※2021/09/18:彰とジンのやり取りを追記しました。
第1頁:仁夢と僕の新たな出会い
幻想郷。
それは、現実世界から隔絶された地に存在する、幻の秘境。
それは、忘れ去られた者たちが行きつく憩いの郷。
それは、科学技術によって否定された妖怪たち怪異が住まう楽園。
この物語は、その『幻想郷』で起こる、戦いの記憶である―――。
幻想郷・人里。それは、忘れられた者たちの理想郷である『幻想郷』の中にある、人間たちが暮らす唯一の里である。
その里は、木造の長屋が並んでおり、住まう人々が行きかい、客引きの声がそこかしこから聞こえてくる、まるで江戸時代の下町のようである。現に、技術は明治維新直前からほぼ変わっていない。彼らは里を出ることはできないし、毎年妖怪に捕食されたり現代医療技術で治癒する病で命を落とす人がいないわけではないが、それでも彼らは十分に幸せな日々を過ごしていた。
とまあ、いささか特殊な平和を保っている里の、人々の喧騒の中から、それは響いた。
「コラァァァァ
「す、すいませんおやっさん!!!」
40代の胸板の厚い中年が、20歳にもなっていないと思しき少年を叱り飛ばした。だが、原因はどうやら少年の方にあるらしく、彰と呼ばれた少年はペコペコと中年に頭を下げる。
「あれほど客と話しながらやるなっつったのにお前は!!」
「ほんっとーにすみません!! でも奥様方の期待には答えませんと!」
この、おやっさんと呼ばれる男―――店主に謝っている少年。彼の名を
彼が雇い主たる八百屋の店主に怒られているのは、言ってしまえば彼が筋金入りのお人好しであるからだ。仕事をするにしても、出勤の道中に困っている人あらば躊躇わず行ってその人を助け、喧嘩する子供たちがいれば身を呈してそれを宥め、腹をすかした野良猫あらば自腹を切って魚を買って与える始末だ。お陰で仕事においてはすっかり遅刻の常習犯である。
「今はここの店員だろうが!しっかりしろ!」
「ごめんなさい!!」
しかも、ようやく着いてからも気が早い主婦たちの話し相手をしながら品出しをする等、客を慮りすぎて本来の業務がいい加減になってしまったのだ。
彰に悪気がないのは噂で広まり切っており、店主もわかっているのだが、だからといって甘やかしていては為にならない。故に、店主は彰を叱り飛ばすのだ。
叱られながらも仕事を終えた彰は、ある長屋で家族と暮らしている。
「おかえり~、お兄ちゃん。今日もおやっさんに怒鳴られてきた~?」
「なんで怒られること前提なんだよ。当たってるけどさ……」
彰が帰宅して開口一番に冗談を言ってにししと笑ったのは、妹・
「おかえり~彰!! もっとマジメに仕事することだよ!」
「父さん……今日は休みなの?」
「馬鹿言え、今日の仕事はとっとと終わらせてきたっつーの!」
豪快に笑う男は、由花と彰の父・
彰や由花の母もいるにはいるが、この日は諸事情で家には不在である。
彰は、この三人と共に、平穏な生活を送っている。
「今日は珍しく早ぇ時間に上がったんだし、ちっと山菜でも取ってこい!」
「え、でも……妖怪が出るんでしょ?」
「そんなもん、博麗の御札があれば問題ねぇよ。まだあったろ?」
「そうだけど…」
この幻想郷では、人里以外の場所では妖怪や妖精が現れる。
妖精は無邪気で人に悪戯をするだけの場合が多いからまだマシだが、妖怪の中には積極的に人を襲い食らうものも存在する。
人里の人間達は、日が出ている間に里周辺に出て、山菜収集や品の仕入れに勤しむ事もあるが、妖怪が活発化する夜には基本出歩かない。もし妖怪に襲われたら無力な人間ではひとたまりもないからだ。その時の為に博麗の御札を貰う人もいるにはいるが、博麗神社と人里の距離がそれなりにあるため簡単に手に入るものでもない。
彰の家に御札があるのは、たまたまだと言わざるを得ない。多田家が先祖代々博麗神社を贔屓にしていただけなのだから。
