新世紀エヴァンゲリオン-And become Joseph-   作:さえもん9184

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ついに11月の更新ができませんでした。遅れに遅れて本当に申し訳ありません。


Sin-盤上の布石-

ユーロネルフ襲撃、二時間前。

 

「ゼーレの少年の排除はならなかったな、碇」

 

「だが第13号機の覚醒はなった。葛城大佐の動きも計算内だ」

 

暗い一室にて、冬月とゲンドウの二人のみの声が響く。

 

「そうだな。黒き月の復活もなった。おかげで盤上の配置も滞りなくすんだ」

 

「ああ。その盤上の網に最後の贄がかかれば、最後の儀式が始まる」

 

冬月はそのゲンドウの言葉に、笑みをわずかに漏らした。

そしてその部屋を後にしようとする。

 

「いくのか?」

 

去っていく冬月の背中に、ゲンドウは声をかけた。

 

「ああ、その最後の網を張りにな」

 

冬月はその言葉に一度だけ振り返ると、

 

「大丈夫だ。どう転ぼうとも、お前の目的は達せられる」

 

そのまま部屋を後にしていく。

 

「……どう転ぼうともな」

 

扉が閉まると、冬月はどこか嬉しそうに天を仰いだ。

 

「ようやく始められるな、リュウジ君……我々の第三局を」

 

 

リュウジの目が一瞬蒼く十字に光ると、アスカオリジナルをATフィールドで覆った。

 

「ここで待っててくれ、すぐ戻る」

 

その時、隔離室の扉が開くと、三人の兵士がなだれ込んでくる。

リュウジは怯むことなく、低い姿勢で疾駆すると相手の足を払い、体勢を崩すと顔面を蹴り抜き、フルフェイスのヘルムにもかかわらず、それを吹き飛ばすほどの威力を持って首を蹴り折った。

次に射撃しようと構える敵兵の銃を、リュウジはその勢いのまま蹴り上げる。そして敵兵の膝を足掛かりに跳ぶと自身の足で敵兵の首を絞めるが早いか、

 

『ゴキャッ!!』

 

そのままへし折った。

最後の敵兵も急接近をリュウジに許すが、すぐさまナイフで応戦して見せた。

だがそれを掻い潜りつつ、繰り出してきたナイフを握る腕に、リュウジは素早く足をからませると、

 

『ボキッ!!』

 

腕をへし折り、握っていたナイフをあろうことか口で奪い取ると、勢いそのままにナイフをその首に突き立てた。

両腕を拘束されているにもかかわらず、リュウジは瞬く間に三人の敵兵を息を乱すことなく片づけて見せた。

 

(……許せよ)

 

『りゅ、リュウジさん!』

 

その時、スピーカーから怯えるサクラの声が響く。

 

「二人とも、ご無事ですか?」

 

すぐにマイクに向かって、リュウジが応答した。

 

「時間がありません。すぐにこちらに来てください」

 

実際そうするしかないと理解していたのか、サクラもミドリもすぐさま隔離室へとかけてきた。

 

「リュウジ!」

 

そしてすぐさまリュウジに駆け寄る。

 

「これって、ネルフが仕掛けてきたってこと?」

 

「それしかありません。敵の狙いは多岐に考えられますが、その内の一つは私でしょう。いつ爆発するか解らない爆弾である私は、兄にとっても最後の儀式を行う上での懸念事項ですから」

 

「で、でも、こんな兵士をネルフはどうやって」

 

「それは…、こういう事ですよ」

 

そういうとリュウジは先ほど蹴り抜いた敵兵の顔を、二人に見せた。

 

「こ……!!」

 

「そ、そんな……!」

 

その敵兵の顔を見せられたミドリとサクラは絶句した。

その顔が紛れもなく、14年前のリュウジそのものだったからだ。

 

「兄は私を再現するにあたって、結果的に剣崎を基としましたが、それまでに数多くのクローンを作りました。今強襲してきている敵兵は、私の再現に至るまでの試行錯誤の過程で生み出された者達です」

 

そのどれも失敗の終わったのは、リュウジの見た目はともかく、その戦闘技術まで再現することが出来なかったためだ。

どれだけ記憶を植え付けられたとしても、それを本物のように駆使することが出来ず、最終的に剣崎を憑代として、リュウジの複製に至ったのだ。

 

