新世紀エヴァンゲリオン-And become Joseph-   作:さえもん9184

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おかげさまで某ハンティングゲームと、三國無双新作のトロコンができました。

すいません、そのおかげでまた投稿が遅くなっております。


Sin-闇で最後までもがく獣-

セカンドインパクト。

その呪われた爆心地に、ネルフ本部に伴われた紅く染まった黒き月が舞い降りた。

そしてゲンドウは一人、ネルフ本部内にて第13号機を一人見あげていた。

遂にここまで来たのだ。

その万感の思いと共に、ゲンドウはバイザーを外すと、ゆっくりと浮き上がり、そのまま第13号機の開いた口へと身を任せた。

 

そして、第13号機はついに再起動を果たした。

 

 

ヴィレの宇宙ステーションにおいて、リュウジは遠くにアナウンスを聞きながら、たった一人で隔離室にいた。

ことここに来て、もはやリュウジにできることは何もなかった。

周りは最後に、自分がゲンドウにたどり着けるまでの段取りを整えてくれえいる。

そして当のリュウジは、その準備が整うのを待ち、時が来れば戦いに臨むだけだ。

その準備の為に、サクラも、ミドリも今はリュウジの監視の任を一旦離れ、基地内を奔走しているはずだ。

 

「そろそろか……」

 

だがいい加減、リュウジも登場準備に取り掛かる頃と感じていた時分に、ついに隔離室前に誰か来たであろう気配を感じた。

 

「………え」

 

だがそこに現れた人物に、リュウジは少し抜けた驚嘆を吐いた。

 

「私が来たら不味かったかしら」

 

ミサトであった。

 

「これ、最新のプラグスーツ。これに着替えて」

 

そう言って、ミサトは携えていた漆黒のプラグスーツをリュウジの前に広げ、リュウジの前にかがむと拘束具をほどき始めた。

 

「先ほど連絡があった。ネルフ本部が最終目的地に到着。第13号機の再起動の反応も確認された」

 

そう言って拘束具をほどききると、リュウジを見上げる。

 

「碇ゲンドウが、……あなたを待ってる」

 

そう言われ拘束具を外されたリュウジは、来ていたグレーのプラグスーツを脱ぐ。そして、その白磁のような肌をさらした。

 

「……散々戦ってきた身体の最後が、こんな有様とは」

 

嘗ての傷の上にさらに傷を重ねてきた身体はもうない。

言うなれば自身の罪の積み重ねが消え去ったような感覚すら覚えるが、それは錯覚にすぎない。彼の脳裏には、今まで奪ってきた命がありありと思いだされたからだ。

 

「いいじゃない。最後くらい、綺麗な体でいたって」

 

「そう言われても、未だに慣れないんですよ」

 

そう言うと、リュウジは近くにあった姿見に眼をやる。

すると否が応にも、リュウジの眼には異様に整った美少年が映った。

 

「綺麗すぎて、嫌悪感すら感じる。それでもタブリスがもたらしてくれたものと思うと、無碍にもしたくなくて」

 

タブリスは、彼に植え付けられた最後のシ者はリュウジに願いを託し、リュウジの願いが叶う事を願った。

そのお蔭で、リュウジは全ての円環を知り、彼の力を得た。

そこに付随してきたのが、今のリュウジの身体だった。これにも何か意味があったのかもしれないが、今となって走る由もない。

 

「まあでも、こんな綺麗な身体も、これで最後です。この戦いで、穢されて終わる」

 

自嘲気味にそう言うと、リュウジは漆黒のプラグスーツを身に纏った。

その後ろ姿を見るミサトの表情には、どこか躊躇いがあった。

 

(この戦い続けてきた人に、一体なんて言えばいいのだろう……)

 

14年間戦い続け、指揮官として上に立ち続け、様々な壁にぶつかってきた。

その度に、目の前の恩師にききたいことがあった。叱り飛ばしてほしいと思ったことが何度もあった。

それでも、こうして再会してから、ミサトはリュウジに何も聞けなかった。そしてリュウジもミサトを叱ることは無かった。

これだけの体たらくを晒しておきながらリュウジはミサトに、

 

『強くなった』

 

と言ってくれた。

そんなリュウジに、ミサトはまだ何も返せてなかった。

 

「……酷い教え子ですね。私は」

 

そんな思いが込み上げた結果。そんな言葉をミサトは吐き出してしまう。

 

