新世紀エヴァンゲリオン-And become Joseph-   作:さえもん9184

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今年の目標は、毎回言ってますが最終話まで書くことですが、まずは更新ペースを早めたいです。
とりあえずは、一月一話は更新したいです。

ですが最近出た某ハンティングゲームが最大の敵です。


Sin-Outer Eden-

翌朝。

シンジはLCL調整槽が敷設された設備に、リュウジ、ケンスケ、トウジ、カヲルと共に出向いていた。

そこには、

 

「綾波、君はここで待ってて」

 

「うん」

 

「何か困ったことがあったら、必ずここにいる3人に相談するんだよ」

 

まるで妹を心配する兄のように、シンジはレイに言葉をかける。

ここは主にレイとアスカオリジナル、そしてカヲルのための施設であったが、コア化した地帯のLCL濃度を下げる研究にも大きな役割を果たす施設として、クレイディトが主体となって運営することが決まっていた。

 

「碇くんは、また帰ってきてくれる?」

 

「……わからない」

 

「え……?」

 

「そういうところに、これから出向かなきゃ行けないんだ。でも諦めないから、信じて欲しい」

 

そう言ってシンジは、優しくレイの頭を撫でた。

 

その様子を見ていたリュウジは、横にいた三人に向き直る。

 

「少し、待っててくれ」

 

そう言うと、隣の部屋に入っていく。

 

そこには病院服に身を包み、ベッドに横たわっている赤毛の少女、アスカオリジナルがいた。

だいぶ回復しているらしく、リュウジの気配に気づくと、ゆっくりと上体を起こした。

 

「だいぶ、良くなったみたいだな」

 

「……あなた、本当に何者なの?」

 

いまだに警戒しているのか、彼女は訝しむような表情をリュウジに向ける。

 

「ふむ…、歳をとるとな、自分でもよく分からなくなる」

 

だがリュウジは対照的に、飄々とした表情を浮かべる。

 

「はぐらかさないで」

 

それが気に入らないのか、アスカオリジナルは語気を強める。

 

「私がMark6(あの中)に閉じ込められていたことを知っている人物は、ごく限られてた」

 

「言ったろう?俺はそんな連中の一人さ」

 

そう言いながら、リュウジはベッド近くの椅子に腰掛けた。

アスカオリジナルの存在は、式波シリーズの存在を知る者であれば知られていた。

当時自身の諜報網を駆使し、その存在を知っていたリュウジも、当然その存在も、そしてどう使われるかも知っていた。

 

「だとしたら、なんで今更助けたのよ。助けるなら14年前に……」

 

「そう、俺は14年前、君がどうなるか知っていながら、傍観していた。そして俺の計画の為に、サード・インパクトを発動させた」

 

「……計画?」

 

「俺が駒となり、使徒となったのも、———大地、海、そしてこれから起こる魂の浄化の儀式を利用し、神が造りたもうた、全ての箱庭を、完全に天国の外側へと独立する為の計画」

 

いつのまにかアスカオリジナルは、リュウジへの不信感も、若干芽生えていた怨嗟の念も、霧散していた。

 

「まぁ、失敗すればそれまでだ。だがもし成功すれば、俺たちは完全に神の支配から脱却することが出来る。———その世界で君は、好きに生きればいい」

 

なぜなら理解したからだ、

 

「つまり、アンタはこれから神に喧嘩売るってこと?」

 

これからリュウジが、何をしようとしているのかを。

 

「少し違う。もう仕掛けたんだ。だから、もう後戻りはできない」

 

それがどれだけ無謀な闘いかを知っていながら、無邪気に笑う目の前の使徒に、彼女は背筋に冷たさを感じた。

 

「人類の補完を避け、神からの祝福を防ぐにはこれしかない」

 

「バカげてる……、そんな事できるわけがない」

 

「今回の事で分かったことがある。神とやらは確かに高次元の存在だが、絶対的な存在じゃない。奴らにもできない事がある。でなきゃリリンに対してこんな回りくどい祝福を仕向けることはなかったはずだ」

 

力の差は歴然であろうことは、リュウジは百も承知である。

だが、

 

「そこに付け入る隙がある。ならば俺は……戦える」

 

そこには悲観も、自棄も、あまつさえ狂気もなかった。

ただ目的をはたす(勝つ)こと、その道筋を見据える理知的な眼が、静かな光を讃えていた。

 

それゆえに、アスカオリジナルは、戦慄した。

 

「さてと、いよいよだ」

 

そんな彼女をよそに、リュウジは徐に立ち上がる。

 

「これでお別れだ。……大丈夫だ。君は何者にもなれる。あとは、君次第だ」

 

生きろよ。

そう静かに言うと、リュウジはゆっくりと部屋を後にした。

 

