新世紀エヴァンゲリオン-And become Joseph- 作:さえもん9184
今年もよろしくお願いいたします。
そして更新が遅れに遅れ、本当に申し訳ございません。
また明日から仕事なので、何とか今日中に投稿しようとして、何とかできました。
そして毎年行っていますが、今年中に何とか終わりまで書きたいです。
14年前
「戦争においてもっとも大切なことはなんだと思います?」
酒を煽りながら、冬月はそうリュウジに問われた。
協定を持ちかけられ、その概要を聞かされた上で、
『心構えていてほしい事があります』
とリュウジに言われ、その次に出てきたのがその問いであった。
「それは……、勝つこと、勝利することではないのかね?」
「おっしゃる通りです。では……、勝利とは?勝つとはどういう事だと思います?」
「ふむ……。相手を無力化すること。こと戦争においては、相手を殺すことではないかな?」
その答えを聞いたリュウジは、片手で自身の顎をさすり、じっと冬月を見る。
「……確かに。それは場合によっては勝利となるでしょうが、そうならないこともある。いやむしろ、戦争においてはそれが敗北へと繋がることの方が多い」
「どういう事かな?」
「『負けるが勝ち』―――これをただの敗者の負け惜しみと思っているようでは、兄の……、碇ゲンドウの『勝利』は最早揺るがない」
※
ゲンドウは躊躇なく、槍をリュウジ目掛け鋭く繰り出す。
(近づけさせてはならん!)
そう言い聞かせながら、ゲンドウは槍を振い続ける。
距離を詰められれば、そこは弟の独壇場となることは自明の理だからだ。
リュウジはもとより、剣崎の体術、戦闘技術をもデータとしてインプットはしている。
だがそれだけで目の前の、
『最強』
と言って差し支えない弟を制圧できるなどとは、ゲンドウは微塵も考えていない。
そして案の定、
「グッ!?」
いつのまにか、その両の手で槍を鷲掴みされるが早いか、
「フンッ!」
奪われ一気に投げ伏せられ、
「グハッ!?」
強かに地面に叩きつけられる。
一瞬意識が飛びそうになるが、ゲンドウはそれを堪えるともう片方の槍で、リュウジの足元を薙ぎ払う。
無論当たるなどとは思っていない、立ち上がる一瞬が欲しかっただけだ。
その思惑通り、リュウジは後ろへと飛び退いた。
そしてリュウジはすぐさま小さくATフィールドを手元に広げると、鋭い轟音と共に、ゲンドウからのビームを弾いた。
「……ふ」
リュウジは軽く笑みを浮かべると、奪ったロンギヌスの槍を、ゲンドウへと投げてよこすと、再びゆっくりと構えた。
その行為に、ゲンドウは若干の歯痒さを感じるが、臆面にも出さずに、
「ハァッ!!」
槍を拾うと再度猛攻を仕掛ける。
だが、
「落ち着けよ」
あっさりと懐に入られたリュウジに、
「グォッ!??」
再度転ばされる。
「俺に対して殺意を抱いているのを止めはしないが、それじゃあせっかくの槍も、アダムスの生き残りも何ら意味を成さない」
そう言うと、これまたいつの間にか奪っていた両の槍を、再び投げてよこした。
「……フン。やはりな」
そしてゲンドウは、それを再度拾うと、
「貴様にとって私など素人でしかない。そんな私を相手にするなど、貴様には余裕でしかあるまい。だからこそ、」
そして即座に構える。
「貴様は負ける。だが私は違う、お前を、……碇リュウジというバケモノを最大限警戒している」
そして、その言葉と共に、13号機が赤黒く光を増す。
「なれば勝つのは私だ。そして負けるのは、驕っている貴様だ」
「……少し違うな。ゲンドウ」
だがそれでもリュウジは穏やかな態度を崩さない。
「確かに俺は、お前を警戒していない。だがそれは、驕っているからでも、余裕だからでも無い」
その眼には、穏やかな光が宿っていた。
「あなたが、俺の兄で、シンジの父親だからだ」
リュウジは後悔していた。
なぜもっと早く、この思いに至れなかったのか。
タブリスの力と思いを受け継いだ時、自分がなん度も、シンジ達周囲の人物を救うチャンスがあった事。ともすれば死海文書をはじめとするシナリオや契約を、変えることができたかもしれない状況にいた事を思い知った。
なにより、目の前の兄にもっと違う接し方ができていれば、全く違う今があったのかもしれない。
(……いや、今更だな。それに……)
無論後悔はした。
だが、
(まだ、遅くない)
諦めてはいない。
自分の
※
「ぁぁぁぁあああああ!!!!」
アスカは群がる
「あらよっと!!」
マリもすかさず、アスカのうち洩らしをその電磁ウィップで片づけていく。
「ったく。相変わらずしつこい」
殿を務める二人は、なんとか合流し互いにカバーし合いながらひたすらに敵を殲滅していた。
リュウジが突入してすでに数分立っており、ありったけ持ち込んだ武器群は目に見えて減っていっている。
「リュウジ……勝てると思う?」
そんな状況が焦りを生み、アスカにそんな弱音を吐かせた
「不安なの?アスカ」
