新世紀エヴァンゲリオン-And become Joseph-   作:さえもん9184

4 / 72
新劇場版に準拠した物語となります。

シンジ君は原作より明るい少年として書きたいと思います。
もっとも新劇場版ですと、破までは結構明るくなっている気がします。


序-再会する兄弟-

「「来るんじゃなかった」」

 

炎天下の中、二人は同時に呟いた。

 

シンジは電話を切りながら、リュウジは缶コーヒーを飲みながら。

 

「どうする?これから」

 

「シェルターに行きましょう。ええっと、ここからだと近いのは……」

 

シンジが周辺のマップを確認しているのを尻目に、リュウジは兄が送ってきた手紙と、入っていた写真を見た。

 

「…いやシンジ、できればネルフに行った方がいいと思う」

 

「え?でも……」

 

「詳細はわからないが、ネルフは曲がりなりにも軍事組織だ。ならこの辺りの建物では一番安全だと思う」

 

「ジオフロントですよね?でもどうやって……」

 

その時、シンジの目には暑さで歪む景色の中に幻が映った。

 

「…どうした?」

 

「あ、いえ何でも。うわ!!」

 

突如発生した爆音にシンジは耳を塞ぎ、リュウジは音の方向に鋭い視線を向ける。

 

(何だ?この感覚……)

 

何か巨大な物体の気配と、懐かしい硝煙の匂いを感じ、

 

「来い!」

 

シンジの手を引き、自身の後ろに下げた。

鋭く睨むその先には、山の合間から複数のVTOLが現れ、何かに照準を合わせているように見える。そして……

 

「何だありゃ……」

 

黒い人型の何か、としか彼には言えなかった。

 

「お、おじさん!!ここヤバイですって!やっぱりシェルターに!!」

 

「そうらしい!」

 

すぐさま荷物を抱え、その場から二人は駆け出した。

 

(あれと関係があるのか?兄がこの子を呼んだのは…)

 

背後ではVTOLからの攻撃を受けているそれが、逆に一機を墜落させ、

 

「なんなんですか!?あれ!!」

 

「俺も聞きたい!」

 

フワリと浮かぶと、墜落したVTOLの上に着地し、

 

「不味い!!」

 

爆音がする直前に、リュウジはシンジを抱え路地裏に飛び込んだ。

 

「なんなんだ、まったく」

 

「おじさん!血が…」

 

爆風はしのげたが、飛び込んだ際に、怪我をしたらしい。観るとシンジの白いシャツにも血が染み込んでいる。

 

「不味いな。結構切った」

 

その直後、激しいエンジン音が二人の耳に響くと、

 

「ごめーん!お待たせ!!」

 

その路地裏の出口の真ん前に停車し、助手席をこちらに向けて開けているその女性を確認すると、

 

「すぐ出せ!」

 

シンジを抱えて、助手席に飛び込んだ。

言われるが早いが、運転手の女性、葛城ミサトはすぐさまアクセルをめいいっぱい踏み込んだ。

 

「あなた、シンジくんの保護者?」

 

「兼付き添いだ」

 

「悪いけど、あなたはネルフ本部には連れて行けません!」

 

「とりあえず!ここから離れましょうよ!!」

 

「それもそうね。捕まって!」

 

ハンドルを激しく切りながら、爆音はどんどん遠くなっていく。至近距離にいた怪物の気配も遠ざかっていくのを感じる。リュウジは抱えていたシンジを後部座席に座らせながらも、その目は、変わらず鋭く怪物の方を見ている。

 

「VTOLが離れていく?」

 

先ほどまで怪物の周囲を飛んでいたが、蜘蛛の子を散らすように離脱していく。

 

「不味い!N2地雷を使う気だわ!!」

 

その言葉の意味するところにリュウジの表情も硬くなる。

 

「どこか遮蔽物に止めないと…」

 

「もう遅い。すぐに止めて衝撃に備えろ!」

 

リュウジはシートを倒しシンジを引き寄せると、停車させたミサトの頭も庇いながら伏せた。

 

「ちょ、ちょっとあんた…!っぐぅっっ!!!」

 

「うわぁぁぁぁぁ!!!」

 

直後凄まじい衝撃が駆け抜け、ミサトの車が石ころのように転がった。

転がりながらもリュウジは考えを巡らす。

N2兵器は彼が知りうる限り、もっとも強力な威力の兵器だ。

 

(もし、それに耐えたとしたら?)

