新世紀エヴァンゲリオン-And become Joseph- 作:さえもん9184
シンジ君が幸せなら、カヲシンだって大好きなんです。
さらに言えば、一番だい好きなキャラがシンジ君なので、リュウジというキャラクターを描いている節もあります。
何が言いたいかといいますと、ただシンジ君に幸せになってほしいんです。
なので、シン・エヴァのラストも、あの後シンジ君が幸せになってくれるのなら、それでいいと思っております。
(まだ、静かだな……)
リュウジはミサトの車を走らせながら、電話をかける。
「シンジ。今どこだ?」
『学校です。今綾波も近くにいます』
「まったく、帰って休めと言ったろう。ーーーだが丁度いい、今から迎えに行く。校門で落ち合おう」
『了解』
電話を切ると、すぐさま電話をかける。
「高雄、俺だ。状況は?」
『国連軍が、敵さんを光学で補足。海岸線での展開も完了しました。間も無く攻撃を開始します』
「戦自は?」
『航空戦力を中心に展開を完了。ボスの『お願い』のおかげですね』
「とにかく敵の情報が欲しい。どう攻撃するかは、お偉方に任せるが、N2は使わせるな、どうせ効かん」
『了解』
「……お前にいうのも心苦しいが、無理はさせるな。先の使徒戦で、懲りてるとは思うが、深追いをせず、被害は最小限に抑えろ。情報はカバーコード1954で送ってくれ。気をつけろよ」
再びリュウジは電話を切る。
迎撃装置稼働率48%の現状では、威力偵察を戦自と国連軍にある程度肩代わりしてもらわなければならない。
(やはり、先の戦闘で周囲の被害がでかすぎた。どれだけ出来るか……)
先の使徒戦では、国連軍は手酷くやられた。それでようやく得られたのが、あの情報だ。戦自と合わせた戦力で、今度はどれだけ引き出せるかは、未知数だ。
※
「あっ、ねぇ、待ってよ!」
屋上でレイに緊急招集を知らされたシンジは、先に行こうと知るレイを呼び止めていた。
「……なに?」
「今連絡が入って、校門におじさんが迎えに来る。二人で待っていよう」
「おじさん?」
「あっと、……そう、碇三尉。父さんの弟の、碇リュウジ。つまり僕の叔父さんなんだ」
最初、レイは『おじさん』と言われて、誰のことかは判然としなかったが、シンジのその後の説明で、誰のことか理解したようだった。
「そう……あの人が来るのね」
「うん。行こうか」
そう言ったはいいが、レイはシンジの言葉など聞こえないかのように、一人で階段を下りて行った。
「そういえば、ちゃんと自己紹介して無かったね。僕はシンジ、碇シンジ。君は、綾波レイ、だよね?」
その後ろを、シンジは少し小走りで追いつく。
「ーーーええ」
「よろしく。綾波」
そして横に並び歩きながら、シンジは手を差し出した。
「………握手?」
「そう。さ……」
(……仲良くなるための、儀式、みたいなもの)
以前同じように、リュウジに握手を求められた時の言葉を思い出していた。
「なぜ、仲良くなりたいの?」
「う~ん、特に理由はないかな。僕がそうしたいっていうか……、正直こんな立場でもないと、君みたいなかわいい子と、仲良くなれなそうだし」
シンジの言葉に、レイは訳が分からなくなった。
かわいい?だれが?自分が?
「へ……変なこと、言わないで」
「ごめん、いきなり馴れ馴れしかった。でも、本当に特に理由はないんだ。ぼくがそうしたいだけなんだ。お願い」
そういうと、更に手をレイに付き出した。
「うん……」
レイもなんとかそれに応じる。
「改めて、よろしく。……それと、ありがとう。まだお礼、言えてなかった」
「え?」
「最初の使徒との戦いで、僕の代わりに、エヴァに乗ろうとしてくれて、ありがとう」
「……いらないわ、命令だもの」
「だとしても、ありがとう。君のおかげで、ぼくには戦う理由ができたんだ」
「戦う、理由?」
「……たぶん、ぼくが何を言っているのか解らないと思う。でもいいんだ、ただ、あの時の綾波を見て、ぼくは、君のために何かしたいって思えたんだ」
レイにとって、シンジという存在はリュウジ同様に訳が分からない存在となった。
(……解らない。この人は、何で私に感謝しているの?)