「ま、多少なりとも私の動揺を誘いたいのかもしれませんが、残念ながら私の精神は当の昔に壊れてしまった」

 

そう言いながらリュウジはアスカを覆っていたATフィールドを解除する

 

「立てるか?」

 

その言葉に呻き声しか返ってこないことを見て取り、リュウジはすぐさま二人に向き直った。

 

「申し訳ありませんが、アスカを頼んでいいですか?」

 

「そ、それなら、構いませんけど」

 

その言葉を受け、リュウジは三人をATフィールトで覆った。

 

「リュウジ!」

 

「大丈夫。あなた方は私が責任を持って、ヴンダーまでお送りします」

 

その言葉にミドリの表情に、憤りが浮かんだ。

 

「ふざけんな!訓練だって受けてるんだから、アタシだって戦える!!」

 

その言葉に、リュウジは溜息を返すと、ミドリの眼を見つめた。

 

「戦いは、私の仕事です。あなたの仕事ではない。―――それにもし、ここにあなた方の家族がいたとしたら、生きることを望みこそすれ、命を奪うようなことなど、絶対に望んでいませんよ」

 

「その家族はもう死んだ!アンタの家族のせいでね!!」

 

「そうです、だからこそ。私が戦わねばならないのです」

 

その言葉を吐いたリュウジの表情は、ミドリへの罪悪感が浮かんでいた。

 

「いいですか?あなたの仕事は、こんなことじゃない。普通に生きて、家族とともに、幸せになることです。ですが私は、それができる世界を残すことが出来ませんでした」

 

リュウジは、セカンド・インパクトの時現役であった最後の生き残りだ。

ミサトやリツコ、高雄でさえ子どもと言える年代の時、リュウジは大人として戦場に赴いていた。

そんなリュウジだからこそ、当たり前に幸せになれる世界を次の世代に残せなかったことを、誰よりも悔やんでいた。

 

「だからこそせめて、あなたの手を汚すときは、私のみにしていただけませんか?」

 

それがどんなに独りよがりと言われようとも、リュウジにとっては大切な戦う理由なのだ。

 

「お願いします。どうかこの意地を、通させてください」

 

その独りよがりこそが、未来の無いこのバケモノを支えていた。

リュウジは世界を取り戻すために戦っているのではない。

残すことが出来なかった世界の為に戦っているのだ。

 

「……待って」

 

その想いに、ミドリは今ようやく、少しではあるが触れることが出来た。

 

「これ、少しでいいから、解除して」

 

「ミドリさん、私は……」

 

「アンタの意地は解ったから、戦いたきゃ好きにすればいい。でもそれだったら……」

 

ミドリはリュウジの上半身の拘束を指差した。

 

「思いっきりやった方がいいでしょ?」

 

その意図にリュウジも気づくと、はにかみながらATフィールドを解除した。

 

「いいんですか?こんなことして」

 

そう言いながらも、リュウジは自身の拘束を解くミドリに対して、その心遣いに嬉しさを感じていた。

 

「一応、アンタの取り扱いについてはアタシに一任されてる、それにこんな非常事態なんだから、誰も文句言わないわよ」

 

そうして拘束を解くと、リュウジと、そして既に殺められているリュウジのクローンを順番に眺めた。

 

「もっとも、アンタにはこんな拘束、意味なかったかもしれないけど」

 

マリやリツコが口をそろえて、

 

「リュウジがその気になれば、いつでも殺せる」

 

と言っていたことを思い出し、そう呟いた。

 

「いえ、ありがとうございます」

 

それでもリュウジはその拘束を受け入れ、加えてミドリの立場を尊重し続けていた。それがリュウジのお礼の言葉に、如実に含まれていた。

 

「アンタって……どうしてそんなに優しくできんの?」

 

その想いに気づいたミドリは、リュウジにそう聞かずにはいられなかった。

その言葉にリュウジは思わず目を丸くしてしまうが、すぐに悲しげな微笑みを浮かべる。

 

「優しくなんかありませんよ……。ただ、これ以上後悔したくないだけです」

 

そう言ってリュウジは手をかざすと、再度ミドリ達をATフィールドで覆った。

 

「行きましょう」

 

 

