呪術師LV.1   作:私葉鉄平

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自分が読みたいものを書いてます。あっさり薄味を心がけてます。


はじめての御三家狩り

 黒服グラサンがこちらに向かってくる。

 これといった特徴のない背格好。

 まあ夏に上下黒、グラサンの不審者がトラックで家に突っ込んできた時点でだいぶ特徴的なんだけど。

 ただよくあるお札とか、何かの儀式に使いそうな怪しげな道具を持っているわけじゃない。

 御三家・・が何なのかは知らないけれど、呪術師っぽくはない。

 これただの事故ですか?

 

「複雑な術式だな。貴様の身、いや魂を縛るそれは。」

 

 呪術師っぽいわ。

 黒服が話しかけてきた。

 すまないが、呪術はさっぱりなんだ。

 

「実践ちゃんす到来ですね、まいますたー。

まずはあの男を糧にれべるあっぷしましょう。」

 

 さっぱりなんだ。

 

「抵抗するな、殺しはしない。おとなしく投降しろ。」

 

 嘘つくなよ、臨死体験した後だぞ。

 さて、どうするか。

 アドレナリンがドバってるうちになんとかしないと。

 

「呼ぶだけですよ、ますたー。

私に触れて、来いって思えばいいんです。」

 

 お前が触媒ってこと?

 黒服はただ突っ立ってるだけで何もしてこない。

 じっとこちらを見つめている。

 やってみせろよ!って感じなのか?

 ・・・このまま何もせず死ぬよりはいい。

 やってみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 目の前の少女はあまりに無防備に見える。

 神成家。

 歴代の当主はいつの時代も最強の呪術師だった。

 だが時が経てば血も薄れる。

 ここで終わり。

 ようやく目の上のタンコブが消え失せる。

 式神がいなければ術の起動もできんようだし、ガキがこれ以上何を・・・

 

「召喚プロセス完了。

狐:ランク9を召喚します。」

 

 は?

 

 

 

 

 

 

 世界が塗り替わるような錯覚。

 まだ昼前なのに、真夏の夜のような熱気を感じる。

 この感覚が呪力なのだろうか。

 黒服との視線を遮るように何者かが顕現する。

 九つの尾が揺れる。

 台所に降り立った金色。

 黒服の口が開きっぱなしになっている。

 私もだ。おそろいだね☆

 

「大成功ですね、まいますたー。

付喪神程度では相手になりません。

文字どおり、次元が違う。」

 

 ガシャガシャ音がしたかと思えばトラックが人型に変形している。

 イメージしていたものとは違うが、あれが付喪神かぁ。

 トランスしてフォームしたみたいだぁ(直喩)

 あるはずのない男心が刺激される気がする。

 5秒で消し炭になったが。

 

「馬鹿な・・・そんな馬鹿な!

最高位の付喪神だぞ!?

ここまで育てあげるのに何年かかったと思ってるんだ!

ふざけるな!

こんな・・・こんなことがぁぁづぅぃぃ・・・」

 

 消し炭が増えた。

 ・・・なにしてんだお前!殺すのはダメでしょ!

 人としてやっちゃいけないことがあんだろ!

 

「ますたーは呪術師ですよ?

相手も呪術師です。

なにも問題ありません。」

 

 呪術師だって人間だろ!問題しかないわ!

 

「呪術師は人じゃありませんよますたー。

しっかりしてください。」

 

「ほらこっち向いてください。

1,2のぉさーん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・確かに。

 呪いなんて超常現象を扱うものたちは人とは違う。

 なにを取り乱してるんだ私は。

 

 夕焼けがさす台所をぼーっと眺め、壊れた玄関に目を移す。

 狐も黒服もトラックもいない。

 危険は去ったのだと思った瞬間、抗いがたい眠気に襲われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少女を寝かしつけ、今後について考える。

 

 まず第一に、現状を正しく認識してもらう必要がある。

 少女の母親、先代は死んだ。

 少女もまた何者かに狙われているだろう。

 一刻も早く、式神補助なしでの自衛手段を得なければならない。

 まずは少女の父親に会いにいこう。

 自分を一般人と勘違いできるくらい厳重な呪力の封印が施されていたのは、おそらくこの父親のせいだろう。

 呪術師のくせに呪術師嫌いなあの男の。

 出会ったタイミングで縛りを解いていなければどうなっていたことか。

 

 次に、呪いを仕掛けた者を探すこと。

 先代も歴代の当主と同じく、最強の存在だった。

 呪殺することなんて到底誰にもかなわない。

 はずだった。

 今も渦まく疑問。

 いったいいつ、だれが、どうやって。

 可能性があるとするなら御三家だろう。

 始まりの一族を除け者にして御三家を名乗る、忌々しいやつら。

 やはり駆逐しておくべきだった。

 今からでも遅くはないが。

 

 そして最後に、秘伝術式の継承。

 この秘術を作動させることこそが、この式神の存在意義そのものなのだから・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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