碇ゲンドウの命令は絶対だし、それ以外にあの時初号機に乗ろうとした理由などない。だというのに、リュウジもシンジも自分にこういう、
「ありがとう」
と、
だがそれが、レイに今までにない何かを芽生えさせていた。
「行こう、綾波」
いつの間にか立ち止まっていたレイに対して、シンジは振り返りながら声をかけた。
「……ええ」
レイは、シンジの背中を追いかける。
そのまま校舎を出ると、既に校門でリュウジが待っていた。
「ごめん、おじさん」
「いや、俺も今来たところだ」
リュウジは二人に車に乗るよう促し、すぐさま発進させた。
既に周囲の状況は、緊急事態の様相を呈していた。先日見た、ビルが生える光景とは逆に、サイレンとともに、ビルがどんどん収納されていった。
「……始まったか」
リュウジは自身のタブレットを見ながら、送られてくる戦況を見ていた。
戦自と国連軍の同時攻撃が、使徒に次々と命中していく。それと同時に、音のみだが、じかに彼らにも伝わってきた。
「……前回と全然形態が違う」
「接近戦では、前のように投げは決められそうにないな」
第四使徒とは違う、赤く、長く、平たいボディは、通常兵器による攻撃など物ともせず、一定の速度で飛行していく。
(常識は通用しない。それは承知していたが……)
「よく見とけよ、今彼らが射っている弾薬を無駄にしないためにも」
「はい」
「それと、今回の戦闘から葛城二佐が指揮を執る」
「え……?」
「そもそも、彼女の指揮のもと、君たちが戦う。それが本来の指揮系統だ」
「それは、そうだけど……」
シンジの表情には、ありありと戸惑いが浮かんでいた。
(……無理ないか。まだそれほど葛城さんを信用できてない)
だが、現在のリュウジには、指揮する権限はない。何よりゲンドウが許さないだろう。
リュウジは昇進などに興味はないが、ゲンドウがいる以上、アドバイスぐらいはできても、前回のように指揮を下せる立場になることはありえない。
「……レイ」
「はい……」
「現状、君はバックアップ要員です。基本的には待機していてもらうことにはなると思いますが、……いざとなれば、エヴァに搭乗することになります。承知していてください」
「ま、待ってよおじさん!まだ綾波の怪我は……」
「了解です」
シンジの心配をよそに、レイはすぐさま了承の返事をする。
「そんな、どうして……」
「ネルフは、躊躇なくそういう決断を下すということだ。……今の俺には、それを止める権限もない」
リュウジとて、そんな事はさせてくない。だがネルフに入った以上、彼も組織に逆らうには、それ相応の無茶をする必要がある。もしかしたら、それを口実にゲンドウは容赦なく、
「邪魔な存在」
として、これ幸いと処分してくるかもしれない。そもそも、レイが乗る事になる、イコール、シンジが負けたという事であり、それは最悪の場合、シンジの死を意味する。
「……申し訳ない。あんな事を言っておきながら」
「……いい。……私にはそれしかないもの」
「綾波!」
「だからこそシンジ。お前が勝つんだ……いいな」
「ーーーーはい」
静かに返事をすると、シンジは食い入るように、タブレットの映像を見る。
どんな情報も逃さぬように、そして、
(必ず、ぼくが倒す!)