「……死んでしまう恩師を目の前にして、……私は、その恩師を見捨てようとしている」

 

そんなミサトにリュウジは一瞬ハッとするが、

 

「何も返せないまま、私はただ、死んでいくアナタを助けることもできない」

 

次の瞬間にはフと微笑んでいた。

 

「地獄に落ちることは何も怖くなかった。例え死んで、その地獄の業火に焼かれようとも、鬼やら悪魔やらに永遠と責苦を負わされたとしても、何も怖くない。でももし、もしこう聞かれたらなんていえばいいの?『何故お前は、死にゆく恩師を見捨てた。いつも助けてくれた恩師が死にゆくのを、なぜ助けられなかった』……教えて、リュウジさん。……私はなんていえばいい?」

 

「……葛城。俺はな、戦争が好きだ」

 

そして唐突に、ミサトにそう言い放ったのだ。

 

「え?」

 

「勝とうが負けようが、どこが戦場であろうが、部下が死のうが生きようが、守るべき存在が死のうが生きようが、……俺はそこに生を感じる。快感すら感じることがある。……この手で生死を選別するとき、自分が強者であると感じ、この上もない喜びを感じる」

 

その時ミサトは、リュウジの言いようの無い闇を目の当たりにした。

先程の後悔が掻き消える程の恐怖が、ミサトの中に沸き上がった。

 

「……そんな奴、死んだ方がいいでしょう?」

 

だが次の瞬間には、その闇はまるで存在しなかったかのように消え失せていた。

 

「『私は戦争そのものを葬った』その質問にはそう答えればいい」

 

そしてミサトは理解した。リュウジは彼女の後悔を消そうとしてくれているのだと。

リュウジの死に何も負い目を感じることは無い。ただ戦うしかできない、これからの世界にとって戦争と言う害悪でしかない存在が、ただ消える。それでしかないのだと。

 

「そしてありがとうございます。私のことを、恩師と言ってくださって」

 

そう言ってリュウジは深々と頭を下げた。

 

「そしてそんな恩師にとって、教え子に願うことは、『自分を超えてくれること』たった一つです」

 

そう言ってリュウジは、屈んだままのミサトにの肩に優しく手を置いた。

 

「アナタは私を超えました。その願いをかなえてくれた。そのお返しだけで、私は満足です」

 

ありがとう。

そう言うとリュウジは、一人隔離室を後にした。

 

 

一方マリとアスカも、自室で準備を進めていた。

 

「深々度ダイブ用耐圧試作プラグスーツ。いかにも出来たてホヤホヤだニャ」

 

「ここは無垢の下ろし立てでしょ?死に装束だもの」

 

二人は素肌のまま、目の前の真新しい純白のプラグスーツを目の前にそんな会話をしていた。

二人も歴戦の戦士らしく、どこも臆した様子はない。

 

「おい、まだか?結構待ちくたびれてるんだが」

 

そこに業を煮やしたリュウジが無遠慮に入ってきた。

リュウジも戦力として数えられているとはいえ、使徒であることに変わりはないため。搭乗するにあたっては、一応監視の為アスカ、マリと共に格納ドッグに行くよう指示されていた。

 

「せっかちな男は嫌われるわよ」

 

「女の準備は男と違って時間がかかるの。それぐらいわっかんないかニャ~」

 

「へいへい。男は女の為に待つ生き物ってね」

 

「てゆーか、リュウジ、アンタいたいけな乙女の着替え中に何平然と入ってきてんのよ」

 

「いたいけな乙女?何言ってんだ、アラサーとアラフォーのくたびれた身体見せられたって何も思うことなんて無ゴフッ!!」

 

次の瞬間には凄まじい速さの前蹴りが二つ、リュウジのミゾにめり込んでいた。

 

「教官?女性にそんなデリカシーの無い物言いはよくないんじゃないかな?」

 

マリはその眼に静かな怒りを湛えている。

無言のアスカも同様であった。

 

「わ、わかった、悪かったよ。でもしょうがないだろ、二十も三十も歳が離れた子供に欲情するようなロリコンじゃ無グフォッ!!」

 

そしてさらにダブルアッパーカットが、リュウジの顎を綺麗に打ち抜いた。

 

「チ、チクショウ……決戦前に…死んだら、洒落に……なんねえだろ……」

 

