出オチ丸奇烈伝 作:チャクラコントロールに全振りでござる
そよ風が心地良いでござるなあ……。
四影会談に出張中の火影様やイタチ隊長達はいないでござるが、今日も里は平和でござる。
最近は色々と忙しかったでござるし、久しぶりにのんびりと出来そうでござるな。
お天気も良いでござるし、今日はどこか適当な屋上ベンチにでも寝っ転がって、のんびりと日光浴でもしながら里内を警備するでござるよ。
うーん、青空と白い雲のコントラストを見ていると筆を執りたくなるでござるなぁ……。
「うわっ……暗部がサボりっすか」
「失礼でござるなぁ……拙者は感知タイプでござる故、こうやってベンチに寝転びながらでも警備任務が出来るのでござるよ」
「いや何度も聞いてるから知ってるっすけど……暗部が堂々とベンチで昼寝している姿を見て驚くなと言う方が無理があるっすよ……」
シカマル殿は拙者の頭元に腰を下ろし、ぼうっと空を眺めだしたでござる。
「雲……」
「ん?」
「いいっすよね……なんというか……自由で……」
「魚もいいでござるよ、自由な上に、おいしいでござる」
「んふっ、喰われる事前提じゃないっすか」
「……あそこの雲、火影様に似てるでござるな」
「話題逸らしが露骨過ぎるっすよ」
「いやいや、本当にそっくりでござるよ」
「あー……確かに……なんか……確かに……」
「でもあごひげが無いでござるな……」
あごひげがあれば完璧なのに、これでは手落ち感が凄いでござるなあ……。
眺めていたら生えてきたりしないでござるかなあ……ん?
「あご辺りに何かいるでござるな」
ゴマ粒程の大きさでござるが、確かに何かいるでござる、鳥でござろうか?
既に五感を強化しているでござるが、もっと繊細なチャクラコントロールで視力を跳ね上げるでござるよ。
これは……人……でござるか……?
もっと……もっと視力を強化するでござる。
「あれは……すり抜け殿でござるなぁ……」
「すり抜け殿?」
「ちょっとした犯罪者でござる、手薄になっている木の葉に攻撃を仕掛けに来たのでござろうな」
「え?」
ちょうど話している間にすり抜け殿が身に付けている仮面からでっかい動物がもりもり出てきたでござる。
「恐らくアレは尾獣達……三尾と四尾と六尾と七尾がセットで出てきたでござる」
「はあ!?」
平和とは儚いモノでござるなあ……あっという間に木の葉危急存亡の秋でござる。
とりあえず口寄せ動物を使って上層部と火影様に報告でござるな。
たぶん上空十万メートル以上は離れているでござる故、まだまだ時間に余裕がありそうでござる。
追加で病院とアカデミー、それからうちは警務部隊と暗部組織、里の正門部に連絡でござる、避難誘導を依頼するでござるよ。
「危ないでござる故、下忍は早く避難するでござるよ」
「アンタはどうするんだ?」
「拙者のお仕事は警備でござる故」
「そうか……死ぬなよ」
サムズアップで答えるとシカマル殿はフッと笑っていなくなったでござる。
……さて、落ちてくるまで暇でござるし、拙者も子供や病人の避難を手伝いに行くでござるよ。
◇ ◆ ◇
尾獣は未だに落ちて来ず、代わりに超圧縮されたチャクラ玉が豪雨の様に落ちてきたでござる。
おかげであれ程賑やかだった木の葉の景観が一面の荒野に早変わりでござる。
建物が消え失せた木の葉隠れの里は寂しいでござるなあ。
まあ、自来也殿が蝦蟇の中に民衆や貴重な書物、忍具を入れて妙木山まで飛ばしたでござる故、見た目の割に死人はあまり出ていないでござるが。
民衆や建物が消え、視界に映るのは選りすぐりの上忍や暗部ばかりでござる、フガク殿やヒアシ殿までいるでござるな。
ちなみに中忍は一人もいないでござる、上忍でも一部いなくなっている忍者がいるでござるな。
この辺りの人選は数多くの死者を出した九尾事件を教訓にしているのでござろう。
対尾獣戦では中忍どころか上忍の一部ですら為す術なく蒸発するだけでござる故、人数を集めても仕方ないのでござるよ。
数より質、という訳でござるな。
まあ下忍でもナルト殿のような例外はいるでござるが、彼も今回は避難しているでござる。
防衛戦に参加させるかどうかで一悶着あったでござるが、フガク殿や自来也殿、カカシ元隊長の猛反対で避難に決まったでござる。
さて、そんな感じで落ちてくるチャクラ玉に気を付けながらのんびりしていると自来也殿が隣に来たでござる。
「あーあー、こりゃ復旧に時間が掛かりそうだのう……想像するだけで戦う前からドッと疲れるわい」