守りたいものを、守るために。
※
ネルフに到着すると、リュウジはすぐさまシンジを更衣室に連れて行き、準備をさせる。その間に、レイを待機室に連れて行く。
「……なぜ」
「ん?」
「……なぜ、彼はエヴァに乗るの?」
「彼?シンジのことですか?」
「ええ……、私のことを見て、エヴァに乗ったって」
「……シンジが、そう言ったんですね?」
レイは、無言でうなずく。
「……それは、いつかシンジから直接聞いた方がいい。もっとも、彼もはっきりとは、してないかもしれないが」
レイを守りたい。それが動機なのは確かだろうが、何故そう思うに至ったか、その理由までは、おそらく思春期特有の理由か、一人の人間としての使命感か、まだ判然とはしていないかもしれない。
かく言うリュウジも、シンジの思いを確信するまでには、至っていないので、迂闊な事は言えないし、分かったとしても、リュウジがそれを言うのは、
「余計なお世話」
と言うものだ。
話しているうちに、待機室まで二人はたどり着いていた。
「……君に出番が来ないよう、私も、私ができる戦いをしてきます。それでは……」
「貴方は、何故戦うの?」
立ち去ろうとするリュウジの背中に、レイが問いかけた。
「……君に生きていて欲しいから、かな……」
ゆっくりと振り返りながら、リュウジは答えた。
「……なぜ?」
「いつか、エヴァが必要なくなって、当たり前の幸せを手に入れて欲しいからです。その為には、生きなければならない」
彼女の生まれが、リュウジが考えている通りだとしたら、特殊な事例と言えるだろう。
だが、それが普通の人生を送ってはならない理由にはならない。今を、真摯に生きているなら、誰にでも幸せになる権利がある。
「レイ、前にも言いましたね、生きる理由や、戦う理由は、いくらでもある。それが今はないのなら、焦らず、それを見つける為に、生きてみませんか?」
「理由を、見つける為に?」
「ええ、そしてもし見つかれば、その為に生きるんです。それが、いつの日か、変わったり、別のものになったっていいんです。それこそもし無くなったのなら、また新たな理由を探す為に、生きればいい」
自分で言っておいて、無茶苦茶だと思う。だがこれこそ、人生である、とリュウジは思う。生きる理由があれば、その為に生き、無いならそれを探す為に生きる。
それが自己満足だとしても、押し付けだとしても、生きていれば、いつか生きていたいと思ってくれる。そうリュウジは信じている。
「今後、君に戦いを強要することになる私が言っても、説得力は無いけれど。どんな形になっても良いから、私やシンジと、一緒に生きていければ、幸いです」
リュウジは、レイの頭を一度だけ撫でた。
「……では」
リュウジは待機室を後にし、シンジのもとへ駆けていく。
その間も、リアルタイムで送られてくる映像の確認は怠らない。
(この触手がメインウェポンか、間合いはおおよそ70から100メートルってとこだな)
戦自の戦闘機を触手が破壊、というより切断する映像を見ながら、リュウジは冷静に分析する。
(彼らも、おいそれとは引けない、か……)
彼らの犠牲を無駄にしないためにも、シンジには勝ってもらわなければならない。
「シンジ、準備は?」
「いけます」
更衣室に入ると、すでにプラグスーツを着たシンジが返事をする。
「よし、エヴァのケージへ行け、悪いが時間がないから、俺は指令室へ直行する」
「大丈夫。あとは自分で行けるから」
「焦るなよ。勇み足や、先走る行為はするな」
「……うん」
だが、ミサトからの陣頭指揮を受けることに、やはりシンジはいまだに得心できていないようであった。
「シンジ、現場で戦っている者でなければ分からないことがあるのは確かだが、逆もまたしかりだ。俺からも出来ることはするが、葛城二佐からの指令も決して疎かにするな。いいな?」
「……分かってます」
難しいことを言っているのは分かる。
14歳の少年に、現場の判断を任せつつも、上からの指令を考慮しながら行動する。
リュウジでさえ、そんな状況の経験はあるし、それを煩わしいと感じたことは一度や二度ではない。
だが最も重要なのは、
「……生きて帰れよ。それが何よりの戦果だ」
「はい」
勝敗ではなく、生きることだ。
※
同時刻
作戦司令室
「国連軍地上部隊、戦自航空部隊、撤退を開始しました」
「さすがに、前回の戦闘で懲りたみたいね」
「ですが、おかげで敵の攻撃方法、ATフィールドの観測もすることができました」
オペレーターやリツコは、国連軍や戦自が展開していた戦力が撤退していくのをモニターしている。
一人ミサトだけは、眉間にしわを寄せて眺めている。
むろん、国連軍と戦自の軍事展開を裏で糸を引いていた人物を知っているからだ。
