真・ギョウカイ墓場篇 "End of world" and "Fearless world"   作:烊々

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Prologue

「ゲイムギョウ界のシステムはやはり不安定だ。

 

 生きとし生けるものたちは幾度となく命の危機に晒され、恐れ、悲しみ、苦しみ、それらが止まることはない。このままでは、滅びの道を進むだけだ。

 

 だから、戻すしかない。

 

 ゲイムギョウ界とギョウカイ墓場、その二つを……かつてのあるべき姿へと」

 

 

 

 

 プラネテューヌの女神、ネプテューヌ。女神候補生のネプギア。

 彼女たちは親友コンパの頼みでバーチャフォレストに薬草採集に来ていた。

 

「……なーんかおかしいなぁ」

「そうだよね、お姉ちゃん」

 

 いつもと違う雰囲気を放つバーチャフォレストにネプテューヌたちは違和感を覚える。

 モンスターが襲ってこないのだ。

 こちらから視認できるモンスターも、茂みに潜みながら何かに怯える様子を見せている。

 

「もしかして強いモンスターがいてそれに怯えてるのかな?」

「でも、ここバーチャフォレストだよ? 強いモンスターなんていないと思うけど」

「だよねぇ…………っ! ネプギア後ろ‼︎」

「えっ⁉︎」

 

 ネプテューヌの声に反応し、ネプギアがその場から跳び退くと、さっきまでネプギアがいた場所に巨大な斧槍が振り落とされた。

 

「一体何が……?」

 

 ネプギアは攻撃してきたであろうモンスターの方向に振り向く。

 そこには、信じられない者の姿があった。

 

「そんな……あなたは……」

 

 その者はここにいるはずはない、なぜなら自分がかつて斃した相手だからだ。

 そんな動揺をしながら声を震わせ、その者の名を呼ぶ。

 

「ジャッジ・ザ・ハード……⁉︎」

 

 『ジャッジ・ザ・ハード』。かつてゲイムギョウ界を危機に陥れた犯罪組織マジェコンヌ四天王の一人。斧槍を携えた、機械仕掛けの黒き巨体。

 かつて、ネプギアが心折れるほどの大敗を喫した忘れるはずもないその姿。後に撃破した相手ではあるが、その印象はネプギアの記憶に強く刻まれている。

 

「はははッ! 久しぶりだなぁ! 守護女神いいいい!」

「どうして……あなたがここに……!」

「知りたいかぁ? なら、俺に勝ったら教えてやるよおおおお!」

 

 ネプギアは直ぐに変身し、M.P.B.Lをその手に構える。

 

「……私を忘れないでもらえるかしら?」

 

 既に変身を済ませたネプテューヌ:パープルハートもその隣に立つ。

 

「はっ! 良いねえ! 久しぶりのゲイムギョウ界で暴れるのに、うってつけの相手だぜええええ!」

「何故復活したかはわからないけど、すぐに地獄に送り返してあげるわ!」

 

 パープルハート、パープルシスターとジャッジ・ザ・ハード。両者の戦いの幕が上がらんとするその瞬間、パープルハートの携帯端末から着信音が鳴り響く。

 

「……何よこんなタイミングに。ちょっと待ってなさい」

「いいぜぇ……早く済ませろよなああああ!」

 

(いいんだ……)

 

「もしもしいーすん、申し訳ないけど今忙しいの! ……え⁉︎」

「どうしたの⁉︎ お姉ちゃん!」

「トリック・ザ・ハードとマジック・ザ・ハードも別のエリアに出現してるって……トリックの方はブランとロムちゃんラムちゃんが、マジックの方にはノワールとベールとユニちゃんが向かったらしいわ」

「他のマジェコンヌ四天王たちも……けど、どうして今更……」

 

 

 

 

 ルウィー領土内、マーリョランド。

 

「アックックック……相変わらず愛らしい姿をしているなぁ幼女たち!」

「トリック・ザ・ハード……相変わらずきもちわるいわね!」

「きもちわるい……」

「妹たちには指一本触れさせねえぞ!」

 

 

 

 

 ラステイション領海上空。

 

「懐かしく、そして忌々しい顔ですわね」

「ほんとよ。今でも夢に見るのよね、こいつに負けたあの時のこと」

「ねえ、マジック・ザ・ハード」

「なんだ?」

「ブレイブはいないの?」

「奴だけは我らが主神によって復活させられなかった。おそらくは貴様ら守護女神に靡くような甘さがあったからだろう」

「そう……なら、心置きなく戦えるわ!」

 

(我らが主神……? 犯罪神のことかしら? けど、マジック・ザ・ハードは犯罪神のことを『犯罪神様』って呼ぶわよね? じゃあ一体……)

 

 

 

 

「ネプギア!」

「わかってるよ、お姉ちゃん!」

 