 

「もう、いいんですか」

 

部屋の目の間にいた、ケンスケがリュウジを待ち構えていた。

 

「ええ。……シンジは?」

 

「大丈夫みたいです」

 

そう言われ、リュウジはガラス越しにシンジを見た。

 

そこにはシンジとレイ、そして意外にもカヲルが談笑している様子が見て取れた。

 

「なんやら、綾波と、あの子。案外相性良さそうですよ」

 

三人だけにしてあげようと、トウジもこちらへ来ていた。

 

「……少しずつでいい。笑って暮らしていけるなら。それが一番ですよ」

 

本人が幸せになろうとしなければ、幸せを得ることなどできない。

そしてそれを共に得ようとしてくれる人がいるならば、より大きな幸せを得る事ができる。

その兆しを、レイとカヲルに見る事ができた。

それだけでリュウジは未練はなかった。

 

「さて。鈴原君、相田君」

 

改めてリュウジは、二人に向き直ると、深々と頭を下げた。

 

「申し訳ありませんが、これでお別れです」

 

一瞬二人は息を呑むが、直ぐに平常心を取り戻す。

 

「……ちゃんと、碇には伝えてるんですか」

 

ケンスケは務めて平静を装う。

 

「ええ……。ですがあの子には、最後により残酷な言葉を伝えなければならない」

 

楽園を脱する時、その時ようやく、リュウジに定められた道をシンジは知ることとなる。

 

「それが俺にとっては、死ぬよりも辛い。だがあの子が、この世界で生きていくためには、どうしても必要な事だ」

 

それが自分を守りたいと言ってくれたシンジにとって、どんなに残酷か。

そんな残酷を味合わせてしまうことに、リュウジは胸が張り裂ける思いだった。

 

「尤も、幸いな事に、この世界には君達がいる。ならば、きっと、シンジはこれからも大丈夫だと思う」

 

この世界には、シンジの友がいる。

彼を愛し、彼が愛する人たちがいる。

ならばもう、自分は戦場に還るだけだ。

 

「どうかあの子を、シンジのことをお願いします」

 

そう言って深々と頭を下げた時だった。

 

「リュウジ?そろそろ」

 

北上ミドリが、片手に拘束具を持ち、ゆっくりと部屋に入ってきた。

 

「迎えが来たようです。それでは」

 

そうしてリュウジは、ミドリに伴われ、一足先にその施設を後にした。

 

 

そうして監視対象であるリュウジは、拘束具をつけられた状態で再度ヴンダーへと搭乗するが、その向かいからは、リュウジほどではないが、拘束され、下船させられている人物と鉢合わせた。

冬月であった。

互いに存在を目視するが、共に露ほども表情が変わった様子はない。

そしてすれ違う瞬間、周囲が何の変化も感じることなく、二人は遠ざかっていった。

 

(……リュウジ君)

 

だが冬月だけは見た。

刹那ほどではあるが、リュウジは冬月を見ると、確かに微笑んだのだ。

それはいつか冬月が憧れた、無邪気なはにかみの微笑みそのものであった。

それはまるで、

 

『お元気で』

 

と別れの言葉を送られたかのようであった。

その時冬月は溢れ出る感情を、我ながら良くぞ、

 

『隠し通した』

 

と思わず自画自賛するほど、その心底が揺らぎに揺らいでいた。

だがその無表情の頬に少量、一筋だけ、ぬるい涙が伝っていた。

幸いにも冬月本人も気づか無かったが故に、かつ堂々とした佇まいを貫いたが故に、誰もその変化に気づくことはなかった。

 

「言葉すら交わさななかったわね」

 

それ故に、それを遠目に眺めていたリツコと、

 

「はなから何か掴めるとは思っていないわ」

 

ミサトも何も気づくことはなかった。

 

「加持君に続いて、冬月副司令までも籠絡済みとは、前から思っていたけど、頼もしいを通り越して、末恐ろしいわね」

 

「それはまだ仮定の話よ」

 

状況証拠から見るに、リュウジと冬月が繋がっていることは明々白々である。

だが、二人が繋がっている事を示す証拠は今も上がっていない。

故にあくまでも冬月は、

 

『ユーロネルフ襲撃の首謀者であるネルフ副司令』

 

として捕えられているに過ぎないのだ。

 

「昔からそうでしょう?リュウジさんにしろ、冬月副司令にしろ、証拠や痕跡を残すような下手は絶対に打たない」

 

シンジが冬月を取り調べた際に言った言葉が思い出された。

全く証拠が出ていない以上、リュウジと冬月が繋がっていることを証明はできない。

だがシンジは、

 

『それが何よりの証拠』

 