「分かったよ。でも、あんまり遠くには行かないからね?」
「当たり前だ。そら、陽が沈む前に行ってこい!」
「いってらっしゃ~い!」
彰は、日々の食卓のおかずを加えるべく、一弘と由花に促されて人里の外へ足を進めた。
人里外れの茂み。
夏から秋にさしかかるこの時期は、食べられる野草が豊富だ。ドクダミに
無論、夢中になって取っていたら陽が沈んでしまうのでさっさと採取してさっさと帰る必要がある。また、
「…よし。こんなものか」
彰はいつものように、食べられる野草を籠に詰め、遅くならないうちに帰ろうとする。
後はいつも通りに家に帰って晩御飯の準備をするだけ……そう思った時、彰の視界に何かが映った。
「……!? 人…いや、亡霊!?」
改めて視界に正体を映した彰。視界に映った何かは、男性だったのだ。
彰は、その男性を最初は人かと思った。自分自身が見慣れない礼服―――平安貴族の服装・束帯だ―――を着ていたから。
しかし、彰はそのような服装をした人物を人里で見たことがなかったし、何より……かの人物の足が透けていたのだ。それを見た瞬間、彰はかの男を亡霊だと確信した。
なぜこんな人里近くに……と訝しむ彰を、亡霊と思しき男性が見つけると、その男性はまるで信じられないものをみたという風に目を見開いた。そして、こう言ったのだ。
『少年!ひょっとして…私が見えるのかね!?』
「!!!?」
亡霊がこちらを認識して、しかも声をかけてきた事実に、彰は動揺を隠せない。
彰はあまりの驚きに言葉を返せないでいると、亡霊はまくしたてるように話し出す。
『少し聞きたいことがあるんだ!今は西暦何年だね?』
「い、今ぁ? えぇーっと、今は西暦2021年、令和3年ですけど……?」
『に、2021年だと……なんてこった、アレから1300年近く経っている……!
少年!もうひとつ質問だ!「ケガレイド」という名前に聞き覚えはあるかね?』
「ケガ……なんですって? よくわかりませんけど……」
『覚えはない、と………よし。まだ間に合うかもしれない…!
少年! 私は……そうだな、ジンという。君に頼みたいことがあるんだ…!』
「は、え、え??? ちょ、ちょっと待ってください! イキナリそんな事言われても、全然わかりませんよ!!」
ひとり驚いたり安堵したりしている、ジンと名乗った不審な亡霊の話にまったくついていけない彰は、その話を遮った。
そのリアクションで落ち着きを取り戻したジンは、咳ばらいをひとつしてから、説明し始める。
『私の時代……1300年前にケガレイド達が封印された。しかし、私の見立てではいつ奴等の封印が解かれるか分かったものではないのだ!』
「あの…そのケガレイドっていうのは……?」
『人を襲い食らう化け物だ。私達はかつて、そのケガレイドから人々を守るために戦い、遂に封印することに成功した!……筈だったんだがね。』
「封印が解けかかっているって言うんですか?」
『もう
ジンから突然告げられた、人を襲う化け物「ケガレイド」の封印解除と共に戦って欲しいという非常識なお願い。彰は目をぱちくりして頼みの内容を反芻する。
「ケガレイドの封印が解けてる……? 僕が、ケガレイドと、戦う……?」
『無茶は承知だ。しかし、アレは君しか―――』
彰の一つ一つの単語を区切って確かめるように言う様子に、やはりダメか……と半ば諦めかけるジン。
当然だ。彰は何かの武道を嗜んでいるわけではないし、喧嘩の経験は皆無だ。戦闘経験どころか武道の試合や喧嘩の経験すらない者を戦いに誘うなど正気ではない。
『―――いや、すまない。さっきのお願いは忘れてくれ。少年、君戦ったことなどないだろう?』
「待ってよ!」
ジンが落ち着きを取り戻したのかさっきの願いを取り下げようとした時、彰は声を張り上げた。
彰と初対面のジンは知らない。彰がどんな人物かを。喧嘩を見たら、むしろその身を呈して割って入ってきて、殴られてでも仲裁を試みる、といったタイプの人間なのだということを。