「建て直しついでに街の機械化も進めたいでござるな、火の国から予算を大量に貰えそうでござるし、いい機会かも知れぬでござるよ?」
「暗部はポジティブだのう……まあその辺は三代目の手腕に期待だな」
里が根こそぎ更地にされたでござるし、これを使って大名の危機感を煽れば更なる軍拡が出来るでござろう。
すり抜け殿が持ってきた尾獣を鹵獲すれば軍拡と合わせて一気に木の葉一強時代に突入でござるな。
まあ、今のままでも五大国でぶっちぎり最強でござるが、今後は片手間に世界征服が出来るぐらいには隔絶した戦力を保持出来そうでござる。
まあそこまで行くと再び軍縮でござるかな? うーん、上手く行かないモノでござるなあ。
そんな事を話していたらカカシ隊長とガイ殿のペアが拙者達の傍に来たでござる。
「お疲れ様です自来也様、民衆避難のご協力ありがとうございました」
「火影がいないタイミングを狙ったのだろうが、入れ替わりでワシが待機していて本当によかったわい」
「上空への備えはもっとちゃんとしておかないと駄目でござるなあ、どうすれば良いかはさっぱり分からんでござるが」
「……というか、そもそもこの数の尾獣はどこから来たんです?」
「うちはマダラ殿を名乗るテロリストが搔き集めたらしいでござるよ」
「何者なのだ?」
「マダラ殿をリスペクトしているという事以外は分からぬでござる、能力に関しては手渡した巻物通りでござるよ」
「リスペクトのう……確かマダラは九尾を引き連れて木の葉に戦いを挑んだらしいが……」
「九尾の代わりに他の尾獣で代用という事でござるか?」
「代用出来るモノなのか……? っと来るぞ! 土遁・黄泉沼っ!!」
自来也殿の黄泉沼が尾獣の落下地点にピンポイント展開され、尾獣がドンドン沈んで行くでござる。
圧縮チャクラ玉を切る際に使用した超圧縮チャクラメスを尾獣サイズまで伸ばし、沼でもがく三尾と六尾の手足と尻尾を切り飛ばすでござる。
大量の鮮血が流れ出し沼が赤くなって行くでござるが、人間と違って尾獣はこの程度では死なぬでござろう、たぶん。
まあ死んでも木の葉は困らないでござる。
「おおっ! これだけで勝てそうですね!」
「アホか! この程度で済んだら苦労せんわ!!」
「空を飛んでいる七尾と、沼を蒸発させた四尾は無事みたいでござる」
「四尾はうちはが引き受ける! 幻術・写輪眼!! うちは一族は俺に続け! このまま里外まで誘導するぞ!!」
「日向一族もサポートに同行しよう!」
フガク殿率いるうちは一族が大猿の四尾を幻術に嵌め、ヒアシ殿率いる日向一族と一緒に里外に誘導して行くでござる。
何とも頼もしい光景でござるが、すり抜け殿が遥か上空で落ちながら印を結んでいるでござる、妨害する気でござるな?
「させんっ! 火遁・爆風乱舞!!」
「隙ありでござるよ」
拙者に翼は生えていないでござる故、空を飛ぶ事は出来ぬでござるが、火遁が届く程度の高度なら射程圏内でござるよ。
うちはと日向一族達を丸焼きにしようとしているすり抜け殿の手足と眼球を切り裂いてみるでござる……良し! 効いているでござるよ!
無敵と攻撃を両立出来ないと言うのは確かな情報だったみたいでござるな!
チャクラメスを糸に切り替え、切られた事すら認識していない彼を簀巻きにしてから思いっきり引っ張って大地に叩き付け、まだ火を噴いている口を地面にめり込ませるでござる。
仕上げに麻酔薬で昏倒させてから自来也殿の蝦蟇の口に放り込んでおくでござる。
「これで安全でござるな」
「よくやった! 後は三尾と六尾と七尾だな!」
「三尾と六尾は沼に沈んでいるから後回しだ! まずは空中の七尾を地上に引き摺り落とすぞ!」
「鳥では近付けないでござろうな、ダメ元でチャクラメスを伸ばしてみるでござるか?」
「屋台崩しの術を応用すれば届くが通用せん、誰か蝦蟇の体中に入らんか? 七尾の背中に送るぞ」
「では拙者が行くでござるよ、羽根を落とすのは任せて欲しいでござる」
「俺も行こう! 出オチ丸が尾羽を切り落としてから俺が地面に叩き落とす!」
八門遁甲を七門まで開けたガイ殿と拙者が大蝦蟇の中に入り、しばらくして自来也殿が屋台崩しの術で空中の七尾の背に口寄せしてくれたでござる。
「良い位置でござるな、では根本からばっさりと」
七尾の造形はカブトムシを直立させて、お尻の辺りから七枚の羽根を生やしたようなデザインでござる故、下腹を切断すれば羽根は全て脱落するお手軽仕様でござる。