(ここまでお膳立てしてもらって、無様な結果は出せないわね)
「初号機パイロット、出撃準備完了しました」
「了解。----シンジ君、聞こえる?」
『はい』
「今回の戦闘は、遠距離武器を使用しての攻撃が中心になるわ」
『え?接近戦じゃないんですか?』
「敵の触手の範囲外から、堅実かつ確実に殲滅するためよ。いいわね?」
「初号機を地上に展開すると同時に、ガトリングの一斉射による殲滅を図ります。よくって?」
その間に、リュウジも作戦司令室に到着。
「戻りました」
「ご苦労」
短いやり取りの最中、リュウジは片耳にワイヤレスイヤホンを装着する。
これでいざという時は、彼も直接パイロットにアドバイスをできる。
「シンジ、俺も作戦は聞いた。敵のアウトレンジからの攻撃になるが、飽くまで現状の分析による距離だ」
『了解。間合いはこちらで調整します』
「シンジ君。ATフィールド中和をしながらの射撃になるわ。その状態にも注意して」
『了解。中和状態のオペレーションをお願いします』
リュウジとしても、今回の作戦は賛成であった。前回は動かせるかどうかすら疑わしい状態、そんな中でいきなり銃を持って戦闘するなどまず無理だ。最後にプログレッシブナイフを使えたことすら、彼にしてみれば、
「ありえないこと」
と思っている。
だが今戦闘においては、シンジと初号機のシナジーも認められ、銃器もある程度使えるよう訓練もした。近接戦闘の方が得意なのはリュウジも承知しているが、そもそも接近戦はリスキーなのだ。遠距離攻撃で済むなら、それに越した事はない。
「いいわね?シンジ君」
『はい!』
ミサトにとっての初陣が始まる。
(ーーーあなたは作戦部長です。丸まった背中を部下が見れば不安になります。ーーー)
一瞬だけ、リュウジの言葉を思い出す。そして……、
「発進!!」
※
一度感じた急激なGを再度その身に受け、シンジは出撃する。
(銃を撃つときは、トリガーを引きっぱなしにせず、小まめに離す)
リュウジに言われた指切りを思い出しながら、
「ハアッ!!」
ガトリングを構えて、上体を起こした使徒に攻撃を開始した。
『いいわ、そのまま焦らないで!』
現状のデータから割り出した、ATフィールドを中和しつつ、相手のアウトレンジである距離を保ち、シンジは訓練通り命中させていく。
(だが、このまますんなりいくとは思えん)
それでも、リュウジの危惧とは裏腹に、シンジは順調に、攻撃を加えていく。
触手もギリギリアウトレンジであるがゆえに、初号機までは届かない。
『ATフィールドの中和、維持されています』
『目標の内部エネルギー、徐々にではありますが、低下傾向です』
側から見れば、戦闘の推移は恐ろしいほどに順調である。
あのリツコですら、現状に若干の余裕の表情すら浮かべている。
ミサトは逸る気持ちを抑えながら、何か異変がないかを見逃さぬよう戦況を観察していた。
(何?使徒が頭を下げた?)
徐々にではあるが、上体を起こしたまま、頭を下げたのだ。
(コアをガードする為?でもそれなら……)
「シンジ!伏せろ!!」
突如声を荒げたリュウジに、司令室中の視線が集まる。
だが当のシンジだけはすぐさま反応し、
『うわっ!!!』
敵の攻撃からなんとか逃れる。
何が起きたかは至極単純であった、一定のスピードで動いていたと思っていた使徒が、急接近してきたのだ。
頭を下げたように見えたのは、
(体をバネのようにして、一気に接近したんだわ)
よく見ると、先程まで使徒が背にしていたビルの中腹がへこんでいた。
『クッ!ガトリングが……』
「予備のライフルを出すわ!」
だが使徒は、反転しながら再び接近し、
『ウグゥッ!!!』
ついに二対の触手が、伏せていた初号機を貫きそして持ち上げられた。
「シンジ君!!」
『グ!!ギィ!!』
だが、持ち上げられた初号機は、その触手を掴み、
『コンノォ!!』
更に自身を貫かせながら、シンジは、
『捕まえたぁ!!!』
使徒に接近しカカト落としを見舞う。
喰らった使徒は、堪らず地面に叩きつけられる。
「初号機!接触面融解!!」
「シンジ君!今は距離をとって!!」
『グゥッ!ウワッ!!』
だが触手に貫かれた現状では難しく、追撃しようとした初号機はボディを貫いている触手に、再び持ち上げられ、
『ウワアァァァァ!!!』
「シンジ君!!」
郊外の山までぶん投げられた。
「アンビリカルケーブル断線!!初号機の内部電源に切り替わります!!」
投げられたと同時に、アンビリカルケーブルが切断され、残り時間が5分となる。
「クソッ!シンジ!!動けるか!?」
『おじさん……最悪な状況です』
「なに!?」
モニターの向こうには、初号機の指の間にいる、二つの影が確認できる。
