新世紀エヴァンゲリオン-And become Joseph-   作:さえもん9184

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投稿が遅れて申し訳ありません。

仕事がランダムで繁忙期を迎える職種なのに加えて、ヤシマ作戦にかわる、作戦を考えるのに色々試行錯誤していたら、だいぶ遅くなりました。申し訳ありません。


序-作戦準備-

ミサトはリュウジを伴って、地下へと向かっていた。

 

「碇三尉……、いえ、リュウジさん。本当にありがとうございます」

 

ミサトは二人きりの状況で、ひさしぶりにリュウジに面と向かって、丁寧な口調で話した。

 

「今更、私の立場になってほしいなどとは言いません。……ですが、今は礼を言わせてください」

 

リュウジには、戦慄させられることは多々あるが、先程の観察眼だけでも、その実力は自分とは雲泥の差があり、改めてリュウジの能力の高さに、ミサトは尊敬の意を表す。

 

「よしてください。そもそも、私が初号機を大破させたんです。先程も言いましたが、責任は私にあります」

 

「だとしても、この土壇場で、これ程の観察力は、私には、とても……」

 

そう言いながら、ミサトは俯いた。自分の実力不足を嫌でも痛感していた。無論、いきなりリュウジのように成れるなどとは思っていない。だが、使徒との初戦、初陣のシンジへの指示を思い浮かべて、どうしても、今の自分と比べてしまう。

そんなミサトを見て、リュウジは、

 

「ハァ〜……」

 

と一度ため息をつく。

 

「…………葛城。顔を上げろ」

 

いきなり口調が変わり、ミサトは驚いて、顔をあげた。

 

「いいか。指揮官に大切なのは経験値でも、観察眼でもない。お前の指揮を受ける、その全ての部下の命を預かる覚悟だ」

 

「それこそ、私には、そんな覚悟はありません。貴方もおっしゃったじゃないですか。私には、覚悟が無いって」

 

「ならなんで、さっき、俺の進言を聞き入れた?俺の覚悟を、俺の命を預かる覚悟をしたんじゃ無いのか?」

 

そう言われ、ミサトはハッとした。

そうだ、あの時のリュウジの思い詰めた表情を見て、リュウジが覚悟をしていると伝わってきた。それを踏まえて、私もその覚悟を受け取ったのでは無かったか。

 

「……俺を見ろ。そんなあんたの覚悟など、どこ吹く風で、自分の身内を助けることしか考えず。挙げ句の果てに、この基地の最高戦力を大破させた、軍人失格の男だ。その俺からみれば、今のあんたは……、いえ、今の貴方は、全ての責任を負う覚悟を持った、優秀な指揮官です」

 

いつの間にか、上司としてミサトと接するいつもの態度に戻っていく。

刹那の叱責であったが、ミサトは心の雲が一気に晴れていくようだった。

 

「それに、以前申し上げましたでしょう?貴方は私より優秀な指揮官になると。それとも、私の『観察力』は、信用できませんか?」

 

「…………ありがとう。お陰で私のなすべき事が見えた。礼を言うわ、リュウジ」

 

そうしているうちに、エレベーターは目的の階に到着した。

 

「さ、ついてきて」

 

扉が開くと、歩き出したミサトの後に、リュウジは続いた。

 

「ここは、レベルEEE。ここへ使徒の侵入を許すと、自動的に自爆するようになってる」

 

「つまり、使徒とここにある物との接触は、それほど避けねばならない物であると」

 

「ええ、それを許せば、サードインパクトが引き起こされ、今度こそ人類は滅ぶ、と言われてるわ」

 

そう言うと、ミサトは扉にカードキーを差し込み、厳重に封じられた扉が重厚な音を立てて開いて行く。

 

「……こいつが……、使徒が目指している物」

 

それを見た瞬間、リュウジは得体の知れない親近感、いや同族感とでも言うほどのものを感じていた。

 

「この星の生命の始まりでもあり、終息の要ともなる第二の使徒。我々は、リリスと呼んでいるわ」

 

「生命の、始まり……」

 

二人の目の前には、下半身が歪に無くなり、仮面のようなものを被っている、白い巨人が磔にされていた。

 

「……そして、終息の要」

 

「ええ、サードインパクトのトリガーとも言われているわ」

 

「成程。こいつが、使徒がここに来る理由ですか。確かに、それなら今真上にいる奴が、加粒子砲を撃たないのも頷ける」

 

喜んでいいのかは分からないが、リュウジは自分の考えが正しいと直感した。

 

「充分です。もう行きましょう」

 

「あら、貴方なら、さっさと処分しろ、とか言うと思ったけど」

 

「サードインパクトのトリガーということは、それほどのエネルギーを内包しているということです。下手に刺激しないほうがいい」

 