 

それは現在人類が持ちうる兵器では、まず倒せないことを意味する。

漠然としているが、その嫌な気配を彼は感じていた。

その考えを巡らせているうちに、衝撃は収まったようだった。

 

「シンジ、無事か」

 

「なんとか。口の中シャリシャリしますけど」

 

俺もだ、と言いながらリュウジは横転した車内を見渡す。

 

「あぁ、申し訳ない。いきなり抱きかかえるような真似をしてしまい」

 

「いえ、緊急時ですもの、仕方ないわ」

 

しばらくして、三人はようやく車内から脱出し、

 

「「「せえのっ!」」」

 

横転した車を戻した。

 

「ええっと、その、葛城さん?」

 

「ミサト、でいいわよ。よろしくね。碇シンジ君。と、なたは……」

 

「碇リュウジです。彼の父の弟。叔父に当たります」

 

「へぇ〜、シンジ君の叔父。……て、ちょっと待って!シンジ君の父親の弟って……」

 

リュウジの言葉の意味するところに、流石の彼女も驚きの表情を浮かべる。

 

「ええ。つまりは碇ゲンドウの弟です。兄がいつもお世話になっております」

 

軽くリュウジはお辞儀をしながら、ミサトの表情を見る。

 

「気にしないでください。こっちはただの、定食屋のオヤジです」

 

若干ミサトの表情が、硬くなっているのを見てそう言うが、いきなり上司の弟が現れたら、多少は緊張するのも無理ないことである。

だがそれよりも、ミサトには気になることがあった。

 

「あの……失礼ですがおいくつですか?」

 

「へ?あぁ、兄とは年子なので、今年で47ですが、何か?」

 

(4、47!!)

 

その驚愕の表情に、

 

「やっぱり、驚きますよね」

 

シンジだけが察した。

 

「そ、そうよね!私の感覚おかしくないわよね!」

 

「何ですか。二人して……」

 

「ミサトさんも、とてもおじさんがアラフィフに見えないってさ」

 

「何を言う。年相応だ」

 

側から見れば彼の見た目はそれこそ、ミサトと同い年か、少し年上、と言った具合である。実際ミサトも少し年上ぐらいに思っていたのだ。

 

「ちなみに時間はあるんですか?我々を迎えに来る時間すら、かなり遅れていたようですが?」

 

「そうだわ!ごめんシンジ君、時間がないの。急いでくれる?」

 

「いいですけど。おじさんはどうなるんですか?」

 

「え?」

 

「さっき、おじさんは連れていけないって」

 

そうだった。とミサトはリュウジを見て思い出す。

 

「貴方のお立場はお察しします。その上で、私は兄に会いに行きたいんです」

 

「その、碇司令とは……」

 

「15年来、会っていません。ですから、今回はいい機会だと思いまして」

 

「いい機会?」

 

「ええ。ですがまぁ、……」

 

そうい言うと、リュウジは半壊しているミサトの車を見て、

 

「取り敢えず、動くか確かめません?」

 

その後、ミサトとリュウジは車をできる限り点検、確認し、運転には問題ないと結論づけ、ネルフへ急行した。

 

 

 

 

「大丈夫なんですか?私をネルフに入れて」

 

ネルフに到着し、内部を移動しながら、リュウジはミサトに問う。

 

「他のシェルターに連れて行く時間もない、その腕の怪我も満足に治療できていない、その上での判断です。それにこう言ってはなんですが、それなりに融通を通せる立場にもおりますので、ご心配なく」

 

リュウジはミサトの襟を見る。

 

(この歳で二佐か、エリートかつ努力家だな)

 

と思われるが、

 

「ミサトさんさっきここ通りましたよ」

 

シンジによるツッコミが入る。

 

「あ、あっれぇ?おかしいわね」

 

「誰か連絡取ったりした方がいいんじゃ……」

 

「だ、大丈夫、大丈夫。確かこっちに行けば」

 

「そこは先ほど、行きましたね」

 

「うぐ!」

 

リュウジからもつっこまれる。

 

「私の記憶が確かなら、まだこの辺りで通ってないのは、この先の左の通路ですが」

 

