
顔見せが無事に終わってよかったでござる。
如何な任務も粉骨砕身頑張る所存でござるよ。