 プラネテューヌの女神姉妹のとった戦術は、スピードの利を生かした高速戦闘。散開しジャッジ・ザ・ハードの周りを飛び回る。

 ジャッジ・ザ・ハードの強さはそのパワーと耐久力。しかし、スピードの方はそうでもないということをかつての戦いから学んでいる。

 

「てやぁぁぁっ!」

 

 最大まで加速したパープルシスターは、ジャッジ・ザ・ハードの死角から攻撃を叩き込む。

 

「……馬鹿が」

 

 しかし、ジャッジ・ザ・ハードはパープルシスターと同等以上のスピードで斧槍を振り抜いて迎撃してきた。

 思わぬ反撃にパープルシスターは反応できず、回避も防御も間に合わない。その脇腹に斧槍が直撃し思い切り吹っ飛ばされる。

 

「ぐ、う……ぁぁぁぁっ!」

「ネプギア‼︎」

 

 幸い刃の部分は当たっていなかったため命に関わるダメージを負うことはなかった。それでも大きなダメージであることに変わりはなく、脇腹を抑えてその場に蹲る。

 

「今、油断したな? 昔の俺なら反応できなかった速度で攻撃をしたから、油断したよなぁぁぁぁ?」

 

(ジャッジ・ザ・ハード……昔よりも強くなってる……! スピードだけじゃない。今の一撃も昔の比じゃないほどのパワー……!)

 

「これが、俺がギョウカイ墓場であのお方から頂いた力だ! 強くなってるのがお前らだけだと思うなよ?」

「あのお方……?」

「おっと、喋り過ぎちまったか? まぁ良い。さぁて、後はお前だけだぜぇぇぇぇ?」

「ネプギア、あなたは少し休んでいなさい」

「でも……!」

「私はハイパーシェアクリスタルを使うわ。だから大丈夫」

「……わかった」

 

 パープルハートは妹を一蹴するほどの強敵にネクストフォームで対抗しようと、ハイパーシェアクリスタルを顕現させて構える。

 

「……あ?」

 

 しかしその瞬間、ジャッジ・ザ・ハードの身体にブレがかかり消えていく。

 

「クソッ、時間切れかよ」

 

 ジャッジ・ザ・ハードは焦るどころか、納得した様子を見せていた。

 

「ま、今回はてめえらを倒すことが仕事じゃねえからいいだろう」

「どういう……こと……?」

「時が来たらわかる。あばよ!」

 

 そう言ってジャッジ・ザ・ハードはその場から消滅した。

 状況に理解が追いつかず、しばらくパープルハートはその場に立ち尽くしていた。

 

 

 

 

「くっ……強い……!」

「マジック・ザ・ハード……あの時よりも格段に強いわね……!」

 

 自らの記憶の比ではない強さを持つマジック・ザ・ハードに苦戦するラステイションの女神姉妹とグリーンハート。

 

「どうした? こんなものか? やはりあの方の言う通り、守護女神では限界ということか」

「馬鹿にしないでくれる? 私たちはまだ本気を出していないのよ?」

「ええ、正直これを使わずに倒したかったのですが、しょうがありませんわね」

 

 ブラックハートとグリーンハートはハイパーシェアクリスタルを顕現させる。

 

「ふむ……興味深き力だが……どうやら時間のようだ」

 

 マジック・ザ・ハードはハイパーシェアクリスタルを好奇の目で見ながらも、その身体にはブレがかかり消えていく。

 

「逃げる気?」

「勝手にそう思っていろ。それに、今回はあのお方……我らが主神がゲイムギョウ界に降り立つための下調べに過ぎん」

「どういうことですの……?」

「いずれわかる。ゲイムギョウ界の終焉と共にな。では、さらばだ…………」

 

 マジック・ザ・ハードは消滅し、ラステイション領海上空には何もない方に向かってハイパーシェアクリスタルを構えるブラックハートとグリーンハート、そしてその後方のブラックシスターが残った。

 

「……この様子ですと、他の四天王も消滅したと考えるのが妥当ですわね」

「ええ、けどあいつの口ぶりからしてまた来るってことよね」

「とりあえず、みんなで集まった方がいいと思うわ。お姉ちゃんもベールさんも、プラネテューヌに向かいましょう?」

「そうね」

 

 

 

 

「……戻りました」

「ご苦労、マジック。早かったな」

「今は幽世の住人である我々では、あの程度の時間が限界でした」

「なるほど。して、どうだった? 久方ぶりの現世は」

「こちらに慣れすぎたゆえ、あまり良いものではありませんでした」

「窮屈だったか、すまなかったな。だか、次の侵攻の際も頼んだぞ」

「仰せのままに」

「下がれ」

「はっ」

 

 

 

 

 

「……さて、始めるぞ、ゲイムギョウ界よ。

 

 全ての生命を『恐れ』から解放する……

 

 ……()()()()()を」

 

 

 

 

 

 

 

 

      超次元ゲイムネプテューヌ

 

       真・ギョウカイ墓場篇

 

    "End of world " and "Fearless world"

 

 

 

 

 

 

 

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