「あいつも解ってるだろうけど、覚醒した13号機に、碇ゲンドウが乗ってる。……純粋な戦闘力じゃ……」
アスカ程の戦士が解らぬはずが無い。自分たちは勿論だが、例えリュウジと言えども、完全覚醒した13号機に真っ向から勝負して、勝てるとは思えなかったのだ。
「アスカ。……教官が、いつも自分より弱い奴ばかりと戦ってきたと思う?」
「え?」
だがマリはそんなアスカとは裏腹に、不敵な笑みを浮かべていた。
「教官は確かに強いよ。でも、戦場じゃ自分より強い敵や、自分たちより強大な戦力に立ち向かわなきゃいけないことがある。そんな状況に、教官は何度も直面してきた。戦士としても、司令官としても」
そう。不測の事態が起は常に起こり得る。
思いもかけず強大な敵と戦ってきたことも、リュウジとて一度や二度ではないのだ。
「そしていつも、教官はそんな状況を乗り越えて、勝利してきた」
仮に神や悪魔、そんな絶対的な敵と出会ってとしても、リュウジは怯むことは無いと断言できる。彼の頭の中には、常にどう生き残るか、そして勝利するかという計略が、幾重にも張り巡らされているのだから。
「それぐらいできる人じゃなきゃ、『バケモノ』なんて恐れられる訳がない」
※
無論その言葉は、もはやゲンドウには届かない。
寧ろリュウジの言葉は、ゲンドウの殺意の炎に薪をくべるだけだ。
だからこそリュウジは、その殺意に真っ向から向き合う。
「来い、ゲンドウ!」
その言葉を受けゲンドウは一気に肉薄した。
先程より速度と鋭さをあげた突きが、リュウジを襲う。
「グゥッ!?」
その何度も繰り出される鋭い突きが、遂にリュウジが捌ききれる容量を超え始め、
「グハッ!」
遂にまともにその左肩を貫いた。
だが、それを受けてもリュウジは痛みに耐えながら自身を貫いた槍を掴むと、
「捕まえた!」
そのままゲンドウを引き寄せ、がら空きになった脇腹を殴るだけ殴った。
ゲンドウはなんとか振り払おうとするが、貫通した槍ごとからめられた腕がそれを阻む。
ならばとゲンドウは13号機の、もう一対の腕で殴りかかるリュウジの拳をガードし、
「小賢しいっ!」
怯んだリュウジを更に殴り飛ばした。
リュウジはすぐさま立ち上がるが、状況は芳しくない。
左肩に刺さった槍を抜こうとするが、
「遅い!」
言動の槍がすぐさま今度は右脚を貫いた、
「ぐあああぁぁぁ!!」
たまらず膝をついたリュウジにゲンドウは更に追撃を仕掛けるが、
「ぁぁぁぁああああああ!!」
膝をついたと思いきや、リュウジは更に姿勢を低くし、肉薄するゲンドウの足を払う。
「しまっ!?」
仰向けに倒れたゲンドウに対して、体勢を崩したままのリュウジは、肘をゲンドウの顔面に叩きつけた。
「グハッ!」
強かに頭を叩きつけられたゲンドウに、リュウジは二本の槍にその身を貫かれながらも遂にマウントをとった。
「ハァ、ハァ、ハァ……。寝るなよ、ゲンドウ」
左肩を貫かれたため、その先の腕はゲンドウをロックする為に用いると、リュウジはその空いた右腕より何度も鉄槌を振り下ろした。
その空間には、何度も何度も激しい金属をぶつけ合う音がけたたましく鳴り響いた。
頑強なはずの13号機も、その執拗な攻撃に段々とダメージを負っていく。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
だがかといってリュウジが有利かと言うとそんなことは無い。
左肩と右脚を貫かれているのだ、ダメージがない訳がない。
そのダメージを耐えながらの猛攻は、いかにリュウジとて体力を著しく消耗させる。
その消耗を、ゲンドウは意識を混濁させながらも、
「フンッ!」
見逃さずリュウジの右腕を掴み、体勢を崩し、寸でのところでリュウジのマウントを抜け出した。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
「ハァ、ハァ、グゥッ……」
そして互いに息を整える。
その間にリュウジは、結果的にまたもや奪う形となった槍を、痛みに顔を歪めながら抜き、
「ゲンドオオオオオオオオオ!!」
「リュウジイイイイイイイイ!!」
互いに
顔を殴られれば、相手の顔を殴り返し。
腹を殴られれば、更に相手の腹を殴る。
互いに互いを殴り合い、拳を交差させていく。
リュウジは摯意を、ゲンドウは殺意を宿した全く違う拳であったが、互いにそれを相手に届かせようというその想いだけは共通していた。
そして互いに、終わりが近いことも解っていた。
「「はあああああああああ!!!!」」
その最後の拳を振り抜いたのは、
※
リュウジは仰向けに倒れ、荒く息を吐く。
「ハァ、ハァ、……何故だ、リュウジ」
ゲンドウは足元をふらつかせながらも、足元に突き刺さっていたロンギヌスの槍を抜き、止めを刺そうとする。
「お前なら……、お前なら解っていたはずだ。どうあがこうとも、私に勝てないことは……」
お前らしくもない。
そう呟いた時、ゲンドウはハタと気付いた。
(……らしくない?)
