それから雲海君の説明って要りますかね?
side 雲海
「あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」
「いいからさっさと話せ」
涙目になりながら息を整えている黒ウサギに十六夜がこの世界についての説明を求めている。元々話を聞くつもりでいた雲海以外の問題児3人は黒ウサギのウサ耳を弄り終わって話を聞くだけは聞こうという程度に耳を傾けている。
「それではいいですか、皆様。定例文で言いますよ?ようこそ、”箱庭の世界”へ!我々は皆様にギフトを与えられた者達だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召喚いたしました!」
「ギフトゲーム?」
「はい、既に気づいているかもしれませんが皆様は普通の人間ではありません。その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、星霊から、星から与えられたギフト、つまり恩恵なのでございます。ギフトゲームとはその恩恵を駆使して競い合うためのゲーム、そしてこの箱庭は強力なギフトを持った者達がオモシロオカシク生活するために作られたステージなのでございます!」
うん、説明長いわ!そもそも俺はすでに人間じゃないし。うーん、でも強力なギフトか、俺が使えそうなら神界に戻ったときにでも作ってみますか。
なんてことを考えていたら黒ウサギの説明も終わったみたいだな
side out
「説明だけでは伝わりにくい事も多いでしょうからここで一つ黒ウサギとゲームをしませんか?」
「「ゲーム?」」
そう言って黒ウサギは指を鳴らして虚空からカジノで使われているようなテーブルを出した
「ルールは至ってシンプル。52枚のトランプの中から1枚絵札を選んでいただきます。商品は、そうですねぇ・・・黒ウサギに何でも一つ命令できるということにしましょうか♪」
「へぇ・・・何でも、ねえ・・・」
「せ、性的なことはダメですよ?」
「冗談だよ」
そう言って黒ウサギの豊かな胸部を見て、見られている黒ウサギは顔を真っ赤にし、そんな十六夜を女性陣はゴミを見るような目で見ていた。
「このゲームのチップには貴方の言うギフトを賭けなければいけないのかしら?」
「いえ、この世界に来て始めてのギフトゲームということでこのゲームのチップは無しとさせていただきます。強いていうなればあなた方のプライドを賭けると言った所でしょうか」
飛鳥ちゃんの質問に否と答え、プライドを賭けると黒ウサギは言う。
「それではゲームを――――」
「始める前にそのトランプにおかしな点が無いか確認させてもらおうか」
黒ウサギがゲーム開始の合図をしようとしたら十六夜君がトランプの確認を始めた。そうして、十六夜はカードを黒ウサギに返した。十六夜は一番手を名乗り上げ、テーブルのカードをざっと見た。
「さっきは素敵な挑発をありがとよ」
「い、いえ気に入っていただけて何よりデス・・・」
そんな事を言いながら十六夜が腕を上に上げて
「これはその礼だ!」
と言いながらテーブルを平手で叩きつけた。黒ウサギは突然のことに驚き、耀と飛鳥は表になった絵札のカードを取っていった。
「じゃあ私これ」
「私はこれで」
黒ウサギが
「エエッ、な、何をやっているんですか!?」
といえば十六夜が
「一人一回、絵札のカードを選びとる。ルールには抵触していない筈だろ」
と言い返していた。
すぐさま黒ウサギはウサ耳を立ててどこかと連絡を取り合っていた(様に見えた)。
「うう、箱庭の中枢から正当であるとの判断が下されました。し、しかし、十六夜さんと雲海さんがまだです!」
「俺を誰だと思ってるんだ?」
と言いながら押さえていたカードを捲った。
「一体どうやって!?」
「憶えた」
「は?」
「だから53枚のカードの並びを憶えたんだよ。」
そう、カードの順番さえ覚えればあとはどうとでもなる。それがこのゲームの必勝法でもある。ただし、伏せ札書き換えやカードの自動シャッフルなど無かった場合のみだが。そんな感じで十六夜が種明かしを終えた所で雲海もすでにカードを選んでいたことを明かすことにした
「あー、言いにくいんだけどさ俺もうカード取ってるんだよね」
そういいながら黒ウサギにゲームの始まる前に抜き取っておいたクローバーのキングを渡した。
「いつの間にカードを取られたのですか?」
気になったであろう疑問を黒ウサギが聞いてきた
「俺がカードを取ったのかと聞かれたら黒ウサギがカードをテーブルに並べる前と言っておこうかな」
「それってルール違反にならないのかしら?」
「飛鳥ちゃん、黒ウサギはゲームのルールを説明しているときに「52枚のトランプの中から1枚絵札を選んでいただきます」としか言ってないから別にカードを並べる前に取っておいてもルール違反にはならないのさ」
この箱庭の世界において、ゲームをする際に決めるルールさえ守っていればあとは何をしてもいいということだ。
不死を殺せと言われて殺せない方が悪く、永久機関を作れと言われて作れない方が悪いようにこの世界において出来ない方が悪いのである。
そんなこんなで体験ゲームは挑戦者である俺達の勝利で終わり黒ウサギに十六夜が最後の質問をしていた。
「黒ウサギ。俺が聞きたいのはただ一つ。この世界は面白いか?」
そう聞かれて黒ウサギは、花開く様に笑みを浮かべ、答えた。
「Yes。『ギフトゲーム』は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白い、と黒ウサギは保証いたします♪」
とりあえず借り物ギフトでどこまでやれるか試してみますかね!と雲海は思っているのだった。
さっさとupしなければと思い書いてみたはいいけどおかしな所があるかもしれません。
誤字脱字感想等々お待ちしております