Fate/loneliness -little summoners- 作:からすまそういち
注意:執筆者はFateシリーズにわかです。原作の設定世界観及び雰囲気を壊す可能性があり、尚且つこの作品には作者にとって都合のいい概念、所謂メアリー・スーが登場します。なんでも許せる方のみの閲覧を推奨します。(尚この物語は2017年に構想された話です)
原案 からすまそういち
御今士郎
執筆 からすまそういち
御今士郎
編集 からすまそういち
御今士郎
登場人物
セイバー
ヘクトール(アナザー)
ニコラ・ストレンジナ・ビアッティ
アーチャー
明智光秀(アナザー)
シャルル・レ・モーガン
ランサー
レオニダス一世(アナザー)
間宮詩(アナザー)
日々谷総二郎
ライダー
木下藤吉郎(アナザー)
羽柴秀吉(アナザー)
豊臣秀吉(アナザー)
間宮詩(アナザー)
キャスター
エレナ・ブラヴァツキー(アナザー)
神谷裕由
アサシン
一寸法師・スクナヒコナ(アナザー)
悪童スクナヒコナ(スクナヒコナ・オルタ・アナザー)
新崎優奈
イリダル・マルコヴィチ・イワンコフ
バーサーカー
スパルタクス(アナザー)
野熊冬至
章
――――――
プロローグ
未明の狼煙
聖杯戦争(偽) 昼
聖杯戦争(偽) 夜
聖杯戦争(真) 昼
聖杯戦争(真) 夜
真聖杯戦争 真宵
■■■■■■■
徹夜明けの空
エピローグ
――――――
―――とは
―――は人間ではない。ヒトの形をしながらも人間とは違った性質を持つ亜人である(これにおける亜人とは、――――世界における人間の定義とは違うという意味であり、―――からすれば彼自身こそが人間である)。
―――は――――世界の人間ではない。
――――世界との並行世界の人間ではないが、異星人というわけでもなく、地球出身の人間である。
では何故、彼が人間ではないかというと、そもそも彼が存在する世界は――――世界と独立し全く別の歴史を辿った世界であり、そこに住む人間の性質が違うからである。
しかし彼の世界は――――世界の剪定事象ではない。そもそも最初に生まれた原初の存在の段階で――――世界とは違うため、――――世界における人理とは全く関わりがない(彼の世界には彼の世界の人理があり、彼らの汎人類史が存在する)。
よって神話体系も文化も――――世界とは異なっており、イフの更にイフ「もし地球に人間以外の知的生命体が生まれ繁殖したら」という世界になっている。
彼の住む世界に「神秘」は存在しない。化学は進歩せず魔術のみが発達し、――――世界における科学文明の代わりとして魔術文明が存在する(尚、魔術の形態も――――世界とは異なっており、本来は全く異なるものであるが、そうと定義した方がわかりやすいため彼はそれを魔術と呼ぶ)。
亜人は全てその世界での魔術回路を保持しており、そのどれもが高水準で、誰もが魔術師となる。魔術師しか存在しない世界である。
―――はその亜人の中でも飛びぬけて優秀で、一度見た術式を理解し、正確に再現することがでる。
さらに体内で生成する魔力量が膨大で、高濃度に圧縮して身体に保持するも、あまりの量に肉体の中に留めておけず、それを常に身体から放出し続けなければならない(基本は呼吸と同時に排出されるが、皮膚からも放出される。稀に彼の周りに霧のようなもやが出るが、それは可視化できるまでに至った高濃度の魔力である)。
彼の存在は地球自体にも影響があり、彼が歩いた軌跡は地脈となり、彼が腰を下ろした場所は高濃度の魔力が漂うパワースポットとなった。
故に彼は世界のバランスを崩さぬよう自分の工房から出ず、日に日に彼の工房は日常世界から切り離され魔界に近づいていく。生きる魔力炉と呼ばれ、彼の住む世界では何よりも崇拝され何よりも畏れられた。
そんな彼は、ある日自分の運命を悟る。
地球との同化。
生きている、ただそれだけで世界のバランスを崩しかねない彼は自分の工房(いえ)が完全に魔界となり地球に害を為す前に死ななければならなかった。
しかし死ぬに死ねない。自分の体を傷つけても身体の中の魔力が勝手に塞いでしまう。ならば再生せぬよう思い切り首でも掻っ切ればよいかと思えば、爆発するようにそこから大量の魔力が漏れ、地球の表面を焼き尽くす可能性があった。
ただ死ぬだけでは駄目。自分の死を丸ごと吸収できる媒体が必要だ。
自分の性質を鑑みて至った結論が、地球の核に落ち自身の権能を地球に譲り渡すことであった。
―――は絶望した。外に出ることを許さず、ただ死に怯えながら工房の中で震えるしかなかった。誰にも会えなかった、誰とも話さなかった。
―――はいつも孤独だった。
