出オチ丸奇烈伝 作:チャクラコントロールに全振りでござる
見つけたでござる。
もうすぐ美しい夕焼けが顔を出しそうな空の下にデイダラ殿の白い鳥が見えるでござる。
結構距離があるでござるが、向こうから拙者が見えにくい分、むしろ好都合でござるな。
チャクラメスを伸ばして上空の鳥を落としても良いのでござるが、着地の瞬間を狙った方が確実でござる。
デイダラ殿の進行方向には小国があるでござる故、恐らくはここが目的地なのでござろう。
たぶん彼らも任務でござろうな、御苦労様でござる。
そして、任務という事は無事に終われば完遂報告と次の依頼の説明がある筈でござる。
つまり、依頼斡旋役の構成員も纏めて始末する大チャンスでござるな。
まあ、口寄せ動物での連絡や遠隔通信の可能性もあるでござるが……。
それでも待つだけの価値はあるでござるよ。
◇ ◆ ◇
任務を無事に終えたデイダラ殿達はしばらく飛行したのち、地に降りて更にしばらく歩き、森の中で野営の準備を始めたでござる。
テキパキとテントを張って、火を起こし、鍋や寝袋を広げるデイダラ殿達。
隠密性の欠片もないでござるが、まあ強者故の余裕なのでござろうな。
辺りも暗くなってきたでござるし、今日のところはおやすみでござるかな?
しばらく待っていると、彼らの体が一瞬ピクリっと硬直し、虚空に向かって会話を始めたでござる。
傍から見ていて彼らの頭が心配になる光景でござるが、これは鬼鮫殿の記憶にもあったリーダーとの遠隔会話でござろうな。
彼らの口振りから察するに、次の依頼をリーダーが指示しているみたいでござる。
という事は依頼斡旋人はここには来ないのでござるかな?
せっかく待ったのに徒労でござるな……がっかりでござるよ。
さて、もう彼らに用はないでござる故、通信を終えて夕食を頬張るデイダラ殿の首と、デイダラ殿がお食事をしている間の警戒を務めるサソリ殿の首をさっくりと落とすでござる。
ただ、サソリ殿は傀儡の着ぐるみを装備しているでござる故、首を落としただけでは死なぬでござる。
中の本体ごと纏めて切断出来るようにチャクラメスの刃渡りを伸ばし、確実に死ぬように細切れにして行く。
粉塵が舞う傀儡に交じって夥しい量の鮮血が流れ、その血溜まりにデイダラ殿の首がポチャリと落ちる。
デイダラ殿は確実に死んだでござるが、サソリ殿はちょっと良く分からんでござるなぁ……。
外側ごと解体するのではなく、少々時間が掛かっても良いから少しずつ剥がして行くべきでござったな。
うっかりうっかりでござる。
まあサソリ殿の匂いは覚えたでござる故、もし生きていたらリベンジでござるな。
後はイタチ殿から貰った封入の巻物に死体を収納しておしまいでござる。
さて、デイダラ殿を見ていたら拙者もお腹が空いたでござるよ、お夕飯の時間でござるな。
せっかくでござるからデイダラ殿が食べていた夕食をいただくでござる。
……う~ん、良い匂いのおでんでござる、野営なのに暁は良いモノを食べているでござるなぁ。
うん! 美味しいでござる!
当初の目的は外れたでござるが、これはこれで結果オーライでござるよ。
◇ ◆ ◇
さて、一日に三人は少々ペースが悪いでござる故、今日はもうちょっと頑張るでござるよ。
夜の時間は色々と教育によろしくない輩が蠢く時間でござる、具体的には賞金首の換金所でござるな。
暁は賞金首を討伐して小銭を稼いでいるでござる故、換金所を当たれば見つかる可能性が高いのでござる。
ちなみに換金所は非合法的なお店でござる故、拙者が何をしても無問題でござるよ。
まあ他里が後ろ盾になっている換金所は後々面倒でござるから手は出せぬでござるが……。
そして肝心の場所でござるが、死体を収納する換金所はどうしても臭うでござる故、隠していてもばればれなのでござる。
向こうも色々と工夫はしているでござるが拙者の鼻は誤魔化せないのでござるよ。
イタチ隊長に貰った危険な換金所リストに注意しながら、安全な換金所を潰して行くでござる。
ま、受け子に背後から自白剤でも注射すれば一発でござろう。
◇ ◆ ◇
さて、これで三軒目でござるが、ようやく当りでござるな。
どうやらこのお店は暁の構成員の一人である角都殿がご贔屓にしているお店らしいのでござる。
大体、月一ペースぐらいで訪れるのだとか。
うーん……月一でござるか……。
待っても良いのでござるが、イタチ隊長からはなるはやで頼むと言われているでござるしなぁ……。
一旦木の葉に情報を送って、ここを見張って貰うしかないでござるな。
ちなみに一軒目と二軒目は木の葉に摘発して貰うでござる、拙者が得意な通報でござるな。
中のお金も全部木の葉の物になるでござるよ、これでアカデミーの備品を新調出来るでござる。
子供達や先生の笑顔も増える事間違いなしでござろう。
良い事をした後は心がスーっとするでござるな。