一方そのころ、エヴァ整備室において、部屋を銃声が飽和するほどに響いていた。

 

「怯むな!撃たなきゃ死ぬわよ!!」

 

そこに上回るほどのマヤの怒声が響く。

だがその号令に従うものは―――、いや『従える』程の度胸を持ち合わせているものはごくわずかであった。

 

「無理です……、ボク、鉄砲なんて……」

 

人に銃を向けることが、現時点が初めてな者が大部分を占めている現状況を、そのか弱い言葉が如実に説明していた。

 

「ならここで死ぬ!?」

 

「い、イヤです!!死にたくない!!」

 

そう叫んでいるが、叫ぶのみで銃を握る事すら、目の前の年若い部下はしようともしない。

 

「チッ!これだから若い男は……」

 

そう悪態をつくが、現状が改善されるわけがない。

しかも間の悪いことに、既に整備室に隣接するケージ内には、弐号機、八号機が運び込まれており、これから改造作業に取り掛かろうとしているところであった。

 

(けどここを、逃げるわけにはいかない!)

 

敵襲が来ていることは既にヴンダー側はわかっている筈。

であるならば、マヤがすべきは、

 

(ここは、絶対に死守する!……例え、死ぬことになろうとも)

 

援軍が来るまで、この整備室とエヴァが収納されているケージを守り抜くことだ。

 

「いい?援軍は必ず来る!それまで持ちこたえるのよ!」

 

だがそう鼓舞をするのは、実質自分に向けてであることも否めなかった。

自分とて、実戦経験がそう豊富というわけではない。

修羅場をくぐってきたことはあるが、それはミサトやリツコという、歴戦の頼れる先達がいた時であり、現在のように先頭に立って、部下を率いて戦った経験はまったくなかったのだ。

 

(さて、やるだけやるわよ。マヤ!)

 

それでもマヤは、その不安を表に出すことは絶対にしない。

現状ではマヤがまさに最初で最後の柱なのだ。

 

だがその時、銃声とは違う大きな爆発音が、マヤの耳をつんざいた。

 

「グレネード!?」

 

だがこちらに爆発の煙は上がっていない。

かといって銃を握れぬ部下たちが、勇気を振り絞って投擲したようにも見えない。

 

「ゴー!ゴー!ゴー!!」

 

次の瞬間、敵兵の背後からさらなる銃声が響くと、敵は次々と悲鳴と共に倒れていった。

 

「クリア!!」

 

「よし!すぐにこのフロアに通じる通路をベークライトで封鎖しろ!!そうすればしばらく持つ」

 

そう指示する声にマヤは思わず、

 

「時田さん!?」

 

驚きと安堵が込み上げるが、なんとか心底に押し込めた。

 

「伊吹整備部長。被害は?」

 

「死者はいませんが、負傷者が二名ほど」

 

「メディック!負傷者二名、すぐに治療に当たれ!」

 

「了解!」

 

そう指示を飛ばすと、今度は無線機を取出した。

 

「こちらαチーム、整備室内クリア完了。そちらの状況は?」

 

『こちらβチーム、調整槽室異常なし』

 

「了解。引き続き綾波タイプナンバー6の調整に当たれ」

 

そうして通話を完了した、時田は直ぐにコンソールに向かいキーボードをたたき始めた。

 

「……おかしい」

 

「時田さん?」

 

時田の表情はどこか嫌な予感を感じているのか、整備室を守ったにもかかわらずすぐれなかった。

 

「ここを確実に占拠するなら一個師団、最低でも一個旅団を用意する必要がある。……ですが、いままで遭遇した敵の数を考えても、せいぜい一個中隊がいいところです。何の為にこんなことを……」

 

加えて人手が無いこちらを二手に分けるという暴挙をしたにもかかわらず、調整槽室、整備室ともに守ることが出来ている。あまりに出来過ぎた状況だった。

 

「ネルフ側も、そんなに兵数が用意できなかったんじゃ……」

 

「ならそもそもここを襲う意味がない、ユーロネルフを占拠、もしくは破壊が目的ではないとすると……まさか」

 

時田のコンソールを叩く指がとたんに素早くなり、整備室のコンピューターを外部映像へと接続する。

 

「……これって」

 

「ええ、ユーロネルフへの襲撃は囮、狙いは………AAAヴンダーです」

 