手は空いているでござるし、ついでに六本ある手足と立派な一本角も切断するでござるよ。
拙者を舌で回収した蝦蟇を自来也殿が口寄せで地上まで飛ばし、拙者達の離脱を確認したガイ殿が七尾の真上から。
「昼虎ッ!!!」
超威力の空気砲を放ち、浮力を失った七尾を地面に押し付けるでござる。
「土遁・黄泉沼!」
急落下する七尾が地面に激突する寸前に自来也殿が黄泉沼を展開して七尾を沈めたでござる。
「沼の底に沈んでおれ! 屋台崩しの術! 屋台崩しの術!! 屋台崩しの術!!」
ダメ押しで自来也殿が三尾と六尾、七尾の頭上に大蝦蟇を落とし、尾獣達を沼の奥底に沈める。
「自来也様! 沼の底から強烈なチャクラ反応が!」
「例の圧縮チャクラ砲か! 時空間で避難するぞ! 早く蝦蟇の中へ入れ!!」
いそいそと蝦蟇の中に入る自来也殿とカカシ隊長、ガイ殿とその他大勢の忍者達。
「うーん、拙者は走った方が良さそうでござるな」
「ではワシらの口寄せ用にフカサク様を連れて行っとくれ!」
「肩に失礼するけんの、出オチ丸ちゃん」
「よろしくお願いするでござるよ」
自来也殿の肩に生えていた髭付き老蝦蟇が自来也殿から分離し、今度は拙者の肩に融合したでござる。
さて、沼に沈んだ尾獣が大暴れする前にさっさと里の外に避難するでござるよ。
もう何もかも消し飛んでいるでござる故、超音速を出しても誰にも怒られないから快適でござるな。
「おおおおお!!! これが超音速の世界か!!!」
後方の沼が激しく発光し、間髪置いて大地一帯が大爆発を起こして土砂が大量に巻き上がり、巨大な土砂竜巻が出来たでござる。
地面が溶けていたり、竜巻が光って追加爆発していたり、拙者達の方向に追加のチャクラ玉がガンガン飛んでくるのは怒り狂った尾獣達の仕業でござろうな。
「幻想的でどことなく綺麗でござるなあ」
「おお……この世の地獄じゃけんの……」
近づく事すら出来そうにないでござるが、まあ問題はないでござろう。
なにせ彼らの手足や羽根は落ちているでござる故、放っておけばそのうち精根尽きて大人しくなる筈でござる。
今の拙者達に出来るのは四尾を担当しているうちはと日向に流れ弾が飛ばないよう、しっかりと陽動を取る事でござるな。
「ヘイトを稼ぐでござるよ、遠距離からちょっかいを掛ける術は持っているでござるか?」
「水遁系と風遁系なら色々持っておるけんの」
「では適度にチクチク刺して挑発して欲しいでござる、四尾方向に流れ弾が飛ばなければ何でも良いでござる」
「それなら自来也ちゃん達を呼び戻して四尾を手伝って貰う方が良さそうじゃな」
「グッドアイデアでござるな、では一旦距離を取るでござる」
こうして話している間にも色々と攻撃が飛んできているでござる故、このまま口寄せすれば自来也殿たちが出オチしてしまうでござろう。
里を囲っていた森が消し飛んでいる分、速度が出せそうでござるし、ささっと距離をとって適当なところで口寄せをお願いするでござるよ。
「……よし、ここまでくれば十分じゃろう! 口寄せの術!」
出てきた大蝦蟇の口から粘液塗れの自来也殿やカカシ隊長達がゲロゲロと出てくるでござる。
「うぅっ……これからは大蛇丸の事を揶揄出来んのう……」
「そんな事は良いから自来也ちゃん達は四尾の応援に向かっとくれ!!」
「里の中心で怒り狂った尾獣達が暴れているでござる故、不幸な流れ弾による犠牲が出る前に四尾を片付けたいのでござるよ」
「里で暴れている尾獣はどうするんじゃ?」
「彼らは移動手段を失っているでござる故、疲れ果てさせてから殺すなり、封印すれば良いでござろう」
「まずは四尾からか、分かった」
『出オチ丸式チャクラメスⅠ』難度 C~S以上
体外から放出したチャクラを鋭く研ぎ澄ませて刃物とする術。
本人の技量に完全に依存している為、発生部位、形状、展開速度、切れ味、強度等に術的な上限が無い。
『出オチ丸式チャクラメスⅡ』難度S以上
チャクラメスを尾獣玉以上に圧縮し、原子核三つ分程度の細さまで縮めた超圧縮チャクラメス。
本来は尾獣玉のようにドス黒い色をしているが、光の波長よりも遥かに薄く細い為、視認不可能。
原子核以外なら何でも切れるが、何でも切れてしまう為、存在しているだけで大気中の酸素分子や窒素分子を切断してしまい、酸素ラジカルやオゾンを発生させてしまう。
オゾン臭が邪魔な為、必要に迫られない限り出オチ丸は使用を控えている。
製造コストは通常のチャクラメスと同等。