ある日、―――は決意した。このまま皆に恐怖を与えて孤独に生きるよりも、地球の核に落ち、誰かの幸せを願う方がはるかに楽であると。死ぬのは怖かったが、それよりも皆に恐れられたまま孤独に生きる方が辛いと思った。開き直って思い思いに世界を滅ぼさんとする魔王になる気概もなかった。
だが、せめて死ぬ前に夢だけでも見たいと思った。何か胸に抱えたまま死ねたらと思った。
だから、―――は演算装置を作った。
もし魔術が公に発達しない世界があったとするならば。
―――は自分が全く知らない可能性を見るために演算装置に思うがまま数値を打ち込んだ。そして偶然出た演算結果が――――世界だった。
―――はそれで聖杯戦争を知った。そして、「彼」を知った。魔術一つも思うように扱えない彼がそれでも聖杯戦争に向かっていく姿は、―――にはとても眩しく見えた。―――は――――世界に興味を持ち演算装置に様々な条件を加減して多くの事象を知った。
そして興味は憧れへと変わり、やがて―――はこう思うようになった。
もし自分がこの世界に存在したら。
あり得ない話である。そもそも自分の世界とはルールや基準点が違うのだ。
しかし、この演算装置の中でなら可能であった。―――は――――世界に自分を入力し、あり得ないイフを演算上で作り上げた。
その結果は不思議なことに問題なく、特にこれといったバグが発見されないまま、―――は――――世界に存在することになった。――――世界でも彼はその自身の特異性によって地球の核に落ちる運命を背負っており、演算上の彼もまた、その運命を嘆いていた。
しかし、装置の中の彼はそれだけでは終わらなかった。
自身のいる世界が演算装置の中であることを認知したのだ。
そして、彼は装置の内側から演算に介入し、ついには演算装置の権限を外の―――から奪い取った。
その後、彼はどうやれば自分が死なずに済むかを計算し始めた。その時に彼も聖杯戦争を知ることになった。
聖杯戦争を知ることにより、―――はサーヴァントの存在も知ることになった。
そして、彼は思いつく。「自分の権能を譲るに相応しいサーヴァントに力を押し付ければ生きられるのではないか」と。
プロローグ
やあ、初めまして。いや、ここまで来るとこんにちは? それとも久しぶり?
ともかく、
君がこの文章を読んでいるということは、辿り着いているということは、おそらくこれから起こる――いや、君から見ればもう既に起こったというべき新たな聖杯戦争について興味があるからということだろう。
そう。聖杯戦争の話だ。
あらゆる願いを叶える願望器「聖杯」を手に入れるために魔術師共が殺し合う儀式。この記録に辿り着いた君は聖杯戦争のことなんてもう知っていることだろう。
あの、聖杯戦争を。あの、儀式を。あの、願いを。そしてその――末路を。だからこれについて語るようなことはしない。まさに「釈迦に説法」というものだろうからね。
これから僕が残すものは新たな聖杯戦争。今の君が知らない聖杯戦争だ。
ああ、ちなみにこの話は他言無用でお願いするよ。あまりにも奇妙な試みだからこうして記録に残そうとしているけれど、これは本来公にしてはならないことなんだ。だから君には黙ってくれていると助かるよ。
さて、前口上が長くなりすぎてしまった。僕の悪い癖だ。とりあえず本題に入るとしよう。
ぶっちゃけ言ってしまうとね。聖杯戦争を始めたんだ。
この僕が。
――いや、わかる。わかるとも。
そんなことは不可能に近い。万能の願望器を生み出せるわけがない。
強力で巨大な魔力の出力器。いくらなんでも本物の聖杯は僕にも作れない。
だから、グレードを落とした。
本物には遠く及ばないものだが、英霊を七騎集める程度の魔力なら供給できる願望器を、僕は作った。そして、僕は聖杯戦争を始めたのさ。
……何故聖杯戦争を始めたのかって?
ああ、そうか。そもそも聖杯を作れるのだから聖杯を得るために行う聖杯戦争そのものに意味はないという話か。
そうだね、確かにそれはその通りだ。しかし意味ならあるよ。
聖杯にはなくても戦争に意味があるのさ。戦うことに意義があるのさ。人が自分の願いを、信念を貫き通すということに――。
そして、それを
おっと、僕の趣味が悪いと思ったかい? でも残念ながらこの記録を辿っている時点で君も同罪なのさ。
君も今、観ようとしている。そうだろう?
だから、どうせなら君も楽しむといい。僕らは聖杯戦争という劇を観るんだ。それが喜劇か悲劇かは観てからのお楽しみ。聖杯戦争を知っている君ならこの高揚がわかるだろう。あの聖杯戦争が今から始まる。さあ、君も共に観ようじゃないか。
規模が小さくて派手さはないがこれもまた一つの聖杯戦争だ。
ちっぽけな人間達のちっぽけな戦争――