コンソールのモニターには、接近しつつある9つの白い影が映っていた。

 

 

「ユーロネルフとの通信は?」

 

「ダメです。切断されたままです」

 

時田シロウが、ネルフのたくらみに気づくより少し前、ヴンダーの艦橋では、ミサト、日向、青葉と始めとしたクルーが、離着陸場の攻防をモニターしていた。

そこには高雄と剣崎が先頭に立ち兵を率い、ヴンダーへの進行を阻んでいた。

ちなみに敵兵がリュウジのクローンであることは直ぐに二人の知るところとなったが、

 

「これで俺らが怯むと思ってんのか?敵さんは……」

 

二人は怯むどころか怒りが募るばかりであった。

だが現時点において、未だにユーロネルフ内の安否は解っていない

 

(こちら側との連絡を絶って、互いに孤立状態にさせる。こんなことが出来るのは十中八九……)

 

だがミサトはすでに最悪な状況を想定し、思考を巡らせていた。

 

「このまま第一種戦備体制に移行!」

 

「し、しかし!味方がまだ……」

 

「いざとなったらこの船で応戦するしいかない。出撃させようにも、弐号機、八号機ともに向こうのケージ内」

 

「4+3号機は、こちらにありますが……、肝心のパイロットが」

 

リュウジ達が先にユーロネルフの敵襲を迎撃していたこと、フォース・インパクト直後であることから、ミサトはネルフ側は動けないと完全に油断していた。

そこの油断を見事に突かれたのだ。その失策は甘んじて受け入れなくてはならない。

 

「敵襲!敵影を9つ確認!!」

 

「距離と方向は」

 

「6時の方向!現時点であと6キロ!……モニターに出します!!」

 

そこには不気味な白い影が九つ、黒と白の翼を羽ばたかせながらこちらへ向かっていた。

 

「エヴァシリーズ……、まだ残っていたのか」

 

「S2機関搭載型が9体全機投入。殺しに来てるわね、碇司令は」

 

日向とミサトがモニターを見ながら苦虫を噛み潰した表情を浮かべる。

相手の戦闘能力と、その数を考えればもはや一刻の猶予もない。

 

「本艦は直ぐに離陸!すぐに迎撃態勢に移る!」

 

『待ってください!』

 

そこに高雄から待ったの通信がかかる。

 

「どうしたの高雄機関長!?」

 

『朗報です!パイロットが間に合いました!!』

 

その言葉に艦橋内の殆どの目が、モニターに向いた。

ユーロネルフ側の出入り口の影から、アサルトライフルを構え、高雄たちと挟み撃ちする形で敵兵を倒していく4+3号機パイロト。碇リュウジの姿が現れたのだ。

その後ろにはATフィールドに守られながら、サクラ、ミドリ、その二人に支えられたアスカオリジナルが続いていた。

 

「やった!」

 

青葉が思わず声をあげるが、ミサトは冷静に指示を流す。

 

「剣崎、パイロットをすぐに回収!―――リツコ、4+3号機は?」

 

『準備も何も、もともと壊れてるんだから整備のしようがないわ。碇リュウジが来れば、すぐに動ける』

 

「結構。高雄機関長!戦闘員を早急に撤退。収容次第、離陸する。急いで!」

 

『了解!』

 

そうして高雄をはじめとしたヴィレの実戦部隊が撤退していく中、剣崎だけは一人、リュウジの元へと向かう。

リュウジも剣崎を見つけると、合流すべく周囲の敵を片づけつつも進んでいく。

 

「教官!」

 

「すまん!少し時間がかかった」

 

「仕方ないんじゃないですか?もう還暦なんですから」

 

「はは!言ってろ」

 

そういうか早いが、二人は互いに背後を固めながら、

 

「北上さん、鈴原さん、早く艦へ!」

 

「了解!」

 

ミドリの返事と共に、サクラも強く頷くと、オリジナルのアスカを抱えながらヴンダーへと急ぐ。

 

「教官。あなたも早くエヴァへ!」

 

「いいのか?俺がそこかしこにまだいるぞ?」

 

「あなたじゃありません、複製です」

 

「……悪いな」

 

「何謝ってるんです。ほら早く」

 

「ああ」

 

