真・ギョウカイ墓場篇 "End of world" and "Fearless world" 作:烊々
その時に違いはあれど、『死』とは何者にも平等に訪れる。
故に、『死』を司るということは、全てを司るということ。
「というわけで、第一回『復活したマジェコンヌ四天王対策会議』を始めたいと思いまーす! ぱちぱちぱちぱち!」
「あいつらが復活したこともそうだけど、あいつらを復活させた黒幕の方が気になるわ」
「『あのお方』……『我らが主神』……何者なのかしら」
「この作品オリキャラタグが付いてるからオリキャラでしょ。だからわたしたちの知ってる人じゃないんじゃないかな」
「何よそのメタな視点を利用した推理……」
「ま、何が来ても大丈夫! わたしたちなら勝てるよ! だってわたし主人公だもん!」
「はいはい」
「こういう時、ネプテューヌの能天気さは逆に心強いわね」
「とりあえずは、いつでも四天王たちが現れてもいいように準備と警戒は怠らないようにしないといけませんわね」
国家を超えた対策をすることに決まったが、マジェコンヌ四天王はどこから復活したのか、そして黒幕は何者なのか、これらの謎は解けるわけもなく、結局その日はみんなで遊んでから解散した守護女神なのだった。
Phase1
『 Venus of dead world 』
「マジック、ジャッジ、トリック。調整は完了した。次は現世でも制限時間無しで戦えるだろう」
「有り難き幸せ」
「次は我も現世に立つことになる。先に汝らを送り込み、『慣らし』を済ませる必要があるがな」
「『慣らし』……ですか。お任せください」
「では、現世への扉を開く。皆、存分に暴れてくるといい」
「「「はっ!」」」
*
会議から約一週間。
「いーすん、別次元からの反応は?」
「今日も感知されてないですね」
「そっかー」
「ネプギアさんは今日も鍛錬ですか」
「うん。この前ジャッジ・ザ・ハードに重い一撃をもらったのが堪えたみたい」
ネプテューヌはいつものように仕事を怠けているように見えながら、いつ敵が来てもいいように常に警戒をしている。
イストワールもそれをわかっているため、何も言わないのだった。
「気の張りすぎも良くないよね。少しお昼寝でもしようかな」
「どうぞ」
「最近のいーすんやけに優しいね」
「いつもは優しくない、と?」
「そ、そんなことないよ」
「冗談です」
そんな気の抜けた会話をしていると。
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プラネテューヌ教会中に緊急事態を知らせるアラートが鳴り響く。
「ねぷぅ⁉︎ これは……!」
「ネプテューヌさん! 上空に次元の歪みのようなひび割れと、その中から強大なエネルギーを三つ感知しました!」
「ついに来たね……!」
「それぞれラステイション、ルウィー、リーンボックスへと落ちていきます」
「プラネテューヌには?」
「確認できません。他国へ救援に行きますか?」
「とりあえずまだ様子見かな。プラネテューヌに何も起こらないとは限らないし。ネプギアを呼び戻して、それからプラネタワーの上で準備しとく」
「わかりました」
*
「ラステイションに降りて来るのは、どうやらマジック・ザ・ハードのようね。いつ来てもいいように準備は怠っていないのよ!」
「一番強い奴が来るなんて、あたしたちは当たりを引けたようね!」
「ルウィーにはやっぱ変態野郎か。今度は逃さねえ……!」
「今度こそぎったんぎったんにしてやるんだから!」
「頑張ろう……! お姉ちゃん……ラムちゃん……!」
「リーンボックスにはジャッジ・ザ・ハードですか。私はマジックを仕留めたいと思っていたのですが……まぁいいでしょう」
復活したマジェコンヌ四天王の急襲に対し、各々の国の女神は迎撃の準備を既に済ませていた。
「出し惜しみ無しで行くわよ!」
「守護女神の極限進化を見せてやる……!」
「最初から全力全開で行かせてもらいますわ!」
そして三人の守護女神はハイパーシェアクリスタルを使用し、女神化を超えた形態『ネクストフォーム』へと変身する。
戦闘が始まるその瞬間、一つだけネクストブラックの頭には引っかかる点があった。
(……待って。ここにはマジックが、ルウィーにはトリックが、リーンボックスにはジャッジが向かっていて、ブレイブは復活していないのよね?)