そういながらも、リュウジは自分の中の、妙な疼きから、早くここから立ち去りたくて仕方がなかった。

そんな時、ミサトの携帯が鳴った。

 

『ミサト、検証結果の報告よ』

 

「で?どうだったの?」

 

『碇三尉の予見、的中よ。目標が撃った加粒子砲の威力は、カクモ式装甲帯を突き抜け、リリスまで損傷させる程の威力であると計算結果が出たわ』

 

「敵の位置と、リリスの位置関係は?」

 

『これもビンゴ。敵の位置は今まさにリリスの真上で掘削していることが算出されたわ』

 

「了解。すぐ戻るわ」

 

ミサトは携帯を切りながら、

 

「碇三尉、貴方の進言は、ほぼ間違いない、との結果よ」

 

「戻りましょう、まだ解決しなければならない問題があります」

 

リュウジとミサトは、地上へと戻るエレベーターへと向かった。

 

 

「さて、攻撃を避けられそうなセーフティーゾーンは分かったわ。だけどそもそも、今の目標の真下に行くのは、ほぼ不可能ね」

 

ミサトは第3新東京市のマップを睨みながらいう。

 

「はい、現在稼働できる出撃ポイントは、どんなに近くても約200mの距離がありますから」

 

「そこから出たら、初号機の二の舞ね……」

 

マヤの報告を受け、ミサトの眉間に皺がよる。

 

「……ならば、いっそジオフロントへと誘い込み、目標の真下に零号機を配置させるのはどうでしょう?」

 

その皺を払拭するべく、リュウジが進言した。

 

「聞かせてくれる?碇三尉。貴方の立てた作戦」

 

ミサトは憮然とした態度で、リュウジに発言させる。

 

「はい、簡単に言えば、敵をジオフロントに誘い込み、降りてくるまでに仕留める。それが私の考えです」

 

「かなり危険が伴うわね」

 

敵を自分の懐に入れるわけだから、当然リスキーである。

 

「ですが、利点もあります」

 

「そうね、カクモ式装甲帯も無くなるから、質力を弱めた加粒子砲でも、リリスに損害が出かねないから、零号機へ攻撃が向く可能性が更に低くなるわね」

 

「加えて、マギの計算では、零号機のATフィールドを破るには、少なくとも初号機に最初に発射した加粒子砲の出力が必要との結果が出ました」

 

リツコとマヤが、算出された敵の加粒子砲の威力から、ジオフロント内で同じく発射した場合の計算結果を述べる。

 

「仮に撃たれても、防御可能というわけね」

 

「次に、問題は敵ATフィールドと、コアの位置の特定ですが、敵の攻撃を誘発させることで、その両方を解決します」

 

「そうか!」

 

「目標に攻撃を誘発させれば、ATフィールドも張れないし、コアも出現するという事ね」

 

ミサトと日向が、リュウジの狙いを察する。

 

「はい、その間にまず、真下から零号機による射撃攻撃を行い、そこでコアを仕留められれば、御の字。それが出来なくても……」

 

「降りてきた目標に、接近戦を仕掛けられる」

 

「はい、二段構えの作戦です」

 

だがそこで、

 

「……ですが、どうやって敵の攻撃を誘発させるんですか?」

 

マヤが気づいた問題点を質問する

 

「無人機を大量投入すれば……」

 

「すでに残り時間は9時間を切っています。その間に集められる無人機は、そう多くはありませんよ」

 

「仮に集められたとしても、ただでさえ流動的に動くコアに、複数の囮を出すのは、コアの動きを複雑にさせ撃破確率を下げる事になるわ」

 

リュウジとリツコが、日向の提言の問題点を指摘する。

 

「加えて、目標がリリスへ到達するのに、ネルフ本部を突き破るだけとなれば、最悪の場合、強固なATフィールドに籠り、掘削を再開することになる可能性もあります。……ですので、私の結論としては、目標のジオフロント侵入後、囮を駆使し、攻撃を誘発させながら、零号機による、遠、中、近距離攻撃全てを段階的に駆使し、完全に降下してくるまでに、目標を殲滅する。これが私の考えうる最前手と断言します」

 

「……そして、その囮は、ある程度の時間あの加粒子砲に晒されながら、耐えるか、避け続ける、そんな囮でなければいけないというわけね」

 

「仮に出現時の速度で降りてくると仮定しても…………、その間2分49秒です」

 

どれだけ耐えねばならないのか。青葉が即座に計算するが、

 

「無理です。あの高火力の加粒子砲を、そんな時間耐えるのも、囮を配置するのにも、大量な数が必要です」

 

「どの囮も、1秒耐えられれば上出来ね」

 

マヤとリツコがあまりに非現実的なその時間に、無理難題であると暗に発言した。

 