と考えていたのだ。

暴論と言えばそれまでだが、こと権謀術数に恐ろしいまでに長けたリュウジと冬月が組んだとすれば、むしろ証拠が出てきた方が、何か別の作為を感じてしまう。

 

「ならば今は、この仮定が真実かどうかは問題ではない。問題の本質は、それが事実だったとして、今後の作戦にどんな影響が出るかよ」

 

「かと言って、今更リュウジさんが裏切るようなことは考えにくいけど」

 

「リュウジさんは確かに『ユイさんを助ける』と言ったのね」

 

「ええ。と言っても、それ以上のことは何も聞けなかったけど」

 

リュウジからは確かにユイを助けるのは、目的の一つである事は聞き出せた。だがそれ以上のことは、彼は頑なに話さなかった。

そしてそこで疑問が生じた。

なぜリュウジがユイを助けようとしたのか。

あくまで初号機の制御システムになる為の、副次的な事象に過ぎなかったのか。それとも何か別の目的があるのか。

 

「いちばんに考えられるのは、碇ユイをこちらに引き込むことで、碇ゲンドウに対する交渉の一手にしようとしていたのか」

 

「もしくは単純に、碇シンジのために、母親を取り戻そうとしているのかもしれないわね」

 

だが考えたところで解明のしようがない。

判断材料があまりに少なすぎる。それ故に二人を鉢合わせにする事で、何か反応があるかもしれないと考えたのだが、思っていた以上に、何もつかめなかった。

 

「もっともリツコの言ったように、リュウジさんが裏切ると言うのは考えにくい。だけど……」

 

「ええ。14年前も、隠し事した挙句に、あんな事を……」

 

リュウジが隠し事をする時は、話せば止められるような自らを犠牲にするような行動に打って出る時だけだ。

まさに14年前、自らの戦略を実行に移すために、兄の指令により、剣崎に自らを使徒として殺させると言う暴挙に出たのだ。

その果てに何を目的としているのかは、今もわからない。だが、

 

「そしてその策謀は、おそらく実りつつある。でなければ、冬月副司令がリュウジさんと組み続けるはずがない」

 

「想像もできないわね。冬月副司令を寝返らせる程の見返りよ。よほどの見返りでない限り、あの人が碇ゲンドウを見限るはずがない」

 

二人は完全に勘違いしていた。

冬月は、決してゲンドウを裏切ったわけではない。

冬月はあくまでも、ゲンドウの計画を遂行するために動いていた。

それが後に、リュウジの本当の目的の礎となる事に気づくのは、全てが手遅れとなった後であった。

 

 

そうして、ヴンダーに乗船したリュウジの前には、

 

「や、おかえり」

 

マリが待ち構えていた。

 

「何でアンタがいんのよ」

 

若干彼女のテンションが苦手なミドリは、そうつっけんどんに返す。

 

「曲がりなりにもこの人は使徒だからにゃ〜。連行するには、それ相応の戦力を配置しろってさ」

 

「なっ、アタシじゃ無理だって言うの?」

 

「だって教官が襲いかかってきたとして、DSSチョーカー(それ)咄嗟に作動できんの?」

 

「ぐ」

 

そう言われて言い返せないミドリは、言葉に詰まった。

 

「マリ。言っておくが拘束(この)状態でも、俺はお前を殺せるぞ?」

 

「ぐ」

 

そしてマリも正論を言われ言葉に詰まった。

ミドリはそんなマリを横目に、口角を上げる。

 

「まぁいいさ。早く行こう」

 

そのやりとりが可笑しくどこか暖かく感じながら、リュウジは隔離室へ足を進めた。

 

「で?何が聞きたいんだ?」

 

「え?」

 

急なリュウジの言葉に、ミドリは顔に疑問を浮かべるが、

 

「ニャハハ。さっすが教官。バレバレ」

 

マリはそんなリュウジの反応が分かっていたようである。

 

「艦長も副長も、アナタが何をする気かヤキモキしてる」

 

「裏切るかもって?」

 

「うんにゃ。また後味悪い計略でも練ってるんじゃないかって心配してる」

 

後味が悪いと言うのは無論、残される彼女らが、である。

 

「お前もそれでヤキモキしてるってか?」

 

「……アナタのことは、散々利用したからね。欲を言えば、このまま下船させたいくらいだよ」

 

マリにとっても、このままリュウジが凄惨な終わり方をして欲しいわけがない。

第3村で、穏やかに最後を迎えて欲しいと願っていた。

 

「ハハハ。それで時が来ればDSSチョーカー(こいつ)を押してもらうか?悪いがそれはごめん被る」

 

「分かってるよ。言ってみただけ」

 

だがリュウジが、そんな終わりを一欠片も願っていないことは重々承知していた。

ならば後は、

 

