新世紀エヴァンゲリオン-And become Joseph-   作:さえもん9184

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Qを見返しているのですが、正直シンジ君がフルボッコにされて、見るのがつらいです。

でも頑張って書きます。よろしくお願いします。


Quandary(苦境)の章
Q-14年ぶりの謀略-


『まもなく、パリ上空に入ります』

 

『天候、視界、ともに良好』

 

『重力制御装置、問題なし……』

 

まもなく行われる作戦に向けて、アナウンスが響く。

これから乗り込むエントリープラグをその目に映しながら、自分の髪の色と同じ、グレーのプラグスーツを身にまった少年は、何度も聞いたカセットを今一度聞こうと、イヤホンをセットし、スイッチを入れた。

 

『……これをあなたが聞いているということは、私が任されたことは無駄には終わらなかった、ということでしょう。

 

まことにそれは喜ばしい。

 

……ですが、まずは謝らせてください。

 

どうやら、葛城を悲しませることになってしまった。

 

いや……悲しんでくれるのかな、あいつは……。それは私の願望かもしれません。

 

そう思うってことは、やっぱりあいつのことがまだ好きみたいだ。

 

……だからと言っちゃなんですが、今度は、俺の頼みを聞いてくれませんか?

 

むろん、あなたにはあなたの思惑があるでしょう。

 

ですが、あなたの頼みの代価を、まだもらってなかったのでね。

 

……どうか、私の代わりに、葛城を守ってほしいんです。

 

師として、信頼していた人物がいなくなって、それでも彼女は胸を張って戦ってます。背中を丸めてはいけないと、自分に言い聞かせているんです。

 

それと、申し訳ありませんが、もう一人助けてほしい人物がいます。その人は、あなたと同じく……』

 

「ジュニア!」

 

気づけば、時田がイヤホンを無理やり取り上げ、横に立っていた。

 

「ああ、時田さん」

 

「ああじゃない。もう搭乗時間だ。周りの整備員がやきもきしてる。早く乗り込め」

 

ジュニアと呼ばれた少年は、時田に言われ周囲を見渡す。

確かに、ちらちらとほかの整備員が、自分を見ている。

 

「これでも初搭乗なんですから、もう少し落ち着かせてくださいよ」

 

「こっちも初めてエヴァンゲリオンの共食い整備をして、調整をして、これから初めてのオペレーションだ。もう少し周りを気遣え」

 

ジュニアはうんざりという表情で、しぶしぶ立ち上がる。

 

「あなたならそれぐらい訳ないでしょう?そうメクジラ立てないでください」

 

「何を呑気なことを。そもそも……」

 

「こいつは、我々が持っている唯一の戦力。でしょ?だから、あれがダメなら、我々は何もできない」

 

「そうだ。だがこの作戦を成功させれば、我々はようやく地盤を手に入れられる。もう最後のリソースも使い切った。文字通り我々は崖っぷちだ」

 

時田がリーダーを務める、元日本重化学工業共同体+αで構成された集団は、まさに遊牧民(ノマド)として、各地を転々としていた。

もっとも、それがネルフにもヴィレにも認知されていないという結果を生み出している。

 

「……ぶっつけ本番なのは、申し訳ないと思ってる。だがテストすら、我々では……」

 

「大丈夫ですよ、時田さん。……必ず、成功させます」

 

そういうと、ジュニアは髪をかき上げ、無言で時田に手を振り、エントリープラグへと乗り込んだ。

 

時田はそれを見送ると、

 

「よし、我々は一足先に降下する」

 

通信で、降下班に命令を下した。

 

 

紅く染まったパリ市街にて、封印柱に時田とクルー数人が降り立った。

 

「……これがパリか。にわかには信じがたい」

 

そう言いながらも、機器をセットをし、

 

「ユーロネルフ第一号封印柱。復元オペレーションを開始する」

 

「「「はい!」」」

 

時田の号令のもと、すぐさまクルーたちがシステム復旧に取り掛かる。

 

「頼むぞ……。ジュニア!」

 

『こちらジュニア、感度良好』

 

「間もなく斥候が来る。スタンバイしろ!」

 

『了解。重力制御機構スタンバイ』

 

ジュニアのその言葉に、時田の表情が一気に張り詰める。

 

「……ついに、我々の技術力が試される時が来た」

 

そうしていると、

 

『来ました!!エヴァ44A航空特化タイプ!4時の方向から接近中!!』

 

上空から周囲を警戒していたオペレーターから、敵接近の知らせが響く。

 

『了解。エヴァンゲリオン4+3号機。発進!』

 

ジュニアの言葉と共に、銀と黒が入り混じった機体が、上空より飛来すると、

 

『重力制御開始!』

 

4+3号機は封印柱の真上で制止する。

 

『姿勢制御、滞空制御、ともに問題なし!!』

 

「よし!迎撃準備!!」

 

時田の号令のもと、機体を44Aへと推進させる。

 

『推進制御も問題なし。攻撃開始!!』

 

