新世紀エヴァンゲリオン-And become Joseph-   作:さえもん9184

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今更ですが、これから更に作者の考察、解釈、妄想、etcが激しくなっていきます。

こんな考えもあるんだな〜、と思いながら読んでいただくと幸いです。


Q-最後の願い-

時田はリュウジからの通信を受けると、目をつぶり天を仰いだ。

 

「……了解。成功を祈る」

 

そういうと、通信を切る。

 

「……やはり、教官は放ってはおけませんでしたか」

 

「そりゃそうでしょう。あんなことを知って、黙っているような人じゃない」

 

剣崎はこの時、僅かながらの後悔の表情を浮かべた。

 

「なに、彼のことだ、遅かれ早かれ彼自身で知ることになっていただろう。気に病むことは無い」

 

そんな剣崎の心情を察してか、時田は慰めの言葉をかけた。

 

「むしろ、私こそ、あなたに謝らなければ。私の手際が悪かったがばかりに、あなたにいらぬ役を押し付けてしまった」

 

剣崎は首をゆっくりと振った。

 

「それこそ気に病まないでください。教官を守る為には、遅かれ早かれ複製が必要でした」

 

「ですが、あなたはそのせいで……」

 

「今はよしましょう。脱出が先です」

 

「……そうだな。いこう」

 

時田と剣崎は立ち上がると、その部屋を後にした。

 

 

一方のリュウジは通信を切ると、ゆっくりと周囲を見渡す。

 

「どういう…こと……。教官」

 

マリがなんとか言葉を絞り出す。

 

「どういう事とは?この身体になった事か?それともこの機体に乗っている事を言っているのか?」

 

どこか冷めた口調のリュウジの言葉を、ヴンダーの乗組員も、ミサトを含め信じられないというような面持ちで聞き入っていた。

 

「なんで、……なんでアンタがフォース・インパクトを起こすのよ」

 

「それを聞いてどうする?仮にやむを得ない事情があったとして、お前たちは『はいどうぞ』となるのか?」

 

「裏切るの?私達を」

 

「裏切る?仲間になった記憶はないがな」

 

「くっ!」

 

マリはとっさにライフルを構える。

だが、その銃口は僅かに震えていた。

 

「マリ……」

 

アスカはいつも見ない雰囲気のマリに、驚きを隠せない。

当のマリも、安全装置(セーフティ)がかかっているかのように、引き金をまったく引くことができなかった。

 

「どうした?マリ。見たところ、安全装置(セーフティ)は外れてるぞ?」

 

そんなマリの心情を言い当てながら、リュウジは手を広げながらゆっくりと歩み寄る。

対するマリは、歴戦の戦士とは思えぬ程、その表情に怯えが見えた。

そんなマリに、急接近したリュウジに対応しろと言うのは無理な話だった。

気付けばマリは倒されていた。

とっさに構えて立ち上がろうとするが、肝心のライフルはリュウジの手中にあり、あっという間に分解されてしまう。

 

「うぉぉおおおお!!」

 

アスカはなんとか重い足を前に踏みだし、接近戦を挑むが、いきなり視界がふさがる。

分解したライフルの部品が投げられ、目くらましとなったのだ。

アスカが混乱したのは一瞬だったが、リュウジとしてはその一瞬で十分だった。すぐさま手を掴み捻りあげるとともに、弐号機(アスカ)の背後に回ると、その捻り伸びた腕に、躊躇なく肘鉄を振り下ろす。

 

「クハッ!!?」

 

あらぬ方向に折れた腕を抱え、痛みに顔をゆがめながらアスカは倒れた。

 

「女に、手をあげるなんて、最低」

 

「……だから言っただろ。幻滅するって」

 

「おじさん!」

 

そしてついに、シンジ達がリュウジと対峙する。

リュウジもシンジの言葉に呼応するように、13号機へと向き直る。

 

「もう戻れ、シンジ」

 

シンジに向けても、リュウジは冷たく言い放った。

 

「脅しの材料に使われていたのは、ゲンドウが用意した俺の影武者だった。ならばもう、お前がエヴァに乗る理由はない」

 

「それは……」

 

「お前はもう、何もするな。それが、お前の為でもある」

 

「……何だよそれ、―――何でおじさんも、ミサトさんと同じこと言うんだよ!」

 

「ゲンドウはお前を利用することで、己の願いを成就させる気だ。お前が何かしようとすればするほど、アイツの狙い通りに事が運ぶ。お前も解るはずだ」

 