「大丈夫。今更アタシも何か聞けると思っちゃいないから。ただそう思ってるってことは、知って欲しかっただけ」

 

この人の思うがままに翔られるよう助制するだけだ。

散々利用してきたのだ。それこそが、この恩師にできる恩返しだと考えていた。

 

「すまないな。———すまないついでで悪いんだが、オレもお前に聞きたいことがあるんだ」

 

急に小声になったリュウジに、

 

「———なに?」

 

マリも何かあるのかと、真剣な表情となる。

 

「———シンジとは、どうだったんだ?」

 

「なっっっ!!!」

 

だがあまりにデリカシーの無いリュウジの質問に、若干の怒りとそれ以上に羞恥心が一気に込み上げる。

 

「普通聞く?そんな事」

 

「お前の言いたいことはわかるが。あまりにもオレの甥っ子がモテまくってるんでな。いただかれた感想を聞きたかったんだ」

 

「絶対言わない」

 

確かにリュウジには負い目もあれば、恩もある。だがソレとコレとは話が別だ。

いかにリュウジといえど、マリも言いたくないことがある。

 

「……14年前」

 

だが急に過去語りを真剣な表情で話すものだから、マリは思わずリュウジを見入ってしまう。

 

「お前が日本に戻ってきた時、シンジを迎えに行かせたの、覚えてるか?」

 

「そりゃ、覚えてるけど」

 

「あれは、お前に確かめて欲しかったんだ。5年間だが、あの子を見守り育ててきた。オレがあの子にしてあげたことが、お前から見て、どう映るのか」

 

その言葉にマリはハタと気づいた。

リュウジとて不安だったのだ。子など持てるはずがなかったリュウジが、年頃の男の子を育てることとなったのだ、不安がなかった訳がない。ましてやそんな年頃の子供たちの命を、リュウジは少年兵として多くを損なってしまったのだ。

 

「結果は思った以上だった。まさか一目惚れするとはな」

 

それでもリュウジは、己の出来うる限りを持ってシンジを育てた。

 

「アタシだって、まさか先輩の息子に一目惚れするとは思わなかったよ」

 

「だがお前のお陰で、オレがシンジにしてきたことは、決して間違いじゃなかったと思えたんだ。真希波・マリ・イラストリアスと言う破格の女傑が惚れたんだ。ユイさんにも、顔向けできるってもんだ」

 

その果てにマリに認めてもらえた。

リュウジにとっては、これ以上ない結果だったろう。

 

「だから改めて聞きたい。どうだった?」

 

だからこそマリの口から聞きたかった。

 

「……シンジ君は、その……」

 

彼女にとって、シンジがどれほどの存在になったのかを。

 

「……メ」

 

「メ?」

 

「メ……メチャクチャニシテクダサイマシタ」

 

そのあまりに乙女なマリの表情を見たリュウジは、

 

「……プ」

 

「え?」

 

「ハハハハハハハハ!!!!!!」

 

思わず盛大に笑い転げた。

 

「えーーー、ご通行中の皆様!!」

 

「ちょっと教官!!!」

 

何とかリュウジの口を塞ごうとマリがいつになく慌てふためく様子に、周囲はマリの思惑とは裏腹に注目してしまう。

 

「それは酷くない!?それこそ裏切り行為だよこれ!!」

 

「冗談だよ。でも、いいもの見れたよな?北上さん?」

 

気づけば一部始終を見ていたミドリが、ニヤニヤとマリを見ていた。

 

「だ、大丈夫、フ、誰にも、フフ、い、言わな…フフフフ」

 

「ちょっと!その半笑い顔からは説得力ゼロなんですけど!」

 

「まぁ、冗談はさておき。お前にとって、シンジがどれだけの存在になったか知ることができた」

 

気づけば、リュウジの表情は篤実なものへと変わっていた。

その雰囲気を感じ取ったのか、ミドリも真剣な眼差しを向けている。

 

「マリ、オレはお前が思うような傀儡にはなれなかった。その代わりと言っちゃ何だが、これからは、。ユイさんの為でも、オレの為でもなく。お前自身の幸せの為に生きてくれ。オレは、そう願っている」

 

幸福にになれよ。

 

リュウジはそう言うと、再度隔離室へと足を向けた。

 

「……私は、アナタにも幸福になって欲しかったんだよ?教官」

 

幸か不幸か。マリはいの一番に、もはや手遅れであることを理解した

 

 




某ハンティングゲームもそうなんですが、三国無双の新作もメチャクチャ面白かったんですよね。

色々とやりたいことが多すぎる今日この頃です。

ご意見、ご感想をお待ちしております。

誤字、脱字等ございましたら、お手数ですがご指摘いただけると幸いです。

これからも応援、よろしくお願いいたします
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