「僕、やります!」
『い、いや!無理はしなくっていい!戦ったことのない一般人を戦いに駆り出すくらいなら……』
「ケガレイドとやらが現れるかもしれないんだろ?だったら、僕は戦うよ!家族を守る力になるかもしれない!」
『しかしだね…』
一度関わると決めたら梃子でも動きそうにない程に固い決意の籠った目でジンを見てくる彰。ジンの方はまだ戸惑いがある。
ジンは、いまだ出会ったばかりの少年・彰を
ジンがどうやってこの面倒で頑固な少年をどう説得すべきか悩みだした時、何者かのうめき声がした。
「ヴアァァァァ……!」
「『!!!』」
それは、ひとことで言えば「異形」だった。
頭があり、両足で立った人の形と言う意味では人型だが、それ以外はもはや人ではない。
人とはかけ離れた茶色の肌。赤い複眼のような眼。虫の口に変形した顎。更に、背中の肩甲骨あたりから脚らしき器官が生えたのだ。それは、まさしく巨大な人型の蜘蛛という表現がぴったり合う異形だった。
そして……一番特徴的なのは、蜘蛛のような怪人が歩いたであろう足元の草花が、まるで腐ったかのように青黒く変色し朽ちていく点である。
そんなこの世のものとは思えないほどおぞましい怪人だが、不幸中の幸いか今のところ彰とジンには気づいていないようだった。
「あ…あ、あれは……!!?」
『あれがケガレイドだ。まさか、もう復活していたとは……!!!』
蜘蛛の姿をしたおぞましき怪人を目の当たりにして、身体が震える彰。
だが、悲鳴をあげなかっただけまだ冷静さが残っているのだろうか。彰は、こんな状況であることに気が付いていた。
「あっちは……まさか、人里…!」
彰の中で、最悪な未来が頭をよぎっていた。
あの恐ろしい蜘蛛の怪物・スパイダーケガレイドは、人里に向かってずんずんと歩いて行った。ジン曰く「人を襲い食らう化け物」が人間達の住む里を見つけたらどうするかなど、火を見るよりも明らかだ。
彰は、自分達が暮らす人里を守る者が既にいることを知っている。己の恩師がそうであるし、自分が贔屓にしている御札を作った神社の巫女もそうである。しかし、もし彼女たちが気づかなかったら?もし彼女たちが駆け付けるのが遅れたら? ……犠牲者が出るかもしれない。そしてそれが、父や妹ではない保証など、どこにもない。
「ね、ねぇ! ジンさん、だっけ? さっきの蜘蛛怪人、どうにかできるんでしょ?」
『方法なら……ある。まずは、ジンムドライバーを取ってくれたまえ』
「ドライバー?」
『足元にあるものだ』
ジンの指摘に彰が足元を見ると、いつの間にあったのか、銀色のバックル―――ジンムドライバーが転がっていた。その存在に今まで気づかなかった彰は、不思議そうにしつつも手を伸ばして取ってみる。
『そのドライバーを腰に当てて装着するんだ』
「ええぇっ!!? ベルトが喋ったァ!?」
『早くしたまえ!急いでいるんだろう?』
「!!」
ジンムドライバーがジンの声で喋り出したことに衝撃を受けるが、いちいち驚いている暇はない。
早くしなければ、スパイダーケガレイドが人里に辿り着いてしまう。
彰は、腹部にジンムドライバーを押し当てる。すると、ドライバーの両端から黒いベルトが飛び出て、彰に巻き付いた。
それを確認して、彰は人里へと駆けた。
駆け付けた先で彰達が見たものは、例のスパイダーケガレイドと人里の自警団の男たちが今にもぶつかりそうな場面だった。
かろうじて激突には間に合ったが、スパイダーケガレイドの足元に誰かが一人転がっている。最初にやられた自警団だろう。早くしなければ、救命措置が間に合わなくなる。
「ま、間に合った…! ジンさん!」
『…とりあえず、今はここを切り抜けよう。少年…君の名は?』
「彰。多田彰だ」
『そうか。では彰、変身するんだ』
「変身?」