「……それにあたっては、一つ心当たりが」

 

だがリュウジとて、なんの解決策も無しに、この作戦を立案した訳ではない。

 

「葛城ニ佐、勝手ながら、日本重化学工業のプロトタイプを囮に使用させていただきたいのですが」

 

「プロトタイプ?一体なんの?」

 

「次世代戦闘機です。全く新しい制御機構、重力制御システムを使用した実験機です」

 

 

ネルフ本部のヘリポートに、複数のVTOLが一つの戦闘機のような物を運んでくる。だがシートに包まれており、飽くまで形状しか確認はできない。

 

「最初の狙いは、南極に立ち入るための動力確保でした」

 

リュウジは運ばれたそれを、懐かしい目で見ていた。

 

「つまり、セカンドインパクトの中心部に行こうとした?」

 

リツコが半信半疑でリュウジに問うた。

 

「ええ、こいつはその為の従来のジェットエンジン機構ではなく、あらゆる場面において、姿勢制御、速度制御を可能にするために、重力を用いて、それを可能にすべく設計されました」

 

「それで、成功したの?」

 

ミサトも、セカンドインパクトの混乱により消失していた、リュウジが参加した実験の一つに、興味があるようだった。

 

「成功はしました。もっとも一機だけですが。こいつはその最後の生き残り、そしてこれを飛ばし生き残ったのも……」

 

機体から目を離し、リツコとミサトへ視線を向ける。

 

「わたしだけです」

 

そのリュウジの言葉に、リツコは一つの可能性に至る。

 

「ちょっと待って。貴方はセカンドインパクトの中心部に行ってきたの?」

 

「ええ、と言ってもそれが可能であるかの実験ですから。そこに降り立ったわけでも、直接観れたわけでもないんですよ」

 

リュウジの言葉にミサトも要領を得ず、

 

「どういうこと?」

 

と、問う。

 

「見てください」

 

シートを剥がし、ボディを顕にする。

確かに形状は従来の戦闘機に近いが、

 

「コックピットがない?」

 

ミサトは想像したものが無いことに驚く。

 

「従来のような、肉眼で確認できるようには出来ていません。こいつは最高速に到達するのに、この大きさであれば、理論上、コンマ零秒で音速を超えられます」

 

リツコはその説明に戦慄した。

 

「待ってそんなの中の人間が……」

 

無事でいられるはずがない。

 

「ええ、耐えられません。良くて失神。下手すれば、中でミンチです。加えて、従来のコックピットでは、その速度落差に、耐えられるガラスがない」

 

だが、そんなリツコの考えなどわかっていたかのようにリュウジは、説明を続ける。

ミサトも、彼女の知識からはかけ離れたその劣悪な仕様に思わず、

 

「そんなのどうやって飛ばすのよ」

 

ときくが、

 

「センサーを用いて、周囲を一種のVRとして奥底に設置されたコックピットに映し出します」

 

二人とは違い、リュウジは淡々と説明を続ける。

 

「成程、貴方がセカンドインパクトの中心部を直接見てないというのはそういうこと」

 

リツコは、リュウジの先程の言葉を理解した。

 

「はい、VR越しにしか確認していません」

 

それでも、この男は、セカンドインパクトの跡地に最も近づき、そして帰還した、この地球上で唯一の人類ということになる。

 

「理論上、この重力制御システムを利用すれば、戦艦クラスの物でも持ち上げられますし。これを応用すれば、大艦隊を空に浮かべることすら可能なんですが。いかんせん出力不足が解決できず。結局、今のところは世界でこいつだけが。重力制御を可能とした戦闘機として残りました」

 

実験機としてはよくある顛末ではあるが、それは今たいして重要ではない。

 

「それで、囮としては使えるの?」

 

ミサトが肝心な問題を、リュウジに聞く。

 

「先程言った通り、音速を超えるのにも、音速から空中で停止するのも、タイムラグがほぼ有りません。この大きさで、ハエやトンボのような動きが可能という事です。囮役として、目標の攻撃から逃げ続けるには最適です」

 

そう言いながら、リュウジは運ばれた実験機を懐かしそうに撫でる。

 

「つまり、貴方が囮になるということ?」

 

ミサトはその答えに行き着く。

 

「ええ」

 

「ええ、って。貴方最初からこうするつもりだったの?」

 

リツコもその答えに検討はついていたが、あまりに危険なリュウジの役目に愕然とする。

 

「もちろん」

 

だがリュウジは、

 

「さも当然」

 

というふうに答える。この作戦を考えた時から、この実験機を使う腹積りであったし、囮になることを決めていたのだ。

 

「この事態を招いたのは、わたしの身勝手な行動が原因です。なら、そのケジメはつけなければ」

 