その言葉と共に、リュウジは一期にヴンダーへとかけた。

それを尻目に剣崎は、まだ少なくない兵が残る中、完全にリュウジが撤退するまでの時を稼ぐ。

 

「ボス!!」

 

それを見て取った高雄は、リュウジへと手を伸ばす。

 

「高雄!!」

 

その手をリュウジがつかむと、離陸寸前であったヴンダーに引き上げられた。

 

「あの子たちは?」

 

「……無事です。あなたのおかげです」

 

ミドリらが無事だと聞くと、リュウジの表情に安堵が浮かんだ。

 

「剣崎!お前も……」

 

「いや」

 

高雄は続いて剣崎に撤退を促そうとするが、その言葉をリュウジは遮る。

 

「ボス?」

 

「剣崎!まだ時田さんらが中にいるはずだ!いけるか!?」

 

あまりの無茶ぶりに、

 

「ボス!それはあまりに……」

 

高雄は驚愕の表情を浮かべるが。

 

「了解!」

 

剣崎は迷うことなく、撤退せずにむしろ切り込んでいく。

 

「どのみち弐号機と八号機を失えばすべてが終わる。……大丈夫さ。あの子らを抱えて俺がここまで撤退できたんだ。むしろやつ一人の方が、より早く時田さんたちのもとへ行けるかもしれん」

 

リュウジの考えも尤もだ。

ユーロネルフ内において、戦いにたけたものが守備に入る必要がある。そう考えれば、今それができるのは剣崎しかいない。

 

「艦長!」

 

『聞こえたわ。リュウジ!すぐに出撃準備に入って!』

 

「了解」

 

その直後、ヴンダーは離陸していった。

 

 

「これを」

 

そういって高雄は、手元にあったエヴァシリーズのデータを渡そうとするが。

 

「いや、必要ない。もう(ここ)に入っている」

 

そういいながらリュウジは、自身の頭を指で軽くたたく。

 

「いつこのデータを?」

 

「そのデータは見ちゃいないが、……奴らが闘っているのも、儀式で使われているのも見たよ」

 

その言葉に高雄は訳が分からなくなるが、リュウジはこういったときに強がりを言う人物ではない。

そうこうしていると、二人は4+3号機が格納されているドッグにたどり着く。

 

「遅いわよ」

 

「申し訳ありません」

 

リツコに若干とげのある言われ方をするが、

 

「教官」

 

もう一人その場にいたマリは、心配そうに駆け寄った。

 

「大丈夫なの?一人で」

 

「少なくとも4対1で俺に負けたお前がいうか?」

 

そんなマリにリュウジはしたり顔で返す。

 

「ったく。相変わらず口の減らない」

 

その様子に、問題ないと感じたマリは安堵するが。

 

「お前の方こそ。大丈夫か?」

 

そう返され、一瞬胸が跳ね上がった。

 

「……何のこと?」

 

「俺がわからないとでも思ってんのか?戦う前から……、いや、戦わずに諦めた。違うか?」

 

そう言われ、マリはリュウジを直視できなくなる。

 

「マリ、人間はな。諦めないから生きていけるんだ。……お前にもあるはずだろ?諦められないものが。だからこの14年間、戦ってきた。違うか?」

 

そういわれたマリの脳裏には、シンジと最初に会った日が思い出されていた。

その時のシンジのあどけない笑顔と、ともに食べたハンバーガーの味まで蘇る。

 

「でも……アスカが……」

 

「アスカに諦めるって言ってみろ。……ブチ切れられるぞ?」

 

そういってリュウジは、懐からシガーケースとマッチをマリに渡した。

 

「……戻ったら吸いたいんだが、マッチがそろそろ切れそうなんだ。探しておいてくれないか?」

 

「……わかった」

 

マリが静かに受け取ると、リュウジは軽く彼女の肩をたたいた。

 

「じゃあ、言ってくる」

 

迷いなく戦場へと向かうリュウジを、羨ましく思いながらマリは見送った。




言い訳になってしまいますが、書き上げ寸前になって、書き直して、を3回も繰り返してしまいました。

もっと勢いよく、更新できるようがんばります。

ご意見、ご感想をお待ちしております。

誤字脱字等、ございましたら、お手数ではございますが、ご指摘いただければ幸いです。

これからも応援、よろしくお願いいたします。
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