「……じゃあ、なんでおじさんはフォース・インパクトを起こそうとするんだよ」

 

「それが俺の戦いだからだ」

 

「教官!」

 

いつの間にか立ち上がったマリが、リュウジの背後に立っていた。

 

「あなた……、恨んでるの?」

 

「……何のことだ?」

 

「私やユイさんが、あなたを利用したこと。何も、話さなかったことを」

 

その言葉にリュウジは、一間目をつぶる。

 

「恨みどころか、俺の中にはもう何もない。後悔も、何もかも。―――俺がここにいるのは、己の罪を(あがな)うため。俺の意識は、そのためだけに存在している」

 

「そのために、人類すべてを滅ぼすの?」

 

「人類を滅ぼしても意味はない、円環は続く。終わらせるには、定められた物語の始まりを、終わらせるしかない。―――それが俺の贖罪であり、戦いの始まりとなる」

 

「……そう、意志は変わらないんだ」

 

そして腰に差していた、ハンドガンをマリは構えた。

 

「前に言ったよね。介錯は是が非でも私がするって」

 

「……ああ」

 

「マリ!だめだ!」

 

「シンジ君。君には悪いけど、これは私の役目だから」

 

静かな殺意と覚悟とともに、マリはリュウジと対峙する

 

「……マリ。お前はそんなことしなくていい」

 

だが対照的に、リュウジは構えるどころか、戦闘の意志すら示さない。

 

「そんなことって……」

 

「お前に介錯される価値すらも、俺にはない。目の前にいるのは、地獄でも浄化できぬほどの罪を背負った、哀れな呪われしもの(アナテマ)だ。―――お前には、ユイさんから受け継いだ使命がある。それを果たすことこそが、お前の役目だ」

 

「……そう。なら……」

 

「フン!!」

 

突如、弐号機(アスカ)の蹴りが横からはいり、

 

「何をしてでもアンタを止める」

 

八号機(マリ)はバランスを崩した4+3号機(リュウジ)に一気に詰め寄った。

だが完全にバランスを崩したわけではない4+3号機(リュウジ)は、即座に八号機(マリ)の手中のハンドガンをリリースさせた。

 

(やはり甘かったか……)

 

一撃も入れられないとすれば、即座に持ち直した4+3号機(リュウジ)との接近戦はまずい。

そう考えた時、

 

「まだだ!」

 

4+3号機(リュウジ)の後頭部に、13号機(シンジ)が一撃を喰らわせた。

 

「マリ!今だ!!」

 

「ああああああああああ!!」

 

遂に完全なる隙を生まれると同時に、マリは一気呵成に攻める。

 

 

「にしても、大丈夫なんですか?」

 

「何がです?」

 

脱出を図りながら、剣崎は時田に聞きたいことがあった。

 

「確かに、教官の戦闘技術は、どのエヴァパイロット達より上でしょう。ですが、エヴァを動かす技術は……」

 

「シンクロ率が高ければ、おのずと解決します」

 

「ですから、それ自体余程の訓練をしないと」

 

「それは、『彼』自身の使徒の能力が解決してくれた」

 

 

八号機(マリ)の怒涛の攻撃が、4+3号機(リュウジ)が手首をつかむことで急遽止まった。

 

「ぐ、くぅっ!」

 

もう一方の手を出そうとするが、

 

「どうしたマリ。もっと痛みをくれ」

 

急に機体に見えない重さが圧し掛かったかのように、体が沈んでいく。

 

「うおおお!!」

 

13号機(シンジ)が再び背後から攻撃を仕掛けるが、

 

「なっ!」

 

背後に眼があるかのごとく、4+3号機(リュウジ)13号機(シンジ)の首を瞬時に掴みあげた。

八号機(マリ)とは対照的に、まるで重さが無いかのように、軽々と13号機(シンジ)を持ち上げる。

 

「どうした神の機体。最後の執行者にしては、随分とひ弱だな」

 

「このぉっ!!」

 

弐号機(アスカ)が攻撃を仕掛けるが、小枝の如く軽々と振るわれた13号機に倒れ伏し、

 

「ガッ!?」

 

4+3号機(リュウジ)が倒れた弐号機(アスカ)を容赦なく踏み伏せる。

その間にも、八号機(マリ)の手首を徐々に強く捻りあげ、

 

「く、くぅっ」

 

遂に八号機(マリ)は膝を折った。

そのさなかMark9(レイ)13号機(シンジ)を掴む腕を断たんと、背後に回り込み鎌を振り下ろそうとする。

だが既にMark9(レイ)を視界に収めていた4+3号機(リュウジ)は、すぐさま八号機(マリ)13号機(シンジ)を投げ飛ばし、一気にMark9(レイ)に飛びかかった。