「下手をすれば……、いいえ十中八九死ぬのよ」

 

「十中八九とは、赤木博士にしては随分と希望を持たせてくれますね」

 

ハニカミながら答えるリュウジに、リツコとミサトの胸が詰まった。

この男はこの作戦における、自分の未来がほぼ死であるとわかっている。それをわかっていながら、この作戦を立案したのだ。

 

「赤木博士。突貫で取り組んでほしいことがあります」

 

「え?」

 

「そんなに難しいことではありません。こいつのコックピットは、申し訳程度ですが、衝撃を抑えるために水を充満させる仕組みになっています。その水をLCLに取り替えることと、各種センサーの調整とアップグレードをご協力していただきたい」

 

リツコは戸惑いながらも、

 

「わかったわ」

 

と、答えた

 

「葛城ニ佐。そろそろレイに作戦を伝えましょう」

 

「ええ、それは私が説明するわ。貴方は、貴方の準備を進めて」

 

一方でミサトは、迷うことなく、リュウジに応答する。

 

「ハッ!」

 

立ち去るミサトに、リュウジは敬礼をする。

ふたりのやりとりを見ながら、

 

「ハアァ〜〜」

 

とリツコは深くため息をついた。

 

「この実験機の概要をすぐに教えて」

 

「わかりました、それと資料がこれです」

 

「すぐにそれを私に教えたら、あなたはシンジ君が目覚めるまで、側についてなさい」

 

「え?」

 

予想外の言葉に、リュウジの目が思わず、大きくひらかれる。

 

「いいんですか?」

 

「最後かもしれないのよ?あなたにとっても、シンジ君にとっても」

 

「それは、そうですが、私は死ぬつもりなど毛頭ありません」

 

「だとしても、逃れられないのが死なのよ?あなたが一番痛感しているんじゃなくって?」

 

そう言いながら、リュウジに詰め寄る。正直彼女も、

 

(私もこの人に毒されたわね)

 

と思う。

だが、

 

「あなたにとって、シンジ君はかけがえのない存在で、シンジ君にとってもあなたは何者にも変え難い家族のはずでしょう!?なら、お互い後悔のないようになさい」

 

「あ、ありがとうございます。赤木博士」

 

リュウジは深く深く、リツコに頭を下げた。

そんなリュウジを、リツコは腕を組みながら見下ろし、

 

「悪いけど、あなたにお辞儀されると背中がむず痒くなるからやめて」

 

再びため息を吐きながら努めて冷たく言い放った。

 

「それにこんなこと言ってるけど、わたしはあなたが死ぬとは思ってないわよ」

 

「それは意外ですね、なにか根拠でも?」

 

「無いわよ、なにも。でもあなたは、私が今まで見た男の中でも、最も強い男。そして信じられる男。周囲の期待に応え、裏切らない、そんな安心感を持つ男よ」

 

「驚いた。そんなに期待を寄せていただいているとは」

 

その言葉は、リュウジのなんの忌憚のない、率直な意見だった。

正直、リツコには警戒されていると思っていたからだ。

 

「だから、生きて帰ってきたら、あなたの味方になるわ。約束します」

 

だからこそ、この言葉は心の底から驚かされていた。

 

「本当、ですか?」

 

「ええ。ただ一つだけ」

 

そう言って、リツコは懐から、リュウジから受け取ったチップを取り出す。

 

「このチップの中のデータ。被験体はあなたね?」

 

「さすがです、赤木博士」

 

「あなたがこの実験機に耐えられたのも、先に受けていたこの実験。使徒との同化実験を受けていたから。違う?」

 

「その通りです。もっとも私もそれが使徒との同化とは知りませんでした。それは誓って本当です」

 

リュウジとて、全ての実験を、最初から全て知らされて受けた訳ではない。

 

「そのようね、使徒との同化も、セカンドインパクトの中心地で、LCL化を防ぐために考えられた、安直な、馬鹿な実験。でもそれにもあなたは耐えた。バケモノね」

 

そう言いながら、リツコは再びチップを懐にしまう。

 

「そのバケモノを、生きたサンプルとして私はほしいだけよ。だから、無事に帰ってきて」

 

「ありがとうございます。感謝します」

 

「やめて、私はあなたをモルモットにするのよ?」

 

「そんなもの慣れてます。お好きに切り刻んでください。さ、始めましょう」

 

リュウジの正体は、このネルフ内においては、二人の秘密となる。




ここまできて、更に問題があります。

この囮作戦の名前が決まってないんです。何かかっこいい歴史上の囮作戦とか陽動作戦をいまググってます。

ご意見、ご感想お待ちしております。

誤字、脱字等ございましたら、お手数ですがご報告ください。

何卒、よろしくお願いいたします。
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