イタチが一族抹殺なんか放り出してイズミといちゃいちゃする。そんな話   作:ポンデリング

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途中からイズミ視点に代わります


ご近所さん

「なら…行ってくるよ、イズミ」

 

 普段なら畑のトマトの手入れをして残りの1日を気ままに過ごすはずのイタチは先日の三代目との会談で受諾したある依頼のため、里へと赴こうとしていた。

 イタチの格好は6年ぶりに押し入れから忍装束を引き出し身に付けていた。それを見たイズミはかつてのイタチの姿を思い出すと共に現在の夫の有様に何とも言えないやるせ無さを感じるようにため息を吐き、里へ赴くイタチへと言葉をかける。

 

「はい、いってらっしゃい」

 

「……なんだかそっけないな……………不倫か!?不倫をしてるのかイズミィ!?」

 

「うざ………はぁ……」

 

 そんな態度を取りながらも実際のとこは誰よりもイタチを愛している自身も大概頭がおかしいのでは無いか、と少しへこみながらイズミはイタチを見送った後、部屋の中へと戻っていった。

 

 イズミもイタチと共に忍の仕事から遠ざかってからの生活は一新してイタチが畑仕事の側ら家事、時にはイタチの手伝いをするなど初めの頃は慣れなかった生活にも慣れ、それなりに充実した日々を送っている。

 忍時代のノースリーブの様な装束はやめ、肌を隠した余裕のあるゆったりとした服を着る様になった。肌を隠すのにはそうしなければイタチが真っ昼間でも興奮し続けてしまうからと言うもう一つ理由があるのだが、例えどんな格好であろうと自身の妻に四六時中発情する…それが現在のイタチであるので何の意味も無くなっていた。

 

「まあ、嬉しくはあるんだけど………あ…」

 

 ふとした独り言にやはり自身もおかしくなり始めているのでは?とイズミは頭を抱えた。

 

 

♢♢♢

 

コンコンッ

 

 日課の家事仕事を終えて、一息つこうと私は今期に一番の楽しみにしている風ドラ(風の国のドラマ)「砂で不時着」を見ようとテレビにリモコンをつけようとすると玄関の戸を叩く音が聞こえた。おはじきさんなら一緒にドラマを見て盛り上がれるから良いのだが、もし知人ではない誰かであったならそうはいかない為少しばかり面倒だな思った。

 

「はじめまして。私近所の家に越してきた者です!美瑠といいます」

 

 玄関の戸を開け目の前に立っていた美瑠と名乗る方は25歳程度だろうか、栗毛の髪に柔らかげな表情をした綺麗な大人の女性だった。

 予想は悪い方が当たった。これは少し時間がかかりそうだ。

 

「あ、わざわざありがとうございます!私はうちはイズミと申します」

 

 当然私だって18の大人の女、邪な考えは表には出さずに社交辞令には社交辞令を以って対応する。

 

「うちはと言えば……あの?」

 

「ははは………うちの旦那さんは変わり者で此処に越してきたんですよ」

 

 何も間違った事は言っていない、実際その通りであるし……と誰かが疑っているわけでも無いに乾いた笑い声と一緒に心の中で言い訳をする。

 

「そうなんですか。実は私達も籍を入れてから各地を転々としていて…そろそろ一つの場所に落ち着こうと思ってこちらに新居を買って住むことになったんですよ」

 

「旦那さんは何のお仕事を?」

 

 各地を転々とする仕事と言えば行商などだろうか?この辺りがいくら田舎と言っても一戸建ての価格はなかなかのものだ。特にこの辺りでは農業を生活の糧にする人が殆どであるのでそれなりに広い土地が必要になる。

 暗部で部隊長を務めていたイタチ君だって今の家を買った時、「尻の毛まで抜かれるとはこの事か……イズミを悦ばせる玩具を買う余裕もない。悪いな……だがしかし!俺にはまだイズミの大好きな自前の玩具が残っている!」と馬鹿みたいな事を叫んでいた。そう考えると美瑠さんの旦那さんの仕事はかなり景気の良いのだと思う。

 しかし、彼女からは意外な答えが返ってきた。

 

「私も夫も忍です。でも私達は別の国から越して来ているので今後忍の仕事が出来るか分かりませんが……」

 

「(それって抜け忍だよね?……)この地域には忍として生活している人はいませんから気にすることないですよ。あ、私の夫が作ったトマト持っていきます?」

 

 え、それって抜け忍じゃない?と頭の中で過ったが言えるはずもなく、話を少しずらしながら私はこの場を早々に終わらせる事を決めた。

 

「いいんですか!ありがとうございます!」

 

「いえいえ……あ、そろそろ夕食の準備をしないといけなのいで私はこれで」

 

 もちろん嘘だ。私は「砂で不時着」を早く見たいのだ。

 

「呼び止めてしまってごめんなさい。またお伺いします。これから夫共々よろしくお願いします」

 

 

♢♢♢

 

その夜…

 

「ふむ。ここに越してくるのは珍しいな。堂々と抜け忍宣言して、馬鹿なんじゃないか?」

 

 馬鹿が他人を馬鹿にするなよとは思ったが、珍しく真っ当な意見を述べるイタチ君に賛同して、続けて美瑠さんとの会話の内容を教えた。

 

「うん。私も思ったけど………あの霧の追い忍撒いてここまで逃げてきたんだから旦那の鬼鮫さんは実力者なのかもね」

 

「鬼に鮫とはやけに強そうな名前だな。鬼鮫…鬼鮫…」

 

 鬼鮫さんの名前を聞くたイタチ君の動きがピタリと止まった。

 

 

 

「…………………ん?鬼鮫?」

 

「そう鬼鮫さん。干柿鬼鮫さん」

 

「ホシガキキサメ?」

 

「………………………」

 

「どうしたの?」

 

「………………………」

 

「………イタチくん?」

 

「イズミのお身体にさわりますよぉぉ!!」

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁ」

 

この後めちゃくちゃ天照した。

 


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