(……じゃあ、
*
「プラネテューヌ、何も起こらないね」
「そうね。ならネプギア、あなたはベールを手伝ってきて」
「えっ……でも……」
「ベールが負けるとは思えないけど、一人だと大変だと思うから。私が行ってあげたいけど、守護女神である私が国を空けるわけにはいかないのよ。お願い、ネプギア」
「わかった。行ってくるね」
「でも、ベールの妹にされちゃダメよ。あなたは私の妹なんだから、流されないように」
「はーい! 行ってきまーす!」
「ええ、いってらっしゃい」
そう言って、パープルハートはパープルシスターの頭を優しく撫でて送り出す。
リーンボックスの方面へと飛翔していく妹の背中が見えなくなるまでを見届け、プラネテューヌの上空を飛び回る警備を再開する。
「さっきは国を空けるわけにはいかないって言ったけど、このままプラネテューヌに何も起こらなければ、私も他の国へ救援に向かおうかしら?」
呟いた、その刹那。
パープルハートは、まるで時が止まったかのような重圧を感じとる。
「ーーーーッ⁉︎ 何……⁉︎」
感じた方向、プラネタワー真上の空がひび割れる。
そして、ひび割れた中から何者かが現れた。
「……久方ぶりだな、現世は」
その者は、背中まで伸びた銀髪のロングヘアで、守護女神に見劣りしない美麗な容姿を持つ女性だった。
「やはり、先に奴等を放り込んで慣らしを済ませておいて良かったな。さもなくば現世が保たなかったかもしれん」
言いながら、眼下に広がるプラネテューヌ国内を一通り見渡す。
「随分と……派手になったものだ。だが、それも『恐れ』から目を逸らすためのまやかしに過ぎん」
吐き捨てたその者の表情は、侮蔑ではなく悲哀であった。
「さて、『鍵』があるのは真下、この塔であったな」
そして、その者はプラネタワーを目指し、緩やかに降下を始めた。
*
「どうした? ブラックハートよ。いや、ネクストブラックか。戦いに身が入っていないぞ?」
「……うるさいわね」
「貴様の考えを当ててやる。プラネテューヌのことであろう?」
「……っ!」
「その反応、どうやら図星のようだな」
「だからどうしたのよ」
「教えてやろう。プラネテューヌには我らが主神が舞い降りることになる。我らの存在は、あのお方が現世に降り立つための『慣らし』に過ぎない」
「『慣らし』……?」
「あのお方は『幽世の神』であるお方。幽世の神である存在が現世に立つと、世界のバランスが崩れかねない。だからこそ幽世の住人である我らを先に現世に送り、現世があのお方の存在に耐え切れるように慣らしたというわけだ」
「幽世の……神……」
「一つ言っておいてやろう。あのお方のお力は、我らの比ではない」
「何ですって……?」
「プラネテューヌの守護女神ではあのお方には勝てぬだろう。たとえシェアクリスタルを超えたハイパーシェアクリスタルの力、ネクストフォームを使おうともな」
*
「あれが……そうなのね」
パープルハートは、その者こそジャッジ・ザ・ハードの言っていた『あのお方』であり、復活したマジェコンヌ四天王の親玉だということを一瞬で理解した。今までに感じたことのない重圧を放ち、復活したマジェコンヌ四天王の比ではない強さを持っていることを感じ取ったからである。
だからこそ、その者がプラネテューヌに存在することを許すわけにはいかない。
進行を阻むため、剣を握り飛翔する。
「……来たか、守護女神よ」
「あなたは何者⁉︎ 何が目的なの⁉︎」
「我こそは幽世の神。そしてまたの名を……
……『デルフィナス』」
パープルハートはその名前に聞き覚えがあった。
デルフィナス、ギョウカイ墓場の主と言われていたゲイムギョウ界屈指の強さを誇るモンスターと同じ名である。
「デルフィナスって……」
「そうだな、汝らの知るデルフィナスは、現世に漏れ出た我の力のほんの一部がモンスターの形となったものだ」
「幽世……? 現世……?」
「む? この呼び名では通じんか。汝らの身近な言葉にするならば、現世とは『ゲイムギョウ界』で、幽世とは『ギョウカイ墓場』のことだ」
「ギョウカイ……墓場……!」
その言葉に驚きを隠せないながらも、納得もする。
ギョウカイ墓場はかつて妹が犯罪神との激闘の果てに犯罪神ごと消し去ったはずだったが、目の前のデルフィナスが放つ重圧が、自らがかつて囚われていた際に肌で感じていたギョウカイ墓場の雰囲気に酷似していたからだ。