 

「まずは君からだ、レイ」

 

そしてマウントを取ると、もがいていたMark9が糸が切れたかのように動かなくなった。

 

「なぜ?リンクが回復しない」

 

「よかった、うまくいった。悪いが、今のMark9は、俺の制御下だ。いや、タブリスの、と言った方がいいかな」

 

そういうとエントリープラグの差込口をこじ開けると、

 

「まずは、一人目」

 

エントリープラグを強制射出させ、一気にセントラルドグマ最深部から脱出させた。

 

「器になる前でよかった」

 

「やはりだ、あのパイロット……」

 

その様を13号機の中から見ていたカヲルが、あり得ないものを見る表情になる。

 

「カヲル君?」

 

「でもありえない、そんな記憶は何も引き継いでいない……」

 

「カヲル君!しっかりして!」

 

その隙をリュウジが逃すはずが無かった。

 

「ぐっ!」

 

跳びかかった4+3号機(リュウジ)を辛うじて交わすが、体勢が崩れた13号機(シンジ)は腕を掴まれると、いとも簡単に投げられてしまう。

 

「トリガーになる前に、早く帰れ」

 

だがすぐに立ち上がり、なんとか構える。

そして拳を繰り出すが、4+3号機(リュウジ)は上体を捻るだけで交わすと、13号機(シンジ)の腕を極め、背後から更に捻りあげる。

 

「ぐっ、くぅ……」

 

シンジもカヲルも痛みに表情を歪め、たまらず両膝を折ってしまう。

 

「これだな」

 

そう呟くと、もがいていた13号機が、先程のMark9と同様に動かなくなる。

 

「こっちも、覚醒前なら何とかなったな。……解ってる、そう時間はかからない」

 

そして、狙いを定めると、カヲルのエントリープラグを強制射出させる。

 

「加持さん。約束ははたしましたよ」

 

その呟きは、リュウジ以外の耳に入ることはなかった。

 

「おじさん、教えてよ!一体……」

 

「俺がなんとかする。だから任せろ」

 

そしてシンジのエントリープラグも、射出させた。

 

「これで後二人だが、下がる気は……」

 

「「あああああああ」」

 

弐号機(アスカ)八号機(マリ)が一気に攻めかかる。

 

「ないようだな」

 

同時に挟み撃ちに放った拳を、4+3号機(リュウジ)は避けると同時に、両機体の腕を一気に捻りあげ、同時に投げた。

 

『こちら時田、無事に脱出成功、これより離陸する』

 

「了解。とにかく離れてください」

 

そういうと、掴んでいた腕を離し、目的のMark6へと目線を向けた。

 

「お前たちはもう帰れ、二人なら、ここから自力で脱出できるだろう」

 

倒れた二人を尻目に、肥大化し封印されたリリスへと向かおうとする。

 

「リュウジ!!!―――まだ終わりじゃない!終わらせない!!」

 

だが立ち上がったアスカが、リュウジに最後の勝負に出た。

 

「前に言ったわよね、いつかアンタを、ボコボコにしてやるって」

 

そして顔を痛みにゆがめながら、

 

「グゥッ!!」

 

リュウジに折られた腕を無理やり直す。

 

「マリ、アンタはさっき射出された三人を回収して。私はこいつをぶん殴って、ミサトたちの前に引きずってでも連れてって、頭を下げさせてやる」

 

「……解った。あの三人はなんとかする。―――死なないでね、アスカ」

 

そうしてマリが脱出していくのを、アスカは勿論リュウジも邪魔することなく見送った。

 

「アスカ。悪いが、俺は謝る気はない。許しを請う資格すら、俺にはない」

 

「知るか!とにかく、アタシと来い!アンタを待ってる人がどれだけいると思ってんのよ!」

 

「俺が彼らにできることはもうない。俺ができるのは、俺がまき散らした罪を(あがな)う事だけ」

 

リュウジの物言いに、アスカは悔しさの表情を浮かべた。

嘗て自分をまっすぐ愛してくれた人はすでにいない。

眼の前にいるのは、罪の意識に苛まれ、全てを背負う病に侵された病人だった。

 

「解った。なら、アタシが終わらせてあげる」

 

その病には、たった二つしか対処はない。

永遠に罪を贖う戦いを続けるか、死ぬことだけ。

 