『コアエマキのスイッチを入れてドライバーにセット。レバーを引いて変身完了だ!』
「コア絵巻……? この、巻物みたいなやつか!」
ジンの指示に従って彰はベルトのホルスターにしまわれていた手の平サイズの巻物を見つける。その軸先が動いてスイッチのようになっている。
【ジンム!】
コアエマキの軸先を押してそれが起動したことを確認するとそれをドライバーにセットした。
大和笛と和太鼓の待機音が鳴り響く中、彰は深呼吸ののち、覚悟を決めてレバーを引いた。
「変身!」
【浄化! 昇華!! ジンム召喚!!!】
すると、彰の全身は黒いライダースーツに包まれた。
どこからともなく現れた白いアーマーが彰に装着されていき、最後に赤い瞳に
その顔は、鋭角のシルエットに赤い瞳についている触覚のような角が特徴的で、例えるならばショウリョウバッタであった。
【まつろえど
最後にナレーション染みた声で高らかに俳句が流れると、変身が完了し、彰の姿は大きく変化していた。
『仮面ライダー
「これが……僕!? というか、今の俳句は一体…!?」
『俳句は気にするな。
その姿の名はジンム。どんな強さがあるかは……共に戦いながら説明しよう。さぁ、出陣といこうか』
「分かった!あの人たちの未来は…僕が掴む!」
変身した彰……ジンムは、ケガレイドと自警団の間に割って入ると、スパイダーケガレイドに殴りかかる。
「グオォォォォッ!!?」
「な、なんだぁ!?」
「ま、また化け物かっ!?」
大きく吹き飛んだスパイダーケガレイドと、それを殴り飛ばしたジンムの登場に、見ていた人里の人間達に動揺が走る。
一方、吹き飛ばされたスパイダーケガレイドは、突然己の邪魔をしたジンムに怒りの叫びをあげながら反撃するべく殴りかかっていく。
「お、おい……新しく来たやつ、蜘蛛の妖怪を殴ったぞ…?」
「なんなんだ、一体……?」
突然現れて、味方を攻撃し始めたようにしか見えないジンムに、目撃した村の人々は呆然とするばかり。本当に味方なのか、はたまた縄張り争いなのか、判断しきれずにいる。
そんな里の人たちに目もくれず、ジンムとスパイダーケガレイドは、お互いに拳を固め、殴りあっている。
ジンムはスパイダーケガレイドの拳を腕で受け止めて、逆に突き飛ばした。予想外の相手の力の反撃に、
「ぐっ……! 重い…けど、思ったより痛くない!」
『ジンムの身体は強靭な武器でもあり、堅牢な鎧でもある。
彰! コアエマキのスイッチを押すんだ!』
「えっと、スイッチを…押す!」
【真価解放! ジンム!】
ジンの言われるがままにコアエマキのスイッチを押すと、ジンムの右手が光り輝きだした。
「え、うおおおおおおお!!? 手が光った!」
『ジンムの真価解放は斬撃だ。手刀をかましてやれ!』
「手刀? えと、ハイ!!」
「グギャアアアアアアアアアアアアア!!?」
そして手刀の形を作って横に払うように振ると、そこから白銀の斬撃が飛び出して、スパイダーケガレイドに直撃した。
しかし、スパイダーケガレイドも苦しみながらではあるが、口から白い糸を吐き出して、ジンムをぐるぐる巻きに縛り上げてしまった。
「うわわっ!? や、やばい!!」
『慌てるな! コアエマキのスイッチを三連打してブーストしろ!』
「そ、そんなこと言われても、手が動かない!」
「ジャアァァァッ!!」
「うわぁっ!?」
敵からの思わぬ反撃に動揺する彰。慌てて蜘蛛糸を千切ろうとするも、鉄の針金で何重にも巻かれているかのように頑丈でそれも叶わない。
その隙をスパイダーケガレイドが突き、ジンムに飛びかかり、右ストレートを放った。
それをモロに受けたジンムは、ゴロゴロと転がっていく。スパイダーケガレイドは追い打ちをするべくそれに近づいてきた。
「こ、このままじゃあやられる!」
『ジンムは鎧だとも言ったろう。この程度平気だ。
それよりほら、落ち着いてスイッチを三連打だ!』
「手…手が届けば………届いた!」