「この程度でアンタが死んだら苦労しないわよ。準備するから、そこで待ってて」

 

ピシャリとドアを閉められると、リュウジはゆっくりと上体を起こすとフウ、と一息ついた。

 

「ったく、容赦ねえな……」

 

そうポツリとつぶやくと、リュウジは暫く待ちぼうけを甘んじて喰らうことにした。

 

「ったく、お節介なんだから」

 

ドアを閉めたアスカは、そう小さく呟いていた。

 

「しょうがないよ、あの心配性は教官の生まれ持ってのものだから」

 

不器用なリュウジの緊張ほぐしに、二人はやれやれとため息をついていた。

 

 

新弐号機、JAリアクターを起動

 

出力安定、エネルギー循環開始

 

改八号機、ドラゴンキャリアと接続、異常なし

 

4+3号機、重力制御機構異常なし

 

そんなアナウンスを耳にしながら、アスカ、マリ、そしてリュウジの三人は無重力状態のハッチ内を移動している。

現在エヴァ三機は射出可能状態のまま固定されている。刻一刻と、決戦の時間が近づいていた。

 

「リュウジ、悪いけど寄り道があるから」

 

「なんだよ急に。もう時間が……」

 

「いいから、教官こっち」

 

そうして連れてこられたのは、

 

「……やっぱりか」

 

シンジに宛がわれた部屋であった。

 

「最後かもしれないんでしょ。ちゃんと話しなさいよ」

 

「ほら教官、入った入った」

 

半ば無理やりシンジの部屋に放り込まれると、どこか落ち着かないリュウジとは対照的に、シンジは来ることが解っていたかのように落ち着いていた。

 

「あー、その……悪いな、急に押しかけて」

 

「ボクが二人に頼んだんだよ。だから、何も悪くない」

 

そんなシンジになんて言っていいのか解らず、リュウジは誤魔化すように頭を掻いた。

 

「……こんな時、なんていえばいいか解らなくてな」

 

「ボクは解るよ」

 

そう言って同じくらいの体格となったリュウジと向き合うと、シンジはリュウジの眼を見据える。

 

「……生きて帰ってこい、それが何よりの戦果だ。でしょ?」

 

「……シンジ、俺は」

 

「解ってる。ボクが無茶言ってることも。でも、ボクが戦いに行くとき、この言葉が何よりも頼もしく思えたから」

 

そう言ってシンジは、リュウジを抱きしめた。

 

「だから、もう止めない。あの時おじさんは、ボクを送り出してくれた。だから、今度はボクがおじさんを送りだす」

 

そしてその想いが、文字通り直接リュウジへと渡されていく

 

「おじさんのこれまで戦ってきた人生のすべてを、父さんと、この世界に全部吐き出してきて。そしてそれがどこまで通用するのか、思いっきりぶつけてきて」

 

叔父の奥底にあるその願望を、シンジは最後に叶えてほしかった。

 

「たぶんそれって、戦争屋として、いや、男として冥利に尽きるって奴じゃない?」

 

リュウジに死んでほしくない、その想いは変わらない。

だがそれよりも、リュウジに悔いの無いよう戦い抜いてほしい。

己が全てをぶつけて、その生を全うしてほしい。

 

「だから思いっきり戦って、おじさんの命を燃やし尽くしてきて。……それが、あなたの望む戦果でしょう?」

 

だからこそ、いつもかけてくれた言葉と正反対と言える言葉を贈った。

 

「参ったな。皆オレを置いて、大人になってく」

 

「そうだね。でもそれも、おじさんの願いでしょ?」

 

その通りだった。

眼の前の愛した甥が、こうまで強い大人の男となったのだ。リュウジにとって、これ以上ない喜びだった。

 

「ありがとう、おじさん。ボクは、幸せだったよ。アナタに会えて」

 

「オレもだ。ありがとう」

 

そしてリュウジはその部屋を後にした。

 

「……さようなら。おじさん」

 

誰に聞こえるでもないその言葉と共に、シンジの頬には一筋の涙がつたっていた。




シンもここから長いんですよね。

大体の流れは頭の中にあるんですが、また文章にするとなると難しいの一言に尽きます。ですがとにかく書きます。

ご意見、ご感想をお待ちしております。

誤字、脱字などございましたら、お手数ですがお知らせくださると幸いです。

これからも応援よろしくお願いいたします。
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