殊戦闘に関して言えば、リュウジの実力はゲンドウより上だ。
それは純粋な戦闘能力もそうだが、相手の実力を推し量ることも含まれる。
(有り得るのか?リュウジが私との戦力差に気づかずにここに来るなど……)
あり得ない。
その考えに至るのはゲンドウであれば自明の利であった。
問題は、ここに至るまでその考えに至らなかったことだ。
確かに最大限警戒していた。だがそれは純粋に戦闘となった時、勝利するための警戒であり、リュウジが何か陰謀を張り巡らせている事までには、その警戒が至っていなかった。
(何か勝つ算段があってきたのか?ここに至って、私を倒す何かが……)
あり得ないことではない。実際リュウジの戦闘技術によって、半ばまでは互角どころかゲンドウは押されていた。
最後の真っ向勝負にもつれたことによって、ゲンドウは今この現状を得るに至ったのだ。
だがそれを受けて立ったのは他ならぬリュウジだ。
(なぜだ、この結果になることは解っていたはず……)
「今頃……、ユイさんも、ほくそ笑んでるかな……」
「……なに?」
考えを巡らせていると、そんなリュウジの言葉が耳に入り、思わずゲンドウは思考から引きずり戻された。
「あの人は……。未来を残したかったんだ。……子供達に、シンジに」
息も絶え絶えであるが、どこかその口調は明るいものだった。
「何を言っている」
「それは補完の先にある。……だからあの人はガフの扉の向こう。……原罪が生まれた場所で願った。……願ってしまったんだ」
「何を言っている!!」
ゲンドウはリュウジの喉元に槍を突き付ける。
「だがこれで、あの人の……、碇ユイの『新世紀』を、『旧世界』へと上書きすることが出来る……」
だがリュウジはそれが目に入らないかのように、息を切らせながらも続ける。
「……そうなれば、俺は、……本当の意味で、駒の役割を……、全うできる」
そしてゆっくりとゲンドウを見る。
「……どうした、ゲンドウ。……正しいのはアンタだ」
その眼に、ゲンドウは改めて恐怖を感じた。
そこには限界を超えたダメージを受け、その機体を動かすことのできぬはずの敗者が倒れているに過ぎない。
だがそれが、自身がその敗者が張り巡らせた謀略の糸に、まるで操り人形のように完全に操られている恐怖を感じたからだ。
「何を言っている。お前は何をたくらんでいる!」
「頼む、ゲンドウ……。俺を……終わらせてくれ」
だがその言葉を受けて、逆にゲンドウは後ずさってしまう。
だが次の瞬間、
(壁?)
その背中に何かがぶつかった。
「AT……フィールド……」
いつの間にか二人の周囲にATフィールドが展開されていた。
「俺を、終わらせないなら……。共に、終わることになるぞ」
それが徐々に狭まってくると同時に、リュウジは重力装置を暴走させる操作を始めた。
「クッ!」
ゲンドウは即座に理解した。
14年前と同じく。今リュウジを自分が殺すことが、リュウジの計画だった。その先に何を更に企んでいるのかは解らないが、少なくともこのままでは、自分はリュウジと共に重力に押しつぶされてしまう。
「……案ずるな、ゲンドウ」
焦るゲンドウとは裏腹に、リュウジは未だに息が荒いが、穏やかなままだ。
「冬月さんも……、全て…、承知の上だ」
その瞬間、ゲンドウは覚悟を決めた。
「ぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!」
そしてロンギヌスの槍が、4+3号機のエントリープラグを貫いた。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
その瞬間、周囲に展開されていたATフィールドが消え失せた。
「……関係ない」
そして4+3号機を抱きかかえ、もう一本の槍も携える。
「貴様が何を企もうと、勝ったのは私だ」
それはまるで自分に言い聞かせるような、どこか虚しい勝者の言葉だった。
どう終わりにするかはもう考えてるんです。
そこまでの話の流れもだいたいできてます。
でもそれを文章にするのが本当に難しいです。
ご意見、ご感想をお待ちしております。
誤字、脱字などございましたら、お手数ですがご指摘していただけると幸いです。
これからも応援、よろしくお願いいたします。