ジュニアの操る4+3号機は、会敵するや否や、両の手を合わせ、ATフィールドを展開させると、

 

『そらよ!!』

 

すぐさま投げつけた。

投擲されたATフィールドは、回転ノコギリかのように縦列する44Aを真っ二つに切り裂いていく。

 

『4+3号機。44A第一波と交戦。続けて第二波……』

 

『どっせい!!』

 

だが、オペレーションが言い終わらぬうちに、同じ攻撃を繰り出し、

 

『殲滅完了。第三波、第四波、接近中です』

 

『了解!時田さん、復旧は?』

 

「ステージ5に既に移行している。データのオーバーライトも、間もなく完了する。このままじゃ、あなたの殲滅待ちだぞ?」

 

『ったく、こっちは初エヴァだってのに、意地悪がすぎますよ』

 

そう言いつつ、再度封印柱上空へと、4+3号機は文字通り飛んで戻ってきた。

 

『敵の数が多すぎる、申し訳ないが、ここに集中させて、一気に殲滅します』

 

そういうと、4+3号機は両腕をクロスさせ、

 

『はぁぁぁあああ!!』

 

そして封印柱を中心に一気にATフィールドを展開し、周囲を薙ぎ払った。

そして、

 

『そこだ!!』

 

またもやATフィールドを投げつけると、何かが割れるような音がひびき、

 

「きたか……4444C。おまけに電力供給特化型44Bまで……。ジュニア」

 

『了解!』

 

時田の号令のもと、ジュニアは4+3号機を、封印柱の前に立ちはだかるように着地させる。

 

「今度は、あなたの力を試す時だ」

 

『ええ』

 

既に発射体制となった4444Cが、陽電子を加速させ、

 

『第一射、来ます!!』

 

オペレーターが言うが早いか、眩いばかりの陽電子砲を放った、

 

『ATフィールド、全開!!』

 

それと同時に、ジュニアの展開したATフィールドが、それを防ぐ。

 

「……状況報告!」

 

『ATフィールド、損傷率、0.5%』

 

「やはりな。彼の展開するATフィールドは文字通りの結界だ。たかが陽電子砲程度では、破ることなどできん」

 

眩い光をその眼に映しながらも、時田は不敵な笑みを浮かべ、

 

「時田主任。封印柱リスタート、いつでも行けます」

 

クルーの報告を聞くと、

 

「よし。……聞いたな、ジュニア」

 

『ええ』

 

「第一射、終了後、適当に片づけてくれ」

 

想定以上のエヴァンゲリオン4+3号機の戦闘力から、既に勝負はついたと結論づけた。

 

『了解』

 

その言葉を待っていたかのように、敵の陽電子砲が止んだ。

それと同時に、4+3号機が凄まじい速さで走り出した、その間にもその両手に盾のようにATフィールドを展開させる。

4444Cは接近させまいと、太い触手のような足で、攻撃するが、

 

『遅い!』

 

4+3号機が、両手のATフィールドでその悉くをいなし、時にはその身をひるがえしながら躱し、接近していった。

 

『ハァッ!!』

 

4444Cの展開していたATフィールドを、殴るかのように瞬時に中和し、素早く懐に潜り込んだ。

 

『転がってろ!』

 

その素早さのままに、ATフィールドで触手を切り落とし、陽電子砲と同じ目線になると、

 

『……終わりだ!』

 

抜き手の如く、砲身に腕を刺し、そのままATフィールドで貫いた。

そして、凄まじい爆発が起こり、周りの44Bも殲滅された。

 

「スペックは旧型だが、ATフィールドと、彼の戦闘技術を持ってすれば、戦えることがこれで証明された」

 

その様を、時田は光明が差したかのような表情で見ていた。

 

「……よし、仕上げだ。封印柱、リスタート!」

 

「了解、封印柱、リスタート!」

 

そして、封印柱が起動すると、紅く染まったパリ市街が、眩い光と共に、花の都へと復元されていった。

 

「ユーロネルフ施設、凍結解除」

 

「よし、そのまま起動させろ」

 

そして、パリ市街の町並みから、ユーロネルフ基地が出現していく。

その様を、ジュニアはエヴァの中からただただ見つめていた。

 

「……さらば遊牧民(ノマド)生活の自由と放埓の日々よ、ってわけだ」

 

『継続したいなら止めはしないぞ?ジュニア』

 

「その時は、こいつも持っていきますよ?」

 

『どのみち、その機体はあなたしか使えない。ならば置いていかれても、無用の長物だ』

 

二人は、とても歳が離れた者同士とは思えない程、流暢にふざけ合いながら会話していた。

 

「さて、ヴィレとネルフは、どう動きますかね……」

 

『少なくとも、ここの施設は、ヴィレにとっては喉から手が出る程ほしいはず。近いうちに、我々が占領したのもばれるだろう』

 

「……報告が来たんですか?」

 