「シンジ君のクラスメイト!?なんでこんなところにいるのよ!?」
まさに最悪な状況と言えた。
この中で、シンジに戦闘を続行させるのは、現実的ではない。
「やむを得ないわ。シンジ君そこの二人を収容して!その後速やかに撤退!出直すわよ!」
その最中でも、使徒は容赦なく襲いかかる。
『グゥッ!!』
それでもシンジは速やかに反応し、高温の触手を掴む。
『二人とも!!早く入って!!』
本来ならば緊急脱出用の梯子が、せり出したエントリープラグから垂れ、シンジが二人を収容する。
「うわっ!なんや!?水!?」
「カメラが!カメラが!!」
「二人とも黙ってて!!」
エントリープラグ内に、二人を収容し、シンジは再度両手に意識を集中させる。彼の手にも灼熱が襲いかかる。
『シンジ君!すぐに撤退して!シンジ君!?』
「うああ!!!」
だがシンジは触手を掴んでいた腕を引き寄せ、
「フン!!」
コアに膝蹴りを繰り出す。
『シンジ!!民間人を守りながらの戦闘は避けろ!!撤退するんだ!!』
シンジに民間人を抱えながらの戦闘は、リスクがあり過ぎる。リュウジもそう判断し、直接撤退を促す。
「ハア、ハア……」
両手に触手を掴みながらも、先程の膝蹴りで使徒が怯んでいる隙にシンジは息を整える。
(ぼくは、戦うしかない……、戦うしか……)
「ないんだ!!!うおおおおおぉぉぉ!!!」
『よせ!!!シンジ!!!』
『シンジ君!!!』
リュウジとミサトが必死に呼びかけるが、シンジは攻撃を続行する。
再び使徒を引き寄せると、頭部に頭突きを食らわせ、頭部が持ち上がった事により、露わになったコアに、
「はあああああ!!!!!!」
爪先を一直線に命中させる。
触手は離さぬままであるが、使徒が後退した事により、後退距離に応じて触手が伸びた。
『内部電源、2分20秒!!』
その伸びた触手を初号機に自ら巻きつけながら、シンジは距離を縮める。
『シンジ!応答しろ!シンジ!!」
司令室のリュウジの言葉すら、今のシンジには届かなかった。
「俺の声を聞け!感情に飲まれるな!シンジ!!」
クソッ、と悪態をつきながらも、リュウジは呼びかけ続けるが、シンジは使徒のコアめがけて攻撃の手を緩めない。
「すごいです。ここまでコアを的確に……」
マヤをはじめとするオペレーターや、リツコは、エヴァでここまで的確に攻撃を繰り出すシンジに驚嘆の声を上げているが、ミサトとリュウジだけは危うさを感じざるを得ない。
「まずいわね……」
「ええ。……申し訳ありません」
「責任は私にあります。余計な気を回さないで」
「……はい」
「初号機、プログレッシブナイフ装備!!」
エントリープラグ内では、シンジが息を荒げながらも、敵をにらみつける。
「おい転校生?大丈夫なんか?」
「守る、守る、……絶対に」
「転校生!しっかりせい!!」
初号機の攻撃が効いたと見え、使徒は傍から見ればグロッキー状態に見える。
「これで……止め……」
シンジは使徒の頭部を押さえつけると、コアにプログレッシブナイフを突き刺す。
余りの勢いだったためか、シンジの攻撃により弱っていたためか、一気にコアごと使徒の体を貫く。その突き出した刀身を掴むと、
「フン!!!」
それを抜き、プログレッシブナイフを貫通させた。
それと同時に、初号機が活動限界を迎え、機動停止する。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
「お、終わったの?」
ケンスケが静かになった状況を見て、そう呟く。
「ッッ!!!」
その言葉に反応したのか、シンジは背後にいる二人を振り返り、
「大丈夫?怪我ない!?」
「あ、ああ……」
「た、たぶん、大丈夫だけど……!!」
シンジは二人にいきなり抱きついた、
「ごめん!……よかった。守れて……」
ごめん、守れた、よかった、シンジがそう繰り返しているうちに、涙をすする音が混じっていく。
安堵、恐怖、後悔、
様々な感情が、シンジの中に渦巻き、それが二人にも干渉していき、
「落ち着け転校生、な?大丈夫やから、な?」
「碇、大丈夫、俺たち助かったよ。お前のおかげだよ」
何故か、助けられた二人が、シンジを慰めるという状態になっていた。
それでも、シンジの涙は止まることはなかった。
高雄コウジさんの年齢って、いくつなのかどんなに調べても出てこないですよね。
Qの時点で、50代ぐらいに見えるので、この時大体30代半ばを私としては想定してます。
気づいている方はいらっしゃると思いますが、高雄さんに、リュウジをボスと呼ばせている理由は、……そういうことです。
ご意見、ご感想お待ちしております。
誤字、脱字等ございましたら、お手数ですがご報告ください。
何卒、よろしくお願いいたします。