「―――悪いが、まだ終われない」

 

そしてリュウジには、死ぬなどと言う選択肢はなかった。

と言うより、ここから始めるのだ。

贖罪の戦いを。

 

「モードチェンジ。裏コード777(スリーセブン)!」

 

そういうが早いが、弐号機がうなり声をあげる。

それと同時に背中にグロテスクな突起物がいくつも隆起し、装甲がはがれる。

そして弐号機の口には鋭い牙が並び、特に下あごには犬歯のように伸びた牙がむき出しになった。

そして徐々に四つん這いになると、四肢も獣の如く変化していく。

だがその様を見てなお、リュウジは構えることは無かった。

 

「……悪手だな。アスカ」

 

「その口、速攻黙らせてやる!」

 

瞳を緑に光らせ、眼帯からも青い光をこぼしながら、

 

「ああああああああああ!!!」

 

弐号機(アスカ)4+3号機(リュウジ)に襲い掛かった。

そして一気に、その喉元を食い破らんと弐号機は食いついた。

 

(……え?)

 

だがすぐさまアスカは違和感を感じた。

感触が無いのだ。

正しくは何かに食いついたのは確かなのだが、エヴァの喉元に食いついたという感触が無い。

 

「教えてやる、獣では絶対に俺には勝てない」

 

次の瞬間、目の前の4+3号機(リュウジ)が消えたかと思うと、次の瞬間には弐号機(アスカ)は首を極められ、うつ伏せに倒れていた。

 

「何が……」

 

「光学迷彩は姿を消せるのではない、見えないという錯覚を起こすに過ぎない。逆に言えば、姿がそこにあるように錯覚させることもできる」

 

そのさなかも弐号機は拘束を解こうともがくが、それも徐々に落ち着いていった。

 

「さすがに完全にコントロールは奪えないが、プラグ深度はプラスになったな」

 

その影響か、弐号機の姿も徐々に戻っていく。

 

「人は確かに個としては弱い。だからこそ集団としての強さを手にした、等とよく言うが、俺に言わせれば(ズル)さを得たという方が正しい」

 

それに合わせ、4+3号機が徐々に弐号機の身体の拘束を強めていく。

 

(ズル)さはいかに強靭な強さも、卓越した技術をも凌駕する。だからこそ、使徒も、神をも人は殺しうる」

 

「う、うう……」

 

そして、アスカは意識を手放した。

 

「もっとも、使徒と化した俺が言っても説得力はないか」

 

そして4+3号機(リュウジ)は力が抜けた弐号機(アスカ)をその肩に担いだ。

 

「さて、……仕事だ13号機」

 

すると、突如13号機が反応を示す。

そしてまさに電源が戻ったかのように、起動し、その眼は紅く染まっていた。

 

「……ありがとう、タブリス。最後に、俺の我がままに付き合ってくれて」

 

そして13号機が、封印されたリリスをよじ登っていく。

 

「後は俺がやる。君の力を引き継いだ、俺が」

 

その様を見守るように、4+3号機(リュウジ)は宙に浮き見下ろしている。

 

「約束する。必ずやり遂げる」

 

そして13号機はついにMark6の上に登り、二対目の腕が展開され、二本の槍を掴む。

 

「そして必ず助けに行く。だから、今はサヨナラだ」

 

―――そしてついに、槍が抜き放たれた。

 

 

「ごらんのとおりです。リュウジの力を持って、死海文書の契約改定を成しました。手段こそ歪ですが、あなた方の願いどおりです」

 

ゲンドウがゼーレのモノリスの前で、淡々と話す中で、そのうちの一つが電源が切れたかのようにこと切れる。

 

「奴はここまで自分の狙い通りだと思い込んでいます。あなた方の思惑だとも気づかずに」

 

そして次々と、その命が終わっていく。

 

「そして奴とて、決して死からは逃れられない。であるならば、最後には私が勝ちます」

 

そしてゲンドウの目の前のモノリスが、最後に残る。

 

「宿願たる人類補完計画と、諦観された神殺しは、私が弟の死を持って行います。ご安心を」

 

『我らの願いはすでにかなった。……よい、全てこれでよい。―――人類の補完。安らかな魂の浄化を願う』

 

そして最後の命が、福音と共に絶えた。

ここにゼーレは、その悠久を終えた。




予定では次回でラストとなります。

月内に更新できるかは正直未定です。

ご意見、ご感想をお待ちしております。

誤字脱字等、ございましたら、ご指摘いただけると幸いです。

これからも応援よろしくお願いします。
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