『ああ、工作員(モール)から連絡が入った。ヴィレによるUS作戦は見事成功。その後のネーメズィスシリーズと交戦するも、ヴンダーを駆使してこれを撃破』

 

「……第三の少年のサルベージは?」

 

『成功している。……あなたの予想通りだ』

 

「……急ぎましょう。これより、第三の少年、碇シンジの確保に向かいます。だが現在の状況で、ヴィレとことを構えるのは得策ではありません」

 

『……では』

 

「ええ、あくまで潜入で確保します……。ここで、彼を助けられるかが分水嶺です」

 

ジュニアの顔が、張りつめたものになっていく。

 

『すぐに潜入用のステルス機を用意する。ここは我々に任せて、あなたは直ぐにここを発つように』

 

そう言って、時田は通信を切った。

 

「……さて、復讐の時が来た。この復讐が果たされれば……碇リュウジの名は、名実ともに地に落ちる」

 

そう呟くと、ジュニアは、不敵に笑った。

 

 

「何もするなって、どういう事ですか?」

 

シンジはガラス越しに、リツコとミサトに抗議していた。

 

「言葉通りよ、あなたの身柄は、このまま我々が確保します」

 

その抗議を、リツコが冷たく突き放す。

 

「初号機に乗れないのは理解しました。DSSチョーカー(これ)をつけるのだって、ボクのせいで14年前に世界が滅んだなら受け入れます。……でも、それでただ大人しくしてろと言うのは、納得できません!」

 

「シンジさん。落ち着いて」

 

シンジは状況を受け入れつつも、譲れぬ思いを吐き出していた。

そんなシンジを、サクラが必死になだめる。

 

「ブリッジで、他の人がボクにあんな冷たい目を向けてたんですから、ボクが何をしたかぐらい、なんとなくわかります。でも……」

 

「聞き分けてください。どのみち、エヴァには乗れんのです。仮にもし乗ったりしたら……」

 

「そもそも、エヴァが世界を滅ぼすかもしれないのは、最初からわかりきってたことじゃないですか!……ミサトさんもリツコさんも、おじさんに言われたこと、忘れたわけじゃないですよね?」

 

サクラの言葉を遮ったシンジの言葉に、ミサトとリツコは、僅かだが表情が曇った。

 

「……それを今更……」

 

「今更死んだ人間の言葉なんて、気にしてられないのよ……バカシンジ」

 

その時、シンジの眼に、紅いプラグスーツを纏った少女が映った。

 

「アスカ……、今なんて言ったの……」

 

再会の喜びよりも、信じられないアスカの言葉に、シンジは半ば呆然としてしまった。

そのシンジに呆れた視線を向けながら、アスカはガラス越しに近づいてくる。

 

「あいつの綺麗ごとなんて、今のこの世界じゃ、何の足しにもならない。ガキの戯言だっていってんのよ」

 

「……そんな、アスカ……まって、さっき14年って……。でもその眼帯以外、変わってない……」

 

「……そう、エヴァの呪縛」

 

そういうと、アスカは踵を返し、その場を去ろうとする。

 

「……ゴメン。アスカ」

 

だが、その言葉にアスカは足を止めてしまう。

 

「ボクは……君との約束を守れなかった。……君を……守ると約束したのに……ゴメン」

 

そして嗚咽交じりのシンジの謝罪に、アスカは歯を食いしばりながら再び向き合い、

 

『ドォン!!』

 

シンジの眼の前のガラスに、拳を叩きつけた。

 

「……謝るな……アンタ、アタシをどこまで虚仮にすれば気が済むのよ」

 

「アスカ、ボクは……」

 

「黙れ。……アンタとなんて、口をききたくもない」

 

そういうと、アスカは拳を収める。

シンジは、好きなはずの少女に何も言えなくなり、椅子に座りこんだ。

 

突如、衝撃音が響く。

それと同時に、ミサトの近くの内線がベルを鳴らす。

 

「私です」

 

『目標後甲板です。いきなり取りつかれました!』

 

「本命のお出ましか」

 

その突如、壁が爆発し、隔てていたガラスもろとも、吹き飛ばす。

その部屋にいた一同に、外からの痛いほどの冷たい風が吹き付ける。

 

「目標を補足」

 

外には、弾頭を吐き出した無反動砲の砲身を、その場に放り捨てる何者かが立っていた。

 

「……え?」

 

その声を聴いたシンジが、思わず外に目を向ける。

シンジだけではない、ミサトも、リツコも、アスカも、その声に思わず固まった。

その間にも、アサルトライフルを携えたその人影は、一同の目にはっきりと視認された。

 

「……おじさん?」

 

14年前と変わらない姿で、碇リュウジが姿を現したのだった。




という訳で、いきなりの展開ですが、Qの章スタートとなります。

説明し切れるかは不安しかありませんが、作中で何が起こったかは出来る限り回収して説明できるよう頑張ります。

ご意見、ご感想お待ちしております。

誤字脱字等ございましたら、お手数ですがご指摘いただければ幸いです。

これからも応援よろしくお願いします。
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