「そ、そうよ。ちょうどそこに行こうとしていて……」

 

そしてその先にあるエレベーターを見て、

 

「これよこれに乗れば大丈夫」

 

大丈夫か、とシンジ、リュウジ両名は同時に溜息をついた。

だが一応は、正解であったらしく、急に止まった階にて、開いたエレベーターの入り口に金髪の白衣を着た女性が待ち構えていた。

 

「遅れた挙句、部外者を入れるなんて。何を考えているの、葛城二佐」

 

「ごめんリツコ!それがさぁ……」

 

ミサトはリツコの耳に顔を近づける。

 

(シンジ君の付き添いなんだけど、碇司令の弟だって言うのよ)

 

小声のミサトのその言葉に、さすがのリツコも目に驚きが浮かぶ。

 

(碇司令の?そんな話聞いたことないわよ)

 

(でしょ?一応シンジ君は叔父さんって言ってるけど、諜報部からは、叔父と暮らしてるなんて報告なかったし)

 

そこまで聞いてリツコも合点がいった。

この謎の叔父さんが、本物かどうか。本物であれば、適当な理由をつけて、後で追い返せばいい。もし偽物であれば、

 

(あの第三の少年に近づいた理由を問いただす、と言う訳ね)

 

(そ、もし他のシェルターにおいてきて、雲隠れでもされたら厄介かなと思って)

 

こう言う時のミサトの咄嗟の機転の利きは、リツコも流石だと思う。

 

(わかったわ、いい判断よミサト)

 

(まっねー。取り敢えず行きましょ)

 

確かめるには碇ゲンドウ、本人に会わせるのが一番である。

 

「お待たせしました。貴方が碇シンジ君ね。赤木リツコよ」

 

よろしく、とシンジに手を出す。シンジも挨拶を返し、握手をする。そして、隣にいたリュウジにも、

 

「赤木リツコです。いつも碇司令にはお世話になっています」

 

「こちらこそ、あの無愛想な兄がお世話になっております」

 

(……若いわね)

 

リュウジに対するリツコの第一印象は、ミサトと同じであった。

 

「あら、怪我をなさってるんですか?」

 

応急処置した右腕が、リツコの目に入った。

 

「大したことはありません。ああ、シンジの服についているのは、私の血ですから、ご心配なく。それよりも、早く兄に合わせてください」

 

確かにシンジのワイシャツには、少なくない血が付着している。だがリュウジは、時間もないんでしょ、とゲンドウの元に連れて行くよう促す。

 

「ええ、こちらです。付いてきてください」

 

そうして一行は、ゴムボートに乗り何か液体の上を移動したり、薄暗い階段を登ったりしながら、更に暗い部屋にたどり着いた。

そして突如照明が点灯すると。

 

「うわ!!なんだこれ!」

 

「…………」

 

シンジは驚き、リュウジは無言のままそれを見つめる。

 

(まさか、正気か?)

 

それを、紫を基調にカラーリングされた巨大なロボットの顔、を見つめながら、リュウジは一つの考えを巡らす。

 

「人が作り出した究極の汎用人型決戦兵器、人造人間エヴァンゲリオン。その初号機」

 

目の前に異様な存在感を出す、エヴァンゲリオンの説明をするリツコの話を聞きながら、

 

(これが、兄とユイさんが研究開発したもの?)

 

人伝に夫婦で研究し、義姉がその事故で亡くなった事は聞いていた。

 

(これを造る事故でユイさんは亡くなった?それとも……)

 

「久しぶりだな、シンジ」

 

息子にとっては3年ぶり、弟にとっては15年ぶりの声が響く。

 

「父さん!」

 

シンジは目線を上げた先に、3年ぶりの父が映る。

 

「なんだよ、その髭は」

 

そこにシンジとは対照的な、実に落ち着いた声が、兄にとっても15年ぶりの声が聞こえた。

 

「お前、まさか!」

 

「久しぶりだな、ゲンドウ」

 

先ほどの息子にかけた言葉を、兄の名を当てはめて返す。

こうして、兄弟は再会した。




リュウジの来歴も、追い追い描いていきたいと思います。

ご意見、ご感想、お待ちしております。

誤字脱字ございましたら、お知らせください。

何卒、よろしくお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。