「かつて現世に出現した『ギョウカイ墓場』とは、現世の人間たちの邪な信仰に引き寄せられ、幽世の一部が現世に浮かび上がったものに過ぎん。そもそも現世と幽世は表裏一体。現世が『生』の世界なら、幽世とは『死』の世界。片方のみが消えることはなく、片方が滅ぶ時はもう片方も滅ぶ、そういうものだ」
守護女神でさえも知らない世界の真実が明かされていく。
「……どうやら知らぬようだな。無理もない。幽世の存在は現世に隠すものとしていたからな。歴代の守護女神の中では幽世の存在に気づく者もいたが、だからと言って現世から幽世には干渉する意味も必要もない」
「なら……その幽世の神とやらが、私たちのゲイムギョウ界に何の用なのよ?」
「『救済』だ。そのための『鍵』を取りに来た」
「意味がわからないわ」
「多くを語るつもりはない……とはいえ、黙って我を通す気もなかろう」
そう言ってデルフィナスが手を前に翳すと、ブォン、と言う音と共に剣が出現した。
「来るがいい。そして最初から本気で来い。でなければ後悔することになる」
デルフィナスは剣を構える。
たったそれだけの動作で、並のモンスターなら消し飛ばせるほどの重圧を放つ。
「……なら、全力でいかせてもらうわ」
パープルハートはハイパーシェアクリスタルを使用し、ネクストパープルへと変身する。
「はぁぁぁっ! 『ネプテューンブレイク』ッ!」
最初から必殺技、出し惜しみはしない。
紫の閃光が、プラネテューヌ上空で煌めいた。
*
復活したマジェコンヌ四天王の力は強くなっているものの、ネクストフォームに届くまでではなく、決着となるのも時間の問題であった。
「『ビットズコンビネーション』!」
ネプギアの必殺技、ビットとの連携攻撃により隙を強引に作り、
「『インフィニットスピア』!」
その隙を上手く突くように、ネクストグリーンの最強必殺技『インフィニットスピア』の槍が降り注ぐ。
「ぐぅあああああああっ!」
悲鳴と共に、ジャッジ・ザ・ハードの身体は砕かれていく。
「ちぃぃぃぃっ! まだ勝てねえかぁっ! くそぉぉぉぉっ! だが、次は勝つぜええええ!」
「『次』? 次などありませんわ。あなたはここで完全に消し去ってあげるのですから!」
「はっ! 俺たちは幽世、死の世界の住人だぜぇ? 現世で死んでも幽世に帰るだけだ。そして、あのお方のお力があれば何度でも現世に蘇るぅ……!」
「何ですって……?」
「今回は俺の負けだ。だが、次はどうかなぁぁぁぁ? ははははははッ…………」
笑い声を上げながら消滅していくジャッジ・ザ・ハード。
勝者であるはずのベールとネプギアはなんとも言えない後味の悪さを感じていた。
*
「『ノーザンクロス』! 『サウザンクロス』!」
「『アブソリュートゼロ』ーーッ!」
「ぬぉっ!」
トリック・ザ・ハードは、ホワイトシスターたちの必殺技で繰り出された魔法陣と氷塊に閉じ込められる。
「消えてなくなれ『ブラスターコントローラー』」
ネクストホワイトの最強必殺技『ブラスターコントローラー』の照射ビームが、トリック・ザ・ハードの巨体に風穴を開けた。
「いやぁぁぁぁっ! ……まぁ、いいか」
一瞬だけ断末魔をあげるものの、消滅していく自分の身体を対して興味がなさそうな反応をするトリック・ザ・ハード。
「あのお方が現世に降り立った以上、吾輩たちの役目はもう無い。このまま死んで幽世に帰らせてもらう。ではさらばだ、幼女たちよ! アクククク…………」
そのままトリック・ザ・ハードは消滅していった。
「勝った……のかな?」
「でも、そんな気がしないね」
「……ロム、ラム、少し休んだらプラネテューヌに向かうわよ。何か胸騒ぎがするわ」
*
「行きなさい! 『ナナメブレイド』!」
ネクストブラックのソード型ビット兵器ナナメブレイドは、まるで意思を持っているかのような精巧な動きで、マジック・ザ・ハードを追い詰めていく。
「くっ….こんなもの……!」
対するマジック・ザ・ハードも、ナナメブレイドを的確に迎撃していく。
しかし、
「残念、それブラフよ」
本命は、ネクストブラック本体の剣技。
「『インフィニットスラッシュ』!」
ネクストブラック必殺の高速剣舞が、ナナメブレイドごとマジック・ザ・ハードを斬り裂いていく。
「トドメは任せるわ、ユニ」
「オーライ! エクスマルチブラスター最大出力! 狙い撃つわ‼︎」
そして、ブラックシスターのエクスマルチブラスターから放たれたビーム砲がマジック・ザ・ハードを貫く。