縛られた手のうちドライバーに近かった左手でなんとかセットされたコアエマキのスイッチに指を伸ばし、三回スイッチを押した。
【ジ・ジ・ジンム!】
「お、おぉ?これは…………!!力が、漲ってくる!!」
『これで蜘蛛の糸を引きちぎれる!』
再びジンの言われた通りにスイッチを三回押したところ、ジンムは体の底から信じられない程のパワーが漲ってきて全身に行きわたるのを感じた。
それと同時に、先程まで針金のように硬く感じられた蜘蛛糸が、綿飴のように柔らかく引きちぎれるのを感じた。
「ウゥオリャーーーーーッ!!!」
「グァァッ!?」
蜘蛛の糸を引きちぎった衝撃波がスパイダーケガレイドを襲う。追い打ちを企んでいたスパイダーケガレイドは衝撃波をまともにくらい、大きく吹き飛んで地面に倒れた。
『今だ! ベルトの両サイドのボタンを押し、レバーを引いて必殺技だ!』
「両サイドのボタンを押してから……こうか!」
【奥義発動! ジンム!!】
ベルトの両サイドのボタンを押してからレバーを引いたことで、コアエマキに封じられていたエネルギーがジンムの全身を駆け巡る。
「はぁぁぁぁ………!」
構えたジンムは、未だ立ち直れないスパイダーケガレイドに駆け出すと、その勢いのまま跳躍して体を捻り、飛び蹴りを放った。
「ハアァァッ!!!」
【
ドライバーの高らかな声と共に空中から放たれた、ジンムの必殺飛び蹴り『ファンタジック・フィニッシュ』。
スパイダーケガレイドが立ち上がり、ダメージから立て直した時にはもう既にジンムの飛び蹴りが目と鼻の先まで近くにあった。
「ギャアアアアアアアアアアアァァァァ!!?」
スパイダーケガレイドの胸にキックが炸裂。
それと同時に、スパイダーケガレイドの胸に古代文字を彷彿とさせる印が刻まれると、その印から全身に向かってヒビが走っていく。ヒビの隙間から光が漏れ出したかと思うと、スパイダーケガレイドは断末魔の悲鳴をあげながら爆発四散した。
『いい戦いだったよ』
「ジンさんのお陰だよ。さて…この後どうしよう?」
『倒れた人は里の人に任せるとして……変身を解こう。無論、ここではなくて誰にも見られない茂みの中でだ』
ジンムに変身中の彰は、ジンの意見に同意するように、森の奥へと踏み込んでいく。彰としても、余計な混乱を招くのを防ぐ為正体を隠しておくことには賛成だった。
「待て! お前、なぜ仲間を倒した!?」
「せ、先生……」
『振り向くな。後で何も知らない体で入るんだぞ』
背中にかけられた、聞き覚えのある声に引き止められるが、彰は茂みの中まで歩いていき、そこで変身を解除してから里へと戻っていった。
「いやぁ、今日は大量だったな彰!」
「そうだね〜お兄ちゃん。お陰で今日はちょっと豪勢かも」
「そ、そうか?あはは…」
その夜。彰は、持ち帰った山菜で夕食を作り、少しだけ豪華になった夕食が乗ったテーブルを一弘と由花の3人で囲んでいた。
「あ、そうそう、お兄ちゃん聞いた? お父さんね、妖怪同士の争いをみたんだって」
「な、なにそれ?」
「おう。蜘蛛みたいな妖怪と仮面を被った妖怪が戦ってな。仮面の妖怪が蜘蛛妖怪を倒したんだよ!!」
「へ、へぇ……」
「おい、なんか反応が薄いぞ?」
流石に「その妖怪同士の戦いの当事者でした」と言う訳にもいかない彰は、自身の戦いを見ていた父親の興奮気味の話に冷や汗をかきながら相槌を打つより他なかった。
彰は家の隅に置かれたジンムドライバーに、今日あった出来事に感謝の意味で微笑みかける。
すると、ジンムドライバーからジンが彰に微笑みを返してくれた……そんな気がしたのであった。
はい、そんな訳で1話でした。
今作の仁夢はタイトルは鎧武、バディはドライブ、変身時の顔はフォーゼをイメージしました。
幻想郷でオリジナルライダー、しかも神話の存在の力を借りるライダーなんて壮大になり過ぎる気しかしないけど、ぼちぼち続けていきたいです。