「くぅ……ここまでか。だが良い。既にプラネテューヌにはあのお方が降り立っている」
「あのお方だかなんだか知らないけど、ネプテューヌは負けないわ」
「ふふっ、負けない……か」
「何がおかしいのよ?」
「現世の四つに分かれたうちの一つしか統べぬ女神が、幽世そのものを統べるあのお方に敵うはずなかろう。さて、我は幽世に帰る。貴様らはあのお方が世界を手にした時の身の振り方でも考えておくんだな…………」
笑いながら消えていくマジック・ザ・ハード。
「……負け惜しみを」
ノワールはそんな嫌味を、言いたいことだけ言って消えていったマジック・ザ・ハードに対して呟く。
「ネプテューヌ……」
プラネテューヌの方向に目を向けると、遠くの空に紫の閃光が煌めいた。
「戦っているのね。今すぐ救援に……っ」
「無理しちゃダメよお姉ちゃん! ナナメブレイドを使いながらインフィニットスラッシュを使えば身体にすごい負担がかかることなんて、アタシでもわかるわ」
「……わかった。少し休んだら、プラネテューヌに向かいましょう」
「うん!」
*
「ふむ」
デルフィナスの左手にはネクストパープルの刀身が握られ、右手には振り抜いた後であろうデルフィナスの剣が握られていた。
「こんなものか」
あまりにも迅速かつ的確な反撃、洗練された剣技。
故にネクストパープルは、
「……ぅ……けど、まだよ……!」
ネクストパープルがデルフィナスの手から刀を引こうとするも、
「いいや、終わりさ」
その間に、デルフィナスの刃が二度交差する。
「か……は……っ……!」
たった三度の斬撃で、ネクストパープルの耐久値はほぼ全てが削り取られ、変身を維持できないほどのダメージとなった。
「そん……な……」
変身が解け飛行能力を失ったネプテューヌはそのまま落下していく。
「殺しはしていない。女神である汝ならば、その傷でも生き延びることができるだろう」
落ちていくネプテューヌを見つめるデルフィナスの表情は、先ほどプラネテューヌを見渡した時と同じような悲哀の表情であった。
「……『鍵』を、取りに行くとしよう」
地面に落ちたネプテューヌは、プラネタワーに侵入していくデルフィナスをただ見ることしかできない。
身体に力が入らないように斬られており、精神的な問題ではなく、物理的に立てないのだ。
「はぁ……っ! ぐ……ぅ……はぁっ……!」
数分後もしないうちに、プラネタワーから出てくるデルフィナス。
その右腕には、
「……あれは……いーすん?」
ジタバタと暴れるイストワールが抱えられていた。
「やめてください! 離して、離してください!」
「暴れるな、手荒な真似はしたくない」
「何故私を連れていくんですか⁉︎」
「汝が『鍵』であるからだ、教祖イストワールよ」
「『鍵』……?」
「だからこそ、傷つけるつもりはない。だが、過ぎた抵抗をすれば、汝の愛するものたちを傷つける必要があるかもしれん」
その言葉を聞くと、イストワールの抵抗はピタリと止む。
「……っ、なら私が付いて行けば、ネプテューヌさんやプラネテューヌには何もしないと約束してくれますか?」
「あぁ、約束しよう」
地面に這いつくばるネプテューヌには上空にいるデルフィナスとイストワールの会話は聞こえない。しかし、イストワールが連れ去られようとしていることは理解できていた。
「いーすん! ダメ‼︎」
声をあげるも、イストワールに届くことはない。
「行くぞ、教祖イストワールよ」
「……はい」
デルフィナスが幽世へ続くゲートを開く。
(どうしていーすんを連れて行くの⁉︎ ううん、理由なんてどうだっていい、いーすんを助けないと!)
なんとかしてそれを妨げようとするも、ネプテューヌは起き上がることはできず、地面を這い手を伸ばしながら届かぬ声をあげることしかできない。
「いーすん! いーすん‼︎」
そして当然、そんな行動に意味はない。
「……ぅぅぅぅぁぁあああああああッ!」
完膚なきまでに敗北し、大事な者が連れ去られるのを見ていることしかできなかった無力さを思い知らされたネプテューヌの慟哭が、プラネテューヌに響き渡った。
デルフィナス。
オリキャラではありますが、名前の元は言うまでもなく、容姿もリバ1トゥルーエンドの人間体マジェコンヌ、勇ネプのクロムも同じに設定しているため、完全なオリキャラというわけではありません。性格や一人称と二人称が違いますが。